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報告書&レポート

2009年3月26日 バンクーバー事務所 下田 仁報告
2009年15号

PDAC 2009報告

 会場のMetro Toronto Convention Centerは、カナダ最大の都市Trontoのシンボル、CNタワーに隣接する。複数の電車やバスが乗入れるUnion駅とはスカイウォークで直結している。
 2009年もまた3月1日から4日までの4日間、世界最大の鉱業イベントPDAC 2009が盛大に開催された。JOGMECバンクーバー事務所は2008年同様ブースを出展した。ブース展示は2004年から毎年続いており、今回で6回目となる。JOGMECブースを訪れる人は年々増加し、2009年は数百人規模にまで膨らんだ。JOGMECの事業に関するPRのみならずジュニアカンパニー等からの多くの新規プロジェクトに関する情報提供があり、意見交換も行った。
 かつてない経済危機の最中での開催となったPDAC 2009、その様子と印象について報告する。

写真1. CNタワー(中央)とユニオン駅(左)   写真2. PDAC会場入口(コンベンションセンター)
写真1. CNタワー(中央)とユニオン駅(左)   写真2. PDAC会場入口
(コンベンションセンター)

1. PDAC 2009の概要
 PDAC(the Prospectors&Developers Association of Canada)のInternational Convention, Trade Show&Investors Exchange は1932年にスタートして2009年で77回目となる伝統ある鉱業大会である。Mining関係者なら誰でも、毎年Trontoで開催されるPDACが世界中から最も注目される鉱業大会であることは知っている。
 しかし、昨今の金融危機と金属価格の下落を反映して、今回のPDAC 2009は、参加登録者や出展企業数が2008年に比べて大幅に減少したほか、随所にその影響が現れた大会となった。例えば、これまでの参加者数は、2006年:14,500人、2007年:17,600人、2008年:20,000人と着実に増加し、ついに2万人の大台に乗せたが、今回はせいぜい1万数千人規模に留まったと推定される(参加者数や参加国数、出展企業数等の確定値は4月にPDAC事務局から発表される予定)。長年PDACを見てきた方々のご意見を総合すると、これまでになく活気の無い大会であった様である。
 ただし、そこは世界最大の鉱業大会である。1月にバンクーバーで開催されたROUNDUP 2009と比較しても、集う参加者数や海外からの政府や企業の出展数は桁違いに多く、展示場の中で伝わる熱気は、カナダが世界の鉱業の中心に位置することを強く印象付けるものであったことも付け加えなければならない。
 広大なPDAC会場は、展示場と会議場からなっている。更にその展示場は、探鉱会社や鉱山会社が展示する“Investors Exchange”と、各国政府や関係機関そして分析、ボーリング会社等サービス関連の企業が展示する“Trade Show”に分かれている。JOGMECのブースもこのTrade Showフロアーの1区画を借りて展示した。
 こういった展示以外に会議場エリアでは、Convention Programとして多くのテクニカルプログラムや企業の投資説明会等が終日行われた。また、会場周辺のホテル等ではレセプション等のイベントが数多く行われた。筆者も時間の合間に、ある投資セミナーを覗いてみたが、聴衆はパラパラと30人程度で熱気は感じられなかった。他方、企業が開催した夕方のレセプションにも参加したが、会場は人が溢れるほどの大入りであった。不況な時ほどレセプションが盛況になるとは聞いていたが、図らずもそれを証明する結果となった。

写真3. Investors Exchange会場の入口   写真4. JOGMECブース
写真3. Investors Exchange会場の入口   写真4. JOGMECブース

(1)Investors Exchange
 Investors Exchangeの会場はPDACの中でも最も熱気のある会場である。ジュニア探鉱会社を中心に1,000以上のブースが展示され、世界中の投資案件について、各社が説明を行っていた。探鉱活動の勢いが衰えたとはいえ、1,000以上のプロジェクトが一堂に集まり商談や情報交換が活発に繰り広げられている。初参加の筆者にとっては初めて目にする光景であり、正直驚き圧倒された。
 全体を回って感じたことは、特にウランと金の探鉱会社が多いこと。そしてこれらに比べると数は少ないが、ニッケル・プラチナ(PGM)案件のブースも多いような印象を受けた。加えて、2008年までの大会をつぶさに見てきた方々からは、いわゆる銅、鉛、亜鉛といったベースメタルといわれる案件が壊滅的に少なくなり、そして2008年多かったダイヤモンドがほとんど消えて、何故かモリブデンとタングステンが目立ったとの印象を受けた様である。
 一方で、やはり経済減退の影響がそのまま現出している。出展登録はしたもののその後倒産に至ったらしく、一部のブースに空室が見られた。またRio Tinto、Teck等メジャーといわれる大手企業でさえブース数を大幅に縮小し、参加そのものを見合せてしまった有名企業もあった。些細なことながら各ブースで配るサービスグッズは明らかに1月のROUNDUP 2009よりも見劣りがした等々、広い会場全体が醸し出す表情には、微妙に重苦しく何か物足りないものを感じた。

会場風景(1)   会場風景(2)
会場風景(1)   会場風景(2)
会場風景(3)   会場風景(4)
会場風景(3)   会場風景(4)
写真5. Investors Exchange

(2)Trade Show
 この会場は各国政府及び関連機関のブースが中心となる。したがって、経済危機の影響はInvestors Exchangeの会場ほどは目立たないものと思われる。
 地元カナダは連邦及び各州からの参加があり、もちろん最大である。このほか豪州、メキシコ、ペルー、チリといったJOGMECと関係の深い資源国はほぼ全て、さらには南ア等のアフリカ諸国やアジア、欧州からも多数の参加があった。自国への投資を促進するために資源国が中心となるが、それぞれ国の特徴を出すなり工夫を凝らした展示を行っていた。夕方になるとビール等飲物を有料で振舞うブースもあった。
 韓国KORESは、JOGMECを参考にして前回からブースに出展するようになった。2回目となる2009年は、JOGMECの倍以上の面積のブースで、赤色を使ったセンスはさておき、とにかく印象的な展示を行っていた。JOGMECブースは年々着実に定着してきているという自負心はあるものの、初参加したKORESの原色を使った鮮烈なブースを見た時には、その進歩の大きさに当バンクーバー事務所員の全員が大きな衝撃を受けた。

写真6. Trade Show会場入口   写真7. カナダ・BC州政府展示場
写真6. Trade Show会場入口   写真7. カナダ・BC州政府展示場
写真8. 豪州政府展示場   写真9. チリ政府展示場
写真8. 豪州政府展示場   写真9. チリ政府展示場

 このような中で特に中国の進出が目を引いた。中国系企業の出展も含め、中国からの参加者はここ2~3年急激に数を伸ばしていると聞く。2009年は会場内で熱心にメモを取りながら話を聞く中国人の姿を何度も見掛けた。この大会に対する中国の熱の入れようは我々が想像する以上のものがある。今回のPDACには中国からは担当大臣も参加しており、開催期間中にはカナダ政府との投資協議もあると聞かされた。
 こういった中で残念ながら日本からの参加者は少なく、展示参加は例年通りJOGMECとザンビアのプロジェクトを紹介するJICA のみであり、企業によるブース展示は全く無かった。

写真10. 中国政府展示場   写真11. 韓国KORES展示場
写真10. 中国政府展示場   写真11. 韓国KORES展示場

2. JOGMECブースについて
 今回で6回目となるブースであるが、例年同様Trade Show会場の1区画(約3m四方)を借りて展示し、数百人規模の訪問者があった。
JOGMECの知名度に関して言えばペルー、チリ等海外事務所を置いている国を活動拠点とする企業にはある程度認知されている感触を受けた。しかし全体としてはまだまだ十分とは言えず、引き続きPRを行っていく必要性を痛感した。
 一方で、厳しい金融事情の中にあって、プロジェクトを提案するために企業がJOGMECブースを直接訪問するケースが著しく多くなっている。今後は、単なるPRのためのブースと言うよりも、有望プロジェクト発掘の場としての活用により重点を置く必要があると考えられる。今回はスペース上の制限もあり、立ったままで意見交換せざるを得なかったほか、配置人数もプロジェクトの内容をその場で充分に理解して評価するには不足していた。案件の良し悪しを問わなければ今回でも、ブースに持ち込まれた件数は数十件になるが、案件を評価できる担当者を配置することが望ましい。
 また、ブースのdisplayについてももっと工夫が必要であると感じた。正面に用意されたモニターを立ち止まって眺める人はいたが、ブース奥の壁に掲示したパネルに関しては長文で説明するよりも大きな文字サイズで短文とし、JOGMECがどこでどんな活動をしているのか印象付けるべきかと考える。また、必要に応じて詳細事項は別途資料等を配布して行う方法が良いのではないか。
 このような中で、2009年事務所が用意したJOGMECのロゴ入りの4色ボールペン500本は、多くの訪問者に好評であり、JOGMECの良いPRとなった。
 2009年は経費削減のためか日本からの参加者は例年に比べ少なかったが、我が国企業にJOGMECブースを活用して貰うことも検討すべきであると考える。事務所としても大いに歓迎するところである。韓国のKORESのブースは、JOGMECの倍以上の面積を占めることは既に述べたが、派手な演出によりインパクトも大きい上に、良く見ると企業との共同出展が多く掲示されていた。こういった方法も参考になる。

写真12. JOGMECブース   写真12. JOGMECブース
写真12. JOGMECブース
JOGMECブースでは訪問者への対応で多忙を極めた

3. おわりに
 カナダは世界のMiningをリードする資源国の一つであるが、ただ都市生活をしているだけでは実感が湧かないもので、そもそもカナダ人でもその実態を知らない人は多い。
 しかし、PDACの会場に一歩入ると、カナダが世界の鉱業の中心にあることに納得がいく。大小さまざま多数の鉱山企業が一堂に会し、世界中の探鉱案件についての情報交換が行われている。カナダ国内の案件よりもむしろ南米、アフリカ等国外の案件の方が多い印象も受けた。
 世界が注目するこのような場において日本企業の存在感が薄いということは、資源の輸入大国として大変残念であり懸念を抱く。逆に中国、インド、韓国などは、現在の経済状況を海外拡張の好機ととらえ、急速に進出を強めて存在感を増している。カナダの連邦及び州政府は、既に日本よりも中国に期待するところが大きく見受けられる。
 Miningにとって厳しい状況が当分続くかもしれないが、カナダの重要性はいささかも損なわれないだろうことは、今回PDACに参加して良くわかった。我が国をパートナーとすることのメリットを積極的にPRするなど、案件獲得に向けて、新たな戦略的対応が求められる時機にあるとの印象を強く持った次第である。

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