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報告書&レポート

2008年12月4日 リマ事務所 西川信康報告
2008年82号

金融危機によるペルー鉱業への影響


  米国発の金融危機に端を発した世界経済の減速、金属価格の暴落は、好調な発展を遂げてきたペルー鉱業にも影を落とし始めており、今後の鉱山生産や鉱産物輸出、企業業績、鉱業投資などへの影響は必至であるとの見方が大勢となっている。リマ株式市場で総合株価指数も、年初以来50%以上下落しており、特に鉱業株の落ち込みが激しい。本稿では、曲がり角にさしかかったペルー鉱業の直近の現状と、今後の開発プロジェクトの行方等について報告する。

図1. この1年のリマ総合株価指数の推移
図1. この1年のリマ総合株価指数の推移

1. 直近の鉱山生産、鉱産物輸出
 ペルーの2008年Q1~3(1~9月)の鉱石生産量(表1)は、銅が前年同期比7.1%増の928千t、金が同8.7%増の133t、亜鉛が同8.5%増の1,195千tなど高い成長を続けている。しかしながら、Q3(7~9月)に入り、亜鉛は7月に前年比1.3%減、銅は8月に同0.85%減等前年比マイナスに転じるなど、その成長に陰りが見え始めている。ペルー鉱業協会によれば2008年の銅鉱生産量は前年比8~10%増、金鉱生産量は6~7%増と拡大を維持する一方、亜鉛及び鉛は、2008年Q4(10~12月)後半に大幅に落ち込み、2007年レベルに留まるとの予想を示している。
 また、鉱産物輸出額については、2008年Q1~3では(表2)、18.5%増の146億US$と高い伸びを示しているが、Q3の伸び率は、7月(3.1%増)、8月(7.3%増)、9月(0.5%増)と、鈍化している。さらに、Q4は、金属価格の大幅な下落により、マイナスに転じるものと推察され、2002年より拡大を続けてきた鉱産物輸出も、今後、縮小する可能性が指摘されている。

表1. ペルー2008年Q1~3鉱山生産量
鉱種 単位 9月 Q1~3
2007 2008 伸び率 2007 2008 伸び率
 銅 t 104,062 104,804 0.71% 867,194 928,332 7.05%
 金 g 15,022,844 16,012,407 6.59% 122,617,712 133,277,982 8.69%
 亜鉛 t 115,616 129,123 11.68% 1,100,703 1,194,651 8.54%
 銀 kg 320,812 309,756 -3.45% 2,574,152 2,684,409 4.28%
 鉛 t 28,221 29,969 6.20% 245,181 255,371 4.16%
 鉄鉱石 t 402,900 395,186 -1.91% 3,814,884 3,915,836 2.62%
 錫 t 3,369 3,237 -3.91% 29,190 29,266 0.26%
 モリブデン t 1,613 1,576 -2.31% 11,807 12,749 7.98%
出展:エネルギー鉱山省

表2. 2008年1~9月輸出額
(単位:百万US$)
鉱種 9月 Q1~3
2007 2008 伸び率 2007 2008 伸び率
 銅 677 691 2.1% 5,057 6,342 25.7%
 金 391 457 16.8% 2,885 4,194 45.4%
 亜鉛 188 117 -38.1% 1,982 1,225 -38.2%
 銀 46 42 -8.7% 394 496 25.8%
 鉛 115 123 7% 774 932 20.3%
 鉄鉱石 29 50 70.2% 210 292 38.8%
 錫 18 2 -87.9% 295 200 -32.2%
 その他 115 107 -7.7% 746 939 25.8%
 鉱産物合計 1,579 1587 0.5% 12,333 14,619 18.5%
 輸出額総計 2,542 2661 4.7% 19,972 24,644 23.4%
出典:SUNAT
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