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報告書&レポート

2004年12月21日 ロンドン事務所 嘉村 潤 e-mail: kamura@jogmec.org.uk
2004年58号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2004年11月)

  1. 国際市場

  2.  11月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅が5か月連続で上昇して3.7%増の3,122.80 USドル/t、ニッケルは下落傾向から先月反転した後また下落し2.5%減の14,053.41 USドル/t、亜鉛は2か月連続で上昇し2.9%増の1,095.64 USドル/tであった。銅、ニッケル、亜鉛ともに9月中旬から価格が上昇し、10月中旬に銅、亜鉛は2004年最高値を更新した直後に一旦急落、その後再び上昇してきている。こうした価格変動の主要因としては、金属市場の需給がタイトの状況で、ファンド資金の流出入の影響が大きいといわれている。2003年後半以降の金属価格上昇をもたらしたファンド資金は、8月以降、一旦金属から流出したが、9月中旬から石油価格の上昇につられて上昇する金属市場へ再流入、10月中旬このファンド資金の利食い等により一時流出したものの、11月の米大統領選後のドル安により、資金が金属市場に再流入、金を中心に金属価格全般を上昇傾向にしている。今後はこのタイトな需給状況がどこまで続くか、中国の金属需要や為替・株式市場等他の市場動向の影響を受けたファンド資金の動きも絡んで、現在の価格水準の急変の可能性も指摘されている。

    LME平均価格と在庫
      平均価格(cash settlement, US$/t) 在庫(t)
    2003年 2004年10月 2004年11月 前月比 2004.10.29 2004.11.30 増減
    Cu 1,778.41 3,012.24 3,122.80 +3.7% 78,850 59,975 -18,875
    Ni 9,625.53 14,410.71 14,053.41 -2.5% 14,142 17,004 +2,862
    Zn 826.90 1,064.95 1,095.64 +2.9% 705,675 673,975 -31,700

    LME平均価格の推移

  3. 需給動向

  4. 2004年1~9月の需給状況(出典:銅、ニッケル、鉛亜鉛国際研究会)
      鉱山生産 精錬生産 消費 需給バランス
    (t)
    1~9月(t) 前年比 1~9月(t) 前年比 1~9月(t) 前年比
    Cu 10,630,800 +3.9% 11,646,800 +3.0% 12,423,300 +6.1% -776,500
    Ni 注)   注)   注)    
    Zn 7,192,000 +0.9% 7,580,000 +3.4% 7,808,000 +5.7% -228,000
    注) Niの1~9月の数字は、国際ニッケル研究会の11月Bulletinが特集号のため未発表

    (1)
      【需要】
     国別の1~9月需要量は、最大消費国中国が5.6%増、2位米国9.4%増、3位日本6.6%増、4位ドイツ3.0%増と引き続き好調で、世界計では前年同期比6.1%増の12,423.3千tであった。世界の需要を月別に見ると、3~5月は1,400千t/月以上あったが、5~7月は1,300千t台、8月は1,272千tまで下がったものの、9月は再び1,407.6千tとなった。注目の中国の需要動向であるが、前月からまた増加に転じ9月の消費量は283.4千tで、前月比15.3%増と急増した(前年同月比1.1%減)。

      【供給】
     1~9月期の鉱山生産は3.9%増の10,630.8千tであった。月別の鉱山生産を見ると、1~2月は月産1,100千t前後であったが、その後生産量を徐々に伸ばし、5月以降は1,200千t台となり、7月は2004年最高の1,249.1千tを記録した後減少、9月は1,222.3千tとなった。鉱山の設備稼働率も1月の79.9%から6月以降93%前後で推移、9月は93.0%であった。1~9月の国別生産量は、最大生産国チリが327.7千t増(+9.1%)、3位ペルーが139.4千t増(+22.4%)となり、5位インドネシアの306.6千t減(-36.1%)を補った。
     1~9月期の精錬生産は3.0%増の11,646.8千tであった。月別の精錬生産は徐々に上昇し、8月は1,345.7千tを記録した後、9月は1,335.0千tと少し減少した。稼働率は80%台で徐々に上昇している。1~9月の国別生産量は、最大生産国のチリ(EW生産を含む、以下同様)が0.8%減、3位日本が2.0%減、4位米国が2.1%減であったものの、2位中国が12.5%増、5位ロシアが5.2%増、6位ドイツが5.5%増となっており、全体では334.8千t増加(+3.0%)となった。

      【需給バランス】
     1~9月期は776.5千tの供給不足であった。2月から4月にかけて月毎に100千t台の供給不足が発生したが、その後供給不足量は減少し、7月はバランス、8月は69千tの供給超過となったものの、9月には再び73千tの供給不足となった。季節調整後の需給バランスでは、供給不足の状態が続いている。

      【価格】
     11月初めのLME銅価格は2,900 USドル/t台からスタートした後上昇、11月4日には3,000 USドル台、11月8日には一旦3,100 USドル台を突破した後下落したが、11月12日には再び3,100 USドル台に上昇、11月23日には3,200 USドル台に入り、10月中旬の2004年最高値(3,287 USドル)をうかがうレベルとなった。11月30日は3,262 USドルであった。
       
    (2) ニッケル
      【需要】
     1~9月の数字は、国際ニッケル研究会の11月Bulletinが特集号のため未発表。国際ニッケル研究会は2004年の世界のニッケル消費量は2.4%増の1,261.6千t、2005年は4.5%増の1,318.4千tと予測している。

      【供給】
     1~9月の数字は、国際ニッケル研究会の11月Bulletinが特集号のため未発表。2004年の世界生産量は5.2%増の1,253.9千tに、2005年は5.3%増の1,319.8千tと国際ニッケル研究会は予測している。

      【需給バランス】
     高値の影響で消費が抑制され、供給不足量は2003年の40.1千tから2004年は7.7千tとなり、2005年は1.4千tの供給超過と、ほぼ需給がバランスすると国際ニッケル研究会は予測している。

      【価格】
     11月1日の13,460 USドル/tからスタートしたLMEニッケル価格は、11月4日に14,000 USドル台を突破した後、14,000 USドル前後(13,600 USドル~14,400 USドル)で推移しており、11月30日は14,295 USドルであった。

       
    (3) 亜鉛
      【需要】
     1~9月の需要量は5.7%増の7,808千tであった。最大消費国の中国が10.5%増、2位米国が9.4%増、3位日本が7.9%増と好調で、4位ドイツの8.1%減、5位韓国の0.8%減などを補った。国際鉛亜鉛研究会は2004年世界の地金消費量を4.8%増の10,342千t、2005年は4.3%増の10,784千tと予測、この中で注目の中国の需要増を2004年10.4%増、2005年11.3%増と予測している。

      【供給】
     1~9月の鉱山生産は、最大生産国の中国が13.9%増、4位カナダが3.9%増、6位メキシコが2.8%増であったが、2位豪州が14.3%減、3位ペルーが7.4%減、5位米国が7.1%減とふるわず、世界合計で0.9%増の7,192千tに留まった。国際鉛亜鉛研究会は2004年の世界鉱山生産を2.1%増の9,773千t、2005年は生産量が初めて1,000万tを超え、5.1%増の10,270千tと予測している。
     1~9月の精錬生産は、最大生産国の中国が11.8%増、2位カナダが3.3%増、4位韓国が4.4%増、6位スペインが3.5%増となり、3位日本の2.7%減、5位豪州の17.1%減を補い、全体で3.4%増の7,580千tとなった。国際鉛亜鉛研究会は世界の精錬生産について、2004年は3.1%増の10,138千t、2005年は4.9%増の10.631千tと予測している。

      【需給バランス】
     1~9月の需給バランスは228千tの供給不足となった。LMEの在庫量は、11月30日現在674.0千tとなり、前月に引き続き1か月当たり約3万tずつ減少してきている。国際鉛亜鉛研究会は2005年まで供給不足は続くとし、不足量として2004年は157千t、2005年は101千tと予測している。

      【価格】
     11月のLME亜鉛価格は、11月1日に1,022 USドル/tでスタートした後、徐々に上昇、11月16日には1,100 USドル台を突破、その後も1,100 USドル台を維持し、11月30日には1,164 USドルと2004年最高値(1,168 USドル)に迫った。
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