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報告書&レポート

2007年6月7日 ジャカルタ事務所 池田 肇 Tel:+62-21-522-6640 e-mail:jogmec2@cbn.net.id
2007年53号

インドネシア鉱業法改正の行方その7(2007年3月22日付け草稿から見る製錬義務化・鉱業事業協約(PUP)条項の審議状況)

 インドネシアの2006-2007年度議会スケジュールによれば、第4セッションは5月7日から7月20日までの会期となっている。第4セッションでは64法案の審議が予定され、55法案が優先法案と位置付けられている。鉱物資源石炭鉱業法案(RUU Pertambangan Mineral dan Batubara、以下「鉱業法案」という)は、その一つとなっている。そのうち、議会第7委員会の担当案件は、エネルギー法、電気法、アセアン越境有害廃棄物条約の3案で、鉱業法案は第7委員会・特別委員会(PANSUS)が担当し、5月8日から審議が再開されている。
 JOGMECジャカルタ事務所は、5月上旬、議会関係者より、2007年3月22日付け鉱業法案草稿(以下「最新草稿」という)を非公式に入手したので最新草稿の概要を紹介する。また、最新草稿に付記されたコメントから、日本の産業界がその導入に憂慮を示す製錬義務化(新規鉱業投資に対するニッケル鉱石・銅精鉱の輸出禁止措置)及び世界の鉱山会社がその導入に期待を寄せるゴルカル党提案の鉱業事業協約(PUP:Perjanjian Usaha Pertambangan)について今後の議会内審議の展開を考察したので、本稿により併せて紹介する。

はじめに
 議会第3セッション(1月8日~4月30日)における鉱業法案の審議は、3月21日に開催された第7委員会・作業委員会(PANJA)の審議が最終であったことから、3月22日付け草稿は、第3セッションの最終審議の結果を取りまとめた最新の草稿である。
 同草稿の概要は次のとおり。

   (1) 事業主体:事業法人と個人の両方に参入を認めている。外国企業は現地法人を設立すればライセンスを保有できる。
  (2) 事業の分類:鉱物鉱業と石炭鉱業の2つに大別し、鉱物鉱業は、放射性鉱物、金属鉱物、非金属、砕石の4つに分類されている。
  (3) 鉱業事業の形態:委託鉱業事業、鉱業事業許可(IUP)、住民鉱業事業許可(IPR)に加え鉱業事業協約(PUP)の4形態の導入に前向きな議論がなされている。
    i 委託鉱業事業:放射性鉱物の開発に適用される。
    ii 鉱業事業許可(IUP):小規模鉱山開発あるいは国際的名声を持たない一般企業。
    iii 住民鉱業事業許可(IPR):個人、協同組合など。
    iv 鉱業事業協約(PUP):大企業、戦略的鉱物、大規模、上流から下流事業を条件に、長期(30年程度)の鉱区セキュリティーと安定税率を保障。協約は、政府-投資家の間で締結されるのではなく、国営鉱山企業-投資家の間で締結される。
  (4) 鉱業事業許可(IUP)の種類:探鉱許可(IU Eksplorasi)、生産活動許可(IUP Operasi Produksi)の2種類に分類されている。
  (5) 鉱業エリア(WUP):石油鉱区の生産分与契約の入札に似た概念を導入。第三者や国の機関によって既に資源ポテンシャルが明らかにされている地域を開発することを目的に、事業者(コントラクター)選定の透明性、競争原理の導入を期す制度。
  (6) 製錬義務化:第18条第1項1に製錬の義務化が記載される。同条項は、第7委員会・特別委員会(PANSUS)で既に承認され、最新草稿にコメントもないことから、新鉱業法に盛り込まれる可能性は極めて高い。生産活動許可(IUP Operasi Produksi)保持者および鉱業事業協約(PUP)の契約者が対象になる。

   
 本最新草稿を総括すると、日本企業がインドネシアで探鉱を行う場合には、地方政府に対し鉱業事業許可(IUP)を申請するか、国営鉱山企業との間で鉱業事業協約(PUP)を締結するか、あるいは鉱業エリア(WUP)の入札に参加するか、の3とおりのアプローチが考えられる。
 
 鉱業事業協約(PUP)は、最大与党のゴルカル党が積極的に議会内調整を進めているため、鉱業法案に盛り込まれる可能性は非常に高く、鉱業法案は今期セッションで成立する可能性も出て来た(?)と言える。

国会第7委員会(エネルギー・鉱物資源・技術調査・環境担当)

1. 議会の法案審議プロセス(上図参照)
 インドネシアにおける法案審議は、議会に常設された11の委員会(Commission)が、その所掌範囲に基づき担当する。法案がいくつかの委員会(Commission)の所掌範囲にまたがる場合は、関係する委員会(Commission)のメンバーから選出した特別委員会(PANSUS)が法案審議を担当する。法案が、単独の委員会(Commission)の権限に限定される場合は、当該委員会(Commission)の議員がメンバーとなる作業委員会(PANJA)が逐条審議を実施する。
 新鉱業法案の審議は、第7委員会・特別委員会(PANSUS)で実施されている。特別委員会(PANSUS)は10会派を代表する50人の議員がメンバーとなり、第7委員会(Commission)の議員に加えて、国内・地方自治問題を担当する第2委員会(Commission)、農業、林業、漁業などを担当する第4委員会(Commission)の議員が審議に参加している。
 第7委員会・作業委員会(PANJA)は、特別委員会(PANSUS)に選出された第7委員会の議員から構成され、委員長・副委員長は特別委員会(PANSUS)の委員長・副委員長が兼任している。鉱業法案の実質審議は、作業委員会(PANJA)が各会派の意見リスト(DIM)をとりまとめて逐条審議を行っている。
 作業委員会(PANJA)で確認された事項は、法文作成チーム(TIMUS)が法文化作業を行い、整合化チーム(TIMSIN)が、他の法律と矛盾していないかをチェックする。最終草稿は、特別委員会(PANSUS)に提出され、全体会議の承認を得た後、議会本会議(DPR)(形式的なプロセスで通常1日で終わる)に上程され法令化される。
 なお、法案審議において専門家による助言、技術的検証を必要とする事項については、必要に応じ専門家チーム(TIMCIL)が組織され、専門家チーム(TIMCIL)は技術的、専門的検証結果を特別委員会(PANSUS)に進言することになっている。  

2. 最新草稿の審議状況
 鉱業法案は、第15章第75条よりなる。最新草稿によれば、DIMは414項目にわたり、鉱業法案の逐条の一文毎に番号が付記され、その番号毎に審議の進展状況(PANSUS、PANJA、TIMUS、TIMSIN)が明記されている。承認(APPROVED)は特別委員会(PANSUS)における承認を意味し、TIMSIN、TIMUSと記載されている条項は、それぞれの審議段階を意味している。

鉱業法案
DIM No.

PANSUS
承認事項

ペンディング
事項

条項削除
Drop(?)

審議中の条項2

414

74

17

1

322

最新草稿中のペンディング事項は17項目となっている。ペンディング事項のうち、

   (1) 第9条(No.22)は、鉱業事業協約(PUP)導入に関する議論が最大の問題(詳細は6.鉱業事業の形態で後述)となっている。
  (2) 第11条(No.31)は、鉱業エリア(WUP)の入札、管理に関するもので、外国鉱業投資家は、国営鉱山企業(BUMN)あるいは国を代表する機関とコントラクター契約を締結し、「国家保留鉱区(National State Reserves)」を開発できるとされているが、その前文に「国の定めた要件に基づき」とあり、その内容を巡る議論が必要になっている。第16条(No.53)、第26条[金属鉱業](No.100)、第28条[石炭鉱業](No.118,No.120)、第30条[非金属鉱業](No.134)、第32条[砕石鉱業](No.152)はともに国営鉱山企業(BUMN)に関連する事項となっている。
  (3) 第52条(No.299)は税制に関するもので、IUP保持者から徴収する税金は、原則、現行法による。しかし、鉱業事業協約(PUP)者については、現行法に従う税制もしくはプロジェクト期間の固定税制のうちいずれかを選択させることとしている。鉱業事業協約(PUP)の審議を踏まえその枠組みを検討することとしている。
  (4) 第65条(No.376)は、鉱業事業許可(IUP)保持者による実施規則違反に対する行政処分の内容を検討するもので細則は政令で定めることにしている。

3. 全体概要(基本原則は変わらず)
 最新草稿からは、2006年8月時点で盛り込まれた条項の多くが温存されている。
 第2条(鉱業事業の基本原則)は「国家、政府もしくは地方政府による鉱物と石炭の支配は利益、公正、バランス、国民参加、透明性、法の確実性、継続性を原則とし、環境保全、民族主義、調和、競争力、安全、国民福祉、自立、国家行政秩序を配慮して行なう」と規定。
 第3条は「国家による鉱物と石炭の支配は、次の目的を有する。

   (1) 国民に利益をもたらし競争力を維持できるような探鉱開発活動の効果的な実施と管理を保証する。
  (2) 鉱物と石炭の開発の利益を保証する。
  (3) 原材料としての鉱物と石炭の供給を保証する。
  (4) 国内企業が国内、地域、国際市場で競合できるような能力を支持・育成する。
  (5) 国家経済に最大限に貢献できるような現地社会の所得の増加および地域経済の振興を達成する。
  (6) 環境保全に配慮しつつ、雇用機会を創出し、国民の福祉と能力を向上させる。
  (7) 鉱物と石炭と関わる鉱物事業に関する法令の明確化

 となっている。

4. 事業主体
 鉱業事業に参入できる事業主体の分類については、第7条1項で、「鉱物および石炭の鉱業事業には、事業法人(Badan Usaha)と個人の両方が参入できる」と規定している。
 まだ同2項では「事業法人とはインドネシアの法律に基づき、国内で設立された事業法人を指し、国営鉱山企業(BUMN)、地方公営企業(BUMD)、民間企業(Badan Usaha Swasta)、協同組合(Koperasi)を意味する」と規定。
 新鉱業法案は内外無差別を基本とするため、外国企業は現地法人を設立するか、既存の国内事業法人と提携することでインドネシア鉱業へ参入が可能となる。

5. 鉱業事業の分類
 鉱業事業については、第8条第1項で、鉱業事業を鉱物鉱業・石炭鉱業の2つ大別し、そのうち鉱物鉱業を第2項で、(1) 放射性鉱物、(2) 金属鉱物、(3) 非金属、(4) 砕石の4つに分類している。

6. 鉱業事業の形態
 鉱業事業の形態については、第9条で(1) 委託鉱業事業、(2) 鉱業事業許可(IUP)、(3) 住民鉱業事業許可(IPR)の3つに規定しているが、ゴルカル党が提案する鉱業事業協約(PUP)が「2007年3月21日付けペンディング事項」として付記されている。
 鉱業事業協約(PUP)とは、私企業(Perseroan Terbatas)の契約形態(Business to Business)で行われる金属鉱物と石炭の鉱業事業について締結されるもの3と定義され、次の説明書きが加えられている。

   (1) 鉱業事業協約(PUP)は、鉱業投資家と政府の鉱業事業権を代表する機関と締結されるもの。
  (2) 対象となる鉱物は、戦略的な鉱物とする。
  (3) 投資スケールは、大規模なものでなければならない。
  (4) 対象地域および鉱区面積については今後定める。
  (5) 事業内容は、上流から下流までを含む総括的なもの。
  (6) 政府の方針としては、長期的に安定した税率を保証する。
  (7) 対象企業は、国際的な名声を持つ企業とする。
  (8) (協約を締結した)企業の売却(divestment)は、資本市場で行うことを基本とする。
  (9) 国営鉱山企業(BUMN)が政府の代理となる。

 なお、これらはすでに合意されたものではなく、今後の審議の留意点を記述したものであるが、ゴルカル党の基本的な考えを知ることができる。
 ゴルカル党案では鉱業事業協約(PUP)の適用の可否は、プロジェクト所在地による地域性やインフラの整備状況ではなく、投資規模や鉱山開発事業の内容(探鉱から製錬事業までをカバーするものであるか)を判断事項としている。鉱業法案(PUP)に鉱業事業協約(PUP)が盛り込まれる場合、鉱業事業協約(PUP)の適用条件が、鉱業法案に直接明記されるのか、外国投資の基本原則を定める投資法の政令で規定されるのか現状では不明である。
 なお、委託鉱業事業(Penugasan Usaha Pertambangan)、鉱業事業許可(IUP: Izin Usaha Pertambangan)、住民鉱業事業許可(IPR: Izin Pertambangan Rakyat)の定義については、最新草稿でも従来のものを継承している。
 委託鉱業事業については、最新草稿の第23条にエネルギー鉱物資源省大臣が放射性鉱物の鉱業事業を委託すると述べており、2006年8月の草稿では第14条で同様の記述があったが、新たな記述は追加されていない。
 鉱業事業許可(IUP)については、第9条および第26~30条で、金属鉱物・石炭および非金属・非石炭の鉱業事業に関する事業許可で、国営鉱山企業(BUMN)、地方公営企業(BUMD)、民間企業(Badan Usaha Swasta)、協同組合(Koperasi)および個人に対して与えられると述べられているが、これも従来の記述と変わっていない。
 住民鉱業事業許可(IPR: Izin Pertambangan Rakyat)については、第1条8項で、「個人および住民団体(もしくは慣習法に基づく団体)が限られた鉱区で、限れた鉱業事業に与えられる許可」と定義され、過去の記述とまったく同じである。

7. 鉱業事業許可の種類
 鉱業事業許可の種類については、第10条において、探査許可(IU Eksplorasi)と生産活動許可(IUP Operasi Produksi)の2つがあると明記されている。
 探査許可とは、フィシビリティー・スタディを含む一般調査および探鉱活動に関する許可を意味する。
 生産活動許可とは、採掘設備の建設から、採掘、加工、精製、運搬、販売を含む一連の活動に対する許可を言う。
 同2項は、「探査許可および生産活動許可の保持者は、規定の活動のすべてもしくは一部を実施することができる」と規定されている。
 同3項は、「生産活動許可の保持者は、鉱業事業が終了した後、土地を修復しなければならない」と規定されていたが、最新草稿では、2007年3月14日付けで「廃棄物の処理と環境修復」が追加されている。

8. 鉱業エリア(WUP)(=国家保有鉱区(National State Reserves))
 最新草稿には、鉱区と同じ意味を持つ鉱業エリア(WUP)に関する規定がある。第11条第1項は、細かな説明を行っていないが国家保有鉱区の事業者(コントラクター)は「探鉱活動および生産活動は鉱業エリア(WUP)で実施されなければならない」と読むべきである。
 第2項は、「WUPの最大面積、範囲は、政府および地方政府が取得したデータと情報に基づき、地方政府と協議の上、政府が決定する」と規定している。
 鉱業エリア(WUP)に関する一連の説明は、石油・天然ガス開発に関する生産分与契約の概念を取り入れたものと言える。ある地域の鉱物賦存のポテンシャルが既に評価され、国がその開発を推進する場合、入札を通し開発者選定の透明性を確保し、競争原理の導入によって国家歳入の増大を図ろうとする新たな枠組みである。
 第3項は、「WUPの入札、基準、手順、実施の詳細については政令で定める」と規定しているが、2006年9月7日付けで、その決定メカニズムが不明として政府に説明資料の提供を求め、ペンディング事項となっている。

9. 鉱石処理と製錬義務化(新規の鉱業投資に対する付加価値の義務付け)
 第18条1項は、「生産活動許可(IUP Operasi Produksi)の保持者は、鉱業事業で得られた鉱石の処理と製錬を国内で行わなければならない」と規定している。本条項は、2006年11月22日の特別委員会(PANSUS)で既に承認されており、最新草稿にコメントもないことから新鉱業法に盛り込まれる可能性は極めて高い。
 鉱業事業協約(PUP)についても、6(鉱業事業の形態)で紹介した通り、上流から下流までを含む総括的な鉱業事業を前提とするため、製錬の義務化はその必要条件と言える。
 したがって、生産活動許可(IUP Operasi Produksi)の保持者および鉱業事業協約(PUP)の契約者は、国内における鉱石処理と製錬の実施が義務づけられる可能性が高い。
 なお、最新草稿中、製錬義務化に関する記述は、第18条1項に限定され、これより細かな規定は皆無となっている。したがって、細則規定は、法律成立後に作成される政令、省令に委ねられる。
 エネルギー鉱物資源省鉱物資源石炭地熱総局鉱物資源石炭企業局マンガンタル・マルパン(Mangantar S. Marpaung)局長によれば、製錬義務化の基本方針は決まっており、鉱業法案の審議において提出を求められる可能性もあるため、省令案(ドラフト)は既に作成しているとのことであった。政府案では、ニッケル、銅鉱山の新規鉱業投資が対象になっているようである。

10. 既存鉱業権等の暫定移行期間条項
  既存鉱業権等の暫定移行期間条項については、第73条a項で、「本法律が施行された時点では、既存の鉱業事業権(Kuasa Pertambangan)、鉱業事業契約(KK(COW))、炭鉱運営事業協約(PK2PB(CCOW))、地方鉱業許可書(Surat Izin Pertambangan Daerah)、住民鉱業事業許可書(Surat Izin Pertambangan Rakyat)はそれぞれの有効期間が終了するまで有効と見なす」と規定しているが、最新草稿では、この規定に2006年11月22日、2007年1月24日、3月21日の作業委員会(PANJA)による留意点が書き込まれている。
<2006年11月22日>
 ・暫定移行期間条項は既存の鉱石処理製錬事業も対象に含むべきではないか。
 ・監視を強化することで国家収入を増加させることはできないか。
<2007年1月24日>
 ・石炭の基金の見直しが必要となる。
 ・合理的かつ安定的な税金、非税金の徴収を行うため、移行期間の税制の取り扱いにつき検討を行う必要がある。
<2007年3月21日>
 ・既鉱業権者、企業に対し新鉱業法に適応するために3~5年間の猶予期間を与えるべきである。
 ・移行を速やかに実施するためにインセンティヴ条項を盛り込むべきである。
上記より、第7委員会・作業委員会(PANJA)では、既鉱業権者に対する新旧鉱業法の切り替えに十分な期間と配慮を行うことを求めている。

11. 地方政府の報告義務
 鉱業法案は、第6条で、「地方政府が鉱業事業の許可の発行、管理、監督を行う」と規定したが、第59条では、「地方政府の首長はそれぞれの地域における鉱物・石炭鉱業の管理と実施の状況をエネルギー鉱物資源省大臣に6か月毎に報告しなければならない」と規定し、中央政府が現状を把握し地方政府による許認可の乱用を監視する措置が盛り込まれている。

12. 市民の参加、人材の育成、鉱山事業活動計画の策定
 8月の草稿では、第12章は、環境事犯等に対する環境省職員他の捜査権を保障する章立てとなっていたが、最新草稿では、市民の参加(Public Participation)と研究開発および人材育成の重要性(Research and Development, Training and Education for Mineral and Coal)、並びに鉱業事業許可の発行に先立ち、地方政府は地域住民に対し鉱山事業活動計画(Mining Business Activities Plan)の策定を義務付ける記述が追加され、大幅修正が加えられている。

13. おわりに
 最新草稿のドラフトからは、製錬の義務化と鉱業事業協約(PUP)の導入の可能性は非常に高い状況になっていると言える。
 事実、アジアマイナー(鉱業雑誌社)が、5月7日、8日の両日、オーストラリア・シドニーで開催した鉱業大会(Investing in Mining Conference 2007)におけるインドネシア議会第7委員会Agusman Effendi委員長、エネルギー鉱物資源省鉱物資源石炭地熱総局Simon F. Sembiring総局長の講演からも、「鉱業事業協約(PUP)はほぼ間違いなく鉱業法に盛り込まれるだろう」との印象を受けた。
 また、最新草稿の第34条から第68条まで、これまで「鉱業事業許可(IUP)」の記述だけであったものが、「鉱業事業許可(IUP)/鉱業事業協約(PUP)」に替えられていることから、議会は鉱業事業協約(PUP)を認める方向で動いていると言える。
 鉱業事業協約(PUP)は、契約の署名者が政府ではないことを除けば、鉱業事業契約(COW)の内容を温存した制度となっている。鉱業界の一部は、これを歓迎しており、現状からは7月20日まで続く現在の会期で、新鉱業法が成立する可能性が出て来たと言える。
 しかし、政府でない国営鉱山企業が、鉱業事業協約(PUP)で保障する安定税率やロイヤルティを政府に代わり如何に保障できるのか、また、森林法で定める森林の設定(Forest Function:生産林、保護林、自然保護林など)を将来にわたり変更しないことをコミットできるのか、その実施に当たっては不明な点が多く、今後の議論が待たれるところである。
 JOGMECジャカルタ事務所は、日本鉱業関係者の関心に応え今後も第7委員会における鉱業法案の審議状況を注視していく所存である。

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1インドネシア語草稿: Pemegang IUP Operasi Produksi wajib melakukan pengolahan dan atau pemurnian di dalam negeri dari hasil penambangan.
2 審議中の条項は、PANJA、TIMSIN、TIMUSの各レベルで議論されている条項を合計したもの。ただし、審議条項の約96%がTIMUSでの議論を迎えていることより審議は概ね終了している。
3 PUP untuk usaha pertambangan mineral logam, batubara dan pertambangan mineral diberikan kepada perseroan terbatas berbadan hokum.

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