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報告書&レポート

2008年3月6日 シドニー事務所 久保田博志、永井正博 Tel:+61-2-9264-2493 e-mail:kubota-hiroshi_1@jogmec.go.jp masahiro-nagai@jogmec.net
2008年22号

速報!! Oxiana社とZinifex社の合併について

 オーストラリアを代表する鉱山会社のOxiana LimitedとZinifex Limited(共に本社メルボルン)は、3月3日、対等合併を発表した。銅・金を中心に急成長を続けるOxiana社と破綻した亜鉛・鉛専門の鉱山会社Pasminco社の資産を引継いで再生を遂げ、2007年には製錬部門を分離して鉱山業に専念するとともに亜鉛・鉛以外の鉱種にも意欲を示していたZinifex社の合併は、オーストラリアにける新たな「総合」資源企業の誕生となった。
 本稿では、Oxiana社とZinifex社の合併とその影響について報告する。

1. はじめに
 オーストラリア国内とラオスの銅・金鉱山を中心に急成長を続けるOxiana社と製錬部門を分離(売却)して亜鉛・鉛を中心とした「鉱山会社」となったZinifex社は、2008年3月3日、対等合併を発表した。新会社は、本社をメルボルンに置く株式時価総額約120億A$、従業員数約8,000人、オーストラリア第3位の鉱山会社となり、今後は、ベースメタル及び貴金属鉱山業を中心に世界的な多角的鉱山会社を目指し、社名も新たなものになることが明らかにされた。

2. 合併内容
 今回の合併は、Zinifex社株式1株に対してOxiana社株式3.1931株、新会社の株式はOxiana社とZinifex社の双方株主が50%ずつ保有する対等合併となる。株式時価総額(2008年2月末)約120億A$の多角的鉱山会社となる。今後、合併のための諸手続きに入り、2008年6~7月には合併手続きを完了させる予定である。
 合併後の役員人事では、Oxiana社会長のBarry Cusack氏が引き続き新会社の会長、Zinifex社最高経営責任者兼社長のAndrew Michelmore氏が新会社の最高経営責任者に就任する予定となっている。同氏は、WMC Resources社社長、ロシアのエネルギー・アルミニウム企業EN+Group社の社長を経て、2008年2月1日にZinifex社の最高経営責任者に就任していた。その他、Oxiana社、Zinifex社の全ての役員が新会社の経営に参加する。また、Oxiana社の最高経営責任者兼社長のOwen Hegarty氏は、新会社の役員兼統合役員会議長(Chairman of the Integration Committee of the Board)となる予定である。
 なお、Oxiana社、Zinifex社の両社は、Zinifex社が現在、進めているAllegianece Mining NL社(本社シドニー、Aveburyニッケル鉱山(タスマニア州)を操業、以下Allegianece社)の買収にこの合併が何ら影響を与えるものでないことを合併発表の中で明らかにしている。

表1.合併手続きスケジュール
時期 主な合併手続き
2008年3月3日 合併発表
2008年4月9日 Oxiana社の最終配当支払い
2008年4月21日 Zinifex社の中間配当支払い
2008年4~5月 合併に関する冊子をZinifex社株主へ配布(Scheme Boollet)
2008年5~6月 合併に関するZinifex社株主会合(Scheme Meeting)
2008年6~7月 合併完了
出典) ASX Media Release 3 March 2008,“Oxiana and Zinifex merger, Strength – Diversify – Growth”(Presentation)

3. 合併の効果
(1)企業規模/財務内容
 オーストラリア証券取引所(ASX)に上場するOxiana社の時価総額(2008年2月末)は、61億A$で同取取引所に上場する鉱山会社のうち第6位、Zinifex社は54億A$で第7位であり、合併後の新会社は、時価総額116億A$となり、株式時価総額で同取引所第3位*の鉱山会社となる。
 合併前のOxiana社及びZinifex社の2007年財務内容から、新会社は、税引き前利益(EBITDA)1,666百万A$、税引き後利益(NPAT)918百万A$、手許現金2,474百万A$、有利子負債539百万A$、キャッシュバランス1,935百万A$となる。

* 二重上場のBHP Billiton、Rio Tintoを除き、Fortescue Metals Group Limited(鉄鉱石、本社パース)、Newcrest Minig Limited(金・銅、本社メルボルン)に次いで株式時価総額で第3位の鉱山関係企業となる。

図1.オーストラリア証券取引所 上位200社(鉱山会社)
図1.オーストラリア証券取引所 上位200社(鉱山会社)

出典) ASX Media Release 3 March 2008,“Oxiana and Zinifex merger, Strength – Diversify – Growth”(Presentation)

表2.合併前後の財務状況(2007暦年)
(単位:百万A$)
財務指標 Oxiana社 Zinifex社 合併後新会社
総収入(Gross revenue) 1,196.3 1,638.5 2,834.8
税引き前利益(EBITDA) 595.1 1,071.4 1,666.5
税引き後純利益(NPAT) 305.8 612.2 918.0
現金(Cash on hand) 246.1 2,228.0 2,474.1
負債(Interest-bearing debt) 420.8 118.1 538,9
出典) ASX Media Release 3 March 2008,“Oxiana and Zinifex merger, Strength – Diversify – Growth”(Presentation)

(2)合併資産
 現在、Oxiana社は、Prominent Hill銅・金鉱山(南オーストラリア州)、Golden Grove亜鉛・鉛・銅鉱山(西オーストラリア州)及びSepon銅・金鉱山(ラオス)を、Zinifex社は、Century亜鉛鉱山(クイーンズランド州)及びRosebery亜鉛鉱山(タスマニア州)を操業しており、新会社はオーストラリア国内とラオスにおいて5鉱山を操業中することになる。
 また、Oxiana社が保有するMaltabe金・銀プロジェクト(インドネシア)、Zinifex社が保有するDugald River鉛・亜鉛プロジェクト(クイーンズランド州)及びIzok Lake- High Lake銅・亜鉛プロジェクト(カナダ)の3プロジェクトは、現在、開発中である。

表3.合併前後の生産情況(2007暦年)
主要鉱種 Oxiana社 Zinifex社 合併後新会社
亜鉛(千t) 132.0 611.0 743.0
銅(千t) 77.9 1.7 79.6
鉛(千t) 8.1 65.3 73.4
金(千oz) 151.2 31.8 183.0
銀(千oz) 3,310.0 6,951.2 10,261.2
出典) 出典)ASX Media Release 3 March 2008,“Oxiana and Zinifex merger,Strength- Diversify – Growth”(Presentation)

図2.Oxiana社とZinifex社の主要鉱山、探査地域
図2.Oxiana社とZinifex社の主要鉱山、探査地域

注) QLD:クィーンズランド州、WA:西オーストラリア州、TAS:タスマニア州、SA:南オーストラリア州
出典) ASX Media Release 3 March 2008,“Oxiana and Zinifex merger,Strength – Diversify – Growth”(Presentation)に加筆

(3)合併後の体制
 鉱種別の収入は、Oxiana社は金・銅が主力で銅が全収入の50%を超え、Zinifex社は亜鉛が主力で全収入の90%近かった。合併は、鉱種の面では相互補完的なものであると言われているように新会社合併後の新会社の鉱種別収入は、亜鉛が約60%、Prominet Hill銅・金鉱山(南オーストラリア)の生産開始によってその割合が高くなる銅が20数%、更に、Zinifex社によるAllegianece社の買収が成功すればニッケル資産も加わり、新会社は、鉱山操業・開発・探鉱における鉱種的にバランスのとれたものとなる。
 一方、地域別では、ラオスからの収入が60%近いOxiana社と、オーストラリア国内のみに生産拠点を持つZinifex社は、合併によってラオス、オーストラリアと地域的な偏りが緩和される。また、Oxiana社がインドネシアなど東南アジア、Zinifex社がカナダやヨーロッパなどにおいて探鉱・開発を活発化しており、今後、地域的な多様性は更に広がっていくと見られている。

図3.鉱種別の売上げ構成、図4.地域別の売上げ構成
図3.鉱種別の売上げ構成 図4.地域別の売上げ構成
出典) ASX Media Release 3 March 2008,
“Oxiana and Zinifex merger,
Strength – Diversify – Growth”
(Presentation)
出典) ASX Media Release 3 March 2008,
“Oxiana and Zinifex merger,
Strength – Diversify – Growth”
(Presentation)

表4.合併前後の埋蔵量/資源量
鉱種 カテゴリ Oxiana社 Zinifex社 新会社
亜鉛(千t) 埋蔵量 606.0 5,629.0 6,235.0
資源量 1,196.2 16,611.4 17,807.6
銅(千t) 埋蔵量 1,862.7 15.3 1,878.0
資源量 4,002.6 813.1 4,815.7
金(百万oz) 埋蔵量 4.1 0.2 4.3
資源量 14.3 1.7 16.0
銀(百万oz) 埋蔵量 52.1 51.3 103.4
資源量 153.2 254.6 407.8
ニッケル(千oz) 埋蔵量
資源量 620.0 620.0
鉛(千t) 埋蔵量 66.0 630.4 696.4
資源量 130.8 2,468.3 2,599.1
コバルト(千oz) 埋蔵量
資源量 47.0 47.0
注)上段:埋蔵量、下段:資源量
出典) ASX Media Release 3 March 2008,“Oxiana and Zinifex merger, Strength- Diversify – Growth”(Presentation)

4. 合併に対する反応
 今回の合併の背景として、「業績の良い両社は以前から買収の噂が絶えなかったこと」、「これまでの亜鉛・鉛の鉱山から製錬に至るまでの一貫した事業展開から、製錬部門の分離に加え、亜鉛・鉛だけでなく他の鉱種も視野に入れた多角的な「鉱山事業」を核とした経営方針に転換、製錬部門売却で得た資金を元に合併・買収相手を物色していたZinifex社と、Sepon銅・金鉱山の拡張、Prominent Hill鉱山の開発など開発プロジェクトで資金を必要としていたOxiana社の思惑が一致したこと」、「企業規模が同程度であること」などがあげられている。
 また、オーストラリアの資源関係者の中には、「North Limited(2000年、Rio Tintoによる買収)、MIM Holdings(2003年、Xstrata)、WMC Resources Limited(2005年、BHP Billiton社)などが、外資によって買収されて以降、多様なベースメタル鉱種を扱うオーストラリア国内の中堅鉱山会社(Mid-tier Mining Company)は姿を消していたが、今回の合併によって、BHP BillitonやRio Tintoなどの巨大鉱山会社と小規模鉱山会社の溝を埋める中堅鉱山会社が復活した」との声もある。

5. おわりに
 Oxiana社とZinifex社は、「合併による企業規模の拡大によって、新たな地域と新たな鉱種でより大きな権益取得が可能になり、株主により多くの利益を還元できる」(新会社の会長に就任予定のMichelmore氏コメント)反面、企業規模が大きくなることで、Xstrata社(スイス資本)、Teck Cominco(カナダ資本)、Anglo America社(南アフリカ/英国資本)などによる、これまでとは異なる次元(規模)での買収の対象となるとの見方もなされている。

参考文献
ASX Media Release 3 March 2008,“Oxiana and Zinifex merger, Strength – Diversify – Growth”(Presentation)
ASX Media Release 3 March 2008,“Oxiana and Zinifex to Merge to Create a Major Diversified Mining Company”
“Oxiana, Zinifex agree terms for 12bn merger”, The Australian Financial Review, 04/03/2008
“Return of big diversified miner” , The Australian Financial Review, 04/03/2008

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