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報告書&レポート

2006年9月14日 リマ事務所 西川信康 e-mail:ommjlima@chavin.rcp.net.pe
2006年66号

ペルー、Michiquillay銅開発プロジェクト入札情報(速報)

 銅をはじめ金属価格が高止まりする中、ペルーにおける今年の大型入札案件として世界の鉱業関係者から注目されているMichiquillay銅開発プロジェクトについて、9月8日、本件を担当する投資促進庁(ProInversion)の鉱業担当責任者に本案件の入札日程、入札要領等について聴取したので、その内容を報告する。


1. 概要

  本プロジェクトサイトは、ペルー北部のカハマルカ県に属し、県庁所在地カハマルカ市の東北東47km、標高3,000m~3,600mの北部アンデス地帯にある。またトルヒージョ市のパカスマヨ港まで239kmである。鉱区面積は18,978ha。
  鉱床は金、銀を含むポーフィリーカッパー型で、過去、Asarco社(1958年~1969年)及びJICA/MMAJ・日本企業(1973年~1976年)による探鉱で、延べ159本のボーリング(総掘削進41,600m)、探鉱坑道2,500mが実施されており、その結果、鉱量は5.44億t、平均銅品位0.69%、金品位0.1~0.5g/tという結果が得られている。また、F/S調査の結果から、日産4万tの露天掘り鉱山が想定されている。
 さらに、本サイト近傍には、同じ銅鉱山開発プロジェクトであるGalenoプロジェクト(Northern Peru Copper社)やLa Carpaプロジェクト(Newmont社)が存在し、相互で共通のインフラを活用できるというスケールメリットがある。

2. 沿革

1957年 Asarco社の子会社であるNorthern Peru Mining社が鉱区を取得。
1958年~1961年 Northern Peru Mining社が探鉱を実施。
1962年 鉱区をAsarco社に移転。
1963年~1969年 Asarco社が探鉱を実施。
1970年 Asarco社鉱区を放棄し(当時のペルー政府による国有化政策の影響による)、Minero Peruに鉱区移管。
1971年 ペルー政府から日本政府に対し、本鉱山開発の協力要請。
1973年~1975年 JICA/MMAJによる探鉱(ボーリング調査、探鉱坑道等)を実施。
1973年 我が国産銅7社による共同会社ミチキジャイ鉱業会社を設立。

1973年~
1976年
ミチキジャイ鉱業会社はMinero Peruと共同作業に関する協定書を締結し、選鉱試験、インフラ調査など経済的、技術的評価を実施。その後、経済性、カントリーリスク等の問題より日本企業は撤退。

  なお、本プロジェクトの民営化はCentromin Peruにより1997年から企画され、1998年には16企業が民営化に興味を示したとされているが、銅市況の低迷などから延期されていた。

3. ヒアリングによる入札要領

  本件の入札要領は、正式には、入札公示の際に明らかになる予定であるが、今回、投資促進庁より直接聴取したところ、その概要は以下のようになる見通しである。
(1) 入札日程
  本入札要領のアウトラインはすでに固まっており、現在、内閣の承認待ちの状態で、現在の予定では、9月下旬に公示(入札要領の公表)、入札実施は12月中旬、落札企業との調印は1月になる見込み。
(2) 応札者資格
  応札者は、純資産1億$以上、粗鉱生産量1万t/日以上の鉱山操業実績を要する。
(3) 落札額の支払い時期
  落札額のうち、調印時に300~400万ドル(数字は未確定)、2年次、3年次、4年次目に残りのそれぞれ、30%、30%、40%を政府に支払う。なお、この資金のうち半分は地元の社会事業費に充当される。
(4) 投資義務
・3年以内(1年延長可能)に探鉱及びF/S調査を終了し、開発オプション権を行使するか否かを決定する。
・開発オプション権を行使する場合、500~600百万ドル(数字は未確定)以上の開発投資、あるいは4万t~5万t/日(数字は未確定)の粗鉱処理プラント建設の義務がある。
(5) 撤退条件
 探鉱段階の途中で撤退する場合、落札額からそれまでの探鉱投資額を差し引いた額の30%をペナルティとして政府に支払う。
(6) その他
・最低入札価格の発表は公示1ヶ月後(10月下旬)に行う予定。
・鉱業ロイヤルティは、既に政府が定めた同法に従って支払う。
・入札時には、入札金額を担保する保証書が必要。入札に際しては、2種類の封筒を用意し、一つには、企業情報及び保証書等を、もう一つには、入札価格書を同封する。

4. 所感

 今回のヒアリング結果から、本件の入札要領は、概ね、2005年12月に実施された「La Granj銅開発プロジェクト」と同様の内容になる見込みである。本件入札実現にあたって最大の関門とされた地元住民問題について、投資促進庁の担当者は、地元に何度も足を運び、話し合いを重ねた結果、現在では、地元市長、地元農民をはじめとする地元住民の大多数から本鉱山開発への支持を取り付けているという。但し、一部少数グループがキャンプ地を襲撃しボーリングコアを盗難するなどの事件も発生しており、こうした鉱山開発に反対する勢力が存在することも否定していない。特に、本サイトが位置するカハマルカ県は、Yanacocha鉱山などで、一部住民やそれを扇動する環境NGOによる鉱山側との根深い対立が顕在化しており、入札後の本格調査にはこうした動きに対し、十分注意を払う必要があるとともに、適切な対応が求められよう。
 いずれにしても、Michiquillay案件は、足掛け10年を経て、ようやく民営化に向けてゴールが見えてきた状況である。本プロジェクトを巡っては、今のところ、中国企業を含めた複数の大手企業が関心を示していると言われているが、本件は1970年代、ペルー政府の要請で日本の官民が共同で鉱山開発計画を策定した実績があるなど歴史的に日本との関係が深いだけに、我が国企業の積極的な入札参加への検討を期待したい。

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