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報告書&レポート

2008年11月13日 北京事務所 土屋 春明報告
2008年77号

2008年上期、中国非鉄金属企業の経営状況


 2008年上期、中国有色金属工業協会加盟の主要企業73社は収入を確保し、成長を維持してはいるものの、その伸び率は明らかに縮小し、利益は減少局面に入っている。本稿では、最近、中国有色金属工業協会が経営指標に基づき取りまとめた2008年上期の中国非鉄金属企業の経営状況について、その概要を紹介する。

1. 主要業務収入は伸びてはいるが、その伸び率が引続き縮小傾向
 2008年1~6月の同協会加盟主要企業73社の収入合計額は3389.06億元で、2007年同期比13.3%増であった。伸び率は2007年同期比23.8ポイント減、2008年1~5月と比べても1.3ポイント減であった。内訳は以下のとおりである。
【銅・ニッケル生産企業22社】
 主要業務収入は1628.06億元で2007年同期比13.2%増。
【アルミ生産企業22社】
 主要業務収入は1109.28億元で同20.9%増。
【鉛・亜鉛生産企業15社】
 主要業務収入は351.51億元で同11.4%減。
【レアメタル(タングステン、モリブデン、錫、アンチモン等)・レアアース生産企業】
 主要業務収入は300.22億元で同25.4%増。

 2008年1~6月の協会加盟主要企業73社のコストは2909.00億元で2007年同期比17.9%増であったが、この伸び率は前述の同73社主要業務収入の2007年同期の伸び率を4.6ポイント上回っており、非鉄金属企業の利幅が徐々に縮小していることが分かる。

図1. 2007年上期と2008年上期の非鉄金属企業収入の対前年同期比
図1. 2007年上期と2008年上期の非鉄金属企業収入の対前年同期比

2. 利益が継続して下降
 2008年1~6月の協会加盟主要企業73社における利益は308.70億元、2007年同期比13.5%減、下げ幅は2008年1~5月より5.8ポイント上昇している。全73社のうち利益を出したのは65社で、その利益総額は316.81億元、2007年同期比11.5%の減少であった。
【銅・ニッケル生産企業22社】
 利益総額は120.02億元で2007年同期比10.3%増となったが、2007年同期比26.7ポイント減、2008年1~5月比では7.6ポイント減である。これら22社のうち利益の落込みが見られた企業は前月より1社少ない10社で、全22社に占める比率は45.5%であった。
【アルミ生産企業22社】
 利益総額は112.10億元で2007年同期比24.2%減、2008年1~5月比で4ポイント低下、アルミ生産企業22社のうち利益の落込みが見られた企業は前月より1社多い15社で、全22社に占める比率は68.2%であった。
【鉛・亜鉛生産企業15社】
 実現利益総額は24.97億元で2007年同期比51.7%減、2008年1~5月比で7.3ポイント低下している。そのうち利益の落込みが見られた企業は前月より1社少ない9社で、全15社に占める比率は60.0%であった。
【レアメタル・レアアース生産企業全14社】
 利益総額が51.6億元で2007年同期比6.4%増、しかし伸び率は2007年同期比42.2ポイント減となった。全14社の35.7%を占める5社で利益の落込みが見られた。

図2. 2007年上期と2008年上期業種別企業利益対比
図2. 2007年上期と2008年上期業種別企業利益対比

3. 赤字企業の損失額が上昇
 2008年1~6月の協会加盟主要企業73社のうち8社が赤字決算となった。これは2007年同期を2社上回る数字であり、赤字企業の全73社に占める比率は11.0%、8社の損失額は合計8.11億元で2007年同期の6.15倍であった。このうち3社は銅・ニッケル生産企業で、損失額は合計8,921万元、2007年同期の2.65倍、2008年1~5月比で2.40倍となっている。同じく8社のうちアルミ生産企業2社の損失額は合計2.32億元で2007年同期の5.55倍、鉛・亜鉛生産企業3社の損失額は4.90億元で2007年同期の9.8倍であった。なお、レアメタル・レアアース生産企業については、2008年に入って初めて全社黒字決算となった。

4. 営業利益率と利益コスト率がいずれも下降局面に
 2008年1~6月の協会加盟主要企業全体の営業利益率は9.1%、2007年同期比23.6%減となった。
【銅・ニッケル生産企業22社】
 営業利益率は7.4%で同2.6%減。
【アルミ生産企業22社】
 営業利益率は10.1%で同37.3%減。
【鉛・亜鉛生産企業15社】
 営業利益率は7.1%で同45.4%減。
【レアメタル・レアアース生産企業14社】
 営業利益率は17.2%で同15.1%減。

 2008年1~6月の協会加盟主要企業全体の利益コスト率は10.0%、2007年同期比26.4%減となった。このうち銅・ニッケル生産企業22社の利益コスト率は7.9%で同3.3%減、アルミ生産企業22社の利益コスト率は11.2%で同41.7%減、鉛・亜鉛生産企業15社の利益コスト率は7.5%で同49.8%の大幅減、レアメタル・レアアース生産企業14社の利益コスト率は21.1%で同18.4%減であった。

5. 流動資産回転率が継続して低下
 2008年1~6月の協会加盟主要企業全体の流動資産回転率は103.0%、2007年同期より15.6%低下した。
【銅・ニッケル生産企業22社】
 流動資産回転率は161.9%で2007年同期比16.0%減。
【アルミ生産企業22社】
 流動資産回転率は76.7%で同11.0%減。
【鉛・亜鉛生産企業15社】
 流動資産回転率は87.3%で同22.5%減。
【レアメタル・レアアース生産企業14社】
 流動資産回転率は69.0%で同17.0%増。

6. 収益状況の新たな特長と利益低下の主な原因の分析

[1] 協会加盟主要企業の利益が毎月減少していく状況は、特に鉛・亜鉛企業及びアルミ製錬企業で顕著に表れているが、一部の民営企業、加工企業及び再生銅回収利用企業の利益はプラス成長を維持している。
[2] 加盟主要企業のうち電解アルミ企業のほぼ全てで利益総額が減少した。6月中旬から下旬にかけて国家発展改革委員会が石油製品価格と電力価格を引き上げたために、電解アルミ企業の生産コストが上昇し、利幅が一層縮小した。
[3] 鉛・亜鉛生産企業の利益総額が引続き減少しており、その下げ幅が2008年1~5月よりも5.9ポイント拡大した。これは亜鉛価格の下落が主な原因であるが、上期に発生した2度の自然災害とも密接な関係がある。四川・甘粛・陝西等の地域では一部企業が生産を停止するなど、亜鉛生産能力が大きな打撃を受けたが、目下再建中である。

7. 終わりに
 2008年から徐々に進んできたドル安と人民元高、エネルギーや原材料価格の高騰、2008年1月1日から施行された労働契約法に伴う人件費の上昇、さらには国のマクロコントロール政策などの要素が非鉄金属企業の生産コストを押上げ、それらが中国非鉄金属産業界にとって大きなプレッシャーとなっている。
 これらのプレッシャーに対応手段の一つとして、2007年来中国非鉄金属業界では業界別に企業の再編が進んでいる。銅業界では、2007年中国アルミ業による雲南銅業、鉛・亜鉛業界では中国冶金化工集団による葫芦島有色の買収が行われた。また、2008年に入ってからタングステン業界では、五鉱集団による湖南有色集団の買収、厦門タングステン業への権益比率の拡大、レアアース業界においても、包頭鉄鋼によるチベット自治区中小レアアース企業の再編、江西銅業による四川省のレアアース鉱業権の買上げなどが行われている。今後とも、中国非鉄金属企業の動向を注視する必要がある。

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