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報告書&レポート

2007年7月19日 ジャカルタ事務所 池田 肇 Tel:+62-21-522-6640 e-mail:jogmec2@cbn.net.id
2007年66号

マレーシア鉱物資源開発法に係る操業鉱山計画、鉱山作業計画、記録台帳(Operational Mining Scheme, Plans and Record Books)の整備に関する法令(PU(A)067/2007)の施行について

 マレーシア政府は、1980年代半ばより低迷を続けていた鉱業の活性化を目指して、1994年、鉱物資源の探鉱、開発、利用を促進し競争力を強化する鉱業政策(National Mineral Policy)を打ち出し、現在の鉱業法体系となる鉱物資源開発法(MDA:Mineral Development Act 525:1994年8月29日)を成立させ、1995年には州鉱物法(SME:State Mineral Enactment)のモデルとなるスタンダード法を策定した。
 また、マレーシア政府は、1998年、総合的な経済政策と鉱業政策目標との整合性を検討するため鉱業審議会(National Mineral Council)を設置し、更に、これまで継続的に鉱物資源開発を活性化させるための法的枠組みの整備や鉱山保安・労働安全衛生の向上、リハビリテーション・環境修復の実践、閉山対策などの徹底に向けた制度作りに取り組んでいる。
 こうした活動により、マレーシアの鉱業は徐々にではあるが復活の道を歩み始めている。本稿では、2007年2月15日にMDA第63条第2項(g)の規定に基づき、新たに「操業鉱山計画、鉱山作業計画、記録台帳(Operational Mining Scheme, Plans and Record Books)に関する法令(PU(A)067/2007)が施行されたので、その内容を紹介する。

1. 操業鉱山計画
 操業鉱山計画とは、MDA第10条第1項に規定され、鉱業権及び鉱業リース保持者が、鉱山開発を行う場合、建設工事に先駆け鉱山局長(Director of Mine)へ提出する鉱山開発計画のことである。操業鉱山計画は、これまではMDA第10条第2項に規定されていたが、わずかに次の4項目に過ぎず、PU(A)067/2007の施行は、時代の要請に応えて操業鉱山計画の構成要素を明文化したものと言える。

i
  鉱山の生産開始予定日
ii
  年間鉱石生産スケジュール
iii
  採鉱計画
iv
  鉱山局長が書面にて提示を求めた情報

2. PU(A)067/2007の内容(以下仮訳)
2-1 PU(A)067/2007の発効年月日
 法令PU(A)067/2007は、2007年2月15日より効力を発生する。
 
2-2 PU(A)067/2007中の言葉の定義

(1)
「有害廃棄物」とは、ある一定の量、濃集、あるいは、化学的、物理的に人の健康や安全に支障を与える可能性のある物質の総称を言う。
(2)
「管理者」とは、MDA第14条に規定する管理者を言う。

2-3 操業鉱山計画の構成要素

(1)
操業鉱山計画は次の情報を基本とする。
i   地権者
ii   地権者とのすべての契約内容
iii   現地状況(地勢、特徴)
iv   採掘区画の地盤の安定性の評価
v   採掘現場の詳細な位置
vi   採掘可能埋蔵鉱量(鉱物資源量(予測、概測、精測)を含む)
vii   採鉱技術
viii   地表、地下の開発計画(スケジュール)
ix   使用する鉱山機器類
x   開発、生産段階における労働者のカテゴリーとその所要人数
xi   坑内掘り鉱山については、工学設計図面、通気、岩盤支保、排水、施設配置など詳細計画
xii   鉱物の回収、尾鉱・廃棄物の処分方法
xiii   選鉱法、製錬法および使用設備並びに有害物質を使用する場合はその届出
xiv   有害廃棄物の処理方法と爆薬の取り扱い方法、およびこれらの輸送、使用、保管方法
xv   運搬、車両の管理および安全対策
xvi   尾鉱、客土、鉱石、廃棄物の貯蔵、堆積場
xvii   鉱害防止、モニタリング、環境修復プランを含む一連の環境保護対策
xviii   労働安全衛生管理
xix   鉱山閉山計画
(2)
操業鉱山計画は、プロフェッショナルな作業(good professional practice)として実践しなければならないため、コンサルタントにより準備、署名、証明されたものでなければならない。
(3)
上記のコンサルタントとは、マレーシア工学会(Board of Engineers, Malaysia)に登録された職業鉱山・鉱物資源技術者を言う。また、上記の埋蔵鉱量は、ボーリング調査、あるいは類似の合理的な調査、手段によって、経済的に採掘可能な品位と鉱量を言う。

 
2-4 鉱山の作業計画

(1)
管理者は、次に記す計画、説明資料、図面を作成することを通じて、正確に作業計画を管理しなければならない。
i   地表配置計画
ii   斜坑、電気配線、通気システム、トンネル、削孔計画(Diamond Drill Hole)、ダム、隔壁など坑道水準毎の平面図
iii   斜坑、電気、通気設備、トンネル、立坑、ストープ、切羽など地表との関係を記した適当な間隔の断面図
(2)
本規則の隔壁とは、水槽、圧縮空気、充填材、その他の材料のための地下構造物で100kパスカル以上の力を受ける構造体を言う。

2-5 操業の記録台帳

(1)
管理者は、次の事項を記した記録台帳を作成しなければならない。
i   鉱山運営会社の権益状況
ii   選鉱場のマテリアルフロー
iii   概査結果
iv   鉱区の地質情報
v   鉱山安全検査結果
vi   鉱山鉱害の実態とモニタリング記録
vii   発破記録
viii   坑内通気記録
ix   生産物の生産量と販売量
x   有害廃棄物と有害化学物質
xi   車両登録
xii   事故発生記録
xiii   環境修復状況
xiv   廃棄物と剥土量
xv   資金借入れ内容の中央政府、州政府への報告

 以上がPU(A)067/2007に規定される全内容である。
 
3. マレーシアの探査(鉱区)関連情報
 本件に関連し、マレーシアにおける探査(鉱区)関連情報を参考までに下表に記す。

マレーシア探査 ( 鉱区 ) 関連情報

項目

内容

根拠法等

鉱業権管理機関

天然資源環境省 ( 連邦 ) 土地鉱山総局
(Ministry of Natural Resources & Environment, Department of Lands and Mines)
土地鉱山局 ( 各州 )
(State Department of Land and Mines)

全州の探鉱権、採掘権等の許認可を同一のモデル法案とする Model Mineral Enactment の最終案を 1995 年に策定。同案を受け初の州法案がサバ州で 1999 成立。なお、マレーシアは 13 州と 3 つの連邦管轄区からなる連邦国家である。 ( Perlis, Kedah, Pulau Pinang, Perak, Selangor, Negeri Sembilan, Melaka, Johor, Kelantan, Terengganu, Pahang, Sabah, Sarawak, Federal Territories of Kuala Lumpur, Labuan and Putrajaya )2001 年現在 5 州が SME を保有。

鉱物資源開発法
(Mineral Development Act525 (29 Augsut,1994))
州鉱物法
State Mineral Enactment(SME)

 

政府機関の権限

連邦政府は、操業に関する管理・監督 ( 鉱山保安等 ) 、生産統計情報管理を所管

州政府は、探査段階では、概査ライセンス(Prospecting License) 、探鉱ライセンス (Exploration License) を付与。開発段階は、鉱業リース (Mining Lease) 等を付与。

 

探査権の有効期間

個人操業の小規模探査に係る Fossicking licence 、 Dulang licence : 1 年 間
概査ライセンス: 2 年間+延長 2 年間
探鉱ライセンス: 10 年間+延長 5 年間

( サバ州 Mineral Enactment 1999 の場合 )

探査権取得にあたっての国籍要件の有無

なし。 ( 個人、企業、鉱業土地を有する法人、外国企業 )

( サバ州 Mineral Enactment 1999 の場合 )

申請基準

各州鉱物資源委員会 (SMRC : State Mineral Resources Committee) の審査

 

放棄要求制限

Prospecting License 期間では、当初調査地域の最低 30% 、 2 年目 60% 、 3 年目 80% の放棄義務

 

譲渡制限

譲渡可能 ( 但し、 Fossicking licence 、 dulang licence 、 individual mining licence を除く )

( サバ州 Mineral Enactment 1999 の場合 )

環境関連法の規制等

天然資源環境省 (Ministry of Natural Resources & Environment)

環境法 (Environmental Quality Act of 1974)

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