閉じる

報告書&レポート

2006年1月12日 ロンドン事務所 嘉村 潤 e-mail:kamura@jogmec.org.uk
2006年03号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2005年11月)

 1. 国際市場

 11月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅が6か月連続で上昇し5.2%増の4,269.34USドル/t、ニッケルは3か月連続で下落し2.3%減の12,115.68USドル/t、亜鉛は4か月連続で上昇し8.2%増の1,610.93USドル/tとなった。
 銅は、若干増加したものの依然歴史的な低レベルにあるLME在庫、依然として伸び悩む供給という環境の中、中国国家備蓄局(SRB)の大量ショート・ポジション保有とその履行への疑問等から、銅現物価格が記録を更新し続ける等、投機資金流入による価格上昇や不安定な動きが継続している。ニッケルは、主要ステンレスメーカーの生産削減継続による需要減、LME在庫増加により価格低迷が継続していたが、下げ止まりが見えてきている。亜鉛は、中国を中心としたメッキ需要増大による需要増大継続、LME在庫の減少、亜鉛精鉱市場の逼迫が亜鉛地金供給の制約となっている状況等から、市場は中長期的に強気に推移すると見られている。非鉄金属市場全般としては、一部低迷が見られた金属にも下げ止まりが見られるなど全面高の様相を示してきており、特に銅などいくつかの金属では、ファンド資金の動きや中国の動向等により急変するといった読みにくい展開が継続するものと考えられる。

LME平均価格と在庫
平均価格(cash settlement,US$/t)
在庫(t)
2005年10月
2005年11月
前月比
2005.10.31
2005.11.30
増減
Cu
4,059.76
4,269.34
+5.2%
62,575
71,175
+8,600
Ni
12,402.86
12,115.68
-2.3%
18,246
23,016
+4,770
Zn
1,488.38
1,610.93
+8.2%
488,325
439,525
-48,800

 

LME月平均価格の推移

2. 需給動向

2005年1~9月の需給状況
(出典:国際銅・ニッケル・鉛亜鉛研究会)
鉱山生産
地金生産
地金消費
需給バランス
(t)
1-9月(t)
前年同期比
1-9月(t)
前年同期比
1-9月(t)
前年同期比
Cu
10,906,000
+2.9%
12,177,600
+3.9%
12,367,300
-1.7%
-189,700
Ni
注)
注)
注)
Zn
7,439,000
+3.4%
7,659,000
+1.2%
7,900,000
+0.4%
-241,000
注)Niの1~9月の数字は、国際ニッケル研究会の11月Bulletinが特集号のため未発表

2・1 銅
【需要】
 国別の2005年1~9月の消費量は、最大消費国中国が前年同期比10.7%増となる一方、その他主要国では2位米国7.6%減、3位日本6.0%減、4位ドイツ5.1%減、5位韓国9.4%減となり、世界計では1.7%減の12,367.3千tであった。世界の消費を月別に見ると、2005年4~6月は増加、6月に1,412.4千tとなった後、7月1,393.0千t、8月1,308.8千tと減少したが、9月は1,432.3tと増加し、今年最高の月別消費量となった。注目の中国の消費動向も同様に、2005年4~6月は増加傾向で、6月は338.2千tと月別で今年最大の消費量を記録、7月300.6千t、8月308.2千tと減少していたが、9月は330.4千tと増加した。国際銅研究会は世界の銅地金消費を2005年1.4%減の16,450千t、2006年5.5%増の17,355千tと予測している。

【供給】
 2005年1~9月の鉱山生産は前年同期比2.9%増の10,906.0千tであった。月別の鉱山生産を見ると、2005年6月1,186.4千t、7月1,211.3千t、8月1,269.8千tと増加傾向にあったが、9月は1,243.5千tと若干減少している。鉱山の設備稼働率は、2004年後半の90%超から2005年に入り80%後半に下落、その後下落傾向であったが、8月は88.9%、9月89.8%と回復してきている。2005年1~9月の国別生産量は、最大生産国チリが前年同期比2.9%減、3位ペルーが2.6%減となる一方、2位米国が4.3%増、4位豪州が8.5%増、5位インドネシアがGrasberg鉱山の事故からの回復により37.7%増と大幅に増加した。国際銅研究会は世界の銅鉱山生産を2005年3.1%増の14,983千t、2006年5.1%増の15,743千tと予測している。
 2005年1~9月の地金生産は前年同期比3.9%増の12,177.6千tであった。月別の地金生産は2005年6月1,350.2千t、7月1,378.8千t、8月1,383.9千tと増加傾向になっていたが、9月は1,378.3千tと若干減少している。製錬所稼働率は、2004年12月以降伸び悩み80~81%で低迷、7月79.6%、8月79.6%とさらに下落してが、9月は81.6%まで回復している。2005年1~9月の国別生産量は、最大生産国のチリ(EW生産を含む、以下同様)が0.2%増、2位中国が13.0%増、5位ロシア4.8%増となる一方、3位日本0.01%減、4位米国3.9%減、6位ドイツ1.7%減となったが、全体では増加した。国際銅研究会は世界の銅地金生産を2005年3.1%増の16,328千t、2006年8.1%増の17,650千tと予測している。

【需給バランス】
 2005年1~9月は190千tの供給不足(季節調整後は54千tの供給不足)であった。6月62千t、7月14千tの供給不足と2005年1月以降供給不足が継続していたが、8月は2005年初めて75千tの供給超過を記録、9月は再び54千tの供給不足となった。季節調整後の需給バランスでは、2005年6月に1千tの供給超過となった後、7月21千t、8月46千tの供給不足で、9月も6千tの供給不足となった。国際銅研究会は世界の銅地金需給を2005年122千tの供給不足、2006年は295千tの供給超過になると予測している。

【価格】
 4,063USドル/tからスタートした11月のLME銅価格は、引き続き上昇基調が継続した。11月3日に4,100USドル台を回復した後も上昇、11月11日に4,200USドル台に突入し史上最高値を更新しながらその後も上昇、11月13日に4,300USドル台に突入し、11月18日には11月の最高値で史上最高値の4,420.50USドルを記録した。その後11月23日に一旦下落した以外は4,300USドル台後半で推移、11月31日は4,404.50USドルで終了した。
 
2・2 ニッケル
【需要】
 ニッケルの1~9月の数字は、国際ニッケル研究会の11月Bulletinが特集号のため未発表。国際ニッケル研究会は、世界のニッケル地金消費を2005年0.8%増の125万t、2006年6.3%増の134万tと予測している。

【供給】
 ニッケルの1~9月の数字は、国際ニッケル研究会の11月Bulletinが特集号のため未発表。国際ニッケル研究会は、世界のニッケル一次地金生産を2005年3.2%増の129万t、2006年4.7%増の135万tと予測している。

【需給バランス】
 国際ニッケル研究会は、世界のニッケル地金需給を2005年4万tの供給過剰、2006年1万tの供給過剰と予測している。

【価格】
 11,500USドル/tでスタートした11月のLMEニッケル価格は、前月までの下落傾向から月後半には上昇傾向に転じた。月前半は11月8日に12,050USドルを記録した以外は11,000USドル台後半で安定して推移。11月17日に12,000USドルを記録、翌日11,000USドル台に一旦戻ったものの、翌週の11月21日以降は12,000USドル台後半を中心に推移、11月29日に13,000USドルを記録した後、11月30日には若干下がって12,605USドルで終了した。
 
2・3 亜鉛
【需要】
 2005年1~9月の消費量は前年同期比0.4%増の7,900千tであった。2位米国が13.4%減、3位日本が2.1%減、4位ドイツが7.0%減となったが、最大消費国の中国が9.9%増、5位韓国が5.7%増となり、全体としては微増となった。国際鉛亜鉛研究会は、世界の亜鉛地金消費を2005年0.2%増の10,523千t、2006年5.7%増の11,124千tと予測している。

【供給】
 2005年1~9月の鉱山生産は、4位カナダが前年同期比12.7%減、5位米国が0.9%減、6位メキシコ8.1%減となる一方、最大生産国の中国が7.3%増、2位豪州3.7%増、3位ペルー0.6%増となり、世界合計では3.4%増の7,439千tとなった。国際鉛亜鉛研究会は、世界の亜鉛鉱山生産を2005年3.6%増の10,054千t、2006年4.2%増の10,474千tと予測している。
 2005年1~9月の地金生産は、最大生産国の中国が前年同期比3.8%増、4位日本2.8%増となり、2位カナダ5.4%減、3位韓国2.4%減、5位スペインが3.1%減、6位豪州が3.4%減となったものの、全体では1.2%増の7,659千tとなった。国際鉛亜鉛研究会は、世界の亜鉛地金生産を2005年1.5%増の10,289千t、2006年3.5%増の10,650千tと予測している。

【需給バランス】
 2005年1~9月の需給バランスは241千tの供給不足となった。LMEの在庫量は、11月30日現在439.5千tとなり、前月末から更に49千t減少している。国際鉛亜鉛研究会は、亜鉛地金需給を西側世界で2005年272千tの供給不足、2006年430千tの供給不足、世界全体では2005年234千tの供給不足、2006年474千tの供給不足と予測している。

【価格】
 1,522USドル/tでスタートした11月のLME亜鉛価格は、需給逼迫を反映して前月よりさらに強気の価格推移となった。11月9日まで1,500USドル台後半で推移した後、11月10日に1,600USドル台に到達。その後1,600USドル台前半と1,500USドル台後半を行き来していたが、11月17日以降は1,600USドル台で推移し、11月30日には1,712USドルまで上昇して終了した。

ページトップへ