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報告書&レポート

2005年10月20日 シドニー事務所 永井正博、 久保田博志、 研究スタッフ:Joel Rheuben e-mail:(永井)masahiro-nagai@jogmec.net (久保田)kubota-hiroshi_1@jogmec.go.jp
2005年68号

オーストラリアのミネラルサンド資源の現状

 オーストラリアのミネラルサンド資源は、西オーストラリア州を中心に生産が行われてきたが、最近、南オーストラリア州Murray Basinなどで高品位ジルコン鉱床が相次いで発見されたことに加え、ジルコン価格の上昇などが影響して探査活動が活発化してきた。
 本稿は、オーストラリアのミネラルサンド資源の探鉱・開発の現状を報告する。




1. オーストラリアのミネラルサンド生産・輸出状況


(1) 生産状況
 オーストラリアは、南アフリカ、インド、ウクライナと並ぶミネラルサンドの主要生産国のひとつである。2004年は、イルメナイト(ilmenite)が世界第2位、世界の生産の約半分を占めるジルコン(zircon)及びルチル(rutile)が第1位となっている*1
 2003年は、イルメナイト201万t、ルチル17.3万t、ジルコン46.2万tを生産し、2004/2005年は、ミネラルサンド985.8万tを生産、2005/2006年は1,091.1万tに増加すると見られている*2
 2005/2006年のイルメナイト277.4万t、ルチル26.8万t(1980年以降最高)、ジルコン55.3万tが生産されると予測している*3

(2) オーストラリアのミネラルサンド輸出状況
 2003/2004年の輸出量は、イルメナイト78.3万t、ルチル14.6万t、ジルコン42.6万tであった。*4 2005/2006年の輸出量は、イルメナイト149.7万t、ルチル25.5万t(1980年以降最高)ジルコン54.7万tと予測されている。
 主な輸出相手国は、日本、英国、米国、スペイン、イタリアなどとなっているが、近年、中国への輸出が伸びており、2004年には中国の需要の6分の1に相当する量を輸出している。*3

(3) 各州の生産状況
 生産は、西オーストラリア州南部が最も多く、次いでクィーンズランド州Brisbaneの北部地域、ビクトリア州はわずかで、ニューサウスウェルズは古くからの小規模鉱山が操業していたが幾つかは近年閉山している。
2003/2004年の全国のイルメナイト生産量は、191万t、その内、西オーストラリア州が177.4万t、クィーンズランド州が12.6万tであった。ルチルは、全国生産量が15.4万t、西オーストラリア州が9.9万t、クィーンズランド州が5.0万t、ビクトリア州が0.5万tであった。ジルコンは、全国生産量が44.8万t、西オーストラリア州が41.1万t、クィーンズランド州が3.4万t、ビクトリア州が0.2万tであった。*4

(4) 企業動向
 小規模採掘企業も存在するが、Iluka社等の大規模企業の寡占状態となっている。Iluka社はジルコンを除いて生産増加、Ticor社は(Anglo American社子会社)生産減少。
 Iluka社は、オーストラリアのイルメナイト及びルチル生産の約半分、ジルコンは4分の3を占めている。主要鉱山はMid-West鉱山(西オーストラリア州)で、その他にTiwest JV(同社権益50%)(西オーストラリア州南部)とConsolidated Rutile(同社権益51%)のNorth Stradbroke Island鉱山(クィーンズランド州Brisbaneの北)などで生産。
 Iluka社の株価は上昇を続け、買収の噂が囁かれ始めている。*6, *7



2. ミネラルサンドの埋蔵量・資源量


(1) 全体概要

イルメナイト: 埋蔵量は200百万tで中国と並んで世界第1位、資源量は250百万tで中国に次いで第2位*1、JORC埋蔵量は40.1百万t、経済的開発可能資源量(EDR)は208.8百万t(2003年)であった*2
ルチル 埋蔵量は22百万t、資源量は34百万t で共に世界第1位*1、JORC埋蔵量は3.2百万t、EDRは21.3百万t(2003年)であった*2。
ジルコン: 埋蔵量は9.1百万t世界第1位*1、JORC埋蔵量は5.1百万t、EDRは32.2百万tであった*2

(2) 各州の状況

イルメナイト 経済的開発可能資源量(EDR)は西オーストラリア州が全国の63%、クィーンズランド州が25%、ビクトリア州が6%、ニューサウスウェルズ州が5%を、資源量(inferred resource)は、ビクトリア州が全国の39%、ニューサウスウェルズ州が22%、西オーストラリア州が22%、クィーンズランド州が11%を占める*2
ルチル EDRは、西オーストラリア州とクィーンズランド州で全国の64%、ビクトリア州が19%、ニューサウスウェルズ州が9%、資源量はビクトリア州が全国の55%、ニューサウスウェルズ州が27%、南オーストラリア州が8%を占める(2003年)*2
ジルコン: EDRは、西オーストラリア州とクィーンズランド州とで全国の80%、資源量はビクトリア州が58%、ニューサウスウェルズ州が20%、西オーストラリア州が9%、南オーストラリア州が7%を占める*2

 オーストラリアのイルメナイトの17%、ルチルの27%、ジルコンの26%が国立公園などに分布するためアクセスが出来ない。資源寿命は、イルメナイトが85年、ルチルが90年、ジルコンが50年である*2
(3) 企業の状況
 Iluka社がオーストラリア国内の埋蔵量・資源量の約半分と大きな部分を占めている。各社のオーストラリア国内の埋蔵量は、Iluka社(Consolidated Rutile社権益分を除く)の埋蔵量は、29.8百万t・品位はイルメナイト57%、ジルコン12%、ルチル7%。資源量152.1百万t・同品位。
 国内の埋蔵量・資源量第2位のBeMaX社は、埋蔵量7.3百万t・品位イルメナイト56%、ルチル8.2%、ジルコン9.7%。資源量は75.3百万t・品位イルメナイト58%、ルチル18%、ジルコン10%。
 Ticor社のオーストラリア国内の埋蔵量はTiwest-JV(権益100%)・Kerr McGee鉱山(権益50%)・自社分を含め7.89百万t、資源量20.2百万t。
 Consolidated Rutile社の埋蔵量は6.7百万t・イルメナイト44%、ルチル14%、ジルコン11%。資源量は14.0百万t・同品位。
 Monto Minerals社の埋蔵量は3.4百万t、資源量12.2百万t。*6, *7



3. ミネラルサンド探査の現状

 2004年のミネラルサンド探査支出は24.7百万豪ドル(前年の26.3百万豪ドルから7%減少)、近年では、2001年、2002年はミネラルサンドの価格が上がり、それに呼応して探査支出もそれぞれ、29.1百万豪ドル30.7百万豪ドルと高水準であった。主要探査対象地域はSwan地区の北部・南部(西オーストラリア州)とMurray Basin(ビクトリア州)である。
 Iluka社は、2004年から、Echo及びKulwin地区(ビクトリア州)、Eulca地区(南オーストラリア州)で探査を開始。Colona地区JVプロジェクト(南オーストラリア州Ceduna)ではロイヤリティを取得。その他には、Tiwest鉱山での探鉱、Ticor社とのJVによるBidwana, Dongara 及びJurien地区の探査を実施(いずれも西オーストラリア州)。
 Monto Minerals社は、Eulogie Park及びGoondicum地区(クィーンズランド州)
 BeMaX社は、Pooncarrieプロジェクト(Murray Basin)及びNorth Shores (西オーストラリア州Swan River)、Bayfield地区(クィーンズランド州)で探査を実施。
 Mithril Resources社は、初期探鉱としてBartonプロジェクト(南オーストラリア州)を実施。
 Alkane社は、Dubboジルコン・プロジェクト(ニューサウスウェルズ)のF/S調査を実施。*4, *5






4. 最近の話題


 2004年、Iluka社はジルコン及び人工ルチルの記録的な生産量を上げた。また、Douglasプロジェクト(ビクトリア州)を開始、新たなジルコン鉱床2か所(南オーストラリア州Eucla Basin)を発見。
 2003年、Falcon Minerals社はCooljarlooミネラルサンド・プロジェクトをTiwest JVに売却し、Ticor社は、独自にMagnetic Minerals Ltd.とDongaraプロジェクトを取得。
 2004年、Tiwest JVプロジェクトにおける顔料、人工ルチル、ルチルとイルメナイトの生産は記録的レベル。
 Ticor社は、Kumba Resources社(南アフリカ)に権益51%を取得され、南アフリカでの活動をシフト。
 Consolidated Rutile社は、ミネラルサンドの全ての鉱種で35%の生産増加。Enterpriseプロジェクトの施設拡張。
 BeMaX社は、2003年、Cable Sands社が日商岩井とSons of Gwalia社とオーストラリア資産を統合することに合意して、オーストラリア第3位のミネラルサンド生産企業となった。BeMaX社は、$74.4百万豪ドルまで資本を増強し、2005年1月にPooncarrieプロジェクトの建設を開始。同社はCampaspe鉱床の発見によりMurray Basinにおける資源量を61.9百万tとしている。



5. おわりに


 オーストラリアのミネラルサンド資源は、西オーストラリア州を中心に生産が行われてきたが、最近、南オーストラリア州Murray Basinなどで高品位ジルコン鉱床が相次いで発見されたことに加え、ジルコン価格の上昇が重なるなど探査活動が活発化してきた。
 また、Illuka社は好調な業績により、オーストラリア第3位の鉱山会社となり、買収の噂も囁かれているほか、Kumba Resources社によるTicor社の権益取得などプロジェクト・企業買収の動きも活発化している。
 *1 US Geological Survey, Mineral Commodity Summaries 2005
 *2 Geosciences Australia, Identified Mineral Resource 2004
 *3 ABARE, Australian Commodities 05.2005 p428
 *4 ABARE, Australian Mineral Statistics, March quarter 2005, table 25
 *5 ABARE, Australian Commodity Statistics 2004, Australian Commodities June 2005
 *6 Minmetデータベース
 *7各社アニュアルレポート

ジルコン イルメナイト
 
ルチル  
図1 オーストラリアにおけるミネラルサンド生産・輸出量と価格の推移
(Source: ABARE Australian Commodity Statistics 2004; Australian Commodities June 2005)
ジルコン イルメナイト
 
ルチル  
図2 オーストラリアのミネラルサンド生産が世界に占める割合
(Source: US Geological Survey, Mineral Commodity Summaries 2005.)
ジルコン イルメナイト
 
ルチル  
図3 オーストラリア各州のミネラルサンド生産の割合
(Geosciences Australia, Identified Mineral Resource 2004)
ジルコン イルメナイト
 
ルチル  
図4 オーストラリア各鉱山会社のミネラルサンド生産の割合
(Source: Annual report, Minmet)
ジルコン イルメナイト
 
ルチル  
図5 オーストラリアのミネラルサンド埋蔵量が世界に占める割合
(Source: US Geological Survey, Mineral Commodity Summaries 2005.)
 
イルメナイト資源量  
図6 オーストラリア各州のミネラルサンド資源量の割合
(Geosciences Australia, Identified Mineral Resource 2004)
埋蔵量(ミネラルサンド全種) 資源量(ミネラルサンド全種)
図7 オーストラリア各鉱山会社のミネラルサンド埋蔵量・資源量の割合

(Source: Annual report, Minmet)
図8 オーストラリア各鉱山会社のミネラルサンド探査費
(Source: ABARE, Australian Commodity Statistics 2004, ABARE, Australian Mineral Statistics, March quarter 2005)




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