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報告書&レポート

2008年8月7日 鈴木哲夫※1、沼田安功※1、久保田博志※2、栗原政臣※2、矢島太郎※2、大野克久※3、星 康嗣※4、尾崎敏樹※5、竹谷正彦※6
2008年57号

「JOGMECボツワナ共和国・地質リモートセンシングセンター」の開設 -我が国による南部アフリカ地域での鉱物資源探査の加速に高まる期待-

 2008年7月28日、ボツワナ共和国南部の都市Lobatse市(ロバッツェ)において、JOGMECボツワナ共和国・地質リモートセンシングセンター(以下“ボツワナ・リモセンセンター”)の開所式が、Ponatshego H. K. Kedikilwe鉱物エネルギー水資源大臣、松山良一在ボツワナ日本国大使、Vale(ブラジル)関係者、河野博文JOGMEC理事長ら約90名が出席して開催された。

1. プロジェクトの契機
今回、オープンしたボツワナ・リモセンセンターは、2007年11月16日、甘利前経済産業大臣が資源外交の一環としてボツワナ共和国を訪問した際に、JOGMECとボツワナ地質調査所(Department of Geological Survey, Republic of Botswana、以下“DGS”)との間で署名された「ボツワナ共和国の鉱物資源を対象とした探査事業(リモートセンシングプロジェクト)を推進するための協議開始に関する基本合意書」(MOU)を具体化したものである。

2. ボツワナ・リモセンセンターとは
ボツワナ・リモセンセンターは、[1]JOGMECのアフリカ地域の探査拠点、[2]ボツワナ共和国及び南部アフリカ開発共同体(以下“SADC”)への鉱物資源探査を目的とした地質リモートセンシング技術移転の二つの機能を有している。プロジェクト期間は、5年間を計画している。
JOGMECのアフリカ地域の探査拠点としては、特にレアメタル資源ポテンシャルの高い南部アフリカ地域を対象に、JOGMEC独自の調査に加え、ボツワナ・リモセンセンターにおけるSADC諸国からの参加者による衛星画像解析結果なども活用して探査ポテンシャル地域の抽出、更には探査JVの形成を目指す。

 鉱物資源探査のための技術移転では、初年度はボツワナ共和国の資源関係技術者を対象に、2009年度以降はSADC加盟国も含めて、「ASTER」や「だいち」などの衛星画像を利用して最新のリモートセンシングの技術移転を行う。

写真1. 地質リモートセンシングセンターが入る地質調査所の外観

写真2. 地質リモートセンシングセンター内部

3. ボツワナ・リモセンセンター開所式
(1)出席者
ボツワナ・リモセンセンターの開所式は、ボツワナ側からKedikilwe鉱物エネルギー水資源大臣、ボツワナ地質調査所Ngwisanyi所長をはじめとする同調査所職員、同センターがあるLobatse市のSerema市長、またJOGMECと探鉱分野等で協力協定を結んでいるValeからEtchatアフリカ地域責任者及び本社リモートセンシング担当者及び、日本側から松山在ボツワナ特命全権大使、JICAボツワナ事務所、在ヨハネスブルグ(南アフリカ)の日系企業、河野JOGMEC理事長ら約90名が出席し、DGS内の大講堂で行われた。

(2)河野JOGMEC理事長挨拶
「ボツワナ・リモセンセンターの開所は、ボツワナ政府及びSADC関係者との協力によるものであり、その協力に感謝するところである。
資源価格の高騰を背景に天然資源に富むアフリカ諸国の世界経済に与える影響はますます重要性を増している。2008年5月に日本で開催されたTICAD Ⅳにおいて日本政府はアフリカ諸国との一層の関係強化を表明している。
JOGMECは、このセンターを拠点に技術移転を図るとともに、両国の資源分野での関係を強化し、鉱業投資促進に貢献し、更に、その活動をSADC諸国に広げていきたいと考えている。
JOGMECは、探査専門家の鈴木哲夫はじめ2名の職員を同センターに常駐させるとともに、技術移転には日本から専門家を派遣し、更に、Valeからの協力も得てセンターの運営に当たる。」

(3)Kedikilwe鉱物エネルギー水資源大臣挨拶
「ボツワナ・リモセンセンターの事業により、日本とボツワナ両国間の協力関係が一層進むことを期待する。同センターでの活動を通してボツワナの探査技術力の向上が図られること、更に、鉱業だけではなくその他の分野における技術移転が進んで同国経済の多角化を促進する契機となることを期待したい。
この日に向けたJOGMECをはじめとした関係者の尽力に感謝する。
鉱業はボツワナにとって重要な位置を占める。このセンターが我が国への投資拡大、特に日本からの投資拡大に大きく貢献してくれるものと期待している。
一日も早く成果が出ることを期待する。」

(4)経済産業省祝辞(岡島鉱物資源政策企画調整官代読)
甘利前経済産業省大臣の代理として出席した岡島鉱物資源政策企画調整官が、同大臣からKedikilwe鉱物エネルギー水資源大臣宛の地質リモートセンシングセンターの開所に当っての祝辞、本センターを拠点としてSADC諸国と我が国が資源探査分野で積極的に協力することにより、我が国とSADC諸国との経済関係が一層強化されることを期待することを内容とする親書を代読した。

(5)松山在ボツワナ日本国大使
「今回開所したボツワナ・リモセンセンターが、ボツワナ共和国への我が国からの民間投資の促進、同国の人材育成と技術向上に貢献することを期待する。
SADCを通じて地域的(多国間)協力事業となるこのプロジェクトは、二国間協力事業の多い日本にとってもユニークなものである。今後、ボツワナ共和国及びSADCと我が国がより一層強い協力関係のもとプロジェクトが成果を上げることを期待する。」

(6)テープカットとリモートセンシング実演
開所式に引き続き、DGS内に開設されたボツワナ・リモセンセンター(研修室)に場所を移して、Kedikilwe鉱物エネルギー水資源大臣、松山在ボツワナ特命全権大使、Ngwisanyi所長、河野JOGMEC理事長によるテープカットが行われた。
 また、JOGMEC職員により、リモートセンシングの実演が行われた。実演では、ボツワナ・リモセンセンターのあるボツワナLobatse市周辺地域や世界的な白金族鉱床であるブッシュフェルト複合岩体(南アフリカ)の衛星画像解析の事例が紹介され、出席者らは、リモートセンシング技術の有効性を実感するとともに、その成果を期待する声が上がった。

写真3. 河野理事長挨拶

写真4. 松山在ボツワナ日本国大使

写真5. Kedekilwe鉱物エネルギー水資源大臣挨拶

写真6. 甘利前経済産業大臣祝辞
(岡島鉱物資源政策企画調整官代読)

写真7. テープカット
(左から松山大使、Kedikilwe大臣、河野理事長、Ngwisanyi所長)

写真8. 実演を興味深く見入る出席者

4. 鉱物資源探査の加速に高まる期待 -関係者の反応-
(1)Ngwisanyi地質調査所長
「遂にボツワナ・リモセンセンターの開設となった。2007年11月のMOU締結から、今日の開所式まで、JOGMECとDGSとの間で協議を重ね、同センター開設の準備に当たってきた。両国関係者の尽力に感謝する。最新のリモートセンシング技術は、広範囲を解析室に居ながらにして地質・鉱床を効率的に評価して有望地を抽出することの出来る技術であり、我々にとって有力な探査手段となるであろう。」

(2)共同解析事業に参加予定のボツワナ地質技術者
「立派なコンピュータシステム、解析ソフトが揃った地質リモートセンシングセンターが開設された。早く共同解析事業(技術移転)を開始して、技術を習得したい。その日が待ち遠しい。」

(3)Vale・アフリカ地域責任者 Etchat氏
「ボツワナ・リモセンセンターの解析室は立派なものである。実演で紹介されたブッシュフェルト複合岩体の画像解析の事例は大変興味深かった。
Valeにとって、南部アフリカ地域は資源ポテンシャルの高い地域として認識している。また、最新のリモートセンシング技術を活用した有望地抽出には強い関心があるが、自社としてリモートセンシングによる画像解析及び探査への応用の歴史は浅いことから、JOGMECとこの分野で協力して新たなプロジェクト形成が出来れば素晴らしいことだ。」

(4)在ヨハネスブルグ日系企業
「資源ポテンシャルの高い地域である南部アフリカ地域に、政府関係機関が資源関係の施設を設置することは喜ばしいことである。このことを契機に南部アフリカ地域の資源分野への日本からの民間投資が促進することを期待したい。」

5. 今後の予定

2008年7月28日の開所式に併せて必要なハードウェア及びソフトウェア等の機材の設置を完了し、同センターは、いよいよ本格的にその運用を開始する。まずは、8月下旬に共同解析(研修)を開始し、順次、探査情報収集・解析などを開始する予定である。


※1地質リモートセンシングセンター(ボツワナ)、※2資源探査部、
※3企画調査部、※4経理部、※5総務部、※6ロンドン事務所

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