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報告書&レポート

2005年5月26日 サンティアゴ事務所 中山 健 e-mail:nakayama-ken@entelchile.net
2005年35号

第4回世界銅コンファレンス報告

 4月12~14日サンティアゴ市において第4回世界銅コンファレンス(World Copper Conference)が開催された。本コンファレンスは、イギリスのCRU社が毎年サンティアゴで開催しており、直近の銅鉱業に関する様々な話題について講演が行われることになっている。また同時にCESCO (Centro de Estudios del Cobre)主催のディナーが開催されることになっており、これに合わせて世界の産銅企業およびトレーダーがサンティアゴに集い、個別のビジネスミーティングが行われている。事務局の発表によると本コンファレンスには世界各国から350人が参加した。今回は、16件の講演が行われた。話題は、中国ファクターを絡めた世界の銅需給見通し、チリの銅生産見通し、チリの鉱業ロイヤルティ問題、銅鉱業の新しいテクノロジー、モンゴル・Oyu Tolgoi銅鉱床開発計画と多岐に亘る講演が行われた。そのなかの幾つかの話題を紹介する。

1. 中国マーケットとチリ銅生産

 CODELCO Villaruz総裁は、「Trends in the copper industry:CODELCO’s view」というタイトルで講演。2004年世界の銅需要が大きく伸びた要因は中国の経済成長で、中国の経済成長を誰も予測できなかったのかと皮肉った。中国の経済状況の分析を踏まえて、世界の銅地金消費の伸びを年平均3.5%(中国8%)、4%(中国10%)のケースに分け、2010までの需給バランスを分析した。その結果、3.5%/年の場合には2006年~2008年は供給が需要を上回るが、2009年以降供給不足に、4%/年の場合には2008年から供給不足になり、2010年には1,258千tの供給不足になる。2004年現在CODELCOで確保している銅金属量は126百万tで、2008年には1,749千t、2008年には2,199千t、2012年には2,594千tの生産が可能。民間企業の分を含めると、チリでは2010年には6,100千t、2020年には6,156千t(2004年の生産実績は、5,412千t)の生産能力を有することになる。またCODELCOは、BHP BillitonとAlliance Copper社を日鉱金属とはBioSigma社を設立しバクテリアを利用した硫化精鉱および低品位硫化鉱のバイオリーチングに関する共同研究を行っており、低品位鉱石の処理が可能になれば低コストで銅生産が可能となり、銅の代替を許さない低コスト生産が可能となる。
 BHP Billiton Base Metals社Hernandez社長は「Can Chilean copper maintains world market share?」というタイトルで講演。GDP強度分析から、日本や欧米のような緩やかではあるが堅実な需要増の国と、韓国、台湾、中国あるいはインドのような急激な需要増の国に分類。世界のシンクタンクの予測によるとこれらを合わせて2010年までに年平均3.5%(631,000t)の地金需要増が見込まれる。一方チリでの探査成果を見てみると最近大きな成果があがってない。2010年までは生産増は可能であるが、2004年レベルの世界シェア37%を維持するのは困難、2010年以降は積極的な探査活動をしなければ、マーケットシェアの更なる低下は避けられない。
 Ivanhoe Mines社のFriedland会長は、「Developing the world’s next great copper-gold mine」というタイトルで講演。最新のアニメーションを駆使して、モンゴルOyu Tolgoi鉱床開発計画について紹介。資源需要の増大する中国マーケットへの銅供給ソースとしてのOyu Tolgoi鉱山開発の意義を強調した。また、トヨタのハイブリッドカーを紹介し、昨今の環境志向のなかで、ハイブリッドカーの需要が増大する。このハイブリッドカーには従来の自動車より2倍の1台当たり約45kgの銅を使用する。こうしたことからも銅の需要は確実に増大するとユーモアを交えて紹介した。

2. 銅需給予測

 Macqaire BankのRowley氏は、「Copper Outlook」というタイトルで講演。2004年の需要ブームは中国ばかりではなく、米国の需要回復も寄与している。2005年には経済成長率も低下し、短期的に銅需要の伸びも鈍化する。中国の需要は引続き拡大するが、2005年地金輸入の伸びは鈍化している。長期的には、2010年までの世界の銅需要伸び率は年平均4.3%で、そのうちの2/3は中国の需要増によると分析。一方こうした需要増大に応える2007年以降の鉱石供給は、(具体的数値データの提示は無いが)チリ、ペルー、ブラジルおよびメキシコのラテンアメリカの増産に依存することになる。鉱山からの鉱石生産は2004年後半から急激に増加したが、製錬所稼働率の低下(製錬所能力ではない)がボトルネックとなり地金生産が遅れている。その結果買い手市場となりTC/RCが大幅に上昇している。一般に低下した製錬所稼動率の回復は早く、2006年には地金は余剰傾向になりTC/RCも低下することになる。
 Barclays Capital社のSternby 氏は、「Copper:Losing Grip?」というタイトルで講演。2006年には需要伸びの鈍化と鉱石生産の増加で、世界の銅地金生産は18,100千tとなり、143千tの供給過剰となる。銅価も131.5¢/lbに下がると予測(ICSGの予測では、地金生産は18,073千tで93千tの供給不足)。
 Norddeutsche Affinerie社のMamette氏は、「Copper in the competition between traditional and emerging markets」というタイトルで講演。銅マーケットを伝統的マーケット(日本、欧米)と新興マーケット(中国、台湾、韓国、インド)に分け、今後後者が需要の牽引車になるが環境、政治的不安定要素等リスクを伴うことから将来の銅需給予測におけるリスク分析の必要性を述べた。

3. 銅鉱業のテクノロジーイノベーション

 Phelps Dodge社のSnider社長は、「Technology and extending the life of mines」というタイトルで講演。鉱山コストの高騰は鉱山ライフの短命化に直結、コスト低減にはテクノロジーイノベーションが重要であることを強調した。Phelps Dodge社が実践している最近の新たな技術について紹介。急傾斜コンベア、トラック積載量改善、SAGミルに代わる低コストの高圧磨鉱機、乾式製錬過程を経ない硫化精鉱リーチング、バイオリーチングおよび鉱物の微細スキャンニングを用いた鉱物特性把握による採掘技術の最適化を紹介し、鉱山操業コスト削減、生産性向上、環境対策に大きく貢献できることを述べた。

講演タイトルと講演者

  • Technology and extending the life of mines
       Timothy Snider, President & CEO, Phelps Dodge Corporation
  • タイトルなし(SONAMIおよびチリ鉱業の紹介)
       Ramon Jara, First Vice President, SONAMI
  • Trends in the copper industry:CODELCO’s view
       Juan Villaruz, President & CEO, CODELCO
  • Falling off the super cycle
       Andrew Keen, Business Unit Manager?Base Metals CRU
  • Copper in the competition between traditional and emerging markets
       Werner Mamette, Chairman of Executive Board, Norddeutsche Affinerie AG
  • Developing the world’s next great copper-gold mine
       Robert Fliedland, Chairman, Ivanhoe Mines Ltd
  • Copper Outlook
       Adam Rowley, Macquaire Bank Limited
  • Importance of custom smelters
       Kazuo Kitazawa, Pan Pacific Copper Group
  • Can Chilean copper maintains world market share?
       Diego Hernadez, President, BHP Billiton Base Metals
  • Copper:Losing Grip?
       Ingrid Sternby, Metals Analyst, Barclays Capital
  • Falling off the Supercycle
       Andrew Keen, Business Unit Manager, Base & Precious Metals, CRU
  • The evolution of mine finance
       Michael N. Cramner, Director Global Metals & Mining, Citigroup NA
  • Medium size mines-the potencial for future growth?
       Gary Poole, President for Latin America, Minocom International Ltd.
  • Mining Investment in Chile
       Thomas Keller, Executive President & CEO, Cia Minera Dona Ines de Collahuasi
  • タイトルなし(Xstrata社の経営戦略)
       Mick Davis, CEO, Xstrata plc.
  • Copper Outlook
       Adam Rowley, Commodities Analyst, Macquarie Bank Ltd

 なお講演で使われたスライド(CD-ROM)が最近配布されましたので、ご利用の向きは金属資源情報センターにお問い合わせ下さい。

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