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報告書&レポート

2009年1月29日 企画調査部 大久保 聡報告
2009年06号

ベースメタルの国際市場と需給動向(2009年1月号)

1. 国際市場
 12月のLME(London Metal Exchange)の平均価格は、銅、亜鉛、ニッケル全てが前月(11月)から下落した。
 銅価格は、5か月連続で下落し前月比29.5%減の3,072US$/tとなった。亜鉛価格は、3か月連続で下落し同25.0%の1,101US$/tとなった。
 ニッケル価格は、9か月連続で下落し同31.8%減の9,086US$/tとなった。総じて9月半ば以降の経済危機の影響により、需要低下の懸念から、在庫の積増しが続き、非鉄金属価格は下落傾向にある。

表1. 銅・亜鉛・ニッケル:LME平均価格と月末在庫〔2008年11、12月〕
鉱種 LME月平均価格
(cash settlement,US$/t)
LME月末在庫
(t)
11月 12月 前月比 11月 12月 増減
3,717.00 3,071.98 -17.4% 291,200 340,550 +49,350
亜鉛 1,152.60 1,100.57 -4.5% 193,050 253,475 +60,425
ニッケル 10,701.50 9,686.43 -9.5% 63,810 78,822 +15,012

図1. LME月平均価格変動の推移(2004年6月=1、2004年6月~2008年12月)
図1. LME月平均価格変動の推移(2004年6月=1、2004年6月~2008年12月)

2. 需給動向
2.1 銅(データの出典:ICSG及びWBMS)
【需要】
 2008年1~11月の世界累計は前年同期比0.4%減の16,602千tであった。月別では8月1,460千t、9月1,517千t、10月1,533千t、11月1,486千tと推移した。国別は表2に示すとおり、米国が11.1%減、日本が2.7%減、韓国が0.7%減に対し、中国が3.9%増、ドイツが3.0%増。

表2. 主要国別銅消費量〔1~11月、前年同期比〕
上位5か国 2007年 2008年 増減 増減率 割合(%)
中国 4,451.6 4,624.0 172.4 3.9% 27.9%
米国 1,996.0 1,773.6 -222.4 -11.1% 10.7%
ドイツ 1,269.4 1,307.4 38 3.0% 7.9%
日本 1,149.4 1,118.9 -30.5 -2.7% 6.7%
韓国 795.2 789.4 -5.8 -0.7% 4.8%
世界計 16,662.7 16,602.1 -60.6 -0.4% 100%
(出典:WBMS)

【供給】
◎鉱石生産量
 2008年1~11月の世界累計は前年同期比0.3%減の14,105千tであった。月別では8月1,286千t、9月1,297千t、10月1,339千t、11月1,319千tと推移した。国別は表3に示すとおり、米国が11.6%増、ペルーが6.6%増、中国が13.9%増、豪州が2.8%増に対し、チリが3.6%減。

表3. 主要国別銅鉱石生産量〔1~11月、前年同期比〕
上位5か国 2007年 2008年 増減 増減率 割合(%)
チリ 5,025.8 4,842.6 -183.2 -3.6% 34.3%
米国 1,093.8 1,220.8 127.0 11.6% 8.7%
ペルー 1,080.2 1,151.2 71 6.6% 8.2%
中国 747.0 851.1 104.1 13.9% 6.0%
豪州 791.7 814.0 22.3 2.8% 5.8%
世界計 14,145.0 14,104.5 -40.5 -0.3% 100%
(出典:WBMS)

◎地金生産量
 2008年1~11月の世界累計は前年同期比2.9%増の16,888千tであった。月別では8月1,586千t、9月1,556千t、10月1,583千t、11月1,550千tと推移した。国別は表4に示すとおり、日本が2.9%減、米国が3.3%減に対し、中国が9.2%増、チリが3.7%増、ロシアが0.3%増。

表4.主要国別銅地金生産量〔1~11月、前年同期比〕
上位5か国 2007年 2008年 増減 増減率 割合(%)
中国 3,189.6 3,481.8 292.2 9.2% 20.6%
チリ 2,677.3 2,776.1 98.8 3.7% 16.4%
日本 1,448.1 1,405.8 -42.3 -2.9% 8.3%
米国 1,207.6 1,167.5 -40.1 -3.3% 6.9%
ロシア 846.4 849.2 2.8 0.3% 5.0%
世界計 16,462.2 16,888.2 426 2.6% 100%
(出典:WBMS)

【需給バランス】
 2008年1~11月の需給バランスは286千tの供給超過であった。5月まで供給不足で推移していたが、その後は供給超過に転じ、8月に125千t、9月に39千t、10月に50千t、11月に64千tと供給超過で推移している。LME在庫は9月末に199千t、10月末に231千t、11月末に291千t、12月末に340千tと増加傾向で推移した。

表5. 銅:需給推移
表5. 銅:需給推移
(出典:ICSG,WBMS)
※2008年11月及び両年1-11月累計はWBMSの統計を使用した。
※1,2) 年計*2は単純合計値、年計*3はICSGの年別発表値である。月間値の修正値は発表がないので単純合計値の年計*1と合致しない場合がある。

図2. 銅:鉱石生産量、地金生産量、消費量世界計の月推移(2008年)
図2. 銅:鉱石生産量、地金生産量、消費量世界計の月推移(2008年)

【価格】
 12月1日に3,595US$/tでスタートしてからも下落を続け24日に2004年9月以来の安値の2,770US$/tとなった。その後はやや値を戻し、31日に2,902US$/tで終了した。
 これまで、中国、ドイツ、日本での地金生産減産、北米、チリ、ザンビア等で高コスト銅山の減産、新規あるいは拡張プロジェクトの延期が続々と発表されているが、世界経済低迷に伴う需要減退、在庫増加を背景に銅価格は低水準にある。

図3. LME銅地金価格・在庫の推移(2006年1月1日~2008年12月31日)
図3. LME銅地金価格・在庫の推移(2006年1月1日~2008年12月31日)

2.2 亜鉛(データの出典:ILZSG)
【需要】
 2008年1~11月の世界累計は前年同期比で2.4%増の10,624千tであった。月別では8月994千t、9月1,021千t、10月985千t、11月926千tと推移した。国別では、表6に示すとおり、米国が3.4%減、日本が0.9%減、ドイツが前年並みに対して、中国が13.1%増、韓国が2.1%増。

表6.主要国別亜鉛消費量〔1~11月、前年同期比〕
上位5か国 2007年 2008年 増減 増減率 割合(%)
中国 3,275 3,703 428 13.1% 34.9%
米国 941 909 -32 -3.4% 8.6%
日本 537 532 -5 -0.9% 5.0%
ドイツ 491 491 0 0.0% 4.6%
韓国 467 477 10 2.1% 4.5%
世界計 10,37 10,624 251 2.4% 100.0%

【供給】
◎鉱石生産量
 2008年1~11月の世界累計は前年同期比で5.4%増の10,663千tであった。月別では8月1,031千t、9月990千t、10月980千t、11月957千tと推移した。 国別では、表7に示すとおり、豪州が3.7%減に対して、中国が5.5%増、ペルーが9.7%増、米国が2.0%増、カナダが7.9%増。

表7. 主要国別亜鉛鉱石生産量〔1~11月、前年同期比〕
上位5か国 2007年 2008年 増減 増減率 割合(%)
中国 2,738 2,889 151 5.5% 27.1%
ペルー 1,328 1,457 129.0 9.7% 13.7%
豪州 1,347 1,297 -50 -3.7% 12.2%
米国 733 748 15 2.0% 7.0%
カナダ 570 615 45.0 7.9% 5.8%
世界計 10,118 10,663 545 5.4% 100.0%

◎地金生産量
 2008年1~11月の世界累計は前年同期比で3.8%増の10,758千tであった。月別では8月973千t、9月996千t、10月1,006千t、11月942千tと推移した。国別では、表8に示すとおり、カナダが3.0%減に対して、中国が5.4%増、韓国が8.2%増、インドが36.2%増と大幅増、日本が4.1%増。

表8. 主要国別亜鉛地金生産量〔1~11月、前年同期比〕
上位5か国 2007年 2008年 増減 増減率 割合(%)
中国 3,415 3,600 185 5.4% 33.5%
カナダ 731 709 -22 -3.0% 6.6%
韓国 633 685 52 8.2% 6.4%
インド 414 564 150 36.2% 5.2%
日本 539 561 22.0 4.1% 5.2%
世界計 10,362 10,758 396 3.8% 100.0%

【需給バランス】
 2008年1~11月の需給バランスは134千tの供給超過となった。2007年末からの供給超過の状態が続いていたが7~9月には供給不足となった後、再び供給超過に転じた。
 LME在庫量は9月末に155千t、10月末に182千t、11月末に193千t、12月末に254千tと増加傾向で推移した。

表9. 亜鉛:需給推移
表9. 亜鉛:需給推移
(出典:ILZSG)
※1,2) 年計*1は単純合計値、年計*2はILZSGの年別発表値である。月間値の修正値は発表がないので単純合計値*1は*2と合致しない場合がある。

図4. 亜鉛:鉱石生産量、地金生産量、消費量世界計の月推移(2008年)
図4. 亜鉛:鉱石生産量、地金生産量、消費量世界計の月推移(2008年)

【価格】
 12月のLME亜鉛価格は1日の1,190US$/tから月前半まで下落を続け12日に1,042US$/tとなった。その後は全月末からの下落傾向の反動から投機資金の流入により上昇傾向となり、23日に1,133US$/tまで回復したものの31日に1,121US$/tで終了した。
 これまで、豪州、米国、カナダなどの亜鉛鉱山や中国・欧州の製錬所に関して閉鎖・減産や、新規あるいは拡張プロジェクトの延期が続々と発表されつつあるが、依然として世界経済低迷に伴う需要減退懸念や在庫増加を背景に亜鉛価格は低水準にある。

図5. LME亜鉛地金価格・在庫の推移(2006年1月1日~2008年12月31日)
図5. LME亜鉛地金価格・在庫の推移(2006年1月1日~2008年12月31日)

2.3 ニッケル(データの出典:INSG)
【需要】
 2008年1~11月の世界累計は前年同期比2.4%減の1,185千tであった。月別では8月100.4千t、9月98.9千t、10月97.9千t、11月92.8千tと推移した。国別では、表10に示すとおり、日本は2.4%減、米国は10.7%減、ドイツは0.9%減、台湾は16.1%減に対し、中国は9.3%増。

表10. 主要国別ニッケル消費量〔1~11月、前年同期比〕
上位5か国 2007年 2008年 増減 増減率 割合(%)
中国 301 329 28 9.3% 27.8%
日本 154 150 -3.7 -2.4% 12.7%
米国 125 111 -13.3 -10.7% 9.4%
ドイツ 89 88 -0.8 -0.9% 7.4%
台湾 65 54 -10.4 -16.1% 4.6%
世界計 1,214 1,185 -29.2 -2.4% 100.0%

【供給】
◎鉱石生産量
 2008年1~11月の世界累計は前年同期比6.2%減の1,375千tであった。月別では8月125.6千t、9月118.7千t、10月117.6千t、11月118.2千tと推移した。国別では、表11に示すとおり、カナダは1.0%増、インドネシアは10.2%増、豪州は6.0%増に対し、ロシアが5.7%減、ニューカレドニアは17.5%減。

表11. 主要国別ニッケル鉱石生産量〔1~11月、前年同期比〕
上位5か国 2007年 2008年 増減 増減率 割合(%)
ロシア 264 249 -15 -5.7% 18.1%
カナダ 231 233 2.3 1.0% 17.0%
インドネシア 173 190 17.6 10.2% 13.8%
豪州 168 179 10.1 6.0% 13.0%
ニューカレドニア 117 97 20.6 -17.5% 7.0%
世界計 1,466 1,375 -91.3 -6.2% 100.0%

◎一次生産量
 2008年1~11月の世界累計は前年同期比1.9%減の1,286.9千tであった。月別では8月118.9千t、9月107.9千t、10月112.2千t、11月112.6千tと推移した。国別では、表12に示すとおり、カナダは7.3%増、日本は0.8%増、豪州は1.4%増に対して、ロシアは5.6%減、中国は2.7%減。

表12. 主要国別ニッケル鉱石生産量〔1~11月、前年同期比〕
上位5か国 2007年 2008年 増減 増減率 割合(%)
ロシア 250 236 -14 -5.6% 18.3%
中国 186 181 -5.1 -2.7% 14.0%
カナダ 148 159 10.8 7.3% 12.3%
日本 149 150 1.2 0.8% 11.7%
豪州 102 103 1.4 1.4% 8.0%
世界計 1,312 1,287 -24.8 -1.9% 100.0%

【需給バランス】
 2008年1~11月の需給バランスは、102.0千tの供給超過となっている。
LME在庫は9月末に56千t、10月末に58千t、11月末に64千t、12月末に79千tと増加傾向で推移した。

表13. ニッケル:需給推移
表13. ニッケル:需給推移
(出典:INSG)
※1,2) 年計*1は単純合計値、年計*2はINSGの年別発表値である。月間値の修正値は発表がないので単純合計値の年計*1と合致しない場合がある。

図6. ニッケル:鉱石生産量、地金生産量、消費量世界計の月推移(2008年)
図6. ニッケル:鉱石生産量、地金生産量、消費量世界計の月推移(2008年)

【価格】
 12月のLMEニッケル価格は、1日に9,760US$/tでスタートしてから一旦、1月4日に最低値9,055US$/tまで下落した。その後は投機筋のテクニカルな取引により乱高下を繰り返し31日に10,810US$/tで終了した。
 これまで、カナダ、豪州、南アフリカでの減産が続々と発表されつつあるが、依然として在庫増加や世界経済低迷に伴う需要減退懸念を背景にニッケル価格は低水準にある。

図7. LMEニッケル価格・在庫の推移(2007年9月1日~2008年12月31日)
図7. LMEニッケル価格・在庫の推移(2007年9月1日~2008年12月31日)

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