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報告書&レポート

2006年4月20日 リマ事務所 西川信康 e-mail:ommjlima@chavin.rcp.net.pe
2006年22号

ペルーで本邦企業による2つ目の鉛・亜鉛鉱山が誕生-ペルー・パルカ鉱山開山式参加報告-


1. はじめに

 現在、亜鉛鉱石市場は中国が亜鉛鉱石輸出国から輸入国に転じたことを契機に、世界的に亜鉛鉱石不足が深刻化しており、これを受けて、亜鉛の国際価格も高騰を続けている。
 このような状況下、さる3月19日、ペルーにおいて、1968年以来サンタルイサ鉱業(三井金属鉱業株式会社70%、三井物産30%)が操業しているワンサラ鉱山の近傍に新たな亜鉛鉱山(パルカ鉱山)が誕生した。当職はこの開山式に出席する機会を得たので、その概要を報告する。
 なお、本鉱山の発見は当機構(当時の金属鉱業事業団)が実施した海外地質構造調査による探鉱結果が大きく寄与しており、当機構の大きな成果の一つであると評価される。
 

2. パルカ鉱山の位置


 リマの北方約220km(道程約440km)にあるワンサラ鉱山南方約40kmの標高3,800~5,000mに達するアンデス山系に位置する。なお、リマからの車両による所要時間は、ワンサラ鉱山まで約7時間半、ワンサラ鉱山からパルカ鉱山までは約1時間半である。

パルカ鉱山位置図




3. 開山式の概要


 本鉱山開山式は、3月19日(日)11:00~14:00にパルカ鉱山事務所前広場に仮説テントを設置し、日本側から三井金属鉱業株式会社須永副社長(金属・環境事業本部本部長)、サンタルイサ鉱業・佐藤社長他、10数名、ペルー側からは地元有力者、地元住民約300名の参加のもと、前日までの雨も上がり快晴の中、開催された。
 プログラムは、日秘両国の国旗掲揚、国家斉唱に始まり、Turin鉱山長をはじめとする会社幹部によるスピーチ、地元牧師によるミサ、昼食をとりながらの地元住民による歓迎舞踊などで、関係者のスピーチでは、12年間にわたる探鉱開発に携わった鉱山関係者、地元住民の理解、協力のもと、今日の開山式に至ったことへの深謝及び今後も環境対策、地元住民との共存共栄を図りながら鉱山を安全に効率的に操業していくことが述べられた。
 

4. パルカ鉱山の概要

 ・権益
三井金属鉱業株式会社100%。なお、同鉱山の操業は、サンタルイサ鉱業が三井金属鉱業から粗鉱権を得て実施。
 ・鉱量
約300万t(亜鉛品位約12%、鉛品位約1%)。なお、現在、上部を鋭意探鉱中で、さらなる鉱量拡大が期待されている。
 ・生産量
約500t/日(ワンサラ鉱山のスタート時と同様の量)。年間亜鉛精鉱31,400t(地金換算約16,000t/年)の生産を予定。鉱石はワンサラ鉱山に運搬し、同鉱山の選鉱場など既存整備を活用し処理。精鉱はほぼ全量を日本へ輸出する予定。

5. JOGMEC支援制度の実績

 本鉱山開発の初期の探鉱段階において、当機構(当時の金属鉱業事業団)による海外地質構造調査(ペルー中部地域)が実施された。主な調査内容は以下のとおり。

   (1)1994年度: 地質調査(調査ルート長:67.3km)、物理探査(ELF-MT法:176点)
ボーリング調査(6孔、1,500.6m)
   (2)1995年度: ボーリング調査(5孔、1,500.0m)
   (3)1996年度: ボーリング調査(4孔、2,100.0m)
   (4)1999年度: ボーリング調査(4孔、2,003.3m)
   (5)2000年度: ボーリング調査(3孔、910.35m)、坑道調査(160.05m)

 これらの結果から、本地域の石灰岩層にスカルン化変質帯に伴う大規模な鉛・亜鉛鉱化帯を発見。その後、三井金属鉱業による探鉱・開発工事が実施され、今回の開山に至る。

6. 感想

 今回の開山式は、地域住民との関係を重視したもので、パルカ鉱山関係者、地元住民(複数の集落からなる)を中心とした家族的かつ和やかな雰囲気でとり行われ、地元住民もパルカ鉱山の誕生を心から歓迎している様子が印象的であった。
 昨今、持続可能な鉱山開発要請と地域住民問題の高まりを受けて、鉱山会社は、地域住民とのコミュニケーションを重視し、各種の対策を講じている。ペルーでは、最近、地域住民が環境汚染への懸念や地元への利益還元に対する不満等から反鉱山開発の動きが顕在化し、企業側は探査事業からの撤退や鉱山操業の停止に追い込まれるケースが頻繁に起こっている。本鉱山はサンタルイサ鉱業社が中心となり、探鉱活動と並行して、早くから地元住民とのコミュニケーションを密に図りつつ、地元住民の理解、協力を得て、ようやく実を結んだもので、これも、同社によるワンサラ鉱山操業の長い歴史の中で培ってきた実績や信頼がベースにあったものと思量される。改めて、関係者の長年のご努力、ご尽力に敬意を表するとともに、パルカ鉱山が順調に操業、発展し、ペルー及び地域住民の経済発展、生活向上に資すること、さらに、日本への亜鉛鉱石の安定供給に貢献されることを祈念する次第である。

開山式の状況

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