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報告書&レポート

2009年4月2日 リマ事務所  西川信康
2009年17号

ボリビア:鉱業冶金省の組織再編

 ボリビアでは、1月25日の国民投票で61.4%の賛成で承認された新憲法の施行(2月7日)を受けて、2月9日、行政組織再編最高政令29894号によって新内閣が発足した。
 新内閣は、新設された3省、据え置きの10省、名称及び権限が変更された7省の合計20省で構成される。また、同政令には、各省の組織再編も定められており、この中で、鉱業冶金省には、鉱業政策立案能力の強化、鉱業プロジェクトの推進、国内鉱業組合鉱山の管理強化等を目指したそれぞれのテーマを所掌する鉱山次官室が設置された。
 本稿では、鉱業冶金省の組織再編の内容を紹介する。

1. 組織構造
 行政組織再編最高政令29894号第74条に鉱業冶金省の新しい組織構造が明記されている。再編の大きなポイントは、1次官室2局体制から、3次官室五局体制へと大幅に、組織体制が拡大されたことである(図1)。

2. 大臣・次官の権限
 行政組織再編最高政令29894号第75条~第78条に大臣・各次官の所掌範囲が定められている。以下に大臣、各次官の権限を示す。なお、鉱業・冶金生産開発次官には、前鉱業冶金次官のEugenio Mendoza Tapia氏が、鉱業政策・規則・監査次官、鉱業協同組合担当次官には、それぞれ、鉱業協同組合の幹部だったIssac Meneses Gusman氏、Gerardo Coro Ayarachiが就任した。Echazu鉱業冶金大臣は留任となった。

(旧)

図1. 鉱業冶金省組織図(旧)

(新)

図1. 鉱業冶金省組織図(新)

図1. 鉱業冶金省組織図

(1)大臣の権限(第75条)

A)

金属或いは非金属鉱物の探査・探鉱・開発・選鉱・製錬・産業化・取引に関連する開発政策の形成・実行・評価・監査

B)

鉱業・冶金業の発展に寄与する規則の提案・形成・認証と、規則遵守の監督

C)

鉱業・冶金業における現行法律・規則適用に対する監査

D)

公社、民間企業、協同組合による鉱業産業の促進を目的とした政策導入及び、その運用に対する監査

E)

透明性の高い生産プロセスの適用や付加価値の創造、適切な流通システムや管理技術の導入等による鉱業近代化の促進

F)

鉱業・冶金業における適切な税制の促進

G)

既存の鉱業権に適用される諸規則の監査・調整

H)

鉱業・冶金業公社、製錬所、冶金・鉄鋼企業、鉱業下請け企業の保護

I)

蒸発性資源及び非金属資源の包括的開発を担う公的機関の保護

J)

保護対象の鉱業・冶金機関或いは企業に適用される政策の形成・決定
憲法の枠組み内における政策適用の監査

K)

保護対象の機関の法的枠組を形成

L)

保護対象の機関の運営を監査

M)

鉱物取引及びロイヤルティ支払に適用される金属公式価格を定期的に発表

N)

国内鉱業・冶金業に対する開発・投資獲得を促進

O)

鉱業権の付与と契約締結に必要な法制度の整備

P)

特別規定に沿った、鉱業関連争議の解決

(2)鉱業政策・規則・監査次官の権限(第76条)

A)

鉱物資源の戦略的管理を可能にする政策を実行し、付加価値創造・鉱業産業化を促進

B)

投資・融資・税制・鉱物取引・社会政策・環境政策・産業開発を担う各公的機関と共同で、鉱業・冶金業の発展に必要な政策・規則・規定を提案

C)

鉱業における現行法規の適用を監督

D)

保護対象の企業・機関の運営を評価・監査

E)

鉱物資源の生産・輸出に関する統計情報や、その他の鉱業に関連する指標を処理、分析、公表

F)

各鉱業プロジェクトや、鉱業冶金省保護対象の機関、鉱業契約に対する監査・監督

G)

ボリビアの鉱業ポテンシャルに関する広報活動

H)

鉱業争議の理解と解決

(3)鉱業・冶金生産開発次官の権限(第77条)

A)

地質、鉱業、非鉄冶金業、鉄鋼業、蒸発性資源等の分野における鉱業セクターの発展に必要な計画・プログラム・プロジェクトの提案

B)

計画的・合理的かつ体系化された、社会参加型鉱業活動の促進

C)

公社・民間企業・合弁企業による環境保護に配慮した鉱業プロジェクトを通じて、鉱業・冶金業に対する投資や生産を促進

D)

鉱業・冶金業開発における環境保護規則の厳正な遵守を目的とした政策の実行

E)

技術革新や段階的な経済政策の適用による生産量や生産性向上の促進

F)

鉱業由来の利益に対する先住民の参加を促進する政策の提案

G)

持続的鉱業開発を目的とする合意形成に必要な市民参加プロセスや規則の適用

H)

環境法令遵守の促進・監督による持続的鉱業の保証

I)

鉱物取引及びロイヤルティ支払に適用される金属公式価格を定期的に発表

(4)鉱業協同組合次官の権限(第78条)

A)

鉱業協同組合が、全国鉱業協同組合連合(FENCOMIN)及び国内代表組織と共同で全国規模に実施する計画の立案

B)

技術・運営・産業安全性・衛生等の分野における鉱業協同組合の組織強化を目的としたプログラム・プロジェクトの実施

C)

協同組合鉱業における、貧困層対象のプログラム・プロジェクト実施を目的とした具体的な政策の確立

D)

鉱業投資基金(FOMIN)及び基金受益者間の連絡メカニズムを構築し、基金の持続性と収益性を保証

E)

協同組合の金採掘及び伝統鉱業における、詳細かつ区分化された政策の確立

F)

協同組合の組織強化を目的とした政策・計画の確立と実施

G)

協同組合及び小規模鉱業における生産性・経済性・社会性の発展促進を通じ、技術・運営の向上に寄与

3. おわりに
鉱業冶金省では、組織再編の取り組みに着手したばかりで、各局長の任命、各次官室の執務室確保などこれからの状況にあり、実際にこれらの組織が機能するまで、今しばらく時間がかかる模様である。今回の再編が、ボリビア鉱業建て直しにどのように影響していくのか、今後の具体的な取り組み、成果を見極めていく必要がある。

〔参考 ボリビア省庁再編の内容〕

<変更なし>
・外務省(Ministerio de Relaciones Exteriores)
・大統領府 (Ministerio de la Presidencia)
・内務省 (Ministerio de Gobierno)
・防衛省(Ministerio de Defensa)
・法務省(Ministerio de Justicia)
・鉱業冶金省 (Ministerio de Mineria y Metalurgia)
・保健省(Ministerio de Salud)
・開発企画省(Ministerio de Planificacion del Desarrollo)
・炭化水素エネルギー省(Ministerio de Hidrocarburos y Energia)
・公共事業・住宅省(Ministerio de Servicios y Obras Publicas)

<新設>
・文化省 (Ministerio de Cultura)
・機構透明性・汚職対策省 (Ministerio de Transparencia Institucioanl y Lucha Contra la Corrupcion)
・自治省 (Ministerio de Autonomias)

<変更 (権限見直し)>
・経済財務省(Ministerio de Economia y finanzas publicas)
・生産開発・多様経済省(Minisiterio de Desarrollo Productivo y Economia Plural)
・国家法的保護省 (Ministerio de Defensa Legal del Estado)
・環境・水資源省(Ministerio de Ambiente y Agua)
・教育省 (Ministerio de Educacion)
・農村開発省(Ministerio de Dsarrollo Rural y Tierra)
・労働・社会保障省(Ministerio de Trabajo y Prevision Social)

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