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報告書&レポート

2005年4月28日 シドニー事務所 久保田 博志 e-mail:kubota-hiroshi_1@jogmec.go.jp
2005年29号

WMC社買収第三幕―Rio Tinto社による買収の噂は本当か―

 WMC社買収に関しては、2005年3月初のBHP Billiton社による92億ドルによる買収表明によって一応の決着が付いたとみられていたが、その後も、Rio Tinto社とXstrata社が組んで買収するのではないかとの噂が絶えなかった。4月に入って、INCO社がRio Tinto 社と組んでWMC社買収に乗り出すとの噂が急浮上した。本稿はこの噂の周辺を報告する。

1. WMC社買収の経緯

 WMC社買収に関しては、2004年10月のXstrata社(スイス資本)による買収表明には始まり、2005年3月初のBHP Billiton社による92億ドルによる買収提案とWMC社もそれを受け入れる方針を示したことから一応の決着が付いたとみられていた。
 しかし、その後、WMC社の株価はBHP Billiton社が提示した買収価格7.85豪ドル/株を上回る8.00豪ドル/株近くまで上昇し、市場では、Rio Tinto社(豪・英)、仏のエネルギー関連会社や中国企業などの新たな買収者が現れてもよい状態にあると言われていた。その中でも最も可能性が高いとされていたのはRio Tinto社とXstrata社が組んでWMC社を買収するというものであった。
 ところが、4月に入って、INCO社(本社カナダ)がRio Tinto社と組んで買収に加わるのではないかとの噂が急浮上した。

2. Rio Tinto社とINCO社によるWMC社買収の噂は本当か

 Rio Tinto社とINCO社によるWMC社買収の噂の根拠として挙げられたのは、

  (1) 4月20日、シドニー証券取引所で何者かによってWMC社株4%相当の買い注文が出され、これが、BHP Billiton社がWMC社買収を発表する直前に、BHP Billiton社はDeuche銀行経由で複数の機関投資家やヘッジファンドからWMC社の株式10%相当を買収する動きに出ていたことに酷似していたこと。
  (2) 4月29日のRio Tinto社豪州本社の株主総会のためにRioTinto社の社長が来豪し、同時期にInco社の社長も来豪するとの情報があり、両者がWMC社買収に関して密談するのではないかと考えられていること。
  (3) これらの動きの直前、4月上旬に、BHP Billiton社は突如、INCO社と西豪州Kalgoorlie地区のニッケル鉱山開発でJV合意したHeron社(本社西豪州)の株約11%を取得に乗り出すとの発表があり、INCO社にはBHP Billiton社のニッケル鉱山買収の動きに対して牽制あるいは報復する動機があることなどが考えられること、などであった。

 一方で、4月27日には、投資銀行のMacquarie銀行がWMC社の株式10%を買収しようとする動きがある(Rio Tinto社と提携しているとの見方が有力)との報道がなされるなど新たな買収の噂が広がっている。

3. WMC社買収で誰が得をするのか

 買収者(候補者)のBHP Billiton社、Xstrata社、Rio Tinto社、INCO社それと買収される(であろう)WMC社の事業別の売上割合(2004年)は図の通りである。

 
 
   
図 各社の事業別売上割合(2004年)

 WMC社を買収することで、「Rio Tinto社はOlympic Dam鉱山のウラン資産を取得し、(1)銅、ニッケル資産はMacquarie銀行に売却する。(2)銅資産はXstrata社に、ニッケルはINCO社に売却する。」などのオプションがあるとされている。即ち、これら4社の組合せ次第で互いの利益を保ったままWMC社の資産を買収することができ、この組合せが全く可能性のないものではないことも噂を更に現実味のあるものにしている。

4. おわりに

 BHP Billiton社のWMC社買収に関して、豪州国内では、財務大臣がBHP Billiton社による買収を外資規制の点で問題ないとするコメントを、また、豪州公正取引委員会(The Australian Competition and Consumer Commission)は市場独占等の点で買収に問題がないとのコメントをそれぞれ発表しており、BHP Billiton社による買収は徐々に越えるべきハードルをクリアしているように見えたが、Rio Tinto社の出方によって、今後、WMC社買収は二転三転する可能性がでてきた。
 WMC社の株価は4月26日、8.14豪ドル/株にまで上昇し、BHP Billiton社の提示した買収価格7.85豪ドル/株を大きく超えており、Rio Tinto社の買収価格は8.20~8.40豪ドル/株あたりになるのではといわれている。
 WMC社買収に関するRio Tinto社からのコメントは今のところないが、今週末(4月29日)の株主総会に絡んで何らかの発表があるのではないかとの期待が市場にはあるようだ。

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