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報告書&レポート

2007年8月23日 北京事務所 土屋春明 Tel:+86-10-6590-9520 e-mail:tsuchiya@jogmec.cn
2007年80号

銅陵有色金属集団公司の今後の動向

 中国の銅生産企業には、現在、年間銅地金生産量が20万t以上の企業5社(江西銅業集団公司、銅陵有色金属集団公司、雲南銅業集団公司、大治有色金属公司、金川集団有限公司、)が存在し、これらの企業で中国の地金生産の約60%(2006年)を占めている。中国国内の銅消費の急速な増大に対応して、これら大企業が中心となり、銅地金生産を拡大しており、中国の発展を象徴する企業である。
 今回、JOGMEC北京事務所は、銅地金生産量では中国第1位、世界第8位の産銅企業である銅陵有色金属公司が所有する鉱山の現地調査を実施した。同時に同公司幹部との情報交換を行う機会を得たので、鉱山の現況と、同公司の今後のビジネス戦略について紹介する。


1. 銅陵有色金属集団公司の概要

 銅陵有色金属集団公司は、中国の青銅器発祥の地である安徽省銅陵市にあり、1952年6月に設立された中国で最も古い銅の生産基地である。半世紀に亘る活動により、現在は採鉱、選鉱、製錬及び加工を中心として、貿易、鉱山及び関連施設の設計、機械製造等の事業も展開する大型企業集団となっており、320種類の製品を生産するメーカーでもある。2006年の銅地金生産量で、中国国内で初めて50万tを超え、2年連続銅地金生産量第1位を占めた。同時に、世界銅製錬企業の中で第8位を占め、トップ10入りを果たした。2006年の総売上高は330億元、税引き前利益は33億元である。
 非鉄金属部門については、同公司は現在5鉱山、4製錬所を保有している。鉱山については後述する安慶銅鉱山の他に、かつては5鉱山(金口岺銅鉱山、銅山銅鉱山、鳳凰山銅鉱山、獅子山銅鉱山及び銅官山鉱山)を所有していたが、一時期鉱量枯渇ないしは事業整理により閉山していた。近年、銅官山鉱山以外は操業を再開し、獅子山銅鉱山は冬瓜山銅鉱山と名称変更し、2004年10月から操業が開始され、2007年4月には本格操業に入っている。
 一方、製錬所については、金隆銅業公司(住友金属鉱山と合弁、カソード生産210,000t/年)、第一製錬所(アノード生産30,000t/年)、金昌製錬所(カソード生産能力170,000t/年)、張家港銅業公司(景豊鎮及びTEMI[香港の企業]と合弁、カソード生産150,000t/年)があり、カソード生産能力は年間530,000tである。上述の鉱山及び製錬所のうち、金昌製錬所、張家港銅業公司及び冬瓜山銅鉱山は、銅陵有色金属集団公司の持株上場企業である銅都銅業株式公司の管轄下にある。
 なお、同公司の2006年の銅カソード生産量及び銅精鉱生産量はそれぞれ548,781t及び46,100t(銅量)である。
 


2. 安慶銅鉱山の概要

 安慶銅鉱山は、安徽省南部安慶市の北方18㎞に位置しているが、行政区分としては銅陵市に属する。
 鉱床は1976年に発見され、1977年から基本工事が開始されたものの、1979年には工事が一時中断された。1981年~1986年にかけて当時の金属鉱業事業団が資源開発協力基礎調査において鉱山開発計画に関する技術協力を行い、この結果を受けて1987年~1990年に工事が実施され、1991年に操業開始に至った。現在は銅陵有色金属集団公司の子会社となり、鉱山(坑内掘り)を主体として、選鉱工場及び鉄ブリケット生産工場からなる。従業員は約1,100人(坑内作業員約600人、技術者約300人、女性補助職員約200人)で、中国の鉱山としては極めて少人数の操業を実施している。生産量は銅精鉱が約10,000t/年(銅量)、砂鉄が約450,000t/年である。かつては、硫黄鉱も生産していたが、現在は行われていない。
 採掘坑道は、旧金属鉱業事業団による資源開発協力基礎調査実施時に採掘された-400mレベルよりも更に深部が開発され、現在の最下底坑道は-700mに達する。現在、旧金属鉱業事業団による調査で採掘された立坑は人道立坑として利用され、鉱石はその後採掘されたメインの立坑より巻上げられている(その他に通気立坑1本を設置)。又、-700mまで斜坑を開削し、機材の運搬を行っている。
 鉱床は接触交代鉱床(銅・鉄)で、品位は銅1%、鉄46%程度である。鉱体の規模は、長さ760m、高さ600m及び厚さ28mであり、60mを1ユニットとしてV.C.R法(Vertical Crater Retreat、下部から上部に向かう採掘法)により、3,000t/日の鉱石が採掘されている。現在の採掘レベルは-400mで切羽は3~4箇所が同時に採掘されており、1か所では約1,000t/日の鉱石が採掘されている。なお、現在の探鉱は-580mレベルが中心で将来的には更に深部の採掘を検討している。
 採掘された鉱石は選鉱場で処理された後、選鉱廃滓はセメントと混合して採掘空洞に充填され、ズリは施設内の堆積場(保管場所)に移される。なお、本地域は基盤岩が石灰岩であることから、坑内では約8m3/分程度の湧水(pH7程度、重金属濃度等の水質は不明)が確認されており、ポンプアップされて選鉱用水として利用されている。選鉱廃水は、沈殿池にて清濁分離された後、オーバーフロー水が系外に放流されている。
 本鉱山の最大の特徴は、中国の鉱山としては生産効率の高いことにある。銅の金属量で約9.1t/人/年であり、他の中国国内の銅鉱山と比べて約10倍の生産性を誇る。これは、海外(主としてスウェーデン製)から最新の設備を導入していることや、採掘方法の効率化による結果によるものである。今のところ、増産計画はなく、マインライフ(20~30年)を維持させたいとのことである。
 

安慶銅鉱山鉱山事務所玄関   安慶銅鉱山選鉱場
安慶銅鉱山鉱山事務所玄関      安慶銅鉱山選鉱場

安慶銅鉱山斜坑入り口   安慶銅鉱山選鉱場(建屋)
安慶銅鉱山斜坑入り口      安慶銅鉱山選鉱場(建屋)

3. 冬瓜山銅鉱山の概要

 冬瓜山銅鉱山の前身は、獅子山銅鉱山である。獅子山銅鉱山は約40年間採掘された鉱山であったが、1986年に獅子山鉱体の深部(-670m~-1,100m)に延長する冬瓜山鉱床が発見されて以来、2001年に建設が開始され、2004年10月に操業を開始した。施設は鉱山(坑内掘り)及び選鉱場よりなり、設備は2億US$が投じられて海外より導入されている。鉱床は接触交代鉱床(銅・鉄・硫黄)で、鉱体規模は長さ2km、幅500m、厚さ40mで、品位は銅約1.024%である。埋蔵鉱量は100万t(銅量)で、設計生産能力は13,000t/年であり、2009年までには13,000t/年操業体制を確立する計画である。現在採掘しているレベルは-850mであり中南工科大学と協力し坑内作業の安全に万全な体制を期している。従業員は約1、200人で、うち1,000人が坑内作業員、残りが選鉱作業員・地上補助勤務員である。
 銅精鉱(品位約20%)は、鉄道によって20km離れた金昌製錬所等に送られる。選鉱廃滓は、安慶銅鉱山と同様にセメントと混合して採掘空洞に充填され、ズリは堆積場(保管施設)に移設されている。

4. 銅陵有色金属集団公司の資源確保戦略

 銅陵有色金属集団公司は、中国国内の持続的な経済成長に伴い、現在、銅製錬所の拡張計画を立てており、2010年には700,000t規模に拡張し、世界第5位の銅生産企業を目指す計画である。原料確保にあたっては、中国国内の探鉱開発事業(自社所有鉱山の周辺探鉱及びチベット自治区での探鉱)を強化するとともに、海外の鉱山投資を視野に入れた長期的な鉱石の安定確保を目指している(現在の自山鉱比率は10%程度)。既に、海外鉱物資源開発に進出するために英国のVirgin Islandに銅冠リソーシーズ・ホールディング社を設立し、自らが海外の資源探査を行う。また、紫金鉱業公司と共同でカナダのモンテリコ・メタルズ社を買収し、ペルーのリオ・ブランコ銅山の権益を取得するなどの海外展開を積極的に展開している。

5. おわりに

 中国第2位の産銅メーカーである銅陵有色集団公司の経営戦略は、銅鉱山開発から、銅製錬、銅加工品生産といった銅の一貫体制の強化・拡充を図り、前述のとおり、地金生産分野では2010年までに、中国市場の拡大を見込んだ世界第5位の銅地金生産企業に発展させるという目標を掲げている。同公司は安徽省政府の支援の下、池州市(銅陵市に近接)政府及び池州泰達冶金公司との共同出資により鉱山開発・製錬企業を設立する計画である。
付加価値の高い製品生産部門の強化も経営戦略の柱であり、銅陵市の開発区でカナダ企業との合弁による銅加工工場(高品質の板、条を生産)を操業している。同社の経営方針としては、組織のグローバル化を図るために、外国の技術や資本を積極的に導入しようという姿勢が強く認められる。
  銅鉱山開発分野では、原料の安定確保のため、国内探鉱の加速化のみならず海外鉱山開発を推進するため、海外での探鉱会社の設立、共同出資による南米ペルーの銅鉱山の権益取得などの措置を積極的に講じている。鉱山技術分野に於いても安慶銅鉱山、冬瓜山銅鉱山等で培った深部採掘技術に関する人材育成を図り、既に金川集団、チャンビシ銅鉱山へ積極的に坑内採掘技術者を派遣している。銅陵有色金属集団公司の幹部は、今後海外鉱山開発を積極的に展開する上で坑内深部採掘技術が大きな武器になると考えている。

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