閉じる

報告書&レポート

2005年7月7日 金属資源開発調査企画グループ 植松 和彦 e-mail:uematsu-kazuhiko@jogmec.go.jp
2005年46号

第9回APEC/GEMEED定期会合及び第一回非鉄金属ダイアログ設立会合について

 2005年5月18日~21日にかけ、韓国済州島の済州島国際コンベンションセンターにて環境協力サブグループ(Sub-group on Environmental Cooperation: SEC)を含むAPECの鉱物とエネルギーの探査と開発に関する専門家会合(Expert Group on Minerals and Energy Exploration and Development: GEMEED)関連会合並びに貿易投資委員会(Committee on Trade and Investment: CTI)の傘下に新しく設立された非鉄金属ダイアログ(Non-Ferrous Metal Dialogue: NFMD)の設立会合が開催された。我が国からは、経済産業省関係者並びに支援機関であるJOGMEC関係者が出席した。トピックスとして、GEMEED会合では、韓国提案の第2回APEC鉱業大臣会議(Minster Responsible for Mining: MRM)に関する概要が決まったこと、また、NFMDでは、今後の行動計画策定の議論に着手したことが挙げられる。今回は一連の会合での議論の概要を報告する。




1. 全体会合の概要


 今回の一連の会合は以下の日程で開催された。

  5月18日(水)  APEC/GEMEED環境協力サブグループ (SEC)第9回定期会合
  &nbsp  第2回APEC鉱業大臣会議の第1回準備会合
  5月19日(木)~20日  APEC/GEMEED第9回定期会合
   5月21日(土)  APEC非鉄金属ダイアログ設立会合




2. APEC/GEMEED及び関連会合での議論


(1) APEC/GEMEED環境協力サブグループ (SEC)第9回定期会合

 SECは日本が議長国を務める鉱業の環境分野に関する意見や情報を交換し、関連事業の推進を図るGEMEED傘下の組織である。
まず、餅田鉱山保安課長が、前鉱山保安課長箱崎氏の後を受けて新議長に就任、今後の活動に対する抱負を述べた。会議ではSEC事務局から我が国が実施する支援事業の国際環境法動向調査に関する報告や関連情報提供サイトであるECOW Virtual Center(http://ecow.jogmec.go.jp)の運営状況が報告され承認された。

 加盟国からの鉱業環境関連の新規プロジェクト提案は無かったが、今後のプロジェクト形成に向け、餅田議長から加盟国に対しこの分野での政策や活動に関する報告を求めたところ、閉山問題に関する法規制に向けた取組み、休廃止鉱山での鉱害問題への課題、“Best Practice”に見られる鉱山環境管理に関する取り組みなどが報告された。今後も加盟国での取り組み関し情報収集する予定である。


(2) 第2回APEC鉱業大臣会議の第1回準備会合
 今年、韓国は、APECの高級事務レベル会合で第2回APEC鉱業大臣会議の開催を提案、加盟国の支持を得て開催が決定した。これを受けて、その実質的なサポート機関となっているGEMEEDは準備会合を開催した。会合では、韓国とGEMEEDのアストルガ議長が共同議長を務め、大臣会議の開催時期、開催場所などの概要を説明するとともに、会議の主要議題につき提案を行った。開催概要は以下のとおり。

第2回APEC鉱業大臣会議(MRM2)開催概要(韓国政府説明)
	開催時期:2005年10月19日~21日
	開催場所:ヒルトンホテル(韓国 慶尚北道 慶州市)
  なお、APEC鉱業大臣会議は、APECエネルギー大臣会議と連続して開催される計画で、
19日エネルギー大臣会議、20日が鉱業大臣会議、21日は、LS Nikkoのウルサン製錬
所、PSCOの製鉄所視察等が計画されている。

 主要議題に関しては韓国側から『鉱物・金属の供給安定化』『鉱業における変化への対応』と題する2つのテーマが示された。特に韓国は、同国の置かれた状況から、昨今の中国の需要急増に伴う国際市場での価格高騰や原料鉱石確保に関する懸念を背景に如何に安定供給を図るかにつき議論したいとの意向を示した。
チリは、第1回APEC鉱業大臣会議(MRM1)での主要な合意事項の一つであるREACHのAPEC域内の産業に与える影響調査を実施すべきとの意向を示し、また、MRM2においてもREACHに関する対応に関する議論への期待を示した。豪州は既に豪州産業への影響を調査したとして報告書を加盟国に配布した。
韓国側の提案に関しては、内容の更なる議論が必要との加盟国の判断で豪州、チリ、中国、日本、韓国、米国、ベトナムをメンバーとする準備委員会を設け早急に検討していくことが決定した。

(3) APEC/GEMEED第9回定期会合
 APEC/GEMEEDとは、『鉱物とエネルギーの探査と開発に関する専門家会合』といい、鉱物資源の探査開発、環境等の事項を取り扱うAPECに11あるワーキンググループの一つであるエネルギーワーキンググループ傘下の組織である。議長国はチリが務めている。
会合では、GEMEED傘下組織である環境協力サブグループ会合やAPEC鉱業大臣会議の準備会合での結果等が承認されたほか、GEMEEDが実施するプロジェクトの結果報告や新規プロジェクトの提案が行われた。
 
今回、チリ政府からAPEC域内で探査事業が活発化している状況から、更なる促進を目指し探査動向調査を実施したいとの提案があり、今後具体的な提案に向け小グループを設置し検討を進めることとなった。
 GEMEEDの規程(Terms of Reference) 改正に関しては、豪州からビジネスプランを策定すべきとの積極的な提案があり、豪州、チリ、日本、米国ほか加盟国の協力で今後更なる議論を行い作成することとした。
 次回会合については、2006年のAPEC首脳会議のホスト国がベトナムであることから同国が開催を検討する事にしたほか豪州からも開催提案があった。GEMEED関連イベントしてのセミナーに関し、米国が2006年5月に米国銅協会の協力により銅を利用した省エネに関するセミナーを開催することを提案し了承された。




3.APEC非鉄金属ダイアログ設立会合


 非鉄金属ダイアログは2003年ロシアが非鉄金属分野での貿易自由化・円滑化を目指し、高級事務レベル会合の場で設立を提案し、承認された組織である。特徴は、貿易投資委員会(CTI)の傘下にある自動車ダイアログや化学ダイアログ同様、政府関係と産業界関係者が一同に会し、共有する課題に関し意見交換や活動を行う組織である。
 会合の政府代表団の顔ぶれはGEMEED会合出席の鉱業所管省庁関係者と若干異なり、一部にはGEMEED関係者が代表を務めた加盟国もあったが、CTI傘下組織という関係で外務・通商関係省庁関係者が代表を務めている。
 会合では、ロシアとチリが共同議長を務め、初めての会合である関係から設立の経緯や目的等に関する説明からスタートした。本組織の設立に関し、その目的や活動に関し十分な説明や議論が行われていなかったことから、加盟国特にGEMEED等の活動に参加している関係者から、この組織の役割などに関し、既存組織のGEMEEDや他の鉱業関連国際組織との関係において、役割の明確化や活動における重複回避すべきとの意見が出された。
 本会合ではNMFDとしての行動計画を定めることになっているために共同議長を補佐する支援組織FOTC(Friends of The Chair Group、メンバー:豪州、カナダ、チリ、フィリピン、ロシア、米国)の設置を決定した。
 また、NFMDでは、産業界関係者の参画が基本であり、参加を促す観点から加盟国はAPEC事務局に各国の産業界関係者のコンタクトポイントを登録することになった。
加えて、次回NFMD会合での議論を発展させるため、産業界の意見集約が必要との観点から、APEC事務局から加盟国産業界に質問状を送り、回答を得て取りまとめを図ることとした。次回会合においては、産業界関係者の意見交換の場として、産業界関係者のみによる事前会合を開催することも併せて決定した。
 当面の課題としては、豪州やチリから自国産業界に与える影響が大きいとして、EUに対しEUが現在審議中のREACH(新化学物質規制)に対する働きかけを行いたいとする意見が出た。
 次回会合は2006年2月、2006年第1回高級事務レベル会合が開催される時期に併せて開催される。



4. 結論


 第2回APEC鉱業大臣会議に関しては、開催が急遽決定した関係から主要議題の検討、特に大臣会議として相応しい議題と期待される結果につき、加盟国間の共通認識を得られる内容にするという取り組みが急務である。これに関しては8月に開催される第2回準備会合に向けて加盟国間の協議が続けられている。
 非鉄金属ダイアログに関しては、昨今の二国間における自由貿易協定 (Free Trade Agreement:FTA) や地域貿易協定 (Regional Trade Agreement:RTA)の交渉や締結が進んでいる状況下、当面の議論は貿易の自由化、円滑化に向けた鉱業分野における非関税障壁の削減や撤廃に対する議論としている。
 本組織の活動の特徴として、域外に向けた行動として、例えばEUのREACHが制定されることに伴う、APEC域内産業界に生ずるコスト負担増というような影響に関し、共通の利害や認識が得られている事項に関し、結束してEUに働きかけを行う等の行動が挙げられる。
 一方、域内での課題として、APECは基本的に貿易の自由化を目標としている。NFMDで関税削減、撤廃に関する課題に対しどのように取り扱うか明確化していない。本組織ではどの様に取り扱うかその行動計画策定に向けた今後の議論動向が注目される。



ページトップへ