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報告書&レポート

2007年8月2日 シドニー事務所 久保田博志、永井正博、研究スタッフ Barend van IJsselstein Tel:+61-2-9264-2493 e-mail:(久保田)kubota-hiroshi_1@jogmec.go.jp (永井)masahiro-nagai@jogmec.net
2007年72号

オーストラリア「鉱山会社の研究」(2)非鉄メジャー編-若手社長の起用が続く大手非鉄メジャーBHP Billiton vs Rio Tinto-

 BHP Billitonは、5月31日、次期社長にMarius Kloppers氏(44歳)が就任することを発表した。退任するChip Goodyear氏が社長に就任したのが45歳、一方、BHP Billitonよりも先に社長が交代したRio TintoのAlbanese新社長も40歳代(49歳)であった。
 本稿では、若手の起用が続く大手非鉄メジャーの社長人事について報告する。

1. はじめに
  2007年2月、BHP Billiton、Chip Goodyear社長の辞意が明らかにされ、後任人事が注目された。同社は、5月31日、Chip Goodyear社長が10月1日で退任し、次期社長にはMarius Kloppers就任することを発表した。Kloppers氏は南アフリカ出身の44歳、前任のGoodyear氏が社長に就任したのが45歳と2代続いて40歳代の社長の誕生となった。また、BHP Billitonよりも一足先に新社長となったRio TintoのAlbanese氏も40歳代(49歳)であった。
 
2. BHP Billitonの最近の社長人事
 BHP Billitonの次期社長のMarius Kloppers氏は、Pretoria大学(南アフリカ)で石油化学工学を学び、マサチューセッツ工科大学(MIT、米国)で博士号を取得。初めこそエンジニアとしての道を歩んだが、Insead(フランス)で経営学修士(MBA)を取得した後は、ビジネス・コンサルタント企業を経て、Hill-Side Aluminium社(Billitonグループ、南アフリカ資本)の操業責任者/社長やSamancor Manganese社(Billiton)社長/役員、BHP Billitonのマーケティング担当役員、商業担当役員、非鉄金属部門役員など企業経営の道を歩んでいる。
 一方、退任する現社長のChip Goodyear氏もペンシルバニア大学で経営学修士(MBA)を取得後、幾つかの企業を経て、Freeport-McMoRan社(米国資本)の企業財務担当副社長、投資担当役員(上席副社長)を歴任、更に、Goodyear Capital Corp.でも財務担当役員(副社長)、BHP Billitonにおいても財務担当役員(CFO)と一貫して財務畑でキャリアを積み、BHP Billiton社長就任直前は開発担当役員(CDO)を務めるなど管理部門を歩んでいる。
 両氏は、経営学修士(MBA)を取得の後、財務・マーケティングなどの企業の管理部門を歩んできたという共通点がある。
 
3. Rio Tintoの最近の社長人事
 2007年5月、Rio Tintoでは初めての米国国籍の社長となったTom Albanese氏は、アラスカ大学で資源工学の修士号を取得、1993年にMirco Minerals社が買収されたことによりRio Tintoに加わることになる。その後、同社のBingham Cannyon銅鉱山(米国ユタ州)の副社長、ロンドン本社の工業原料・銅ビジネス部門、探鉱部門トップなどの幹部職を経て、社長就任直前は、資源部門の役員を務めている。同氏が経営の道に進む契機となったのは、2000年のRio TintoによるNorth Limited買収での働きがPaul Skinner会長に認められたことと言われている。
 一方、退任したLeigh Clifford前社長は、南オーストラリア州出身、メルボルン大学で採鉱学の学位と修士号を取得後、1970年にCRA Limited(オーストラリア、現在のRio Tinto)に入社、石炭部門を中心にキャリアを重ね、1994年にはRTZ Corporation(英国、現在のRio Tinto)の採鉱部門の責任者となる。1996年にはCRA Limitedの社長(1997年からはRio Tinto Limited(Rio Tintoのオーストラリア社長)を務めている。
 両者に共通な点は、エンジニア出身でAlbanese氏は探査部門(Head of Exploration)、Clifford氏は採鉱部門の責任者(Mining Director)など「現場」を抱える部門の長を務めた後、企業経営に関わっていたことにある。近年、財務・管理畑出身者が社長に就任しているBHP Billitonとは対照的である。

表1.非鉄メジャーの社長人事

名前

企業

就任

退任

経歴/専門

就任
年齢

役員平均年齢

John Prescott

BHP

1991/5

1998/4

BHPに40年在籍

58

Leon Davis

Rio Tinto

1997

2000

1956年からCRAに在籍

58

Paul Anderson

BHP

1998/12

2002/6

BS, Duke Energy(米国)

53

Leigh Clifford

Rio Tinto

2000/4

2007/3

1970年からCRAに在籍、エンジニア

53

58

Brian Gilberson

BHP Billiton

2002/6

2003/1

Bsc, MBL, Billiton

58

56

Charles Goodyear

BHP Billiton

2003/1

2007/10

Bsc,MBA,CFO,Freeport(米国)

44

58

Tom Albanese

Rio Tinto

2007/3

 

BS,MS(採鉱)、探査部門長

49

57

Marious Kloppers

BHP Billiton

2007/10

BEC,MBA,Phd(Science)

44

58

出典)各社アニュアルレポート 2006年~2000年
各社Webサイト

4. おわりに
 資源ブームが続く2007年、BHP Billiton、Rio Tintoともに社長が交代することになるが、新社長は共に、エンジニア出身で、40歳代、BHP BillitonのKloppers次期社長はBHP とBillitonの合併に、Rio TintoのAlbanese社長は同社によるNorth Limited買収時に貢献のあった人物であるなどの共通点をもつ。
 2007年前半には「BHP BillitonによるRio Tinto買収」が噂されるなど、世界を代表する二大資源企業の経営動向は鉱業関係者の重大関心事であり、また、両社の「エンジニア出身の若手」新社長の舵取りが注目されるところである。

表2.BHP Billiton、Rio Tinto新社長の経歴

Marius Kloppers
(BHP Billiton新社長)

Chip Goodyear
(BHP Billiton現社長)

Tom Albanese
(RioTinto新社長)

BS- University of Pretoria(南ア)
PhD- MIT Tech(米国)
MBA- Insead(フランス)

BS- Yale University(米国)
MBA- Wharton, University of
    Pennsylvania (米国)

BSc- University of Alaska(米国)
MSc- University of Alaska(米国)


– Sasoal社(南ア)
– Mintek社(南ア)

– 1983-1985
– アソシエイト(Associate)
– Kidder, Peabody & Co社

– 1981-1983年
– エンジニア
– Resource Associates社


– コンサルタント
– McKinsey & Co社(オランダ)

– 1985-1986
– 副社長補佐
– Kidder, Peabody & Co社

– 1985-1986
– アナリスト/マーケティング
– NERCO Minerals社

– 1993年-.
– 操業責任者/社長
– Hill-Side Aluminium社
 (Billitonグループ)

– 1986-1989
– 副社長
– Kidder, Peabody & Co社

– -1993年
– 操業責任者(COO)
– NERCO Minerals社
 (Rio Tintoに買収)

 

– 1989-1993
– 副社長
– Freeport-McMoRan

– 1993年-
– 社長
– Greens Creek金・銀・亜鉛鉱山

 

– 1993-1995
– 上席副社長(投資担当)
– Freeport-McMoRan社

– 1995年
– 探鉱部門幹部(ロンドン)
– Rio Tinto

 

– 1995-1997年
– 首席副社長/財務担当役員(CFO)
– Freeport-McMoRan社

– 1998年
– Kennecott Utah Copper社副社長
 (Bingham Canyon銅鉱山、米国)
– Rio Tinto

– -2001年
– Samancor manganese社社長
– (Billitonグループ)

– 1997-1999年
– 社長
– Goodyear Capital Corp. 社

– 2000年
– NorthLimited買収に関わる
– Rio Tinto

– -2001年
– 役員
– Billitonグループ

– 1999 – 2001年
– 財務担当役員(CFO)
– BHP Billiton

– 2000-2004年
– 工業原料部門長
– Rio Tinto

– 2001-2004年
– マーケティング担当役員,
 商業担当役員
– BHP Billiton

– 2001-2003年
– 開発担当役員(CDO)
– BHP Billiton

– 2004-2006年
– 銅・探鉱部門長
– Rio Tinto

– 2004年-現在
– 非鉄金属部門役員
– BHP Billiton

– 2003年
– 社長(CEO)
– BHP Billiton

– 2006年
– 資源担当役員
 (探鉱,操業,技術,人材開発,渉外)
– Rio Tinto

– 2007年
– 社長(CEO)
– BHP Billiton

– 2007年
– 社長(CEO)退任予定
– BHP Billiton

– 2007年
– 社長(CEO)
– Rio Tintoo社

出典) 各社アニュアルレポート 2006年
  各社Webサイト
  各社プレスリリース

参考文献等
 ‘BHP Billiton to appoint Marius Kloppers as New CEO’, 31/06/07
 http://www.bhpbilliton.com/bb/investorsMedia/news/2007/bhpBillitonToAppointMariusKloppersAsNewCeo.jsp
 ‘BHP says Goodbye Mr. Chip’, SMH, 01/06/07
 ‘The miner’s to job goes to a deal maker’, AFR, 01/06/07
 http://www.riotinto.com/whoweare/chief_executive.asp
 ‘Lynch gives Kloppers a clear track’ AUS 07/06/07
 ‘You can’t keep a good man down’ SMH 07/06/07
 ‘BHP exec quits after missing top job’ SMH 07/06/07
 ‘Top role tipped as Lynch quits BHP’ AUS 07/06/07
 BHP Billitonアニュアルレポート 2005年、2004年、2003年、2002年、2001年、2000年
 Rio Tinto アニュアルレポート 2005 年、2004 年、2003 年、2002 年

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