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報告書&レポート

2006年3月23日 ロンドン事務所 高橋 健一 e-mail:takahashi@jogmec.org.uk
2006年17号

アフリカ鉱業分野における探査・開発活動活発化の現状-活気溢れるINDABA2006(第11回アフリカ鉱山投資会議)参加報告-

 2006年で第11回目の開催を迎える本会議は、2月7日から9日までの3日間、近年恒例の開催場所となった南アフリカ共和国ケープタウンで開催された。昨今の金属価格の高騰などを背景としたアフリカにおける探鉱・開発活動の活発化を反映して、2005年の参加者約1,000名から2006年は3,200人以上へと大幅に増え、50か国、350を超える企業が参加し、そのうちアフリカからは29か国の政府関係者の参加があった。また、企業・政府関係機関の展示ブース数も約150を数え、過去最大規模となった。会議における鉱山企業、金融機関、政府関係機関による講演も3日間を通じ終日行われ、参加者も初日から最終日まで多数を数えるものとなった。
 メジャー企業による講演ではSustainable DevelopmentまたはCorporate Social Responsibilityに関する内容が強調され、BEE(Black Economic Empowerment=南ア新鉱業法による黒人への経済的権限委譲)、地域社会への貢献等の方針・事例が講演された。また、探鉱ジュニア企業においては自社の探鉱活動状況を中心に講演された。
 さらに、通常の講演会場とは別の会場にて2日間開催されたMinisterial Panel Discussionsと題されたアフリカ諸国の鉱業大臣クラスによる各国への投資促進を目的としたパネル会議が2006年は大々的なものとなり、2005年の10か国から2006年は25か国へと大幅に増加した。
 以上、参加者数、出展ブース数ともに最大規模となった今回のINDABA会議に関し、以下、会議で紹介された個別内容などについて報告する。

1. INDABA2006会議概要

  今回の会議のスポンサーである金融機関、鉱山企業、政府関係機関等の数は、150を数え、これらの企業等によりブース展示及び講演が行われた。主なものは以下のとおりであった。

 鉱山企業等 Anglo American、Barrick Gold、BHP Billiton、CVRD、DeBeers、First Quantum、Gold Fields、Newmont Mining、Placer Dome、Randgold Resources、Rio Tinto、Adastra Mineral、African Mining、African Platinum、African Rainbow Minerals、AfriOre、Anglogold Ashanti、Anooraq Resources、Anvil Mining、Axmin、Discovery Nickel、Equinox Minerals、Etruscan Minerals、Harmony Gold、Kumba Resources、North Atlantic Resources、Pan African Mining、Platinum Group Metal、Resolute Mining、Sub-Sahara Resources他
 金融機関 Barclays Capital、Investec Bank、JPMorgan Chase Bank、JSE、MIGA World Bank Group、Rand Merchant Bank、Standard Bank、Nedbank他
 その他関連企業 Control Risk、Geosoft、Geotech Airborne他
 政府機関 ボツワナ、南アフリカ、DRC、マリ、ナミビア、ジンバブエ、ウガンダ、マダガスカル、モーリタニア、モザンビーク、ナイジェリア、ガーナ、Natural Resources Canada、BRGM、British Geological Survey他
 

2. 基調講演

 会議初日の午前に、金融機関、メジャー企業等によるアフリカへの鉱山投資の現状、展望などに関する講演が行われた。内容はグローバルな視点でのアフリカへの投資動向、投資リスク、環境配慮等が中心となった。そのうち代表的な以下の2つの講演について報告する。
(1)「African’s Golden Year of Opportunity」
– Gerald Holden, Managing Director, Head of Mining & Metal, Barclays Capital –
 タイトルが示すように、2006年は、鉱業分野がその主役となりアフリカ経済の成功へと導く年となるであろうといった内容の講演であった。要旨は以下のとおり。

 ・ 高水準の金属価格に支えられ、鉱業分野では容易な資金調達が可能となっており、この状況は、アフリカにおけるカントリーリスクの減少と相まって、アフリカにおける長期的なプロジェクトの立ち上げが可能となっている。
 ・ ロンドンのAIM(Alternative Investment Market)市場には、多数のアフリカで活動するジュニア企業が上場しており、40を超える企業がアフリカで資源資産を保有していることが、その証となっている。同じことは、トロントのTSX、オーストラリアのASXの資本市場においても確認できる。一方で、南アの資本市場が昨今のアフリカ鉱業分野での金融センターとしての主役となっていないことは残念な点である。
 ・ また、アフリカにおける開発においては、地域社会との一体化も重要な点であるが、Mvelephanda、Incwara、African RainbowなどのBEEパートナーとの成功事例は今後の好材料となるであろう。
 ・ 金属価格の高水準は、2005年のGDP成長率が約10%であった中国を始めとする高い経済成長率の国の強い金属需要に支えられることにより当面続くものと予想され、南アから始まり現在モザンビーク、ガーナ、ボツワナ、タンザニア等に広がっている鉱業分野での探鉱・開発の活況は、2006年にはさらに広範囲にアフリカ大陸全体に広がっていくものと予想される。

(2)「Mining in South Africa – a Vehicle for Future Growth and Development-
– P. Lazarus Zim, CEO Anglo American South Africa –
 アフリカにおいて鉱業分野を経済の成長の主役とするために必要とされる政策的要件などに関する講演であった。要旨は以下のとおり。

 ・ (アフリカ諸国の)政府の責務・役割として重要な点は、外国投資促進をより前進させるために自国の状況・環境をより一層見極めることが必要である。また、外国投資が及ぼす効果として、自国の経済成長率の変化をしっかりと把握し、必要ならば改善を図っていくことが重要である。
 ・ また、アフリカ開発には国際的な政策・財政的な支援は欠かせない。この点に関しては、2005年以降の動向として、1月のダボス会議における英国ブレア首相のアフリカ支援に関する提唱を皮切りに、7月のG8サミットで表明されたアフリカ支援策強化を背景として、2006年はその実行の時期となっているため、支援の環境は整っていると言えよう。 
 ・ 金属価格の高水準は、エコノミストの間では、スーパーサイクルの始まりといった表現など様々な言い方がなされているが、中国を始めとし、インド、アジア諸国、ロシア、ブラジルなどの国際的な需要の増加が根底にあることは明らかである。
 ・ 現在のこのような状況下、つまり、確認されている資源量は増加する需要に対しては不十分である状況においては、アフリカは、新鉱床の探査の可能性、未開発資源が多く存在しているという点で、優位なポジションにいると考えられる。また、アフリカ諸国は鉱業分野での外国投資を受けることによって、持続的な開発、安全性、HIV・マラリアなどの克服においてのメリットを受けることが可能である。
 ・ アフリカ諸国がすべきことは、外国投資を促進するための政策、法整備等を継続し、投資家に良い投資環境を提供することであり、開発を促進すべき地域を具体化し、かつ、鉱業権取得等の手続きの迅速化を図ることなどが重要である。
 ・ 企業サイドにとって重要なことの一つは、地域社会への貢献がある。Anglo AmericanはBEE政策に従い、2005年は当初の予定よりも早い進捗で、資産のBEE化が行われている。2004年に54億ランドのBEE化が行われ、2005年は20~30%の増加を予定していたが、実績は51%増の82億ランドとなった。
 ・ 最後に、国のGDP成長に必要なことは、政府、公社等公共部門、民間企業の3者による効果的な投資が欠かせない。民間企業の投資を促進させるため必要なインフラ投資を公社などによりタイミングよく効果的に行い、民間企業もこれにあわせ投資をしていくことがより効果的である。また、政府によるインフレ抑制も重要な点であり3者間の信頼できるパートナーシップ形成がより効果的と考える。

 
3. 鉱山企業による講演

 アフリカで探鉱・開発活動を行っている鉱山企業により自社のプロジェクト概況等についての講演が多数行われた。対象鉱種は、金、プラチナ、ダイヤモンド、銅、ニッケル、コバルト、鉄、石炭など広範囲な鉱種に亘っていた。以下、主な企業の講演内容である。
【Afplats(African Platinum)社(英)】<PGMの探鉱開発>
 最重要プロジェクトと位置付けているLeeuwkop PGMプロジェクトについて紹介された。

 ・ Afplats社が100%権益を所有するLeeuwkopプロジェクトは、南ア・Bushveld岩体のWestern Limbの南東部に位置しており、2003年に探査を開始し、プレF/Sを2005年6月に終了。
 ・ 確認された鉱量は、4Elements(Pt、Pd、Rh、Auの合計)で53百万ozとなり、2006年1月に策定したスケジュールでは、21か月で採掘開始、51か月でフル操業とし、月産250千tになる予定。

【African Rainbow Minerals社(南ア。旧Avmin社)】<PGM、Ni等の生産・探鉱開発>
 南アでの同社関連の生産・探鉱開発状況(JV含む)を中心とした講演があった。

 ・ 南アでのプラチナ関連事業は、Modikwa(PGM、Anglo Platinum社とのJV、権益50%)、Nkomati(Ni,PGM、LionOre社とのJV、権益50%)、Two Rivers(PGM、Impala Platinum社とのJV、権益55%)各鉱山での生産の他、Nkomati拡張プロジェクト<Ni>、Kalplatsプラチナ・プロジェクトで探鉱を実施中。 

【Adastra Minerals社(英)】<Cu、Co、Zn等の生産・探鉱開発>
 Kolwezi銅・コバルトプロジェクトの紹介及びFirst Quantum社からの敵対的買収に関する説明があった。

 ・ コンゴ民主共和国の南端に位置するKolweziプロジェクトは、2006年3月の始めにFSが完了する。
 ・ 生産量は、鉱石ベースでは2.3百万t/年で、Cu:33,200t/年、Co:5,900t/年の計画。テイリングからの回収。
 ・ 開発にあたり、環境面や社会面での問題もクリア済み。
 ・ また、資金についても、Industrial Development Corporation of South Africa Ltd. (IDC)から10%、International Finance Corporation(IFC)から7.5%、Gecamines社から12.5%、コンゴ民主共和国政府から5%の出資を得ている。

【Equinox Minerals社(豪)】<Cu、Co等の探鉱>
 同社の最大のプロジェクトであるLumwana銅・コバルトプロジェクトを紹介。

 ・ Lumwanaプロジェクト(権益100%)は、ザンビアの中央アフリカ・カッパーベルトの西部に位置している。
 ・ 鉱量は213百万tで、銅品位0.8%、コバルト品位207ppm。銅の生産量は188,000t/年、18年以上のマインライフで計画。

【Anvil Mining社(豪)】<Cu、Co等の生産・探鉱開発>
 自社の財務状況、環境等への取り組み及び生産・探鉱開発状況を紹介。同社は、主にコンゴ民主共和国で活動を展開しており、同国内で2鉱山、2プロジェクトを保有。

 ・ Mutoshiプロジェクトは、Gecamines社(G社)及びDe Moura Enterprises社(D社)とのJVプロジェクト(権益70%、残りはG社20%、D社10%)で、鉱量4.3百万t、銅品位4.4%。
 ・ 2005年12月にStageⅠの開発を開始したKinsevere-Nambulwaプロジェクトは、MCK(Mining Company of Katanga)とのJV(権益70%)で、鉱量5.6百万t、銅品位3.75%、2006年第2四半期に開発調査を完了する予定。

【Metorex社(南ア)】<Cu、Co、Au他の生産・探鉱開発>
 同社の最大のプロジェクトであるRuashiプロジェクト<Cu-Co>を中心に講演。

 ・ Ruashiプロジェクトは、Gecamines社(15%)、Sentinelle Global Investments社(13%)、コンゴ民主共和国政府(5%)とのJVプロジェクト(権益67%)で、同国の南東端に位置する。
 ・ PhaseⅠは、過去の鉱山の選鉱場の堆積物の中からの採掘で、鉱量は3.2百万t、銅品位1.76%で生産量1万t/年、コバルト品位0.46%で生産量1千t/年を2005年度末から生産開始予定。
 ・ PhaseⅡは、現在バンカブルFSを行っており、鉱量は32.5百万t、銅品位3.75%で45,000t/年、コバルト品位0.49%で3,500t/年となる計画。製錬はザンビアにて行う予定。

  【AfriOre社(カナダ)】<PGM、Auの探鉱開発>
 今回は、同社の7プロジェクトのうち、唯一のプラチナ・プロジェクトであるAkananiプロジェクトを中心に説明。

 ・ Akananiプロジェクト(権益100%)は、南ア・Bushveld岩体のNorthern Limbに位置し、2004年にボーリング探鉱を開始している。
 ・ 鉱化帯は平均27.92mで4Elements(Pt、Pd、Rh、Auの合計)品位が4.44g/t。うち高品位部は平均6.72mで4E品位が6.47g/t。2006年中にプレFSに取りかかり、2007年末にはバンカブルFSを完了する予定。

4. 鉱業大臣パネル会議

 パネル会議では、南アフリカを除く、各国の鉱業大臣クラスにより、各20分程度の講演が行われた。講演内容は、自国の資源ポテンシャル及び鉱業関連法規・税制の整備、地質データ整備・提供等の鉱業分野における外国投資促進政策の推進による投資環境の向上などを中心としたもので、各国がほぼ共通した内容であった。外国投資促進政策の進捗度は国によりかなりの差はあるが、これは主としてIMF、世銀の支援の下、アフリカ諸国において1990年代後半から本格的に始まった外国投資促進政策が、ガーナ、タンザニア等のある程度の成果が上がってきている国を手本としつつ、同様の政策路線をとることが、現在までにかなりの国に浸透・拡大してきていることが見て取れる。パネル会議参加者は一部の国では立席になるなど、昨今のアフリカにおける探鉱活動の活発化が反映され、非常に活況を呈したものとなった。講演を行った国は25か国で国名は以下のとおり。

コンゴ民主共和国(DRC)、マリ、モザンビーク、ガーナ、ナイジェリア、エジプト、ザンビア、タンザニア、シエラ・レオネ、アルジェリア、モーリタニア、ジプチ、エリトリア、リベリア、ボツワナ、アンゴラ、ナミビア、マダガスカル、ウガンダ、ジンバブエ、セネガル、マラウィ、ブルキナ・ファソ、コンゴ共和国、ソマリランド 

 また、これらの国のうちボツワナ、DRC、マリ、ナミビア、マダガスカル、モーリタニア、ガーナ、タンザニアなどは展示ブースも構え、また、国によっては個別ミーティング用の会議室を確保するなど、積極的に自国の鉱業セクターのプロモーション活動を行っていた。

 
5. おわりに

  かつてアフリカは資源埋蔵ポテンシャルが高いと言われる一方で、政治及び安全保障環境未整備のため一部の地域を除いては探鉱投資がなされていなかった。しかしながら、金属全般にわたる中国などの経済高成長国の需要増大などによる価格の高騰を背景に、治安状況の回復、投資環境の整備などを理由にアフリカにおける探鉱投資は右肩上がりの局面になっている。非鉄メジャーのみならず、金属価格高騰をバックボーンとし資本市場から比較的容易に資金調達が可能なことに支えられたジュニア企業による探鉱活動、あるいは、銅におけるFirst Quantum社の事業展開などを参考に、ジュニア企業自ら生産者となる活動も含めてさらなる活発化が予想され、加えて、昨今の需要の伸びが著しい国、中国、インド資本によるザンビア銅鉱山への投資の例に代表されるように、自らの資本によるアフリカへの探鉱開発投資も加わり、様々なプレイヤーによる投資活動が今後も持続的に増大していくものと予想される。今回のINDABA会議はこのような状況が反映され、冒頭にも述べたように過去最大級の規模となったが、1年後のこの会議がどのようなものになっているかが注目される。

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