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報告書&レポート

2005年9月15日 金属資源開発企画グループ 西川信康 e-mail:nishikawa-nobuyasu@jogmec.go.jp
2005年60号

中国マインツアー報告-銅陵有色金属集団公司の銅鉱山及び銅製錬所現地調査報告-

 中国の銅生産企業には、現在、7大銅生産企業(江西銅業集団公司、銅陵有色金属集団公司、雲南銅業集団公司、大治有色金属公司、金川集団有限公司、白銀有色金属公司、中条山有色金属集団有限公司)が存在し、これらの企業で中国の地金生産の約64%(2004年)を占めている。中国国内の銅消費の急速な増大に対応して、これら大企業が中心となり、銅地金生産を拡大しており、中国の発展を象徴する企業であると言える。
  今般、JOGMEC北京事務所が企画した中国マインツアー(JOGMECの他、三井金属、住友金属鉱山、日鉱金属、同和鉱業、日鉄鉱業が参加)において、中国第2位の産銅企業である銅陵有色金属公司が保有する鉱山及び製錬所の現地調査を実施するとともに同公司幹部との情報交換を行う機会を得たので、これら施設の現況と、同公司の今後のビジネス戦略について紹介する。

1. 銅陵有色金属(集団)公司の概要

 銅陵有色金属(集団)公司は、中国の青銅器発祥の地である安徽省銅陵市にあり、1952年6月設立された中国で最も古い銅の生産基地である。半世紀に亘る活動により、現在は採鉱、選鉱、製錬及び加工を中心として、貿易、鉱山及び関連施設の設計、機械製造等の事業も展開する大型企業集団となっており、320種類の製品を有するメーカーでもある。2004年は総売上高で中国大企業の121位(中国国内非鉄企業では第5位)に位置しており、総従業員数は約23,000人に上る。
 非鉄金属部門については、同公司は現在5鉱山、4製錬所を保有している。鉱山については後述する安慶銅鉱山の他に、かつては5鉱山(金口岺銅鉱山、銅山銅鉱山、鳳凰山銅鉱山、獅子山銅鉱山及び銅官山鉱山)を保有していたが、一時期鉱量枯渇もしくは事業整理により閉山していた。近年、銅官山鉱山以外は操業を再開し、獅子山銅鉱山は冬瓜山銅鉱山と名称変更し、後述のとおり2004年10月に操業が開始されている。
 一方、製錬所については、金隆銅業公司(住友金属鉱山と合弁、カソード生産210,000t/年)、第一製錬所(アノード生産30,000t/年)、金昌製錬所(カソード生産能力100,000t/年)、張家港銅業公司(景豊鎮及びTEMI[香港の企業]と合弁、カソード生産100,000t/年)があり、カソード生産では世界第13位の実績を誇る。上述の鉱山及び製錬所のうち、金昌製錬所、張家港銅業公司及び冬瓜山銅鉱山は、銅陵有色金属(集団)公司の持株上場企業である銅都銅業株式公司の管轄下にある。
 なお、同公司の2004年のカソードの生産量及び銅精鉱の生産量はそれぞれ371,060t及び32,100t(銅量)であり、カソード生産では、江西銅業集団公司に次ぎ中国第2位に位置する。

2. 安慶銅鉱山の概要

 安慶銅鉱山は、安徽省南部安慶市の北方18㎞に位置しているが、行政区分としては銅陵市に属する。
 鉱床は1976年に発見され、1977年から基本工事が開始されたものの、1979年には工事が一時中断された。1981年~86年にかけて当時の金属鉱業事業団が資源開発協力基礎調査において鉱山開発計画に関する技術協力を行い、この結果を受けて1987年~1990年に工事が実施され、1991年に操業開始に至った。現在は銅陵有色金属(集団)公司の子会社となり、鉱山(坑内掘り)を主体として、選鉱工場及び鉄ブリケット生産工場からなる。従業員は約900人(坑内作業員約500人、技術者約200人、女性補助職員約200人)で、中国の鉱山としては極めて少人数の操業を実施している。生産量は銅精鉱が約10,000t/年(銅量)、砂鉄が約450,000t/年である。かつては、硫黄鉱も生産していたが、現在は行われていない。
 採掘坑道は、旧金属鉱業事業団による資源開発協力基礎調査実施時に採掘された-400mレベルよりも更に深部が開発され、現在の最下底坑道は-700mに達する。現在、旧金属鉱業事業団による調査で採掘された立坑は人道立坑として利用され、鉱石はその後採掘されたメインの立坑より巻上げられている(その他に通気立坑1本を設置)。鉱床は接触交代鉱床(銅・鉄)で、品位は銅1%、鉄46%程度である。鉱体の規模は、長さ760m、高さ600m及び厚さ28mであり、60mを1ユニットとしてV.C.R法(Vertical Crater Retreat、下部から上部に向かう採掘法)により、3,000t/日の鉱石が採掘されている。切羽は3~4箇所が同時に採掘されており、1箇所では約1,040tの鉱石が採掘されている。採掘された鉱石は選鉱場で処理された後、選鉱廃滓はセメントと混合して採掘空洞に充填され、ズリは施設内の堆積場(保管場所)に移される。なお、本地域は基盤岩が石灰岩であることから、坑内では約8m3/分程度の湧水(pH7程度、重金属濃度等の水質は不明)が確認されており、ポンプアップされて選鉱用水として利用されている。選鉱廃水は、沈殿池にて清濁分離された後、オーバーフロー水が系外に放流されている。
 本鉱山の最大の特徴は、中国の鉱山としては生産効率の高いことにある。銅の金属量で約11.1t/人/年であり、他の中国国内の銅鉱山と比べて約10倍の生産性を誇る。これは、海外(主としてスウェーデン製)から最新の設備を導入していることや、採掘方法の効率化による結果によるものである。今のところ、増産計画はなく、マインライフ(20~30年)を維持させたいとのことである。

3. 冬瓜山銅鉱山の概要

 冬瓜山銅鉱山の前身は、獅子山銅鉱山である。獅子山銅鉱山は約40年間採掘された鉱山であったが、1986年に獅子山鉱体の深部(-670m~-1,100m)に延長する冬瓜山鉱床が発見されて以来、2001年に建設が開始され、2004年10月に操業を開始した。施設は鉱山(坑内掘り)及び選鉱場よりなり、設備は2億USドルが投じられて海外より導入されている。鉱床は接触交代鉱床(銅・鉄・硫黄)で、鉱体規模は長さ2km、幅500m、厚さ40mで、品位は約1.024%である。埋蔵鉱量は100万t(銅量)で、設計生産能力は13,000t/年であり、2004年10月~12月期生産実績は6,000t/年であったが、2007年~2008年までには設計能力を達成したいとのことであった。なお、従業員は約2,000人で、うち7割が坑内作業員、1割が選鉱工場工員、残りが地上補助勤務員である。
 銅精鉱(品位約20%)は、鉄道によって20km離れた金昌製錬所等に送られる。選鉱廃滓は、安慶銅鉱山と同様にセメントと混合して採掘空洞に充填され、ズリは堆積場(保管施設)に移設される。

4. 金隆製錬所の概要

 金隆銅業有限公司は銅陵有色金属(集団)公司、住友金属鉱山、住友商事及び平課●業公司(中国)の合弁会社であり、それぞれの出資比率は、61.4%、27.07%、7.86%及び3.67%である。
 カソード生産能力は、2004年までは150,000t/年であったが、5,180万USドルが投じられ2005年6月には210,000t/年に拡張した。2005年予定生産量は185,000t/年で、2006年には210,000t/年を達成する見込みである。
 銅精鉱の供給元は、大半が輸入鉱で、輸入先としてはチリ(ラ・カンデラリア、エスコンディーダ鉱山等)を筆頭として、インドネシア及びペルーである。鉱石の調達方法は長期契約が多く、スポット買いは少ないという特徴を持つ。
 同製錬所の最大の利点は、その立地条件である。半径500km以内に、上海、北京及び広東といった銅のメガマーケットが位置し、長江(揚子江)に隣接していることから、河川を利用した流通網を利用することが可能であるため、製品供給面では理想的な環境にあるといえる。副産物である硫酸についても肥料及び工業用を中心として需要が多く、スラグの販売についても好調であるという。
 製錬所の生産レイアウトは、出資元である住友金属鉱山の東予製錬所の自溶炉等の設備や技術が導入されており、最近ではISO14001を取得する等、環境面についても配慮され、銅陵市からも優良企業として評価が高い。

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5. 銅陵有色金属(集団)公司の資源確保戦略

 銅陵有色金属(集団)公司は、中国国内の持続的な経済成長に伴い、現在、銅製錬所の拡張計画を立てており、今後5年間で地金生産能力を倍増する計画(現在の約370,000tから2010年には700,000t規模に拡張し、世界第5位の銅生産企業を目指す)である。原料確保にあたっては、中国国内の探鉱開発事業を強化するとともに、海外の鉱山投資を視野に入れた長期的な鉱石の安定確保を目指す(現在の自山鉱比率は10%程度、輸入精鉱調達はほとんどがスポット契約)としている。投資に当たっては、単独投資ではなく中国内外に広くパートナーを求めたい考えで、特に日本企業とのパートナーシップを期待している。なお、現在のところ海外での探鉱プロジェクトはなく、案件発掘を行っている段階にある。なお、国内では、安慶銅鉱山、銅山銅鉱山、鳳凰山銅鉱山の周辺探鉱を鋭意実施中である。

6. おわりに

 中国第2位の産銅メーカーである銅陵公司の経営戦略は、銅鉱山開発から、銅製錬、銅加工品生産といった銅の一貫体制の強化・拡充を図り、前述のとおり、地金生産分野では2010年までに、中国市場の拡大を見込んだ世界第5位の銅地金生産企業に発展させるという目標を掲げている。また、付加価値の高い製品生産部門の強化も経営戦略の柱であり、現在、銅陵市の開発区の一角に建設中のカナダ企業との合弁による銅加工工場(高品質の板、条を生産)は、その象徴的な事業とされている。また、同社の経営方針としては、組織のグローバル化を図るために、外国の技術や資本を積極的に導入しようという姿勢が強く認められる。
 我が国との関係では、今後、一般的にはビジネスチャンスが拡大する方向にあると予想されるが、特に海外資源開発分野では、精鉱確保を巡り我が国との競合関係が一層激化していくものと懸念される一方で、今年2月に発足したアジア銅クラブのように将来的に原料確保、買鉱交渉等を協調して行っていくような動きもあり、今後、多面的な対応を検討するとともに、変化の激しい中国の資源ビジネス動向を注意深く見守る必要がある。

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