閉じる

報告書&レポート

2007年3月8日 メキシコ事務所 小島和浩 e-mail:jogmec@prodigy.net.mx
2007年20号

メキシコ新政権の鉱業関連組織幹部の陣容と鉱業政策の方向性

 2006年12月1日にカルデロン(Calderón)新政権(前フォックス政権と同じく国民行動党(Partido Acción Nacional:PAN)の政権)が発足してから約2か月が経過し、新政権発足に伴う省庁幹部の人事異動が一段落した。今般、新たに鉱業振興総局長に就任したアラルコン氏と面談する機会を得たので、その面談結果を報告すると共に経済省及び傘下の鉱業関連組織幹部の陣容を紹介する。


1. メキシコ政府の鉱業関連組織

図1 メキシコ政府の鉱業関連組織



 今回の新政権発足に伴う鉱業関連組織の再編は無く、前政権に引き続き鉱業(製塩業を含む)は経済省の所管となっている。経済省には、大臣の下に、中小企業次官、産業商業次官等5次官ポストがある。鉱業及び製塩産業は次官相当の鉱業総調整官が所掌している。鉱業関連組織の概要は以下のとおり(図1参照)。

(1) 鉱業総調整官(Coordinación General de Minería)

  次官級。内局として鉱業調整官の下に鉱山振興総局及び鉱山総局が、外局及び公社として地質調査所、鉱業振興信託及び塩輸出公社が置かれている。

(2) 鉱山総局(Direccion General de Minas)

  鉱業権の管理等鉱業法の運用全般を所掌。各州(D.F.を除く)に1か所、計31の受付窓口事務所を持つ。

 

(3) 鉱業振興総局(Dirección General de Promoción Minera)

  鉱業の振興、社会部門及び州政府の鉱業振興部門との連携を所掌。

(4) メキシコ地質調査所(Servicio Geológico Mexicano:SGM)

  鉱業法で国家の鉱物資源の有効な活用を推進する機関として規定された組織。国土の地質、鉱物探査、選鉱・製錬技術の研究開発等を実施。近年、新たに鉱山の環境対策にも取り組んでいる。

(5) 鉱業振興信託(Fedeicomiso de Fomento Minero:FIFOMI)
 中小鉱山の振興を目的とした融資事業及び附帯する技術指導を行う機関。

 

2. 鉱業関連組織幹部の陣容


 2007年1月末現在の鉱業関連組織幹部の陣容は以下のとおりである。
(1) 経済大臣(Secretario de Economia)
 エドゥアルド・ソホ(Eduardo Sojo Garza Aldape)

  1979年モンテレイ工科大学経済学部卒。1983年ペンシルバニア大学経済学修士、1986年同経済学博士。1987~92年、メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)勤務。1995~2000年グアナファト州政府経済担当補佐官。2000~2006年公共政策担当大統領補佐官。

(2) 鉱業総調整官(Coordinador General de Minería)

  ノルベルト・ロケ(Norberto Roque Díaz de León)
前FOX政権で鉱業信託振興理事長、農業振興次官(Subsecretario de Agronegocios)を歴任後、現政権の鉱業総調整官に就任。

(3) 鉱山総局長(Director General de Minas)
 フアン・アントニオ・カルサーダ(Juan Antonio Calzada Castro)
 前職はソノラ鉱業局長。

(4) 鉱業振興総局長(Director General de Promoción Minera)
 アレハンドロ・アラルコン(Alejandro Alarcón Garza)
 前職は鉱業振興信託の融資部長(Director de Financimiento)。

(5) 地質調査所長(Director General, Servicio Geológico Mexicano)
 フランシスコ・ホセ・エスカンドン(Francisco José Escandón Valle)
 前政権から留任。

(6) 鉱業振興信託理事長(Director General, Fideicomiso de Fomento Minero)
 アルベルト・オルティス(Alberto Ortiz Trillo)

3. アラルコン新鉱業振興総局長との面談結果 -新政権の鉱業政策の方向性-



 去る2月7日に筆者はアラルコン鉱業振興総局長と面談する機会を得、新政権の鉱業政策の方向性等を聴取した。同総局長の発言の概要は以下のとおり(発言の一部は、同席したギジェルモ・フロレンサーニ(Guillermo Florenzani)プロジェクト振興部長(Director de Promoción de Proyectos)によるもの)。
-新政権の鉱業政策は現在策定中の「国家鉱業開発計画(Programa Nacional de Desarrollo Minero 2007-2012)」で明らかにされる。同計画策定のため関係各方面と鋭意折衝中であるが、策定作業の終了は2007年6月を目標としている。
-メキシコでは従来から鉱業の振興は民間資本によって行うことを方針としており、今後も国営企業が直接鉱山開発を行うことはない。ただし、製塩業はメキシコ政府が51%を出資して日本企業との合弁事業で行っている。
-Calderon新政権の重要政策の一つは雇用の創出である。鉱業分野では今後5年間に20の新規鉱山が生産を開始する予定であり、5,000人の新規雇用を見込んでいる。
-メキシコでは204社の外資系企業(その3/4はカナダ企業)が鉱業活動を行っている。これらの企業が行っているプロジェクトは約400に上り、探査段階にあるものが327、開発・生産段階にあるものが約60ある。
 
(注) 面談時に入手した経済省資料によると、2007~2010年にメキシコで操業開始予定の鉱業プロジェクトは15あり、内13がカナダ企業、残り2つが米国企業によるものである。これら15のプロジェクトによる新規雇用は3,393名と見込まれている。
 

4. おわりに


 アラルコン鉱業振興総局長の発言にもあるとおり、メキシコ新政権は「雇用の創出」を3つの重要課題(他の二つは「治安の改善」と「貧困の削減」)の一つに挙げている。カルデロン新大統領は、就任演説で自身を「雇用の大統領」になると表明すると共に、雇用創出の手段を外国企業による投資拡大に求めている。
 新政権の鉱業政策の詳細は2007年6月に策定が予定されている「国家鉱業開発計画」の発表を待たねばならないが、従来にも増して外国投資の拡大に焦点を当てたものとなろう。鉱業分野における具体的な外国投資拡大策として、どのような政策が打ち出されるかが注目される。

ページトップへ