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報告書&レポート

2005年12月8日 ロンドン事務所 嘉村 潤 e-mail:kamura@jogmec.org.uk
2005年90号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2005年10月)

1. 国際市場

 10月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅が5か月連続で上昇し5.2%増の4,059.76USドル/t、ニッケルは2か月連続で下落し12.8%減の12,402.86USドル/t、亜鉛は3か月連続で上昇し6.5%増の1,488.38USドル/tとなった。銅は、歴史的な低在庫レベルにあるLME在庫が再び減少、加えてスト等による供給不安の影響も継続していることから、10月20日に現物価格で記録を更新する等、投機資金流入による価格上昇や不安定な動きが継続、こうした状況はもう暫く継続するとの見方が強まっている。ニッケルは、主要ステンレスメーカーの生産削減が第4四半期まで継続し需要が当面伸びないこと、LME在庫も増加してきていることから価格低迷が続いている。亜鉛は、一連の製錬所ストやニューオリンズにおけるLME在庫(全在庫の約半分)の機能停止継続、その他LME在庫の減少、亜鉛精鉱市場の逼迫状況も中期的に継続する見通しから、市場は強気に推移してきている。非鉄金属市場全般としては、高値圏を維持しつつも金属ごとの市場の動きに分化が見られており、引き続きいくつかの金属では、ファンド資金の動きや中国の動向等により急変するといった読みにくい展開が継続するものと考えられる。

LME平均価格と在庫
平均価格(cash settlement,US$/t)
在庫(t)
 2005年9月
 2005年10月
 前月比
  2005.9.30
  2005.10.31
 増減
Cu
3,857.84
4,059.76
+5.20%
83,250
62,575
-20,675
Ni
14,228.18
12,402.86
-12.80%
13,206
18,246
+5,040
Zn
1,397.52
1,488.38
+6.50%
531,325
488,325
-43,000

LME月平均価格の推移

2005年1~8月の需給状況
(出典:国際銅・ニッケル・鉛亜鉛研究会)
鉱山生産
地金生産
地金消費
需給バランス
(t)
 1-8月(t)
 前年同期比
 1-8月(t)
 前年同期比
 1-8月(t)
 前年同期比
Cu
9,676,200
+3.20%
10,809,500
+4.00%
10,923,300
-2.10%
-113,800
Ni
891,500
+3.10%
862,300
+4.40%
820,000
-1.30%
+42,300
Zn
6,488,000
+1.90%
6,874,000
+2.50%
7,098,000
+1.70%
-224,000

2. 需給動向

2・1 銅
【需要】
 国別の2005年1~8月の消費量は、最大消費国中国が前年同期比10.9%増となる一方、その他主要国では2位米国8.5%減、3位日本5.3%減、4位ドイツ5.2%減、5位韓国10.1%減となり、世界計では2.1%減の10,923.3千tであった。世界の消費を月別に見ると、05年4~6月は増加傾向で、6月は1,421.5千tと2005年の最大消費量となったが、7月1,383.5千t、8月1,292.8千tと減少した。注目の中国の消費動向も同様に、05年4~6月は増加傾向で、6月は341.6千tと2005年最大となったものの、7月は300.6千tと減少、8月は308.2千tと若干回復している。国際銅研究会は世界の銅地金消費を2005年1.4%減の16,450千t、2006年5.5%増の17,355千tと予測している。

【供給】
 2005年1~8月の鉱山生産は前年同期比3.2%増の9,676.2千tであった。月別の鉱山生産を見ると、2005年5月1,259.2千t、6月1,188.3千t、7月1,212.7千tと120万tのレベルを挟んで増減を繰り返していたが、8月は1,271.1千tとなっている。鉱山の設備稼働率は、2004年後半の90%超から2005年に入り80%後半に低下、その後も低下傾向であったが、8月は89.0%と回復している。2005年1~8月の国別生産量は、最大生産国チリが前年同期比2.7%減、3位ペルーが3.0%減となる一方、2位米国が5.6%増、4位豪州が9.1%増、5位インドネシアがGrasberg鉱山の事故からの回復により39.7%増と大幅に増加した。国際銅研究会は世界の銅鉱山生産を2005年3.1%増の14,983千t、2006年5.1%増の15,743千tと予測している。
 2005年1~8月の地金生産は前年同期比4.0%増の10,809.5千tであった。月別の地金生産は2005年4月以降増減を繰り返し、5月1,376.4千t、6月1,355.1千t、7月1,378.2千tとなっていたが、8月は1,380.7千tと前月並みとなっている。精錬所稼働率は、2004年12月以降伸び悩み80~81%で低迷していたが、7月79.5%、8月79.4%とさらに低下している。2005年1~8月の国別生産量は、最大生産国のチリ(EW生産を含む、以下同様)が0.9%増、2位中国が12.0%増、5位ロシア5.8%増となる一方、3位日本0.2%減、4位米国3.1%減、6位ドイツ2.5%減となったが、全体では増加した。国際銅研究会は世界の銅地金生産を2005年3.1%増の16,328千t、2006年8.1%増の17,650千tと予測している。

【需給バランス】
 2005年1~8月は114千tの供給不足(季節調整後は31千tの供給不足)であった。2005年1月以降供給不足が継続、5月37千t、6月66千t、7月5千tの供給不足となっていたが、8月は2005年初めて88千tの供給超過となった。季節調整後の需給バランスでも、2005年4月に供給超過となった後、5月4千t、6月25千t、7月37千tの供給不足となっていたが、8月は8千tの供給超過となった。国際銅研究会は世界の銅地金需給を2005年122千tの供給不足、2006年は295千tの供給超過になると予測している。

【価格】
 前月末の史上最高値から少し下がった3,905USドル/tからスタートした10月のLME銅価格は、引き続き乱高下を伴いながら上昇基調が継続した。10月6日に4,039USドルと4,000USドル台の史上最高値を記録した後、一時3,900USドル台に戻る動きも見せつつ史上最高値を更新(10月20日には10月の最高値4,180USドルを記録)し続け、4,000USドル台~4,100USドル台で推移、10月31日は4,091USドルで終了した。

2・2 ニッケル
【需要】
 2005年1~8月の消費量は前年同期比1.3%減の820.0千tであった。最大消費国の日本が8.7%減、4位韓国6.3%減、5位ドイツ4.4%減、6位台湾14.8%減となり、2位中国が35.5%増と大幅増、3位米国が1.7%増となったものの、全体では消費量が若干減少した。国際ニッケル研究会は、世界のニッケル地金消費を2005年0.8%増の125万t、2006年6.3%増の134万tと予測している。

【供給】
 2005年1~8月の鉱山生産は前年同期比3.1%増の891.5千tであった。2位カナダが2.2%減、4位インドネシアも2.8%減、5位ニューカレドニアが6.2%減となったものの、最大生産国のロシアが2.3%増、3位豪州が20.5%増と大幅増となり、全体としては増加した。
 2005年1~8月の一次地金生産は前年同期比4.4%増の862.3千tであった。2位日本が4.5%減、3位カナダ6.0%減となったものの、最大生産国のロシアが0.5%増、4位豪州が12.5%増、5位中国が16.1%増、6位ノルウェーが41.2%増の大幅増となり、全体としては増加となった。国際ニッケル研究会は、世界のニッケル一次地金生産を2005年3.2%増の129万t、2006年4.7%増の135万tと予測している。

【需給バランス】
 2005年1~8月の需給は42,300tの供給超過となった。LMEの在庫量は、10月31日現在18,246tと前月末から約5,000t増加している。国際ニッケル研究会は、世界のニッケル地金需給を2005年4万tの供給過剰、2006年1万tの供給過剰と予測している。

【価格】
 13,420USドル/tでスタートした10月のLMEニッケル価格は、前月に続き下落傾向であった。月初旬は13,000USドル台を記録していたが、10月10日に12,000USドル台に下落した後、10月21日には11,000USドル台まで下落、その後は11,000USドル台後半で推移し、10月31日には11,950USドルで終了した。

2・3 亜鉛
【需要】
 2005年1~8月の消費量は前年同期比1.7%増の7,098千tであった。2位米国が11.4%減、3位日本が2.9%減、4位ドイツが4.0%減となったが、最大消費国の中国が8.7%増、5位韓国が17.9%増の大幅増となり、全体としては増加した。国際鉛亜鉛研究会は、世界の亜鉛地金消費を2005年0.2%増の10,523千t、2006年5.7%増の11,124千tと予測している。

【供給】
 2005年1~8月の鉱山生産は、3位ペルーが前年同期比増減なし、4位カナダが11.3%減、5位米国が1.0%減、6位メキシコ11.7%減となる一方、最大生産国の中国が4.0%増、2位豪州2.4%増、となり、さらにその他生産国での増産もあり、世界合計では1.9%増の6,488千tとなった。国際鉛亜鉛研究会は、世界の亜鉛鉱山生産を2005年3.6%増の10,054千t、2006年4.2%増の10,474千tと予測している。
 2005年1~8月の地金生産は、最大生産国の中国が前年同期比4.8%増、3位韓国5.6%増、4位日本4.3%増となり、2位カナダ1.1%減、5位スペインが1.4%減、6位豪州が2.9%減となったものの、全体では2.5%増の6,874千tとなった。国際鉛亜鉛研究会は、世界の亜鉛地金生産を2005年1.5%増の10,289千t、2006年3.5%増の10,650千tと予測している。

【需給バランス】
 2005年1~8月の需給バランスは224千tの供給不足となった。LMEの在庫量は、10月31日現在488.3千tとなり、前月末から更に43千t減少している。国際鉛亜鉛研究会は、亜鉛地金需給を西側世界で2005年272千tの供給不足、2006年430千tの供給不足、世界全体では2005年234千tの供給不足、2006年474千tの供給不足と予測している。

【価格】
 1,405USドル/tでスタートした10月のLME亜鉛価格は、需給逼迫を反映してさらに前月より上昇する強気の価格推移となった。月前半10月14日まで1,400USドル台後半を中心に推移した後、10月17日に1,500USドル台となり、一旦10月21日、24日に1,400USドル台となった以外は、1,500USドル台前半を中心に推移し、10月31日には1,572USドルまで上昇して終了した。

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