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報告書&レポート

2006年2月23日 ロンドン事務所 嘉村 潤 e-mail:kamura@jogmec.org.uk
2006年11号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2006年1月)

 1. 国際市場

 1月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅が8か月連続で上昇し3.4%増の4,734.33USドル/t、ニッケルは2か月連続で上昇し8.4%増の14,555.24USドル/t、亜鉛は6か月連続で上昇し14.7%増の2,090.31USドル/tとなった。
 銅は、LME在庫の増加傾向にもかかわらず、チリCodelcoにおける契約社員スト等の供給不安を材料に投機資金の動きが活発化、最高値を更新し続けるなど、価格の上昇傾向が継続している。ニッケルは、LME在庫は増加しているものの、ステンレス鋼価格改善によるステンレス需要改善の期待から、投機資金による買いが強まってきており、価格がさらに回復してきている。亜鉛は、大幅なLME在庫減少が継続し、需給タイトな状況が継続する中、ペルー鉱山のスト、米国製錬所閉鎖、中国製錬所の有毒物質漏洩による一時操業停止等の供給障害も数多く生じたことから、過去最高値を更新するなど、より一層市場の買い圧力が強い状態となっている。非鉄金属市場全般としては、全面高の様相となり、特に銅等のファンド資金の動きが激しく影響が大きくなっている金属では、中国の動向等様々な要因により急変する可能性も指摘されており、一層読みにくい展開となってきている。

LME平均価格と在庫

平均価格(cash settlement,US$/t)

在庫(t)

2005年12月

2006年1月

前月比

2005. 12.30

2006.1.31

増減

Cu 4,576.78 4,734.33 +3.4% 89,575 97,600 +8,025
Ni 13,429.25 14,555.24 +8.4% 35,742 37,020 +1,278
Zn 1,821.83 2,090.31 +14.7% 394,125 372,850 -21,275

LEM月平均の推移

2005年1~11月の需給状況
(出典:国際銅・ニッケル・鉛亜鉛研究会)

 

鉱山生産

地金生産

地金消費

需給バランス(t)

1~11月(t)

前年同期比

1~11月(t)

前年同期比

1~11月(t)

前年同期比

Cu

13,482,800

+2.5%

15,009,000

+4.1%

15,163,400

-1.5%

-154,400

Ni

1,239,100

+3.3%

1,163,900

+2.1%

1,127,500

-1.7%

+36,400

Zn

9,155,000

+3.2%

9,335,000

+0.6%

9,723,000

+0.8%

-388,000

2. 需給動向
2・1 銅
【需要】
 国別の2005年1~11月の消費量は、最大消費国中国が前年同期比9.2%増となる一方、その他主要国では2位米国6.4%減、3位日本5.3%減、4位ドイツ6.5%減、5位韓国7.8%減となり、世界計では1.5%減の15,163.4千tであった。世界の消費を月別に見ると、2005年8月1,305.9千tの後、9月は1,443.2千tと2005年最高の月別消費量となったが、10月1,384.4千tの若干減、11月は1,394.7千tの若干増なった。注目の中国の消費動向は、2005年最大の月別消費量となった2005年6月338.2千tから、8月308.2千tまで減少、9月は330.4千tと回復したものの、10月270.8千tと減少、11月も274.5千tと低迷した。国際銅研究会は世界の銅地金消費を2005年1.4%減の16,450千t、2006年5.5%増の17,355千tと予測している。

【供給】
 2005年1~11月の鉱山生産は前年同期比2.5%増の13,482.8千tであった。月別の鉱山生産を見ると、2005年8月1,268.0千tの後、9月は1,246.3千tと若干減少したものの、10月1,274.4千t、11月1,295.5千tと増加している。鉱山の設備稼働率は、2005年に入り80%後半で下落傾向にあったが8月は88.8%、9月90.1%と回復、10月88.9%と若干減少したものの、11月93.3%と回復している。2005年1~11月の国別生産量は、最大生産国チリが前年同期比2.7%減、2位米国が0.3%減、3位ペルーが1.5%減となる一方、4位豪州が7.7%増、5位インドネシアが28.1%増と大幅に増加した。国際銅研究会は世界の銅鉱山生産を2005年3.1%増の14,983千t、2006年5.1%増の15,743千tと予測している。
 2005年1~11月の地金生産は前年同期比4.1%増の15,009.0千tであった。月別の地金生産は2005年8月1,381.5千tまでは増加傾向で、9月は1,376.6千tと若干減少したものの、10月1,409.1千t、11月1,442.2千tと増加してきている。精錬所稼働率は、2005年前半は80~81%で低迷、8月79.4%とさらに下落した後、9月は81.5%まで回復、10月は80.4%に下落したが、11月は84.6%まで増加している。2005年1~11月の国別生産量は、最大生産国のチリ(EW生産を含む、以下同様)が0.3%減、4位米国3.5%減、6位ドイツ2.6%減となる一方、2位中国が16.8%増、3位日本0.9%増、5位ロシア2.0%増となり、全体では増加した。国際銅研究会は世界の銅地金生産を2005年3.1%増の16,328千t、2006年8.1%増の17,650千tと予測している。

【需給バランス】
 2005年1~11月は154千tの供給不足(季節調整後は28千tの供給不足)であった。2005年1~7月は供給不足が継続していたが、8月に2005年初めて76千tの供給超過を記録、9月は再び67千tの供給不足となったが、10月25千t、11月48千tの供給不足となった。季節調整後の需給バランスでは、2005年6月に供給超過を記録した後、7月47千t、8月6千t、9月56千tの供給不足となっていたが、10月は49千t、11月は59千tの供給超過となった。国際銅研究会は世界の銅地金需給を2005年122千tの供給不足、2006年は295千tの供給超過になると予測している。

【価格】
 4,537USドル/tでスタートした1月のLME銅価格は、1月4日に最高値更新を記録しながらも乱高下していたが、その後1月10日と1月16日に4,700USドル台で記録更新しつつ4,600USドル台後半以上で推移、1月18日以降は常に4,700USドル台を記録した。さらに1月25日には4,800USドル台、1月27日には4,900USドル台と月後半に騰勢を強め、1月30日には1月最高値で史上最高値の4,948.50USドルを記録し、1月31日は4,919.50USドルで終了した。
 
2・2 ニッケル
【需要】
 2005年1~11月の消費量は、前年同期比1.7%減の1,127.5千tであった。最大消費国の日本が12.5%減、4位韓国8.0%減、5位ドイツ2.5%減、6位台湾17.2%減となり、2位中国が31.2%増と大幅増、3位米国が4.9%増となったものの、全体では若干減少した。国際ニッケル研究会は、世界のニッケル地金消費を2005年0.8%増の125万t、2006年6.3%増の134万tと予測している。

【供給】
 2005年1~11月の鉱山生産は、前年同期比3.3%増の1,239.1千tであった。2位カナダが5.4%減、5位ニューカレドニアが5.9%減で、4位インドネシアが増減なしとなったものの、最大生産国のロシアが2.3%増、3位豪州が16.9%増となり、全体としては増加した。
 2005年1~11月の一次地金生産は、前年同期比2.1%増の1,163.9千tであった。2位日本が3.2%減、3位カナダ7.4%減となったものの、最大生産国のロシアが0.5%増、4位豪州が6.3%増、5位中国が25.5%増、6位ノルウェーが20.4%増となり、全体としては増加となった。国際ニッケル研究会は、世界のニッケル一次地金生産を2005年3.2%増の129万t、2006年4.7%増の135万tと予測している。

【需給バランス】
 2005年1~11月の需給は、36,400tの供給超過となった。LMEの在庫量は、1月31日現在37,020tと前月末から約1,300t増加している。国際ニッケル研究会は、世界のニッケル地金需給を2005年4万tの供給過剰、2006年1万tの供給過剰と予測している。

【価格】
 13,505USドル/tでスタートした1月のLMEニッケル価格は、先月からの上昇傾向が継続した。1月5日に14,045USドルと14,000USドル台に突入した後、しばらくは14,000USドル台後半を中心に安定的に推移していたが、1月25日に15,035USドルと15,000USドル台に突入、1月27日に一旦は14,000USドル台に戻ったが、すぐに15,000USドル台に復帰、1月31日には15,200USドルで終了した。
 
2・3 亜鉛
【需要】
 2005年1~11月の消費量は前年同期比0.8%増の9,723千tであった。2位米国が16.3%減、3位日本が2.1%減、4位ドイツが5.6%減となったが、最大消費国の中国が15.9%増、5位韓国が1.8%増となり、全体としては微増となった。国際鉛亜鉛研究会は、世界の亜鉛地金消費を2005年0.2%増の10,523千t、2006年5.7%増の11,124千tと予測している。

【供給】
 2005年1~11月の鉱山生産は、4位カナダが前年同期比14.4%減、6位メキシコ7.3%減となる一方、最大生産国の中国が8.5%増、2位豪州1.8%増、3位ペルー0.2%増、5位米国が1.0%増となり、世界合計では3.2%増の9,155千tとなった。国際鉛亜鉛研究会は、世界の亜鉛鉱山生産を2005年3.6%増の10,054千t、2006年4.2%増の10,474千tと予測している。
 2005年1~11月の地金生産は、最大生産国の中国が前年同期比5.5%増、4位日本0.9%増となり、2位カナダ11.2%減、3位韓国1.8%減、5位スペインが3.1%減、6位豪州が2.8%減となったものの、全体では0.6%増の9,335千tとなった。国際鉛亜鉛研究会は、世界の亜鉛地金生産を2005年1.5%増の10,289千t、2006年3.5%増の10,650千tと予測している。

【需給バランス】
 2005年1~11月の需給バランスは388千tの供給不足となった。LMEの在庫量は、1月31日現在372,850tとなり、前月末からさらに約21,000t減少している。国際鉛亜鉛研究会は、亜鉛地金需給を西側世界で2005年272千tの供給不足、2006年430千tの供給不足、世界全体では2005年234千tの供給不足、2006年474千tの供給不足と予測している。

【価格】
 1,912USドル/tでスタートした1月のLME亜鉛価格は、強気の価格推移が継続し、特に月後半にその勢いを増した。1月12日には2,000USドル台に突入、1月19日に2,100USドル台を、1月25日に2,200USドル台をクリアして上昇し続け、1月31日には2,318USドルと2,300USドル台を記録して終了した。

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