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報告書&レポート

2005年6月2日 アルマティ事務所 酒田 剛 e-mail:jogmec@nursat.kz
2005年36号

IWCC Joint Meeting 2005報告
―定例の産消銅会合、ロシアで初めて開催される―

   5月16~18日、古都サンクト・ペテルブルクで「IWCC Joint Meeting 2005」が開催された。IWCC(国際銅加工業者協議会)とCopper Producers(世界の産銅会社)との産消会合として毎年行われているJoint Meetingが、今回、長い歴史の中で初めてロシアで開催された。2005年の会合は、中国特需や在庫の大幅な減少を背景に続伸し続けた銅価が4月に過去最高を記録、その後に急反落するという流れを受けての開催となった。会合では、2005年、2006年の世界の銅需給見通しが報告された他、主にロシア銅産業に関する発表が行われ、ロシアの経済活動が世界の銅需給に与える影響が決して小さくないことを参加者に認識させる格好の場となった。本稿では、合同会合の内容を踏まえ、需給見通しとロシアにおける銅の需給構造を概観する。2006年の次回会合は、中国・上海で開催される予定である。

1. IWCC(International Wrought Copper Council)とは

   ワイヤロッドやチューブなどを製造する銅・銅合金加工業者の業界団体であり、1953年に発足した。現在は、15か国の銅・銅合金加工業界(ナショナルグループ・メンバー)とコーポレート・メンバー17社で構成される。日本は1968年、電線6社(現8社)と日本伸銅協会がJWCC(日本銅加工業者協議会)を組織してIWCCに加盟。現在、JWCCは最大の生産規模を誇るナショナルグループ・メンバーとして活動している。

2. 銅の需給見通し

世界の銅の需給見通し

項目 2003年実績 2004年実績 2005年見通し 2006年見通し
鉱石生産(百万t) 13.7 14.5 15.9 16.2
地金生産(百万t) 15.2 15.7 17.1 18.0
地金消費(百万t) 15.5 16.8 17.0 17.7
地金需給バランス(千t) -286 -1,021 +51 +348

   今回報告された需給見通しでは、2005年の世界の銅地金の需給バランスは、わずかながらも51千tのプラスとなり、2004年のマイナス1,021千tから反転、3年ぶりとなる供給過剰の数字が示された。この見通しを3月に発表された国際銅研究会(ICSG)の需給予測の数字と比較してみると、供給サイドは同水準ながら、地金消費がICSGの17.4百万tに対して17.0百万tと需要を2.1%低く予想したのが大きな特徴となっている。2005年は、これまでの需要の停滞感を織り込んだ形となったが、地域別に見てみると、その差異はより際立っており、欧州全体を前年比2.2%増と予測したICSGに対して同1.1%減、中国は同16.9%増のそれに対して同8.4%増と、それぞれ鈍化予想をしている。

地域別の銅地金消費の見通し(前年比増減%)
地域名 2004年実績 2005年見通し 2006年見通し
NAFTA 7.2 0.4 1.6
Europe
  EU-15
7.5
4.4
-1.1
-4.3
3.2
2.6
Asia
  China
8.5
8.2
3.9
8.4
5.2
7.4
Other 8.3 1.1 1.1
Global 7.9 1.6 3.7

   2004年5月に25か国体制となったEUでは、以前のEU-15ベースで比較した場合、前年比4.4%増の2004年に対し、2005年は同4.3%減と銅地金消費は大幅に落ち込むと予想されている。EU拡大に伴って新規加盟国の安い生産コストにさらされ、製造業の競争力低下が産業空洞化を招いているこれら地域の経済が活性を取り戻し、地金消費が回復するのは2006年以降と見られている。

3. ロシアの銅の需給構造

   ロシアの銅産業は、鉱石採掘から電気銅生産までを手がける大手企業3社に代表される。地金消費量(2004年:557.2千t)の大半は、ワイヤロッドの生産に向けられ、主な生産者としてはUGMK社のほか、Elkat社(2004年生産量:135.2千t)、Transkat社(同64.3千t)、Rosskat社(同30.1千t)がある。最近のウラル地域での新規鉱山開発が奏功し、2004年には鉱山、電気銅ともに高い銅生産量を達成した。ワイヤロッドの生産が増えるとともに電気銅の輸出量は激減、1999年の600千tから2004年はほぼ半減した。銅・銅合金スクラップを主な原料として製造される銅二次地金の生産が多いのもロシアの特徴であり、50%と非常に高率な輸出関税(2000年9月~)が課される以前(1996~99年)には、年間200~357千tものスクラップが欧州向けに輸出され、二次地金の生産を低迷させていた。伸銅品の市場は成長途上にあり、まだ大きくない。(参考までに、電気銅の輸出関税は10%)

ロシアの2004年における銅需給(千t、%:前年比増減)
生産量 Norilsk Nickel UGMK社 RMK社 輸出量
Mine 745.0(+12.0%) 71.4(+ 965.7%)
Refinery 923.0(+11.9%) 451.0(+0.9%) 342.0(+14.0%) 130.0(-) 365.8   (-26.9%)
semi Wire rod 517.1(+34.5%) 252.3(+48.7%) 35.2(-) 250.1   (+78.8%)
Scrap * 250     (±0%) 16      (±0%)
UGMK社:Ural Mining Metallurgical Company         * Copper and Copper Alloy
RMK社:Russian Copper Company  

4. その他発表から(中国の銅需給について)

   北京鉱冶研究総院(BGRIMM)のSenior Analyst、Li Lan女史が発表した「中国の2004年における銅需給」に関するデータを以下に示す。中国政府が8.0%のGDP成長をマクロ経済政策で掲げる下、2005年の銅需要に関しては、最大の電力向けなどで2004年水準よりも鈍化する可能性があるとしつつ、銅原料の輸入と銅・銅合金加工品の輸出については増えるのではないかとの見通しを示唆した。

中国の2004年における銅需給(千t、%:前年比増)
種別 生産量 輸入量 輸出量 備考
精鉱 606.5(7.1%) 2,881(7.9%) 輸入:gross wt
地金 2,061(14.9%) 1,200(11.5%) 123(92.3%) 輸出入:電気銅
地金消費 3,348(10.0%)      
銅・銅合金加工品 4,256(12.3%) 842(12.0%) 192(59.0%)  
ワイヤロッド 2,243(12.3%)      
銅・銅合金加工品需要 4,906(11.0%)      

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