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報告書&レポート

2006年10月5日 金属資源開発調査企画グループ 大久保 聡 e-mail:okubo-satoru@jogmec.go.jp
2006年72号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2006年8月号)

 1. 国際市場
 8月のLME(London Metal Exchange)の月平均価格は、銅、ニッケル、亜鉛ともに前月から上昇した。銅が1か月ぶりで下降し0.2%減の7,696US$/t、ニッケルは2か月連続で上昇し15.6%増の30,744US$/t、亜鉛は2か月連続で上昇し0.2%増の3,340US$/tとなった。
 銅は、引き続き投機資金の流入もあり、7月下旬の上昇傾向が引き続き、8月上旬まで乱高下を繰り返しつつも上昇した後、一旦下落したものの、月末には上昇傾向で終了した。
 ニッケルは、ステンレス消費の伸び、LME在庫の逼迫といった需給のタイト感による投資資金の流入等を材料に、8月中旬過ぎまで上昇しドル建て史上最高値を記録した。その後は減少傾向にあるものの、依然高い水準である。
 亜鉛は同様に、8月上旬まで上昇傾向、その後、8月半ばまで下降傾向にあったが、その後再び、上昇傾向に転じるという乱高下を繰り返した。

平均価格(cash settlement,US$/t)
在庫(t)
2006年7月
2006年8月
前月比
2006.7.31
2006.8.31
増減
Cu
7,712.10
7,695.66
-0.2%
97,450
125,350
+27,900
Ni
26,586.19
30,743.64
+15.6%
4,128
5,172
+1,044
Zn
3,339.86
3,347.30
+0.2%
185,175
173,500
-31,975

LME月平均価格の推移

2. 需給動向

2006年1~6月の需給状況
(出典:国際銅・ニッケル・鉛亜鉛研究会)
   
鉱山生産
地金生産
地金消費
需給バランス
(t)
1~6月(t)
前年同期比
1~6月(t)
前年同期比
1~6月(t)
前年同期比
Cu
7,175,200
+0.1%
8,493,900
+6.1%
8,480,600
+2.6%
+13,300
Ni
731,000
+7.8%
659,800
+2.2%
665,900
+3.6%
-6,100
Zn
5,108,000
+4.7%
5,244,000
+2.0%
5,387,000
+2.4%
-143,000


2.1銅
【需要】
 2006年1~6月の世界消費は、前年同期比2.6%増の8,481千tであった。月別の世界消費は、2006年3月は1,439千t、4月は1,419千t、5月は1,466千t、6月は1,436千tと小幅な動きで推移している。国別では、最大消費国中国が前年同期比8.1%減、5位韓国3.9%減だったが、2位米国2.5%増、3位日本7.0%増、4位ドイツ18.3%増となり、全体として増加した。
【供給】
 2006年1~6月の鉱山生産は前年同期並(0.1%増)の7,175千tであった。月別の鉱山生産は、2006年3月は1,226千t、4月は1,196千t、5月は1,253千t、6月は1,227千tと推移している。国別では、最大生産国チリが前年同期比2.8%増、2位米国が1.6%減、3位ペルーが5.5%増、5位豪州が2.4%増となった。鉱山の設備稼働率は、2006月3月85.9%、4月86.4%、5月87.5%、6月88.4%と回復傾向にあるが、比較的低い水準にある。
 2006年1~6月の地金生産は前年同期比6.1%増の8,494千tであった。月別の地金生産は、2006年3月は1,448千t、4月は1,412千t、5月は1,441千t、6月は1,442千tと小幅な動きで推移している。国別では、2位チリが2.8%減だったが、最大生産国の中国が前年同期比21.4%と大幅増、3位日本11.0%増、4位米国4.5%増、5位ロシア3.4%増と世界的な増加傾向により全体では増加した。製錬所稼働率は、2006月3月82.7%、4月83.3%、5月82.0%、6月84.7%と比較的低い水準で推移している。
【需給バランス】
 2006年1~6月の需給バランスは、13千tの供給過剰となった。2006年3月は8千tの供給過剰であったが、4月は7千t、5月は25千tの供給不足となっている。6月には再び6千tの供給過剰となっている。季節調整後の需給バランスは3月は50千t、4月は26千tの供給過剰、5月は8千tの供給不足になったが、6月に再び47千tの供給過剰となっている。LMEの銅在庫は、4月末に約118千t、5月末に約112千t、6月末に約94千tと減少傾向であったが、7月末97千t、8月末125千tと回復傾向にある。
【価格】
 7,871US$/tでスタートした8月のLME銅価格は月上旬は乱高下を繰り返しつつも上昇傾向にあり、8月10日に8,070US$/tに達した。その後、下降傾向に転じ、8月29日に7,421US$/tまで下落し、その後再び上昇して7,647US$/tで終了した。
 
2.2 ニッケル
【需要】
 2006年1~6月のニッケル消費は665.9千tで、前年同期比3.6%の増となった。消費量第1位の中国は14.6%増、第3位の米国は8.9%増であったが、第2位日本は5.4%の減、第4位ドイツは1.4%の減、第5位韓国は8.6%の減であった。
【供給】
 2006年1~6月のニッケル鉱石生産は731.0千tで、前年同期比7.8%増となった。最大生産国のロシアは2.6%増、第2位カナダは28.6%と大幅増、第4位のインドネシアは22.2%の大幅増となり、第3位豪州は1.4%減、第5位ニューカレドニアの10.4%の減を補った。
 2006年1~6月の一次ニッケル地金生産は659.8千tで、前年同期比2.2%の増となった。最大生産国ロシアは0.9%の微増、第2位の日本は1.2%増、第3位カナダは9.3%の増、第5位中国は4.0%の増となったが、第4位豪州は7.9%の減であった。
【需給バランス】
 2006年1~6月の需給バランスは、6.1千tの供給不足となっている。ニッケルのLME在庫は、6月末には9.9千tから、7月末に4.1千tまで減少したが、8月末には5.2千tと若干回復傾向にある。
【価格】
 28,400US$/tでスタートした8月のLMEニッケル価格は8月中旬過ぎまでは上下を繰り返しつつも上昇傾向にあり8月24日にドル建て史上最高値34,750US$/tまで達した。その後は下降傾向となり、8月31日に31,500US$/tと依然高い水準で終了した。
 
2.3亜鉛
【需要】
 2006年1~6月の世界消費は前年同期比で2.4%増の5,387千tであった。3位日本が5.2%減、4位ドイツが前年並みとなったが、最大消費国の中国が9.9%増、2位の米国が8.4%増、5位の韓国が6.5%増となり全体として増加した。
【供給】
 2006年1~6月の鉱山生産は、前年同期比で、4.7%増の5,108千tであった。3位ペルーが7.5%減、5位カナダが10.6%減となったが、最大生産国の中国が15.3%増、2位豪州が3.1%増、4位の米国が3.9%増となり全体として増加した。
 2006年1~6月の地金生産は、前年同期比で、2.0%増の5,244千tであった。2位カナダが前年並み、4位日本が10.6%減、5位スペインが前年並みとなったが、最大生産国の中国が10.6%増、3位韓国が8.1%増となり全体として増加した。
【需給バランス】
 2006年1~6月の需給バランスは、いずれの月も供給不足であった。この期間の需給バランスは143千tの供給不足となった。引き続き供給不足の傾向が継続しており、LME在庫は2006年6月末に217千t、7月末に185千t、8月末には174千tと減少傾向にあり、依然低い水準にある。
【価格】
 3,390US$/tでスタートした8月のLME亜鉛価格は、8月を通じて乱高下を繰り返した。8月10日には8月の最高値3,450US$/tに達した。その後は下降傾向にあり8月16日には3,260US$/tまで下落した後、上昇傾向に転じた。8月24日には3,392US$/tに達し、再び下降傾向に転じ8月31日に3,330US$/tで終了した。

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