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報告書&レポート

2005年1月13日 金属資源開発調査企画グループ 西川信康 e-mail: nishikawa-nobuyasu@jogmec.go.jp
2005年02号

2004年世界の非鉄金属分野の探鉱動向

 世界の非鉄金属分野の探鉱投資は、1990年代後半以降の金属市況の下落・長期的な低迷等の影響で、1997年をピークに下降傾向が続き、2002年まで冷え込んでいた。しかしながら、2003年は、2001年後半から金価格が上昇基調に入ったことを受けて、6年振りに増加に転じ、さらに、2004年は、金価格の高水準化に加え、2003年後半以降のベースメタル価格急騰から、金属相場が全体的に活況を呈したことを背景に前年比58%増と大幅アップし、急速に回復している状況にある。
 ここでは、カナダのMetals Economics Group社発行の「Corporate Exploration Strategies」レポートをベースに、2004年の世界の非鉄金属探鉱動向を報告する。

  1. 2004年世界の探鉱予算

  2.  図1は過去10年間の世界の非鉄金属探鉱予算推移を示したものである。2004年の探鉱予算は約38億ドル(探鉱予算を10万ドル以上計上している1,138社の合計は35.5億ドル)で前年比58%増と大幅アップし、この2年間で2倍に拡大したことにより、1998年の水準まで回復した。これは、2001年後半から金価格の上昇基調が持続していることに加え、2003年後半以降のベースメタル価格の高騰により非鉄金属各社の収益が大幅に改善したことや、コモディティに対する投資家の関心が高まり、特にジュニア市場へ探鉱資金の流入が加速されたこと等が主要因であると見られる。

    図1 世界の非鉄金属探鉱予算の推移

  3. 鉱種別探鉱予算の内訳

  4.  2004年の鉱種別探鉱予算の内訳(図2)を見ると、金が50%を占め、次いでベースメタル26%、ダイヤモンド13%の順となっている。ここ数年で見ると、金探鉱の回復に加えダイヤモンド探鉱及び白金族探鉱が活発化の方向にある。
     一方、2004年のベースメタル予算の内訳(図3)は、銅61%、ニッケル28%、鉛・亜鉛11%。銅及びニッケルについては、2003年以降、急激に回復しているが、鉛・亜鉛についても2004年は4年振りに増加に転じ、減少傾向に歯止めがかかった。なお、2003年の探鉱予算回復の原動力は金が主体であったが、2004年は金(前年比68%増)に加え、銅(同70%増)が大きく寄与しているのが特徴的である。

    図2 鉱種別予算配分

    図3 ベースメタル予算の推移

  5. 地域別探鉱予算の内訳

  6.  次に、2004年の地域別探鉱予算の内訳(図4)を見ると、北米28%、中南米22%、アフリカ16%の順。また、その他地域(中国、モンゴル、ロシア等を含む)が前年比124%増と大きく伸びた。ここ数年の傾向としては、投資環境が悪化したインドネシア、フィリピンを主とする東南アジアシェアの低下傾向が著しい一方、北米及びアフリカが堅調である。
     2004年における各地域の鉱種別シェア(図5)は、中南米、東南アジア及びその他地域でベースメタル比率が4割前後と相対的に高いのに対し、北米、豪州では金、ダイヤモンドの比率が併せて2/3以上を占める。また、アフリカはダイヤモンド及び白金族のシェアが大きいという特徴を有している。
     国別(表2)では、カナダが第1位で、以下、豪州、米国と続き、この先進3か国で世界の探鉱予算の42%を占める。第4位はペルーで、2年振りに中南米トップに返り咲いた(2003年はブラジルがトップ)。その他探鉱予算が急増している注目国は、メキシコ(前年比92%増)、ロシア(前年比183%増)、モンゴル(前年比287%増)等である。
     ベースメタル予算に限定すると、カナダ、豪州、中南米4か国(チリ、ペルー、ブラジル、メキシコ)に集中(これらの国で世界のベースメタル予算の6割弱を占める)している。また、2004年は、米国、モンゴル、中国等が大きく躍進した。

    図4 地域別探鉱予算の推移

    図5 2004年各地域の鉱種別予算シェア

  7. ステージ別予算

  8.  図6は過去10年間の探鉱ステージ別予算の推移を示したものである。各ステージ別の探鉱予算は2003年まで大きな変化はなく、概ねグラスルーツ5割、レイトステージ3割、マインサイト2割で推移していた。2004年は、特にレイトステージとマインサイトの予算がそれぞれ、前年比86%増、81%増と大幅に向上(グラスルーツ予算も41%増)し、その結果、グラスルーツ比率が7ポイント減少し、グラスルーツ42%、レイトステージ36%、マインサイト22%と大きく変動する状況となった。これには、モンゴルのオユトルゴイ・プロジェクト(62 百万US$を計上)のような大型F/S案件等が集中したことに起因するが、レイトステージの1件当たりの探鉱予算は一般に巨額であるため、ステージ別探鉱動向を評価する際には十分注意する必要がある。

    図6 探鉱ステージ別予算の推移

  9. 各社の探鉱予算

  10.  表3に2004年探鉱予算トップ10社と主なベースメタル生産企業の探鉱予算額を示した。トップは、2003年と同様、De Beers Groupで、前年比21.4%増の1.7億ドル、2位はNewmontで前年比72.1%増の1.48億ドルと大幅に増加した。3位はBarrick Goldで金生産企業が続き、4位にRio Tintoが入り、CVRDを抑え2年振りにベースメタル企業のトップに返り咲いた。さらに、5位には、モンゴルを中心に精力的な探鉱活動を行っているIvanhoeが入った。探鉱予算上位10社のうち半数が金生産企業で、これらの企業が世界の探鉱予算に大きな影響を与えている。なお、2004年の総探鉱予算38億ドルの内、ジュニア企業全体の探鉱予算は15.8億ドルと推計され、全体予算の約42%を占めている。
     また、各社の探鉱予算規模を評価するために、非鉄金属売上高に対する探鉱予算の比率を見ると、金生産企業が4~5%であるのに対し、ベースメタル企業の多くは0.5~2%と概して低い水準であることがわかる。

  11. 今後の探鉱活動の見通し

  12.  2004年における大手非鉄企業の決算は金属相場上昇が追い風となり、軒並み大幅増収増益を確保するものと見込まれている。また、ジュニア企業の資金調達も潤沢に進んでいる。そのため、2005年の探鉱予算も、増加基調が持続するとの見方が有力である。但し、増加幅については、2005年の金属市況が中国経済の減速懸念や生産拡大等により需給バランスが緩和され調整局面に入るとの観測があるため、鈍化していくものと見られる。

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