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報告書&レポート

2005年12月8日 金属資源開発調査企画グループ審議役 澤田 賢司 e-mail:sawada-kenji@jogmec.go.jp
2005年88号

中国国際鉱業大会(China Mining 2005)概要報告

 2005年中国国際鉱業大会が2005年11月15~17日に北京において開催され、筆者は数少ない日本人として参加するとともに「過去10年における銅埋蔵量の確保と将来展望」と題して講演した。本大会は毎年実施されており本年は7年目にあたり、世界各国および国際機関等から約1,600人の過去最高の参加者があった。主催は、中華人民共和国国土資源部であり、後援として中国鉱業協会・世界銀行グループ・カナダ大使館・豪州大使館であった。そのため、開催に際して、国土資源部部長の孫文盛・カナダ大使のWright氏・豪州大使Thomas氏・世界銀行グループ中国駐在代表のFinkelston氏がそれぞれ挨拶した。挨拶に続いて、中国政府を代表して、国土資源部汪民副部長・国家発展改革委員会代表・財政部経済再建司李敬輝副司長・商工部外資司叶章和副司長から基調講演が行われた。中国政府の威信にかけた本大会への真剣な取組みを感じた。
 講演はセッションごとに行われ、全員で75名による講演が行われた。講演と平行して、128企業(中国企業34社、外国企業94社)による展示会も行われた。本報告は講演会と展示会に分けて現地で得られた情報や雰囲気を報告したい。

1. 講演会

 11月15日の午前中の基調報告に続いて、2ホールに分けた講演会が開催された。講演会は4~5名から構成されるセッションごとに3日間にわたり開催された。セッションは、ベストプラクティスのレビュー(5件)、中国鉱業界の投資環境(5件)、各種金属の将来展望(4件)、拡大する中国の海外投資(4件)、鉱山保安と資源利用(4件)、技術開発(4件)、世界の探査技術(5件)、世界の株式市場における鉱山会社(4件)、中国以外での鉱床発見(5件)、鉱山会社のための融資(5件)、新たな理論と技術(5件)、企業と資産(25件)、の合計75件であった。75件のうち16件は中国人による講演であった。これらの講演会の中から興味深いものを選択し、その講演内容の概要を紹介したい。

(1) 中国鉱業界、持続可能な開発の展望(中国工学アカデミー副院長 Wang Dianzuo)
Wang副院長が出席出来なかったため、Guo Xian Jian(Hatch所属)氏が発表した。
  中国では少なくとも2015-2020年までは各種金属の需要拡大が予想され、2020年における需要は、粗鋼(3.3億t)・常用10種非鉄金属(24~30百万t)・セメント(13億t)と予想される。ただし、消費量のピークは2015年に達する可能性もあり、粗鋼消費量は3.3億t/年となろう。
  2003年現在、中国の輸入依存は、原油(1/3)・銅(2/3)・鉄鉱石(1/2)・アルミ(1/2)である。鉱業活動に伴い、環境に及ぼす排出ガス等の影響は、二酸化炭素(10億トン)・二酸化硫黄(21百万t)・固体廃棄物(8億t/年、累積量225億t)と推定される。また、国土の30%は酸性雨の影響がある。
  中国鉱業の持続可能な開発のためのキーポイントとして、探鉱活動と埋蔵量/生産量の適正比率,鉱物資源の回収率向上による能率的利用促進、環境影響の改善、多金属鉱床の総括的利用、二次資源のリサイクル利用、エネルギーや鉱物資源消費量の節約等があげられる。

(2) 拡大する中国の海外投資(CIBC アジア太平洋部長Waren Gilman)
  Canadian Imperial Bank of Commerce(CIBC)は、総資産約27兆円、従業員約45,000名を擁する北米大手銀行であり、S&Pの格付けはAA-となっている。CIBCは投資銀行部門を担っており、世界の主要市場において、投資銀行・資本市場・マーチャントバンキング等の金融サービスを顧客に提供している。2001年3月には、CIBCは香港に本社のある有力証券会社のCLSA(Credit Lyonnais Securities Asia)と、日本を除くアジア市場においてクロスボーダーM&Aアドバイザリーや資本市場関連サービスを提供する目的で戦略的業務提携を締結している。本会議での発表概要は以下の通り。
  2005年における鉱業部門におけるM&Aの活動は、大企業における内部成長がないこと、キャッシュフローの拡大、投資家の圧力等により,活発化しており、2004年の157億ドルから57%アップの245億ドルと見込まれる。
  最近、中国企業40社以上が上海株式市場に登録しており、その株式資産は合計230億ドルに達する。さらに、今後1年以上は中国最大の金属鉱山会社(Chalco)のように国内株式市場に登録する傾向にある。
  最近、中国企業5社が海外株式市場に登録しており、その株式資産の合計は340億ドルに達する。5社は、山東黄金集団有限公司・雲南冶金集団公司・雲南銅業集団有限公司・中国石炭集団公司・金川集団有限公司と推定される。海外株式市場に登録している中国企業の株式74%は中国の国営企業が保有しており、残りの大半も香港株式市場におけるものである。世界のメジャーは中国企業の株式の新規公開(IPO)の際に1%前後の株式を取得する程度であり、中国企業は国際的な展開からほど遠い。
  中国企業が海外進出する際の競争相手は、多角化した非鉄メジャー(BHP Billiton,
Rio Tinto, Anglo American, Xstrata,Inco, Teck Cominco)、特化したメジャー(CVRD,
Alcoa, Alcan, Norilsk, Phelps Dodge,Peabody)、その他(日本の鉱山会社と商社、インドや韓国の国営企業)と予想される。
  中国企業の海外進出を推進するためには、香港以外の金属鉱業に有利な株式市場を選択すること、企業や財政規模を大型化すること、海外企業との連携不足の解消、国内手続きの迅速化、等が必要である。そのため、企業の大型化や海外の相談役が必要であり、CIBCがその役割を果たせることが可能である。

(3) 中国五鉱集団公司(Minmetals)の発展
  歴史的に貿易を指向した企業から資源企業への転換を図っている。2004年非鉄金属の収入は前年に比較して、アルミ(38.4%)・銅(38%)・アンチモン(5.8%)・タングステン(5%)・ニッケルおよび錫(4.7%)等となっている。 
  企業の特徴としては、代表的な金属鉱山会社(中国第1位の金属貿易、中国第2位の売上高)、ベースメタル輸入業者(2004年中国輸入のうち、アルミ35%、銅40%)、政府との強い関係、国際的な中国企業、等が指摘される。
  急激な成長を続けており、1994-2004年の間に、純資産で12.4%/年、純利益で8.2%/年の成長を記録している。
  銅部門においては、長期的な銅資源の安定供給のために世界最大のCODELCOと提携。15年間にわたるCODELCOの生産能力維持のために、初期の5.5億ドルを含めて、総額20億ドルを投資。年産15万tの銅地金生産を予定しているGaby Surの権益25%のオプションと最高49%まで権益取得可能。
  Minmetalsは総資産の70%は鉱業資産であり、今後国際的なマイニングハウスをめざすことになる。

(4) 中国に隣接するモンゴルの投資環境(モンゴル工業貿易局局長D.Galsandorj)
  モンゴル政府の近未来に対する目標として、安定した鉱業制度の維持、地質図作成、投資環境の改善と鉱業権者への責任拡大、小規模鉱業権者と地域住民との社会問題に対する法制度の確立、環境や覆土植栽の調査遂行、石油探鉱の拡大と石油製品の安定確保、等がある。
  モンゴル経済に対する鉱業部門の役割として、国内総生産の17.3%、国内工業生産の64.7%、輸出総額の57.5%をあげている。
  2004年以降の鉱業税制として、法人所得税(15-30%)・ロイヤルティ(2.5%)・漂砂金鉱床のロイヤルティー(7.5%)が適用。
  鉱業者に対する優遇措置として、生産開始から3年間のタックスホリデー、3年間にわたる法人所得税のタックスクレジット(50%)、輸入重機器や鉱山機械の免税、輸入鉱山機械の付加価値税の免税、等があげられる。
  モンゴルにおける主要資源開発案件として、Oyu Tolgoi(埋蔵銅量22百万t)・亜鉛(1.56百万t)・鉄(4.27億t)・タングステン(64千t)・モリブデン(213千t)・ウラン(64千t)・石炭(84億t)等が紹介された。

(5) 中国の銅需要に対するチリからの提案(INDEC S.A. CEO Aron Grekin)
  中国とチリは資源分野においては補完関係にあり、2004年の中国銅鉱山生産が580千tに対しチリの銅鉱山生産が5,400千tであり、チリから中国への銅輸出は999.7千tであった。中国非鉄金属工業協会によると、中国の製錬能力は現在の2.2百万tから将来的には4.5百万tと推定。
  中国国内の鉱山は小規模であり、埋蔵銅量が5百万t以上の鉱山は、徳興鉱山(5.4百万t)と玉龍鉱床(6.5百万t)のみである。さらに、50%以上の埋蔵銅量はインフラの悪い西部地区にある。
  中国に対してチリ側が貢献可能な分野として、低品位の酸化鉱と硫化鉱のリーチングLIX-SX-EW)があり、チリ保有の技術を活用して広い範囲の規模(5~300千t/年)での銅地金の生産が可能となる。しかも、生産コストは40-50¢/Lbと経済的である。
  INDEC S.A.はCODELCOの製錬所(Teniente転炉や関連技術)での実績もあり、小型のTeniente転炉の設置による既存製錬所の生産拡大、既存製錬所の改善、パーマネントカソード等の新技術の適用、排ガス設備、等の分野で貢献可能。

2. 展示会場

 展示会場には合計128社によるブースが設置されていたが、中国政府および企業34社のほか、豪州やカナダ企業の展示が目立った。今回、金鉱山や金探鉱に関する講演が多くあったが、展示会場でも、Canterra Gold Inc, Dynasty Gold Corp, Majestic Gold Corp, Golden Tiger Mining, Sino Gold Limited, Gold Aura Limited, AngloGold Ashanti Limited, 等の金鉱山会社や金探鉱ジュニアのブースがみられた。金鉱業において躍進めざましい、豪州のOxiana Limitedや中国での最大の産金量を誇る紫金鉱業集団有限公司のブースは人気があった。また、鉱山操業や鉱山技術の世界的なコンサルタントのHATCHのブースでは、受注能力を超える調査依頼があると世界的な鉱山ブームの一端を示す発言があった。
 China Mining 2005では、躍進する中国経済のための資源安定確保、供給サイドとしてのカナダや豪州企業のビジネスチャンスの確保、企業支援としてのカナダや豪州政府の存在、等の印象を感じたが、資源消費大国としての中国と資源供給国の観点から多くの情報を収集する上で貴重な体験であった。また、筆者の講演は調査解析を中心とするものであったが、講演終了後、聴衆者や主催者から電子媒体による講演内容の提供依頼があった。
 中国経済の発展とともに、国内探鉱費は拡大傾向にあり、金・ベースメタル・白金族金属等の探鉱費は2000年の18.7百万ドルから2004年には85.5百万ドル(以下の図は内訳を示す)と大幅な増加を続けている。

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