閉じる

報告書&レポート

2006年10月19日 シドニー事務所 永井正博、久保田博志 e-mail:masahiro-nagai@jogmec.net kubota-hiroshi_1@jogmec.go.jp
2006年78号

北部準州(Northern Territory)の鉱業事情

 北部準州は、McArthur River鉱山の鉛・亜鉛、Gove鉱山のボーキサイト、Groote Eylandt鉱山のマンガン、Ranger鉱山のウランなどの世界的規模の鉱床を有している。
 本稿では、2006年8月20-24日、AusIMM主催の「6th International Mining Geology Conference」が開催され、McArthur River鉱山とRanger鉱山を訪問する機会を得たので、両鉱山の最近の状況を報告するとともに、北部準州の鉱山開発状況・探鉱状況について報告する。

1. はじめに

 北部準州(Northern Territory)は準州であり、連邦政府の管轄下にある。オーストラリアは、1901年に6つの英国植民地が連邦制へ移行したが、州としての権限はオーストラリア憲法で定められた州にだけ与えられている。1978年、北部準州は連邦議会の法律により自治権を与えられたが、準州政府の権限は限られ、法律制定の権限がないほか、一部の政府機能は連邦政府によって管理されている。
 北部準州の面積は2,529,224km2、オーストラリア全土の1/6を占めるが人口は204千人で1%に過ぎない。半数以上が州都のダーウィンに住み、オーストラリア大陸の中心部にあるアリススプリングスに13%が住んでいる。
 2003/2004年度の州のGSP(Gross State Product)は9,494百万A$(対前年比3.5%増)でオーストラリアのGDPの1.2%に当たる。2003/2004年度の北部準州の1人当たりのGSPは47,783A$でオーストラリアの1人当たりのGDPより7,136A$高い。これは、オーストラリア統計局(ABS)がGSPの推定を始めた1989/1990年度以来続いている。

2. 北部準州の生産動向

 北部準州の鉱業は、州経済の主要な産業としての役割を担っており、収入は、毎年25億A$にのぼり、直接鉱業に従事する人は、4,600名である。
 オーストラリアの鉱物とエネルギー資源の生産は、2006年第1四半期に対前期比でマイナスとなったが、北部準州の生産は、ほとんどの鉱産物(鉛・亜鉛、金)で同じ水準を維持している。ボーキサイトは前期の1,590tから1,163tへと減少した。マンガンも少々減少したが、オーストラリアの77%の生産を維持している。

図-1 主要鉱産物の各州の生産割合
出典 ABARE, Australian Mineral Statistics:06.2 June Quarter

3. 北部準州の探鉱動向

 オーストラリア全体の探鉱支出は、2001/2002年度を底として上昇しているが、北部準州の探鉱支出額は、2004/2005年度にやや増加したものの1995/1996年度以降減少傾向にあり、この結果、北部準州のオーストラリアにおける探鉱支出比率は低迷している。

図-2 北部準州の探鉱支出と探鉱支出比率の推移
(出典 NT Government, NT and Australia Mine Exploration Expenditure 1988/89-2004/05)

4. 北部準州の資源開発の現状

 北部準州にはMcArthur River鉛・亜鉛鉱床、Goveボーキサイト鉱床、Groote Eylandtマンガン鉱床、Rangerウラン鉱床などの、世界的規模の鉱床がある。この他、北部準州には、現在(2006年9月)、Tom’s Gully、Callie、White Range金鉱山、Redbank銅鉱山、Peko Talingsの金銅鉱山、Bootu Creeknoマンガン鉱山の10の金属鉱山が稼行中である。
 以下に、北部準州の主要稼行鉱山について述べる。

図-3 北部準州の鉱山・探鉱プロジェクト位置図 (出典:NT Government, DPIFM, Potential Mining developments in the Northern Territory, March 2006)

(1) McArthur River(Zn,Pb)
Ⅰ.位置:ダーウィンの南東750km、Carpentaria湾近傍
Ⅱ.権益:Xstrata社100%
Ⅲ.資源量:100百万t
Ⅳ.品位:Zn10%、Pb5%
Ⅴ.開発概要:McArthur River鉱山は、MIM社75%、ANT社(日鉱金属、三井物産、丸紅)25%のJVで、世界的規模の亜鉛・鉛坑内掘鉱山として1994年末に操業を開始した。2003年にXstrata社がMIN社を買収し、2005年にはANT社の権益25%も買取った。(日鉱金属他撤退)

 2005年8月、Xstrata社は、McArthur River鉱山を坑内掘から露天掘に変更するという開発計画を提出した。計画では、採掘能力を1.6百万t/年から1.8百万t/年に拡大し、更に鉱山寿命が25年延長される。鉱石処理は、現行のプラントで実施され、新しい製錬所を建設する計画はない。同年8月に環境影響ステートメント(Environmental Impact Statement:EIS)が北部準州環境庁(NT Environmental Protection Agency:EPA)に提出された。当初計画は5.5kmにわたるMcArthur川の流路切替えを伴っており、数多くの環境関心事を呼び起こした。このため、北部準州環境担当大臣は、2006年2月、露天掘り採掘計画を持続可能な開発ではないとして却下した。鉱山エネルギー大臣は3月20日、Xstrata社による計画の見直しと環境庁による再評価を求め、2006年8月28日、環境担当大臣が露天掘への移行を認める環境影響評価の結果を鉱山エネルギー大臣に報告した。
 今回の許可に当たり、鉱山側に閉山後の環境対策として50~100百万A$の保証金(Environmental Security Bond)の拠出が条件となっている。Xstrata社は、もし、鉱山が露天掘りに変更されなければ、300人の雇用者がいる鉱山を2006年内には閉山しなくてはならないとしていた。
 
(2) Ranger(U)
Ⅰ.位置:ダーウィンの東250km、Kakadu国立公園内Jabilu
Ⅱ.権益:ERA (Energy Resources of Australia)社100%
Ⅲ.資源量:32.9百万t
Ⅳ.品位:2.4kg/t U3O8
Ⅴ.開発概要:1969年ウラン鉱床発見、1981年ウラン生産開始、1981年Kakadu国立公園世界遺産登録、1994年Ranger露天掘No1終了しNo3開始、2000年Rio Tinto、ERA社を買収。

図-4 McArthur River鉱山 「試験採掘」ピットB

 2004年の探鉱の結果、埋蔵量が1,303t(U3O8含有量)増加し5,920t(U3O8含有量)となった。また、2004年3月、給水系施設において放射線漏洩の事故があり、2005年に28百万A$かけて水処理施設を完成させた。ウラン価格が2004年13.68US$/lbから2005年16.00US$/lbに上昇したため、採掘品位を0.12%から0.08%に下げることができ、鉱山寿命が延び、当初2008年採掘終了の予定が2014年までの操業が可能になった。

(3) Toms Gully Mine(Au)
Ⅰ.位置:Pine Creek
Ⅱ.権益:Renison Consolidated Mines
Ⅲ.資源量:2.26百万t
Ⅳ.品位:Au 7.2g/t
Ⅴ.開発概要:Renison社は、現在、Quest 29で、Heap Leach Gold鉱山の操業をし、Toms Gully鉱山の近くで金処理をしている。2005年10月にRenison社は、Toms Gully鉱山で地下の金鉱床にアクセスするため斜坑の掘削を開始した。採掘は2006年2月4日に開始され、また、250,000t/年のCarbon In Leachプラントを改装し、アップグレードした。Toms Gully鉱山の寿命は5年と見込まれ、採掘量と処理量は1.2百万t/年、Au 7.2g/tで金45,000oz/年を生産する。2006年3月に同社は概則鉱物資源量(Indicated)を169,000ozから369,000ozへと118%の増加を公表した。これにより著しく鉱山寿命が延長される。
 

図-5 Ranger鉱山 露天掘採掘場

(4) Alcan Gove(Bauxite)
Ⅰ.位置:Gove半島、Nhulunbuy
Ⅱ.権益:Alcan Gove Pty Ltd.
Ⅲ.資源量:Bauxite 195百万t
Ⅳ.品位:Al2O3 50%
Ⅴ.開発概要:Alcan Goveは、大きな露天掘ボーキサイト鉱山とアルミナ精錬所からなり、ボーキサイトとアルミナ、水酸化アルミを輸出している。鉱山は約2030年までの鉱山寿命を持っている。Alcan社は、ボーキサイトの生産を増加させるとともにアルミナ生産を75%増の3.5百万tとしようとしている。拡張計画は、完成まで3年間かかり、2007年から新しい生産ラインが開始する。また、2003年半ばに、Woodside Energyは、Alcan Gove に天然ガスを20年間にわたってBonaparte GulfのBlacktipガス田から供給する契約を結んだことを公表している。
 
(5) GEMECO(Groote Eylandt)(Mn)
Ⅰ.位置:Groote Eylandt島
Ⅱ.権益:Groote Eylandt Mining Company Ltd.(BHP Billiton 60%, Anglo American 40%)
Ⅲ.資源量:173.4百万t
Ⅳ.品位:Mn 47.1%
Ⅴ.開発概要:GEMCO鉱山は鉱山寿命が推定2032年まであり、オーストラリアで最大最良のマンガン鉱山である。鉱石が高品位なのは鉱床自体が良質で鉱山の品質管理がしっかりしているからと考えられている。
 
(6) Bootu Creek Manganese(Mn)
Ⅰ.位置:Tennant Creek area
Ⅱ.権益:OM Holdings Pty Ltd.
Ⅲ.資源量:12.72百万t
Ⅳ.品位:Mn 26.0%
Ⅴ.開発概要:Tennant Creek の北のBanka Stationに位置している。控えめにみて生産は年間30万t~40万tで、鉱山寿命は20年と見られている。2006年6月に最初の船積みが行われ30,700tのMnが出荷された。OH Holding社は、東アジアの鉄鋼業で使われるフェロアロイ用のマンガン生産を計画している。
 
(7) Peko Tailings(Au,Cu)
Ⅰ.位置:Tennant Creek area
Ⅱ.権益:Peko Rehabilitaion Project
Ⅲ.資源量:N/A
Ⅳ.品位:N/A
Ⅴ.開発概要:Peko Rehabilitaion Projectは、Tennant Creekの東部の旧Peko鉱山からの約3.9百万tのテーリングダムの撤収の承認を受けている。プロジェクトは、6~7年かけてテーリングからの金、銅、コバルトとマグネタイトを抽出する。マグネタイトプラントの建設は完成し、生産は2006年半ばに始まる。金、銅、コバルト抽出プラントの建設は、プロジェクトの資金確保を条件に、2006年の後半から開始する。テーリングダムの撤収操業は旧Peko鉱山の復旧事業という結果になる。
 
(8) Redbank(Cu)
Ⅰ.位置:Burketownの西北西201km
Ⅱ.権益:Redbank Mines Ltd.
Ⅲ.資源量:4.2百万t
Ⅳ.品位:Cu 1.53%
Ⅴ.開発概要:Redbank鉱山は、産出した銅を400km離れたMcArthur River鉱山に運びXstrataに売却している。2006年第1四半期の生産はサイクロンによって計画の変更を余儀なくされた。9,000tの高品質の鉱石を処理できる新しいリーチングバット(leaching vat)が設置され、銅生産増に貢献すると期待されている。
 
(9) Callie(Au)
Ⅰ.位置:Tanamiの南南東64km
Ⅱ.権益:Newmont Mining Corporation
Ⅲ.資源量:22百万t
Ⅳ.品位:Au 6.1g/t
Ⅴ.開発概要:露天掘と坑内掘で採掘。生産量は436,000oz/年でオーストラリア第4位。Newmontは1,000m以下のWilsonとFederationの富鉱部を探査のターゲットにしている。また新たにWilsonの富鉱部への地表からのボーリングで1,500m地点で金の鉱化作用を捕捉している。
(10) White Range(Au)
Ⅰ.位置:Alice Springsの東130km
Ⅱ.権益:Orex Mining Ltd.
Ⅲ.資源量:540千t
Ⅳ.品位:Au 4.2g/t
Ⅴ.開発概要:1990年代に操業されたWhite Range 鉱山の捨石、約2百万tのヒープリーチ(heap leach)プロジェクト。2006年第2四半期のリーチングによる生産は192oz。

5. 北部準州の資源探査の現状

(1) Tiwi Mineral Sands(Zn,Ti)
Ⅰ.位置:Darwinの北120km Melville島
Ⅱ.権益:Matilda Minerals Ltd.
Ⅲ.資源量:2,496千t
Ⅳ.品位:Heavy Mineral 5.6%
Ⅴ.探査概要:Matilda Mineralsは、Tiwiでの小さなミネラルサンド(ジルコン、ルチル)の鉱山操業の開発計画書を提出した。環境大臣は、環境影響ステートメント(EIS)を準備するよう指導し、EISが提出され、パブリックコメントが2006年3月6日に締め切られた。環境影響評価は2006年5月までに終わることが期待されている。州政府の承認を条件に、開発を2006年半ばには開始する。採掘リースは2005年9月に認められている。このプロジェクトは現在、鉱山寿命3.5~4年で、107,000tのジルコンとルチル精鉱を生産する予定である。

(2) Rustler’s Root(Au)
Ⅰ.位置:Pine Creek area
Ⅱ.権益:Valencia Ventures Inc.
Ⅲ.資源量:23.87百万t
Ⅳ.品位:Au 1.0g/t
Ⅴ.探査概要:Rustler’s Roostでは、酸化鉱の金鉱石の採掘と処理が1994年~1998年に行われた。Valencia社は2003年に、鉱床の評価を再開し、資源量を拡張するための探鉱が実施された。プロジェクトは概測資源量で14.49百万t、Au 1.1g/t、予測資源量で9.38百万t、Au 1.0g/tある。Valencia社は、プロジェクトは露天掘できるスケールを持っていると考えている。FSは始まっている。

(3) Browns Project(Pb,Cu,Co)
Ⅰ.位置:Pine Creek area
Ⅱ.権益:Compass Resources
Ⅲ.資源量:70.5百万t
Ⅳ.品位:Pb 3.1%, Cu 0.85%, Co 0.12%
Ⅴ.探査概要:Compass社は、Batchelorの近くのBrown鉱床の露天掘開発提案書を提出した。鉱山は2百万tのポリメタリックな酸化鉱で、5年の鉱山寿命を持ち、銅、コバルト、ニッケルの精鉱を生産する。計画に対し公共環境報告(Public Environmental Report:PER)が、NT環境アセスメント法と連邦環境保護・生物多様性管理法の下、求められ2005年11月に提出された。NT州環境大臣は地上水のモデリングを始めとする追加情報を要求している。環境影響評価は2006年4月に完成する見込み。州政府の承認を条件に、2006年後半~2007年前半に生産開始が計画されている。

(4) Burnside Project(Au)
Ⅰ.位置:Pine Creek area
Ⅱ.権益:GBS Gold International Inc.
Ⅲ.資源量:5.82百万t
Ⅳ.品位:Au 4.4g/t、Au 840,000oz
Ⅴ.探査概要:2005年第3四半期に、GBS Goldは公開入札でNorthern Gold NLを完全に買収することに成功した。GBS GoldはBurnside Projectの100%の経営権を獲得した、これは、Union Reefの2.8百万t/年の金プラント、様々な鉱山、鉱山関係インフラ、いくつかの金鉱床を含んだ探鉱鉱区、採掘鉱区を含んでいる。Burnsideは、精測資源量、概測資源量で5.82百万t、Au 4.4g/t、金840,000ozある。GBS GoldはPine Creekの金鉱床から派生した金鉱石を処理するために、Union Reef鉱山を2006年後半には再開することを提案している。これは、Pine Creekの金鉱床地帯にメインの鉱山を再び確立することになる。鉱山経営計画は2006年中ごろには政府に提出するため準備中であるが、再開されれば、100名は雇用することになる。

(4-2) Cosmo Deeps(Au)
Ⅰ.位置:Pine Creek area
Ⅱ.権益:Northern Gold NL
Ⅲ.資源量:7.5百万t
Ⅳ.品位:Au 2.0g/t、Au 32.3t
Ⅴ.探査概要:Northern Gold社とHarmony社の50:50のBurnside JVとしてZapopan金鉱山の近傍で探鉱開始。その後Northern Gold社はGBS Gold社に買収され、GBS Gold社はCosmos Deep鉱床へのボーリングで、コア長16.4m、Au 5.9g/t、コア長5.8m、Au 10.4g/tを含む金の鉱化作用を捕捉した。

(5) Mt Porter Mine(Au)
Ⅰ.位置:Pine Creek area
Ⅱ.権益:Arafura Resources
Ⅲ.資源量:355千t
Ⅳ.品位:Au 3.0g/t
Ⅴ.探査概要:Arafura Resourcesは、Pine Creek近くのMt Porterで、露天掘の小さな金鉱山開発を提案している。資源・環境・遺産大臣は、開発計画を認めるに当たり、公共環境報告書(PER)を準備するよう指導した。PERは2006年前半には提出される。プロジェクトは概測資源量(Indicated)で、300,000t、Au 3.1g/t、予測資源量(Inferred)で55,000t、Au 3.0g/t。操業計画は、GBS GoldのUnion Reef鉱山再開提案と同様に、実現しそうであり、金鉱石処理も計画している。

(6) France Creek Mine(Fe)
Ⅰ.位置:Pine Creek area
Ⅱ.権益:Territory Iron Ltd.
Ⅲ.資源量:3.4百万t
Ⅳ.品位:Fe 61%、Fe金属量2,008千t
Ⅴ.探査概要:2005年11月、Territory Iron Pty Ltd.は、Pine Creek近くのFrances Creekでの鉄鉱山開発提案書を提出した。提案は、NT環境アセスメント法により、環境保護局に照会された。環境大臣は、プロジェクトは、公共環境報告(PER)のレベルで正式の環境影響評価が必要とされることを決定した。環境影響評価の審査は約3~4か月かかると見込まれている。広範囲なボーリングが2005年後半に終了し、Frances Creekの資源量はFe 60.6%で合計6.8百万tと倍増した。現在、2006年後半に、鉄鉱石(約百万t/年)の生産開始を意図しており、実現すれば2007年前半にダーウィンまで鉄道輸送され新ダーウィン港から輸出されることになる。

(7) Maud Creek Mine(Au)
Ⅰ.位置:Katherine
Ⅱ.権益:GBS Gold International Inc.
Ⅲ.資源量:5.6百万t
Ⅳ.品位:Au 4.5g/t、Au 25.1t
Ⅴ.探査概要:GBS Goldは、Terra Gold Mining LtdのKatherineの近くのMaud Creek鉱区を獲得した。会社は2007年半ばに露天掘の酸化金鉱床の開発計画を提出する。坑内掘の硫化鉱の金開発は評価中である。鉱石を処理のためUnion Reefに運ぶことを計画している。開発計画のための公告(Notice of Intent: NOI)は、2006年後半に第一次産業水産鉱業省(Department of Primary Industry, Fisheries and Mines:DPIFM)に提出される見込み。鉱山開発は、2007年半ばに計画されている。最近のボーリングは、資源量を増加させ、概測資源量で、9.3百万t、Au 3.1g/t、金935,000ozを含んでいる。

(8) Spring Hill (Au)
Ⅰ.位置:Pine Creek
Ⅱ.権益:Tennant Creek Gold Ltd.
Ⅲ.資源量:3.6百万t
Ⅳ.品位:Au 2.3g/t、Au 8.3t
Ⅴ.探査概要:Tennant Creek Goldは、Pine Creek の近くのSpring Hillで露天掘の小さな金鉱山開発を計画している。会社はDPIFMと最初の議論をしており、プロジェクト地域をカバーする採掘リースを申請している。

(9) Merlin Diamond Mine(Diamond)
Ⅰ.位置:ダーウィン南東750km(McArthur River鉱山近傍)
Ⅱ.権益:North Australian Diamonds
Ⅲ.資源量:19.1百万t
Ⅳ.品位:0.17ct/t、Diamond 3,300,000ct
Ⅴ.探査概要:North Australian Diamonds (NAD)は、Carpentaria湾のBorroloola近くの Merlin Diamond鉱山を獲得した。2005年半ばに、ステージ1として、選考場の初期処理を開始した。試験操業は、キンバーライトからダイアモンドを取出すための手順を確認する。ステージ2では、様々なミルのオーバーサイズと硬くてはねられた鉱石と採掘場に残った鉱石の様々な手順の処理である。ステージ3と4で、Palomides-Sacramoreの採掘場の資源の開発とMerlin鉱山の資源開発を行う。

(10) Juno Mine(Au)
Ⅰ.位置:Tennant Creek area
Ⅱ.権益:Strata Mining Corporation Ltd.
Ⅲ.資源量:2.3百万t
Ⅳ.品位:Au 7.0g/t
Ⅴ.探査概要:Strata社は、Tennant Creekの旧Juno鉱山の再開を提案している。古いボーリングデータの再評価は、魅力的な資源が依然として富化された地帯の残存部とM10鉱床に存在していることを示している。Strata社は2006年に、予想される資源量を確認するためのコアボーリングを行うことを提案している。ボーリングが成功すれば、Strata社は、開発計画を提出する。Strata社はCentralian Mineralと議論をはじめており、その後、管財人とWarrego CILプラントによる鉱石処理に関して議論をする。

(11) Oberon Deposit(Au)
Ⅰ.位置:Tanamiの南南東(Callie鉱山近傍)
Ⅱ.権益:Newmont Australia
Ⅲ.資源量:1.6百万t
Ⅳ.品位:Au 3.1g/t
Ⅴ.探査概要:Newmont Australiaは、Oberon 鉱床の開発の準備中である。鉱床はGranites鉱山の約45km北西で、Rabbit Flatsの12km南西にある。計画は露天掘鉱山で、資源量約1.6百万t、Au 3.1g/tの金鉱床で2年以上にわたり採掘される。45km離れた現存するGranites鉱山に鉱石処理のため運ばれる。開発計画は2006年半ばまでに提出される。NewmontはTanamiで大規模な探査プログラムを実施しており、Callie鉱山では深いボーリングにより資源量と鉱山寿命を拡大している。

(12) Nolans Bore(RE)
Ⅰ.位置:Alice Springsの北135km
Ⅱ.権益:Arafura Resources Ltd.
Ⅲ.資源量:5.81百万
Ⅳ.品位:P2O5 16.5% P2O5 958,000t
Ⅴ.探査概要:Arafuraは、Nolans Bore鉱区の探鉱を実施している。2005年のボーリングプログラムは資源量を3倍にし、地質的解釈によると鉱化作用ゾーンが走向方向と深部に広がって、資源のポテンシャルが増加することを強調している。
現在の鉱物資源量は、レアアース(RE) 3.1%、P2O5 14%、U3O8 0.47%で、18.6百万tある。Nolans Boreは、575,000tのREO、2.6百万tのP2O5と8.7百万ポンドのU3O8により、世界標準でみても大鉱床と考えられる。さらなる探査と開発のためのFSは進行中である。

(13) Molly Hill Mine(W,Mo)
Ⅰ.位置:Alice Springsの東北東約400km
Ⅱ.権益:Thor Mining PLC
Ⅲ.資源量:2.0百万t
Ⅳ.品位:Mo 0.2% W 0.5% Mo 4,000t W 10,000t
Ⅴ.探査概要:Thor Mining PLCは、古いMolly Hillタングステン・モリブデン鉱山で、小さな露天掘鉱山開発と鉱物処理を計画している。最近の探鉱とテストは資源量2,380,000t、0.54%のWO3とMoS2、0.26%の資源量のグレードアップの結果を得ている。会社は、坑内掘の試掘と製錬のテストのため、バルクサンプリングを実施している。開発計画書は、2006年中に提出される予定である。

(14) Jabiluka
Ⅰ.位置:ダーウィンの東250km、Kakadu国立公園内Jabilu (Ranger鉱山に隣接)
Ⅱ.権益:ERA(Energy Resources of Australia)社100%
Ⅲ.資源量:31.1百万t
Ⅳ.品位:U3O8 0.53% U3O8 163,000t
Ⅴ.探査概要:Jabiluka鉱床は、オーストラリア最大級、世界第3位の規模のウラン鉱床。Jabiluka鉱床の広がりはまだ確定されていないが、推定、確定埋蔵量はU3O8含有量で71,000t。U3O8 0.51%。
 Jabiluka鉱山開発に対し、先住民土地所有者からの根強い反対にあっている。ERA社は2005年2月、先住民とJabiluka Care & Maintenance協定締結をし、開発準備を進めている。

6. まとめ

 北部準州は、多種多様な鉱産物が産出し、高い開発ポテンシャルを有しているが、開発には、環境との整合性を始め、先住権(Native Title)の存在等、多くの制約要因がある。McArthur River鉱山が、坑内掘採掘では、鉱山寿命を迎えるため、露天掘採掘を計画したところ、その環境影響調査報告書が却下されたのは、その典型的な例である。
 北部準州は、先住民土地所有権(Indigenous Freehold Title)が存在している地域が広く、鉱業を実施するのには時間がかかる。なかでも、ウランという世界的に注目されている資源の開発であり、世界有数の資源量を持ちながら開発できないでいるJabiluka鉱山開発は、これらの困難な問題に直面していることが際立っている。
 Ranger/Jabiluka鉱山は世界遺産の指定を受けているKakadu国立公園内にある。同公園内には、世界遺産指定より以前に鉱区を取得していたためRanger、Jabiluka、Koongaraの鉱区が存在する。このほか、数多くのウラン鉱床有望地及び放射線探査のアノーマリーが存在するというが、世界遺産の中に新たに採掘鉱区を設定することはほとんど不可能であり、既存鉱区で未開発のJabilukaの存在は貴重である。
 McArthur River鉱山、Ranger鉱山とも北部準州経済に大きな影響を与えており、州経済が観光収入だけで成り立つとは考え難く、鉱山開発による収益も当然必要であろう。現実問題として鉱山地域の先住民もロイヤリティ収入を得ており、鉱山が閉山となれば収入源の確保がその後の大きな問題となる。
 今後も、自然保護か開発か難しい選択を迫られながら、持続可能な開発の模索が続けられることになるであろう。

出典
NT Government, DPIFM, Potential Mining developments in the Northern Territory, March 2006
NT Government, DPIFM, Top End Secret, October 2005
NT Mineral Council, A Territory for Minerals and Energy Exploration and Development ”A Snapshot 5th Ed 2004”

ページトップへ