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報告書&レポート

2008年2月7日 ロンドン事務所 高橋健一 Tel:+44-20-7287-7915 e-mail:takahashi@jogmec.org.uk
2008年13号

Mining Journal社「Copper Day」セミナー参加報告

 Mining Journal誌が主催する「20:20 Investor Series」と称されるセミナー・シリーズの一環として、「Copper Day」セミナーが10月にロンドンで開催された。同セミナー・シリーズでは、主に欧州の投資家向けに、各金属、あるいは国ごとのテーマにより年間10回以上開催されている。個々のセミナーの共通テーマは、金属の需給・価格動向、各国の鉱業法規、採鉱・生産動向、そして関連企業の事業内容・展望・投資ポテンシャルなどとなる。
 今回のセミナーでは、銅にスポットを当て、需要、価格動向に関する講演が1件、探鉱企業による自社プロジェクトの概況についての講演が10件行われた。以下、その主な講演の概要を報告する。

1. 銅市場の展望
 Bloomsbury Minerals Economics社(英)- Mr. Chris Welch -
 Bloomsbury Minerals社(以下BME)は、ベースメタル市場の分析と調査を行う投資コンサルト会社。とりわけ銅に強く、毎月「The Copper Briefing Service」と題した報告書を発行している。同報告書を担当しているWelch氏が、銅市場におけるこれまでの概要と今後の動向について講演した。

(1)銅の需給バランス
 銅生産は2003年以来供給不足が続いている。2007年もこの傾向は変わらず、生産量18,019千tに対し、需要は18,154千t、需給バランスは-135千tになる見通し。
 銅生産が需要に追いついていない理由には、予定生産量が実際の生産量よりも過大に予測されてきたこと、また、中国、インドなどの建設ブームによって、銅消費量が急激に拡大したことが要因となる。しかし、2008年以降は、鉱山生産量の伸びが期待されており、2008年及び2009年には一転し、供給超過気味になることが予想されている。さらに10年に一度の周期的な世界的景気後退期に入るとみられる2010年から2011年には、さらにその傾向が拡大することも予想される。

銅地金の生産、消費、需給バランス(千t)
  2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
生産量 15,256 15,879 16,624 17,450 18,019 19,181 19,979 20,523
消費量 15,641 16,925 16,990 17,682 18,154 19,107 19,910 20,071
需給バランス -385 -1,046 -366 -232 -135 74 69 452

(i)銅精鉱の生産・消費バランス
 2009年から2012年の4年間で鉱山生産量が15%伸びた場合、不足していた精鉱在庫も通常レベルに回復する見込み。

BME’s Copper Briefing Service, September 2007
BME’s Copper Briefing Service, September 2007

(ii)銅地金生産・消費バランス
 供給不足に悩んでいた銅地金生産は鉱山生産量が伸びる2008年を機に通常バランスへ回復する見込み。しかし2010年、2011年に周期的な景気後退が到来すれば、供給超過になることが予想される。

BME’s Copper Briefing Service, September 2007
BME’s Copper Briefing Service, September 2007

(2)銅市場、価格の展望
 2007年第4四半期における西欧及び米国の銅需要は下降し、この傾向は翌年も続くものと思われるが、反面、中国、インド、ロシア、中央ヨーロッパ諸国、中近東などの消費量の伸びも継続するものと予測されるので、世界的規模での需要量の変化による価格の変動は少ないとみられる。
 BME社の分析によると、銅価格は2004年以来、実際よりも少ない消費量を基にして予測されてきたため、正当な相場を下回る価格(2004年:3,000US$/t-2007年:7,000US$/t)で取引されている。同社はその理由として、

1) Chinese Strategic Reserve Bureau(SRB)などによる銅の備蓄量が全体の需給統計に含まれておらず、実際の需給バランスが市場に反映されていないこと、
2) 鉱山生産量が過大に見積もられてきたこと、
3) 急激な工業生産の上昇により在庫のバランスが崩れたこと、

   などが指摘されている。
 同社では、銅地金の実物市場は2009年に高騰し、ファンド資金の流入もピークに達するとし、価格は同年4月から5月にかけて、過去10年間で最高値の9,000US$/tになると予測している。

2. 探鉱・開発企業による講演
2-1.Anvil Mining Ltd.(豪社、ASX, TSX上場)
 Mr Craig Munro,Vice President – Corporate & CFO
 アフリカ、コンゴ民主共和国(以下「DRC」)に活動拠点を置く探鉱開発会社。既に2つの生産段階の鉱山(Dikulushi、Kulu)を保有し、開発段階のKinsevereプロジェクトと、探鉱段階のMutoshiプロジェクトを実施している。

(1)Kinsevere銅・コバルト・プロジェクト
 Anvil Mining社が95%、地元企業であるMining Company Katanga社(MCK)が5%のプロジェクト権益を所有する。Kinsevere Hill、Tshifufia、Tshifufiamashiの3つの鉱床から成る同社最大規模の露天採掘鉱山となる。
 生産は現在第一段階であり、2007年6月から銅精鉱を生産している。2008年1月から粗銅[tk1]を生産する予定であり、年間生産規模は23千~25千t(銅金属量ベース)となるが、SX-EWを導入する第二段階は2007年7月末から着工され、2009年第3四半期から生産を開始する計画となっており、その後は、銅地金6万tの年間生産規模となる予定。
 2007年4月時点での鉱物資源量(精測+概測)は20百万t、銅金属量は86.5万t(平均品位4.3%)となり、これに予測鉱物資源量が21百万t、銅金属量71.6万t(同3.4%)が加算され、銅金属量の総計は、最終的に1.6百万tになる予定。マインライフは13年を予定している。

(2)Mutoshiプロジェクト
 同プロジェクトエリアには、1987年に閉鎖されたMutoshi銅コバルト鉱山を含み、また、かつてDRCの銅生産量の7割を生産していたKolwezi Klippeエリアの29%の面積をカバーする探鉱段階のプロジェクト。DRCの鉱山公社であるGécamines社とのJVプロジェクトで、Anvil Mining社が80%のプロジェクト権益を保有し、2007年からボーリング調査を実施している。1999年のGécamines社の調べでは、鉱物資源量は11百万t(銅2.25%、コバルト0.12%)、それぞれ含有量は銅24.7万t、コバルト1.3万tと報告されている。
 同社はDRCにおいて、上記2プロジェクトの他、Kulu、Dikulushiプロジェクトを操業しており、これらのプロジェクトの進展により、DRCでの銅生産量を拡大する計画であり、2010年の銅生産量は11万t/年規模に達する見通しであるとしている。

2-2.Weatherly International Plc.(英社、AIM上場)
 Mr Rod Webster,CEO
 同社はナミビアに生産拠点を置く企業であり、Otjihase Underground、Matchless Underground、Kombat West Underground、Tsumeb West Underground、Tschudi Undergroundの各銅生産鉱山と、粗銅を生産するTsumeb製錬所を操業する。これらの主な操業資産は、以前、Goldfields社及びNewmontが所有していたが、Weatherly社が2006年に買収した。2007年時点で、同社のナミビアでの銅生産量は年間約1万t規模であるが、複数の開発段階のプロジェクトを実施しており、それらの進展により、年間生産3万t規模に拡大する計画を持つ。この他、製錬部門では、自社鉱石の製錬に加え、DRC、ザンビアなどの周辺アフリカ諸国からの鉱石のカスタムスメルターを目的とし、現在の粗銅生産能力3万tから11万t規模への拡張を計画している。

(1)Tschudi Open Pitプロジェクト
 ボーリング調査段階のプロジェクトで、2008年第3四半期にはバンカブルFSの結果が報告される予定。鉱物資源量合計は43百万t、銅0.8%、銀15g/tであり、露天採掘可能な鉱石量は3.2百万t、銅1.2%、銀10g/tを見込んでいる。2009年から2010年までに生産を開始する予定で、年間7000tの銅生産を計画している。マインライフは最大5年としている。

(2)The Berg Aukas 亜鉛プロジェクト
 亜鉛、鉛、バナジウム生産を目的としたプロジェクト。現在はプレFS段階であり、2008年までに鉱量計算を含むFSを完了する予定。
 過去の調査による鉱物資源量は1.7Mt、亜鉛17%、鉛5.0%、五酸化バナジウム0.6%と報告されている。2010年の生産開始を目標とし、年間生産量、亜鉛4万t、鉛1.2万t、パラジウム0.1tを計画している。マインライフは最大5年間としている。

2-3.Vulcan Resources Limited(豪社、ASX他上場)
 Mr Alistair Cowden, Managing Director
 同社はフィンランドにおいて、銅、ニッケル、亜鉛の3つのベースメタル・プロジェクトを進行中。欧州での生産、経営に重点を置き、同社株の45%は欧州の機関投資家が所有する。近々、オスロ証券取引所に上場予定。
(1)Kylylahti銅・コバルト・ニッケル・プロジェクト
 現在バンカブルFSが進行中であり、2008年初期から建設段階に入る予定のプロジェクト。Vulcan Resources社がプロジェクト権益100%を所有する。2006年におけるプレFSの結果では、鉱物資源量合計は7.4百万t、銅1.0%、金0.6g/t、コバルト0.2%、ニッケル0.4%、亜鉛12%、硫黄12%と算定されている。2009年末での生産開始が予定され、年間平均での生産量は、それぞれ、コバルト1千t、ニッケル1千t、銅5.5千t、金6.5千oz、亜鉛2.2千tを見込んでいる。マインライフは13年間。

(2)Kuhmoプロジェクト
 Polar Mining社(親会社はDragon Mining社)との探鉱JVプロジェクトで、Vulcan Resources社が95%、Polar Mining社が5%のプロジェクト権益を所有する。これまでの探鉱では、5か所においてニッケル鉱床が捕捉され、ニッケル含有量総計37千t、プラチナとパラジウム含有量合計で80千ozが確認されている。それらの鉱床は浅部に位置し、地下58mまでに捕捉された鉱床の高品位部は、ニッケル1.32%、銅0.56%、パラジウム1.04g/t、プラチナ0.19g/tとなっている。現在、さらなるボーリング調査が進行中であり、また、スコーピング・スタディも開始されており、同社では、2009年における生産開始を目標としている。
 以上の2つのプロジェクトの他、Tornio PGMプロジェクトを実施しており、近く、ボーリング調査を開始する予定である。

2-4.EMED Mining Public Limited(キプロス、AIM上場)
 Mr. John Leach, Finance Director
 同社はキプロス共和国に本社を置く、銅と金を主力とする鉱山会社。2006年9月にEastern Mediterranean Resources Public Limitedから現在の社名に変更した。生産拠点は欧州及び中東であり、現在、スペイン、スロバキア、グルジア共和国、キプロス共和国で初期探鉱段階のプロジェクトを実施している。同社はトルコとブルガリアの鉱山採掘権を保有するKEFI Minerals社(AIM上場)の権益34%を所有している。

(1)Rio Tintoプロジェクト
 スペイン、セルビア市から65km北西に位置する鉱床。EMED社は、現在Proyecto de Rio Tinto(PRT)プロジェクトの権益51%を取得しているが、権益100%とするオプションも持つ。
 JORC基準による鉱物資源合計量は255百万t(銅含有量1.44百万t、品位0.57%)、可採鉱石量は69百万t(銅含有量0.45百万t、品位0.65%)と報告されている。生産開始は2008年を予定し、マインライフは10年間とみている。2010年以降は、鉱石生産量7.5百万t、銅精鉱生産量約4万t/年(銅金属量)規模の生産を計画している。

(2)Cyprusプロジェクト
 キプロス型塊状硫化物鉱床が胚胎するTroodos Complex内のKlirou、South Mathiatis、North Alestosの3地区において、2007年から実施している探鉱プロジェクト。KlirouのプレFSは2007年末に終了予定であり、これまでの結果では、予測鉱物資源量4.5百万t、銅0.41%、亜鉛0.74%となっている。また、South Mathiatisでの予測鉱物資源量は2.1百万t、亜鉛0.95%となっており、North Alestosではボーリング地質調査を進行中である。2008年にこれらの開発時期を決定する計画。
 同社はこの他にグルジア共和国のZopkhito、Ipari、Kirtisho、およびスロバキアのVysny-medzevで金の探鉱プロジェクトを実施している。
 上記各社の他、Monterrico Metals Plc.(英社、AIM上場)、Quadra Mining Ltd.(英社、TSX上場)、International Copper Resources Plc.(英社、AIM上場予定)、Copper Fox Metals INC(加社、TSX上場)、Augusta Resource Corporation(加社、AMEX、TSX上場)、Tamaya Resources(豪社、ASX上場)による、自社プロジェクトに関する講演も行われた。

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