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報告書&レポート

2005年3月3日 金属資源開発調査企画グループ 植松和彦、関本真紀 e-mail:uematsu-kazuhiko@jogmec.go.jp sekimoto-maki@jogmec.go.jp
2005年13号

パプアニューギニアの最新鉱業事情 (パプアニューギニア鉱業省次官クマ・アウア氏講演内容の紹介)

はじめに

     2005年2月12日から18日まで、パプアニューギニアのソマレ首相が同国政府高官を伴い我が国を訪問した。その一員であるパプアニューギニア鉱業省次官クマ・アウア氏が16日、鉱業分野関係先として当機構を訪問され、その際に同国鉱業事情についてご講演頂く機会が設けられた。その内容について報告する。

      <講演会概要>
      日 時:平成17年2月16日(水)14:30~15:30
      場 所:石油天然ガス・金属鉱物資源機構 大会議室
      講演者:クマ・アウア パプアニューギニア鉱業省次官
      講演タイトル:パプアニューギニアの鉱業事情と鉱業投資
      出席者:政府関係機関関係者、鉱山各社、コンサルタント各社、メディア関係者、石油天然ガス・金属鉱物資源機構役職員ほか

  1. パプアニューギニアにおける鉱業の位置づけ

  2.  鉱物資源は、PNG第1位の輸出品であり、鉱業は同国GDPに寄与する重要な産業である。2003年の鉱物資源輸出による収入は547.3百万USドルであり、輸出総額の54%を占め、GDPの17.3%を占めた(図1)。また、Kainantu、Hidden Valleyなど新しい金鉱床の開発により、この数字は今後さらに上昇することが期待される。
     鉱業は、就業人口の5%、地方就業人口では20%を占め、建設業など鉱業に関係する間接就業人口を含めると、鉱業関連従事者はかなり多い。

    図1 輸出額に占める各産業の割合(講演資料より)

  3. 鉱業政策

  4.  PNGへの探鉱投資においては、土地の所有者問題、インフラ、内政不安などのリスクがあるとされているが、PNG政府は探鉱投資促進のための税制改革等を行っており、その結果、鉱業への投資が活発化したなど成果を挙げている。近年続いていた年間探鉱ライセンス出願件数の減少傾向はストップし、2002年に年間5件であったライセンス出願件数は、2004年9月時点で42件となり(図2)、2004年の年間では93件にのぼった。これには深海底の探査案件2件も含まれている。探鉱ボーリングについては、現在Frieda、Woodlack、Wafi、Hidden Valley、Lihir、Ok tedi、Tolukuma、Mt Kareの8件のプロジェクトについてライセンスが発行されている。
     日本からの持続可能な開発のための資金援助は約50万USドルに及び、この資金はPNG国内の小規模鉱業活動を支援するために利用される。また、PNG政府は世銀から鉱業政策改善のためのプロジェクトによる支援を受けており、この支援は2005年9月に終了する予定である。このほか、2005年初めからEUによるSysmin事業が開始した。この補助金は、PNGにおける鉱業分野の体制整備支援に利用される予定である。
     2003年の探鉱費総額は、46.85百万PNGK(13.6百万USドル)で、2004年上半期では17.7百万PNGKである。2000年以降、グラスルーツ探鉱には年間平均5.6百万PNGKが支出されてきたが、2004年は上半期総額のうち7.5百万PNGKがグラスルーツ探鉱に費やされており、この増加は探鉱の将来にとって明るい材料といえる(図3)。探鉱活動の主役は豪州で、全体の7割以上を占める。また、近年南アフリカが2割以上を占め、第2位にランクしていることは注目される。

    図2 探鉱ライセンス出願件数の推移(講演資料より)

    図3 PNG探鉱投資額の推移(単位:百万PNGK)(PNG鉱業省資料より)

  5. 新規開発プロジェクト

  6. 3.1 金探鉱プロジェクトの動向

      (1) Kainantu
     Eastern Highland州に位置し、Highlands Pacific社所有。坑内掘りで年間金産量11.5万oz採掘を予定。2004年第1四半期より建設を開始、2005年9月に開山予定とされている。キャピタルコストは138百万PNGK(44.9百万USドル)、現地建設のための業者及び雇用のための支出は65百万PNGK(21百万USドル)、企業収入及び法人税は約10百万PNGK(3百万USドル)と見積もられる。マインライフはおよそ9年とされているが、資源量1百万oz以上として年間10万oz生産とすれば、マインライフは延長される可能性がある。
      (2) Simberi
     Tabar島に位置し、Nord Pacific社所有。バンカブルFSが2003年8月に完了しているが、FSが見直され、2004年末としていた建設開始が2005年に訂正され、キャピタルコストは20百万USドルで協議することも付け加えられた。本プロジェクトは、低品位酸化鉱から、年間3.5~5万ozの金を生産するというもので、マインライフは8~10年の見込み。
      (3) Sinivit
     資源量は810,200t(金品位5.05g/t、金量131,700oz)とされる。年間2万oz生産でマインライフ6年を予定。鉱業省は現在、開発案を査定中である。
      (4) Wafi
     Morobe州に位置し、Abelle社所有。高品位であるLink Zoneでの鉱化作用の連続性を捉えるため、ボーリングプログラムを続行中。ボーリングの結果、高品位サンプルが採取されている。
      (5) Morobe
     Morobe州に位置しAbelle社所有。Hidden Valley、Kaveroi Creek、Hamataの3プロジェクトからなり、現在鉱業省がFSを査定中。年間金産量31万oz、銀生産量5.2百万ozで、マインライフは9年。認可がおりれば、2005年はじめに建設開始となる見込み。

    3.2 Ramuニッケル探鉱プロジェクト

       Madang州のRamu Riverに位置し、Highland Pacific社68.5%、Oil Search Limited(OSH)社の子会社Orogen Minerals Ramu Limited(OMR)31.5%の比率によるJV事業。OMR社はPNG政府所有企業であるMineral Resources Development Company(MRDC)がOMRのRamuプロジェクトにける株を取得する条件でMRDC社との契約に合意、参入。OSH社は、OMR社との合併の結果、OMR社とRamuプロジェクトの権益を取得。オペレーターであるRamu Nickel社(RNL)は2004年2月10日、中国Metallurgical Construction Company(MCC)と契約を締結した。MCCは開発資金を全額負担する代わり、権益85%を受け取る。年間生産量はニッケル33千t、コバルト3.2千t。操業が開始されれば世界有数のニッケル・コバルト鉱山になる見込みである。

    3.3 銅探鉱プロジェクト

      (1) Golpu
     Wafi金鉱床の北東に位置し、資源量は114.25百万t(銅品位1.43%、金品位0.72g/t)。年間銅量8万tの銅精鉱生産を見込み、現在FSをまとめている。経済状態によっては、2006年に建設開始、2007年稼働開始の可能性あり。
      (2) Frieda
     インドネシア国境近くに位置する本プロジェクトは、Noranda社/Highlands Pacific社/海外鉱物資源開発㈱の合弁プロジェクトとして現在査定中。0.7%カットオフで、資源量は合計328百万t、銅品位1.38%。

  7. 主要鉱山の動向

  8.  図4にPNGにおける金、銀、銅の生産量推移を示す。2003年の金生産量は約68.1tであり、2004年生産量は72tと概算されている。ここ数年、平均年間生産量は増加しており、今後2,3年も増加傾向は続くものと見られる。
     PNGにおける主要な鉱山はOk Tedi、Porgera、Lihir鉱山である。Ok Tedi鉱山は環境問題で混乱したため、2004年上半期銅生産量が著しく減少し、銅69,428t、金6,274kg、銀13,787kgとなった。Porgera金鉱山の埋蔵量は、2003年末時点で48.85百万t(金品位3.4g/t、金量5.391百万oz)、マインライフは9年と予測される。今年6月までの生産量は506,846ozで2004年の目標生産量は1百万ozとしている。Lihir鉱山の2004年上半期生産量は、工場休止が長引いた影響を強く受けたが、5月末までで223,259ozとなり、2004年の生産量は600,000oz強となる見通し。
     このほか、Misima鉱山は閉山となり、現在、閉山処理と植栽などの跡地修復作業を行っている。Tolukuma鉱山は月間生産量7,000ozを維持している。

    図4 PNGにおける金、銀、銅の生産量推移(講演資料より)

  9. 今後の見通し

  10.  講演の最後に、PNGは今後、次の点で日本と関係していく可能性があると述べた。

       

    • PNGにおける、さらなる探鉱活動
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    • 海洋科学調査及び海底鉱業における援助
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    • 火山及び地震観測
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    • 小規模鉱山への援助
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    • Ok Tedi銅鉱山及び、将来におけるGolpu、Frieda、Bougainvilleからの継続的な買鉱

     このほか、PNG政府は企業への財務的優遇措置により、海外からの投資促進に期待しており、特にアジアからの投資に期待している。また、鉱業省では探鉱に興味のある企業に対し、地質情報をデジタルで提供するとしており、今後ウェブサイトでも提供する方針とのこと。

  11. 講演会終了後の次官へのインタビュー結果概要

  12. (1) PNG政府が取り組む探査・開発促進のための鉱業法改正等のポイント
     
    1) 探鉱権の期間:従来2年を5年に改正
    2) 鉱山開発プロジェクトにおける政府権益取得権の廃止を検討中:従来PNGでの全鉱山開発プロジェクトに対し、政府は30%まで権益を取得できる権利を有しているが、この制度の廃止を目指す。実現した場合、プロジェクトには2%のロイヤルティのみが課せられ、外国企業には魅力。
    3) 現在、規則改正案に関し財務省と協議中。
    (2) Ramuニッケル鉱床開発への中国企業の参画
       2004年2月Highland Pacific社の完全子会社であるRamu Nickel Limited(RNL)とMineral Resources Development Company(MRDC)は中国の中国冶金建設集団公司(China Metallurgical Construction Corporation:MCC)とFramework Agreement締結。2005年3月にはJoint Venture契約を締結予定。持ち株比率MCC:85%、PNG3者(土地所有者、RNL、MRDC):15%。建設費用、ローン返済はMCCが負担。特約として、開山後9から10年後、MCC社は全株式の5%をMCC社保有株式からPNG3社に無償譲渡。更にPNG3者は市場価格で15%まで株式の買い増しができる権利を持つことができる。建設費用総額は650百万USドル、建設期間は18~36か月を想定。操業開始時期は早い場合2007年には操業開始、マインライフは40年とのこと。
    (3) Bouginbille鉱山の再開発について
       Bouginbille鉱山については、Rio Tinto社が所有する同鉱山の権益(53%)に関して今後どのようになるかは不明であると現状を述べた上で、次官の私見として、2005年8月にブーゲンビル自治政府の選挙が予定され、同政府の考え方にもよるが、同自治政府が権益を取得し再開発を目指すことになるのではとの期待感を語った。現状では探鉱などは一切行われていない。再開発はブーゲンビル島にとり絶好のチャンスとなることが期待される。
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