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報告書&レポート

2006年5月25日 ロンドン事務所 オーウェン溝口佳美 e-mail:mizoguchi@jogmec.org.uk
2006年33号

国際銅研究会第14回総会参加 概要報告-国際銅市場は2006年供給過剰も、2007年は縮小へ-

 国際銅研究会第14回総会(総会議長は、朝日資源エネルギー庁鉱物資源課長)が、2006年4月27日~28日、ポルトガル(リスボン)において開催された。
 今回の会合は3研究会事務局統合後、初めての会合で、加盟19か国・地域、オブザーバーとしてオーストラリア、イラン、ナミビア、スウェーデンが参加、銅関係の民間企業(日本側の民間としては、パンパシフィックカッパー(株)、三菱マテリアル(株)、日本鉱業協会)が参加し、銅の需給の現状と展望、産業動向、環境問題等について、審議された。
 国際銅研究会第14回総会の概要は以下のとおり。

1. 統計委員会

(1) 2006・2007年の世界の銅需給見通し
 2006・2007年の銅需給について議論され、以下のコンセンサスが形成された。
 2006年の銅鉱山生産は、前年比606千t増の15,480千t(+4.1%)、2007年は、前年比816千t増の16,296千t(+5.3%)が見込まれると予測。
 2006年銅地金(1次+2次)生産は、前年比1,112千t増の17,558千t(+6.8%)。2007年は、前年比631千t増の、18,189千t(+3.6%)と予測。
 銅地金消費は、2005年が前年比1.3%減となったが、2006・2007年は5%弱の増加を見込んでおり、2006年は、前年比804千t増の過去最高の17,314千t(+4.9%)と予測。これは主にアジア地域(約6%増)が貢献、EUは2.5%増であるとの予測がなされた。2007年は、前年比820千t増の18,134千t(+4.7%)と予測。
 以上のことから、2006年の銅地金需給バランスは、244千tの供給過剰を見込み、2007年も、約55千tの供給過剰と予測。

   表1.世界の銅需給予測(2004年‐2007年)
(単位:千トン)
 
2004
2005
2006
2007
05/04 増減
06/05 増減
07/06 増減
鉱山生産
14,507
14,874
15,480
16,296
2.5%
4.1%
5.3%
地金生産
15,823
16,446
17,558
18,189
3.9%
6.8%
3.6%
消費合計
16,725
16,510
17,314
18,134
-1.3%
4.9%
4.7%
需給バランス
-902.0
-64.0
244.0
55.0

図2 世界の銅需給バランス
図1 世界の銅生産・消費量の推移

(2) 新規プロジェクトの検討

  『ロシアにおける銅産業に関するレビュー』について新規プロジェクトとして提案がなされた。
  銅資源供給において重要であるとの観点から、国際銅加工業者協会(IWCC)事務局長のPayton氏及びチリ政府代表者より『アフリカカッパーベルト(コンゴ民主共和国、ザンビア)』に関するプロジェクトの検討要請がなされた。これに対し、事務局長は、次の研究会会合(10月予定)において、ナミビア政府からアフリカカッパーベルトについての講演を実現する意向であることを明かにした。

(3) プロジェクトの実施状況

  Ⅰ『中国銅市場研究』
 中国における銅市場と展望について、安泰科(Antaike)のWang Zhongkui氏よりプレゼンテーションが行われた。
 同社の調べに寄れば、2006年-2010年の間の中国のGDP平均年間成長率を7.5%とした場合の中国銅鉱山生産は70万t(SX-EW生産は除く)、銅地金生産は400万tに達するとの報告がなされた(本講演は、後述する「世界の銅消費における中国の影響と重要性」に関するプロジェクトの間近で実施された)。
  Ⅱ『リサイクル可能な銅スクラップにおける調査』
 同プロジェクトの近況報告として、2000年~2004年の、地域別のスクラップ消費傾向、主要スクラップ消費国等についての説明がなされた。2004年の銅含有スクラップ消費の最大消費国第一位は、中国、次いで米国、日本との説明があった。

2. 環境経済委員会

(1) 継続プロジェクトの実施状況

  本委員会では、西欧における銅リサイクル率を算定するための『Copper Flow Model(CFM)』が策定され、現在は米国の事例を参考にしたCSM策定を検討しており、その作業状況報告がなされた。現在、米国の関連業界の専門家が、銅フローモデルの方法、適用範囲、主な所見等の要約版を米国の銅スクラップ状況と照らし合わせて作業中であり、本委員会では米国のスクラップ消費、理論上のスクラップ供給状況について討議がなされ、今後はCSM策定のグローバル化についても次回の会合で紹介するとの報告がなされた。
  一次産品共通基金(UN-CFC)プロジェクトの状況と展望について、以下のような報告なされた。
 a. UNCTAD Community Based Arrangement(プロジェクト進行中。次回会合に結果報告予定。)
 b. Energy Efficiency(承認済み。インドでのワークショップ準備中。)
 c. High Pressure Copper Die Casting Technology Transfer(2006年第2四半期に開始予定。)
 d. Copper Antimicrobial Project(ザンビアにおけるプロジェクトで準備中。)

(2) 規制関連

  環境規制に関しては、事務局が実施中の『銅産業に影響を与える世界の環境規制調査』のアップデートは、2006年の第2四半期を予定しているとの報告がなされた。
 
  銅に関する環境規制の状況報告として、European Copper InstituteのTierry Gersche氏より以下の講演が行われた。
a.『銅のリスクアセスメント』
 欧州における産業界主導の自主的な銅のリスクアセスメントの進捗状況報告として、2005年5月にリスクアセスメント報告書(RAR)が提出され、今後も欧州委員会(EC)、欧州化学品局(ECB)、EU加盟国(technical committee)において討議が進行し、2007年には完了を見込んでいると報告がなされた。
b.『REACH規制』
 現在のREACH規制案は、第二読会が9月に開始され、12月には政治的合意に達することが見込まるとの報告がなされた。
c.『欧州の飲料水に関する指令の見直し』
 欧州権圏内の水道水における銅含有量は、WHOガイドラン及び銅リスクアセスメントにある人体への影響(危険レベル)と比べて低いとの報告がなされた。

3. 産業アドバイザリーパネル(IAP)

(1)本委員会の議長としてIWCCのPayton氏が選出され、承認がなされた後、研究会のIAPが2年ほど行われていなかったことから、事務局長からIAPの今後の事業活動内容についてアドバイスがなされた。本研究会のIAPメンバーが他の研究会(特にILZSG)と比較してメンバーが少ないことが指摘され、今後はメンバーを増やすこと、今後のIAP会合場所はリスボン以外の国で開催される可能性等についても議論がなされた。

(2)研究会の活動紹介

  日本メタル研究所とチリ銅委員会の資金提供により、BGRIMMの調査委託された研究プロジェクトである『世界の銅消費における中国の影響とその重要性』についてBGRIMM(北京鉱治研究総院)のLi Lan氏による講演。中国の銅産業と同国の旺盛な消費拡大を背景とした外国鉱山プロジェクト投資動向についての説明があり、今後中国の銅産業界は原料確保のために、近隣国であるインドネシア、ミャンマー、モンゴル、カザフスタン、ベトナム等、中央・南アフリカ地域、特にザンビア、コンゴ民主共和国等への投資を活発化する予定との報告がなされ、また、2006年から2010年における銅消費は、楽観的(安定された経済成長の維持を前提とした)な予測として年間平均6.2%増との予測もなされた。
  銅スクラップ供給ポテンシャル、再利用、リサイクルに関する各種作業の状況報告として、研究会のMartin Ruhrberg氏より以下のような作業報告がされた。
 a. Recycling Program(規則的な統計データ等)
 b. Recycling Rates(リサイクル率の定義について)
 c. Annual Recyclables Survey
 d. Copper Flow Model(リサイクル、市況、規制等に関するケーススタディーを検討中)
  現在の銅価格高騰が及ぼす消費への影響の深刻さに伴い、近年アルミ等への代替の動きがあることから、IWCCのPayton氏より、『価格代替の影響と銅消費が受ける潜在的影響』ついての講演がなされた。同氏によれば、IWCCは4月中旬に、銅価格が与える加工産業界への影響を伝えるための特別なミーティングをLMEと開催し、同ミーティングにおいてLMEは、現在の銅市況は市場自由化の自然な現象であり、銅価格の今後の動向を見守るしかないとコメントしたとの報告がなされた。また、産業界において懸念が高まっている代替品について、最も影響を受けるのは屋根に使用される建材、その次にエアコン、通信機使用される銅チューブ等であるとの説明がなされたが、結論としては、銅に値する質を持った代替品が無いこと、したがって銅加工製品への基本的な需要は堅調であるとの報告がなされた。

 

4. 総会・常任委員会

 常任委員会では、モンゴルの加盟国としての参加可能性が報告された。
 総会では、研究会の前回総会、今回の各会合で承認された事項の確認の後、3研究会本部の設置に関し、国際非鉄金属3研究会とポルトガル政府との間で2005年12月に取り交わされた新本部協定(Headquarters Agreement)は、同国の法手続きで可決されたことが報告された。最後に、米国、ポーランド、メキシコ、チリ、ロシア、スペイン、インド、日本の8か国の国別銅産業現状レポートが資料配布とともに説明がなされた。
 次回会合は、2006年9月28~29日にポルトガル(リスボン)にて開催する予定となった。

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