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報告書&レポート

2006年12月7日 サンティアゴ事務所 平井浩二 e-mail:hirai-koji@jogmec.go.jp
2006年99号

アルゼンチンマイニング2006コンファレンス報告

 8月29~31日の3日間、アルゼンチン共和国メンドーサ市において「アルゼンチンマイニング2006コンファレンス(Argentina Mining 2006)」が開催された。今回は最近の金属価格の高騰による鉱業分野への関心の高まりから、前回を大幅に上回る規模の講演数、ブースの展示があり、参加者による活発な情報交換が行われた。
 JOGMECサンチャゴ事務所もアルゼンチンにおける探鉱及び鉱業関連情報の収集のため、当コンファレンスに参加したのでその概要を以下に報告する。

1.アルゼンチンマイニング2006の概要

 アルゼンチンマイニングコンファレンスはアルゼンチンの鉱業分野への投資促進のため、同国の最新の鉱業政策、鉱業事業、探鉱・開発プロジェクト、環境規制・税制等の情報提供を目的に、1996年より2年に一度開催しており、今回で6度目となる。主な参加者は、政府関連機関、大手鉱山会社・ジュニア探鉱会社、鉱業関連メーカー、大学・研究機関等で、最新のアルゼンチンの鉱業に関する様々な話題について講演が行われた。
 また、主にジュニア探鉱会社、鉱業関連メーカー、鉱業コンサルタントによるブースの展示があり、探鉱プロジェクトの紹介、鉱山関連機器・機械のセールス、鉱業関連サービスの説明が行われた。
 今回の特徴は、前回(2004年)と比べ規模が大幅に拡大されたことで、25カ国から640の企業・機関の参加があり、参加者数は2,000人を越えた。また、12のテーマについて80講演が行われるとともに、カナダ、オーストラリア、チリ、南アフリカの4つの国際パビリオンを含む100以上のブースの展示があった。
 講演は、鉱業政策、法律・税制、操業鉱山・探鉱プロジェクト、鉱山経営・ファイナンシング、金属価格の動向と影響、環境保全・企業の社会的責任、鉱山保安、鉱山機器・機械、技術開発等に関する12のテーマから構成され、鉱業に関連するトピック全般を網羅するもので、最新のアルゼンチンの鉱業情報を収集する上で非常に役立つものであった。特に操業中の鉱山や探鉱・開発プロジェクトに関する講演が充実しており、アルゼンチンで操業している主要鉱山やアドバンスステージの探鉱プロジェクトについて、最新の情報を関係者より聞くことができた。

2. 主な講演内容

(1) 政府関係者による講演
 アルゼンチン連邦政府、サンファン州鉱業庁、サルタ州鉱業資源エネルギー庁、アルゼンチン鉱業協会の関係者が鉱業政策と連邦・州政府の役割、投資環境、鉱業事情、環境規制について講演を行った。
 アルゼンチン連邦鉱山局長はアルゼンチンの鉱業について講演した。
 アルゼンチンの鉱業は1990年代に鉱業関連法規を整備したことにより投資環境が改善され、3,000百万US$以上の投資が行われた。アルゼンチンにはワールドクラスの鉱山(Bajo de la Alumbrera, Cerro Vanguardia, Salar del Hombre Muerto)が操業しており、2005年にはVeladero鉱山が操業を開始した。また、Pascua Lama, Pachon, Pirquitas, Manantial Espejo, Agua Rica, Calcatreu, Navidad, Huevos Verdes, Casposo等、開発に近いとされる大型プロジェクトが多く、今後7,000百万US$以上の投資が見込まれている。現在、アルゼンチンで80以上の企業が探鉱を実施しており、これに関連して、鉱業機器・機械メーカー、鉱業サービスコンサルタントも急成長している。近い将来、アルゼンチンは鉱業国の仲間入りを果たすであろう。
 
(2) 操業鉱山、探鉱プロジェクト
 今回の講演では特にアルゼンチンの主要操業鉱山、アドバンスステージの探鉱プロジェクトに関する講演が多く行われ、最新の動向が紹介された。また、最近のエネルギー価格の高騰により世界の注目を集めているウラン鉱床について、アルゼンチンの有するポテンシャルや探鉱プロジェクトを紹介した講演があり、参加者から多くの質問を集めていた。
 アドバンスステージの探鉱プロジェクトについて、以下に幾つかを紹介する。
 
・Pirquitas
 Pirquitasはアルゼンチン北西部Jujuy州の標高4,100mに位置する多金属鉱床で、カナダのSilver Standard社が権益を100%有する。2005年には3,000mのボーリグ調査が実施された。資源量は37,518.9千t、銀:127g/t、亜鉛:0.56%、錫:0.15%である。選鉱試験の結果、銀回収率78%、亜鉛回収率48%、錫回収率57%で、年間生産量は銀3.4t、亜鉛6,800t、錫3,000t、マインライフは約8年である。
 
・Manantial Espejo
 Manantial EspejoはSanta Cruz州に位置する低硫化系の浅熱水金鉱床で、2006年3月よりPan American Silver社(カナダ)が権益を100%有している。2005年に完了したFSによれば、資源量4.8百万t、銀239g/t、金4.0g/t、採掘量は2,500t/日を見込んでいる。選鉱試験により、銀80%以上、金95%の回収率が確認されている。プロジェクトサイトでドーレを生産する予定で、年間生産量は銀124t、金2.2t、マインライフは10年である。
 
・Pascua Lama
 Pascua Lamaプロジェクトはチリ第3州とアルゼンチンSan Juan州の国境地域に位置する高硫化系金銀鉱床でBarrick Gold社が権益を有する。2004年にFSの見直しを行っており、資源量は17.6百万oz、標高4,600mにオープンピットを建設し、2009年から操業を開始する予定である。投資額の総計は1,750百万US$とされている。2006年初めにチリ側の環境許可を受けており、現在アルゼンチン側の環境影響評価の承認を待っている。
 
・Huevos Verdes-San Jose
 Huevos Verdes-San JoseはSanta Cruz州に位置する浅熱水金銀鉱床で、Mauricio Hochschild社(ペルー)(51%)とMinera Andes社(アメリカ)(49%)がプロジェクトの権益を有している。2004年に2,400mのボーリング調査が行われ、現在鉱量増加のための追加ボーリング(総計30,000m)を実施中である。これまでの調査で脈幅平均1.76m、金11.0g/t、銀645g/tの高品位の鉱脈が走行方向に150m以上続いているのが確認されている。
 
・Navidad
 NavidadはChubut州Gastreに位置する多金属鉱床で、現在Aquiline Resources社(カナダ)が権益を保有している。これまでのボーリング調査の結果、資源量93.4百万t、銀102g/t、鉛1.41%(カットオフ品位銀:50g/t)の鉱床が捕捉されている。現在もボーリング調査を継続中で、この調査により新たな鉱化ゾーンが確認されており、資源量が増加する見込みである。
 
(3) 環境保全、企業の社会的責任
 環境保全及び企業の社会的責任のテーマで14の講演が行われ、持続可能な鉱山開発、環境規制と政府組織の役割、環境影響評価の重要性、環境マネージメント、鉱業と自然・文化遺産の保護、閉山時の覆土植栽について専門家から説明があった。
 環境影響評価の重要性について、アルゼンチンの環境コンサルタントが以下の内容の講演を行った。
 地元の社会問題を鉱山経営に組み込むことは比較的新しい分野の取り組みで、地元コミュニティーとの相互理解と継続的な貢献が必要となる。鉱山開発に当たり、地元コミュニティーに鉱業活動を理解してもらい、開発を承認してもらうための最も重要なステップは、正確で完成された環境影響評価を説明することである。地元コミュニティーに鉱山開発によるリスクを十分に認識してもらい、これを軽減する対策を協議することは、現在多くの企業が行っている、地元の社会・インフラ整備と同様に重要である。
 
(4) その他
 上記以外に、環境規制、各州の鉱業法、外国投資法、税制・ロイヤリティーに関する講演や鉱山機器・機械、技術開発に関する講演が行われた。技術開発のテーマでは、物理探査解析ソフト、リモートセンシング、ネットワークコミュニケーション、3D画像解析等、コンピューターを活用した技術に関する講演が多く行われた。
 

3. まとめ

 アルゼンチンは2001年の経済危機以降、鉱業活動が停滞していたが、最近の金属価格の高騰により、急激に鉱業分野への投資が回復している。2005年には過去最高の400,000mのボーリング調査(前年比62%増)が14の州で実施され、2006年は300百万US$の探鉱投資が見込まれている。今回のコンファレンスはこのようなアルゼンチンにおける鉱業活動の活性化と探鉱投資への関心の高まりを反映して、これまでにない規模で行われた。講演やブースの展示は現在アルゼンチンで実施されている探鉱プロジェクトに関するものが多く、探鉱投資に係る情報交換が会場の至る所で活発に行われていた。講演内容、ブースとも充実したもので、アンケートでは今回のコンファレンス参加者の99%が次回の参加を希望するなど大盛況であったと評価できる。
 
主な講演タイトル
 CURRENT MINING SITUATION IN ARGENTINA
 -Mining in Argentina, Opportunities and Challenges
 -Main Discoveries in Argentina
 -Strategic Exploration in Argentina
 -The role of the provincial state in the promotion and defense of the activity
 -The role of Associations and Chambers
 -Mining in Argentina
 
 MINES & PROJECTS
 -Start up of Manantial Espejo and Social License
 -Cerro Vanguardia
 -Monitoring in Alumbrera Mine
 -Agua Rica, Aspects of the Mining Plan
 -Evolution of Mina Martha
 -The San Jose-Huevos Verdes Deposit, Current Situation
 -Veladero, Technical Aspects of its Operation
 -Pascua-Lama, Main Aspects of a Binational Project
 -Lindero, Gold Porphyry Deposit
 -Cerro Bayo Project, Chile
 -Potasio Rio Colorado Project
 -La Cabeza Epithermal Gold deposit
 -Casposo Deposit
 -Update on El Pachon
 -Los Azules Porphyry Copper
 -Cerro Negro Project
 -The Gualcamayo Gold deposit
 -The Pirquitas Silver-Ore deposit
 -YAMIRI Projects in Argentina
 -Pacific Bay’s projects in Argentina
 -World Wide Vision of Uranium
 -Uranium Exploration in Argentina
 ENVIRONMENT, SAFTY AND SOCIAL RESPONAIBILITY
 -The Importance and Responsibility in EIA Reports
 -Water in Mining, Use VS Consumption
 -Environmental Control, Mining Policy in San Juan
 -Cyanide in Mining
 -Mining and Science of the Natural and Cultural Heritage in Malargue Mendoza
 -Remediation in San Rafael Mining Complex
 -Diagnose and Identification of Causes of Accident in Mining
 -Mining and Sustainable Development
 -Society and Mining
 -Social Responsibility in Mining
 
 LEGAL and TAX ISSUES, FINACING
 -The Experience in Mining Court of Salta Province
 -Economical impact of mining activity in provincial finance, Before and After Mine
 -Main obstacles for the Mining Industry
 -Penal and Civil Responsibility of Directors in Environmental Matters
 -Comparison between Mining Law in Provinces
 -Legal Stability for Mining Exploration in South America
 -Legal Framework for Foreign Investment in Mining
 -Copper and Gold Market
 -Mining Finance, Rising capital for a Junior Company
 -Mergers and acquisitions
 -Canadian Stock Exchange, Finance for Mine
 
 SUPPLY OF PRODUCTS AND SERVICE, TECHNOLOGY
 -Different assay options and costs
 -Equipment used in Mining
 -Technological Innovation in Heavy Equipment for Mining
 -Remote Sensing Update
 -Convergence Networks, Eliminating Barriers for Mining Communications
 -Geophysical Tools and Modern Inverse Modeling Techniques
 -Software to improve 3D modeling
 
 なお講演で使われたスライド(CD-ROM)が最近配布されたので金属資源情報センターに保管しています。

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