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報告書&レポート

2004年12月2日 総務企画グループ 神谷太郎 e-mail: kamiya-taro@jogmec.go.jp
2004年54号

中国の銅産業動向 China International Copper Forum 2004報告

 中国国家統計局の発表によれば2004年第3四半期まで(1~9月)の経済成長率は9.5%であり、依然として高い経済成長を維持している。この高経済成長を支えるため、中国が原材料の確保を重要課題と位置づけていることは周知のとおりである。先頃チリで行われたAPEC首脳会議に際しても、胡錦涛国家主席はブラジル、キューバ等も訪問、チリだけでなくほかのラテンアメリカ諸国に対しても積極的な資源外交を行った。このような中国の積極的な経済活動の一方で、国内においては2004年4月以降中央政府によりマクロ経済コントロールが実施されるなど、景気過熱を警戒した政策も打ち出されている。
 一方、2002年に米国を抜いて世界一の消費量となった銅需要については、電力関連の需要などを中心に消費の衰えは見られず、今後も拡大を続けていくと予想されている。一方、供給面では、国内精鉱の供給量に大きな伸びは期待できず、これまで以上に海外原料の獲得を目指していくものと考えられる。
 こうした状況下、10月28日、29日に中国海南省海口において、China International Copper Forum 2004が開催された。本レポートでは、同フォーラムで行われた講演をもとに、中国の銅産業の動向を取りまとめた。

  1. 国内資源開発

  2.  2004年1~8月期の中国の銅地金生産量は1,337千トンで前年同期比17.3%増加する一方、銅精鉱の生産量は402千トン(金属量)であり、前年同期比10.2%増にとどまっており、自給率の低下が拡大し続けている。
     中国では2000年から新しい埋蔵量の分類法が導入され、可採埋蔵量、基礎埋蔵量、資源量の3分類に分けられることとなった。新しい分類法によると2002年末の時点で、中国には銅鉱床が985あり、可採埋蔵量は18,471千トン、基礎埋蔵量は29,669千トンと計算されている。従って、銅需要をすべて国内精鉱で賄おうとすると、8年で資源が枯渇することとなる。
     こうした中、国内資源の確保を目的として2000年以降大規模な調査が行われ、その結果、新疆ウイグル自治区の東天山(Tidongshan)地域、雲南省の三江地域*(Sanjiang regions)、チベットの雅魯蔵布江(Brahmaputra)地域の3地域が有望銅鉱床帯として抽出されている。しかしながら、中期的には、雲南省の大紅山(Dahongshan)第2期工事、青海省の賽什塘(Saishitang)、安徽省の冬瓜山(Dongguashan)、福建省の紫金山(Zijinshan)、新彊の阿舎勒(Asele)などの建設が予定されており、99,600トン/年の銅精鉱生産能力の増加が期待される程度であり、一方、2010年までに既存鉱山において、100,000トン程度の精鉱生産能力が失われると予想され、今後数年は年間600~700千トン程度の生産能力は変わらないものと推定されている。
     このように中期的には銅精鉱生産の伸びは期待できないが、探鉱開発への資金の不足が指摘されており、鉱山開発・操業に係る諸税の減免(現在売上高の21.1%が諸税として徴収される)や資金面で政府の援助、外国企業の参入を促す法規の整備及び厳格な運用といったことによる探鉱開発の活発化が期待されている。また、一般的に中国の銅鉱床は小規模で、品位が低いといわれているが、湿式製錬の研究が行われており、このような面からの国内資源の利用拡大が期待されている。

      * 「三江」とは、「瀾滄江」、「怒江」、「金沙江」の3つの川を指し、「三江地域」は雲南省北部のこれら3つの川が平行して流れている地域周辺を指す。

  3. 需給動向

  4.  先に記したとおり、2004年1~8月期の中国の銅地金生産量は1,337千トンで前年同期比17.3%増加した。2004年4月以降、中央政府は、金融機関の法定預金準備率の引き上げ(7.0%→7.5%)や鉄鋼、セメント、一次アルミニウム産業等への投資に対して自己資金比率の引き上げといった、景気抑制の措置をとったが、アルミニウムを除く非鉄金属に関しては基本的に堅調に発展している。
     銅に関していえば、2004年の銅地金生産量は前年比9%増の2.0百万トンと予想されている(2003年は1.836百万トン)。また、短期的には金隆(Jinlong)製錬所(150千t/年→210千t/年)、金川(Jinchuan)製錬所(120千t/年→200千t/年)、葫芦島(Huludao)製錬所(50千t/年→100千t/年)といった拡張計画があり、地金生産は2005年には2.2百万トンに達するものと予想されている。
     一方、需要面では電力部門が銅消費の50%を占めている。現在中国では電力不足が深刻な問題であり、これを解消するため、マクロ経済コントロールに関わらず、電力部門の需要は今後も衰えないと予想されている。従って、銅消費も順調に伸びると予想され、2004年の消費量は3.2百万トンに達する見込みであり、2005年には3.5百万トンと予想されている。

    表 中国の需給予測 (千トン)
      2003 2004 2005
    供給量 3,129 3,005 3,500
    うち生産 1,836 2,000 2,200
      輸入
    1,357 1,150 1,400
      輸出
    64 145 100
    消費量 2,950 3,200 3,500
    バランス 179 -195 0
    出典: 2005 Copper Market Analysis and Forecast, China International Copper Forum 2004

  5. 輸出入動向

  6.  このように、中国においては銅地金の生産を上回る勢いで銅消費が伸びており、輸入への依存が年々高まっており、需要の2/3を輸入に頼っている。国内製錬所向けの銅精鉱の輸入も増えてはいるが、それ以上に地金や銅加工品の輸入が増えており、銅精鉱の割合は減少傾向にある。ただし、下図に見られるようにマクロ経済コントロールが行われた2004年4月以降、地金の輸入が減少しただけでなく、輸出が増えるという減少が見られている。これはトレーダーが輸入した地金を再輸出したためと見られ、一時的にはこのような投機的な現象が見られ、需給に影響を与える可能性が考えられる。
     また、新地金や銅加工品に加えてスクラップも銅の供給を支えている。2003年は3,161千トンの銅スクラップ(銅量約600千トン)が輸入されており、2004年には3.6百万トンに達すると予想されている。銅スクラップの輸入量は地金生産量の30~40%に相当し、銅の供給において無視できない数字である。

    図 最近の中国の銅輸出入(出典:Copper Bulletin, ICSG)

  7. まとめ

  8.  China International Copper Forum 2004の講演集から、中国の国内資源開発、需給、輸出入動向について概観した。これまでも触れたように今年の4月以降中国では景気過熱を抑制するための経済政策が採られており、10月下旬には金利の引き上げも発表されるなどの経済運営が行われている。しかしながら、中期的には高い経済成長が維持されるものと考えられ、今回のフォーラムにおいても、銅需要は順調に伸びていくとの論調がほとんどであった。一方、銅需要の伸びに対して、原料確保は深刻な問題である。前述したとおり、国内の鉱山開発に大きな進展は望めず、輸入への依存が高まっていくのは必死であると考えられる。今回のフォーラムでは中国の海外資源開発に関する講演はなかったが、Minmetals社によるカナダNoranda社の買収交渉や、チリCODELCOとの協力関係の強化といった中国の資源面での海外進出が最近活発になってきている。中国の経済成長率が今後も8~9%と想定した場合、2008年に中国の銅消費量は2004年に比べて3.6百万トン増の7.4百万トンに達するとの予想があるが、最新のICSGの予測によれば2008年には2004年に比べて約3百万トンの鉱山生産能力の伸びが見込まれており、数字の上では生産能力の増分はすべて中国の消費に回される計算となる。従って、今後中国の銅資源確保の動きはますます活発になると予想され、我が国の資源確保に影響を与えるだけでなく、資源開発の面での中国との連携といったことも視野に入れることも今後検討課題として挙げられよう。

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