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報告書&レポート

2006年11月16日 シドニー事務所 久保田博志、永井正博 e-mail:kubota-hiroshi_1@jogmec.go.jp masahiro-nagai@jogmec.net
2006年90号

セミナー報告「Excellence in Exploration & Mining 2006」

 10月8日~10日の3日間、シドニー市内でMining Journal誌、オーストラリア証券取引所(ASX)などの後援による探査鉱業投資セミナー「Excellence in Exploration & Mining 2006」が開催された。
 当機構は、探鉱関連情報の収集のため、また、現在、オーストラリアで実施中のJV探査事業の概要等を講演と展示ブースで紹介するため本セミナーに参加した。
 本稿では、この「Excellence in Exploration & Mining 2006」の概要を報告する。

1. はじめに

 「Excellence in Exploration & Mining 2006」はオーストラリア国内外の鉱山会社、探鉱ジュニア企業、投資銀行等が参加して毎年この時期に開催されており、2006年は最近の資源ブームの影響もあり盛況なものものとなった。特に、今回はじめて、鉱山会社、探査ジュニア企業、投資銀行などの鉱業界関係者以外の一般投資家を対象とした、公開プログラムがセミナー初日の日曜日(10月8日)用意されるなど近年の資源ブームを反映したものとなっていた。
 

2. 探査鉱業投資セミナー「Excellence in Exploration & Mining 2006」の概要

 今回の「Excellence in Exploration & Mining 2006」は、展示ブース42、講演55件、参加者数約250名に達した。
 講演者の内訳は、ジュニア探鉱企業(生産準備段階の企業含む)によるものが全体の38%(21件)、鉱山会社(生産のある企業)が25%(14件)、証券・銀行・リスク保険等の投資関係が21%(12件)、その他16%(9件)であった。講演内容は、地域別(重複あり)ではオーストラリア国内が62%(24件)、アジア太平洋地域(オーストラリアを除く)が23%(9件)、アフリカ地域が8%(3件)、北南米が5%(2件)、その他3%(1件)であった。鉱種別(重複あり)では、金19%(19件)、ベースメタル44%(24件)、そのうちニッケルが15%(8件)、その他21%(11件)であった。
 また、展示ブース42件のうち、鉱山会社が29%(12社)、ジュニア探鉱企業が50%(21社)、投資関係が10%(4社)、その他が12%(5機関)であった。
 今年の講演内容から、オーストラリア企業の探鉱傾向が、地域ではオーストラリア国内だけでなく近隣のアジア太平洋地域をはじめアフリカなど全世界にわたっていること、また、鉱種は最近の金属価格高騰の影響か、金探鉱に加えニッケル等ベースメタル探鉱の比率が高くなっていることがわかる。

(図-1 探査鉱業投資セミナー「Excellence in Exploration & Mining 2006」講演・展示ブース内訳)

3. 2006年の「鉱業オブ・ザ・イヤー」

 「鉱業オブ・ザ・イヤー(Year Award)」は、セミナー最終日に開催される夕食会において、2006年のオーストラリア鉱業各分野において最も印象に残った企業が表彰されるもので、「探鉱(Explorer of the year Award)」、「技術(Technology of the Year)」、「発見(Discovery of the year Award)、「採鉱(Miner of the year Award)、「取引(Deal of the year Award)」、「アナリスト(Analyst of the year Award)」の各分野がある。
 各分野のオブ・ザ・イヤーは、事前に分野毎にノミネートされ、Webサイトを通じて投票が行われ、その結果と鉱業雑誌Mining Journal及びAspermont編集部、証券ブローカー、マイニング・コントラクター、コンサルタント、鉱山設備メーカー等のパネリストの意見を加味して決定される。
 
(1) 2006年の「探鉱オブ・ザ・イヤー」には、高品位ジルコン鉱床が発見されたEucla Basin(南オーストラリア州)やMurray Basin(ニューサウスウェルズ州、ビクトリア州)、Perth Basin(西オーストラリア州)、Atlanta Basin(米国)などで探鉱を続けるIluka Resources Limited(本社パース)が選出された。
 2005年はタイで金鉱床の開発を目指すKingsgate Consolidated Limited社(本社シドニー)が選出された。
 
(2) 「技術オブ・ザ・イヤー」には、独自の硫化ニッケル精鉱の湿式製錬技術「Activox」を保有し、2004年からボツワナTati Nickelプロジェクトで同プロセスの運転を続けているLionOre Australia社(カナダ資本)が選出された。同社はオーストラリア国内にLake Johnston、Waterloo、Black Swan、Honeymoon Wellの各ニッケル・プロジェクト(西オーストラリア州)を保有。
 2005年は、金・ベースメタル湿式製錬技術「Intecプロセス」を保有するIntec Ltd(本社シドニー)が選出された。
 
(3) 「発見オブ・ザ・イヤー」には、Higginsville金プロジェクトをはじめ西オーストラリア州(Jimberlana Ni-Cu-PGM, Wiluna South Au-U, Kalgoorlie East Au, Kanowna East VMS Cu/Pb/Zn, Zuleika South Au-Ni, Zuleika South JV, Cowarna JV, Mungari JV)や南オーストラリア州(Cowell Cu-Au, Port Julia Cu-Au, Redhill Diamond)で初期段階も含め探鉱を行っているAvoca Resources Limited(本社パース)が選出された。
 2005年は、Cosmosニッケル鉱床(西オーストラリア州)を探鉱・開発したJubilee Mines NL社(本社パース)が選出された。
 
(4) 「採鉱オブ・ザ・イヤー」には、Sepon金・銅鉱山(ラオス)の開発でオーストラリア企業(Rox Resources LtdやPan Australian Resources Ltd等)のラオス進出の先駆けとなったOxiana Limited社(本社メルボルン)が選出された。
 2005年は、Longニッケル鉱床(西オーストラリア州)を探鉱・開発したIndpendent Group社(本社パース)が選出された。
 
(5) その他、「取引オブ・ザ・イヤー」には、西オーストラリア州Pilbara地域でBHP Billiton社、Rio Tinto社に次ぐ大規模鉄鉱床開発を進めるFortescue Minerals 社(本社パース)が、「アナリスト・オブ・ザ・イヤー」には、Alex Passmore氏(Patersons Securities社)が選出された。
 

4. 「オーストラリア鉱業の伝説(Legends of Mining Awards)」

 本セミナーでは、例年、長年オーストラリア鉱業の発展に貢献した探鉱・鉱山関係者を「Legends of Mining Awards(オーストラリア鉱業の伝説)」として表彰している。2006年は、WMC社の元会長Sir Arvi Parbo氏とRio Tinto社探鉱部門の責任者Mr. John Collier氏の二人が表彰された。
 
(1) Sir Arvi Parbo氏
 Sir Arvi Parbo氏は、1926年エストニア生まれ。第二次世界大戦時に難民としてドイツへ、その後、1949年にオーストラリアへ移民。Adelade大学で工学を専攻、1955年に卒業。1956年にWestern Mining Corporationに入社、Nevoria鉱山の坑内採掘マネージャーとして従事。1960年代前半はAustralian Administrative Staff Collegeで経営管理について学び、1967年に同社に復帰、1970年より社長、1974年からは会長兼社長として同社の経営に貢献、1999年に退任。
 同氏は、1978年から1996年までAlcoa Limited of Australiaの会長、Broken Hill Propriety Companyの社長を1987年から、会長を1989年から1992年まで務めたほか、オーストラリアや米国の複数企業の会長等を務めている。
 企業活動のほか、オーストラリア日本経済協力委員会会長(1985年~1991年)、大洋州採鉱冶金学会(AusIMM)会長(1990年)、オーストラリア科学技術アカデミー会長(1995年~1997年)なども務めた。工学、経済、法律などの分野でオーストラリア等の6大学以上から名誉博士号を授与されている。
 現在もMelbourne Mining Clubのパトロンとなるなど鉱業界とのつながりを持っている。
 
(2) John Collier氏
 John Collier氏は、1937年Ballarat生まれ。Ballarat School of Mineで採鉱と土木技術を、Melbourne大学で採鉱学を学ぶ。1960年にZinc Corporation社に入社、1962年には来日し、細倉鉱山(三菱金属鉱山)で1年間を過ごしている。帰国後、CRA社(メルボルン)に移籍、Hamersley鉄鉱山開発チームに加わる。渡米の後、Hamersley鉄鉱山に戻り、1972年にはCRA Oil and Gas社社長、その3年後にはCRA Exploration Pty Ltd社長に就任。1989年にはRio Tinto Group(ロンドン)の探査部門の責任者となり、鉛・亜鉛、鉄鉱石、石炭、銅、金等幅広く探査に関わる。その中にはArgyle, Century, Hail Creek, Lihir, Diavikなどの世界的規模の鉱床が含まれている。
 

5. おわりに

 セミナー当日は、ジュニア探査企業の講演や各社の展示ブースに多くの聴衆・参加者が集まり、資源ブームのなか探鉱・鉱業投資への関心の高さを示していた。
 なお、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、今回、2005年に引き続き、講演と展示ブース出展により日本の鉱業事情、JOGMECが実施する金属鉱物資源探鉱ジョイントベンチャー事業(戦略的金属鉱物資源賦存状況調査、共同資源開発基礎調査等)の概要及び、オーストラリア国内で実施中のボーダー・プロジェクト(ニューサウスウェルズ州・南オーストラリア州、対象鉱種:亜鉛・鉛)とブロークンヒル・プロジェクト(ニューサウスウェルズ州、対象鉱種:白金族・ニッケル・銅)についての紹介を行った。

写真-1.JOGMEC展示ブースとスタッフ
写真-2.Excellence Mining and Exploration 展示ブース・コーナー
写真-3.Excellence Mining and Exploration
JOGMEC講演
(金属資源探査推進グループ霜鳥チームリーダー)

参考文献
「Excellence in Exploration & Mining」プログラム
「Excellence in Exploration & Mining」Webサイト
Iluka Resources Limited社Webサイト
Kingsgate Consolidated Limited社Webサイト
LionOre Australia社Webサイト
Intec Ltd社Webサイト
Avoca Resources Limited社Webサイト
Jubilee Mines NL社Webサイト
Oxiana Limited社Webサイト
Indpendent Group社Webサイト
Fortescue Minerals 社Webサイト
Patersons Securities社Webサイト

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