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報告書&レポート

2010年3月18日 北京事務所 所長 土居 正典、企画調査部 技術嘱託 渡邉 美和、調査課長 上木 隆司
2010年13号

中国の2009年鉱産実績状況〔銅・亜鉛・鉛〕

 中国有色金属工業協会は、中国の2009年非鉄金属工業生産実績を報告した。
 新世紀を迎えて以来、2008年後半~2009年前半は、世界的金融危機の中、金属価格は急落し、中国非鉄金属工業にとっても最も困難な時期となったが、中央政府による内需拡大・成長維持の一連の対策に支えられて中国の金属需要は堅調に拡大を続けた。
 鉱石及び地金生産は、価格急落の時期に一時的に落ち込んだが、2009年2月頃より回復に転じ、結果的に2008年並みあるいはそれを上回る結果となった。
 本稿は、銅、亜鉛、鉛の2009年生産実績についてまとめた。

1. 銅
 2009年の銅鉱石生産量(金属量)961千tは2008年比+4.65%の増産、2009年銅地金生産量4,179千tは2008年比+10.14%の増産となった。
1-1.銅鉱石生産実績
〔中国計〕2008年:918,732t⇒2009年:961,453t(+4.65%)

  表1(1) 省別の銅鉱石生産量
図1(1) 省別の銅鉱石生産量(2008年、2009年)
図1(1) 省別の銅鉱石生産量(2008年、2009年)  

1-2.精製銅生産実績
〔中国計〕2008年:3,794,600t⇒2009年:4,179,300t(+10.14%)

  表1(2) 省別の精製銅生産量
図1(2) 省別の精製銅生産量(2008年、2009年)
図1(2) 省別の精製銅生産量(2008年、2009年)  

1-3.銅鉱石・精製銅生産量及び銅消費量
 図1(3)に中国の銅鉱石と精製銅の生産量及び、銅消費量の推移を示す。
 中国の銅鉱石及び精製銅の生産量は2008年11月~2009年1月の間には世界経済の減退を映して一旦停滞したが、その後、好調な自動車生産量や4兆元のインフラ投資に支えられ増加傾向を示し底堅く推移している。消費量は2008年8月以降上昇傾向となり2009年6月は680千tのピークに達した。その後も540~650千tで堅調を維持した。
 銅鉱石生産量は、2008年12月~2009年1月間に落ち込んだが、2月以降回復し、8月以降は月産100千t水準に回復した。
 精製銅生産量は、2008年8月~2009年1月の間に減産傾向で1月には300千t弱まで低下したが2月以降は上昇に転じ、11月には350千tまで上昇した。大手企業が生産能力を増強させる一方で、民営企業の新規参入(山東省の祥光銅業が2009年6月に200千t/年の生産ラインを新規稼動)も見られる。
 同時期のLME価格と同在庫の推移を図1(4)に示す。

図1(3) 中国:銅鉱石・精製銅生産量と銅地金消費量の推移(2008年1月~2009年12月)
図1(3) 中国:銅鉱石・精製銅生産量と銅地金消費量の推移(2008年1月~2009年12月)

図1(4) 銅のLME価格と在庫の推移(2008年1月1日~2009年12月31日)
図1(4) 銅のLME価格と在庫の推移(2008年1月1日~2009年12月31日)

2. 亜鉛
 2009年の亜鉛鉱石生産量(金属量)3,092千tは2008年比-1.95%の減産、2009年亜鉛地金生産量4,357千tは2008年比+11.35%と増産となった。

2-1.亜鉛鉱石生産実績
〔中国計〕2008年:3,153,040t⇒2009年:3,091,556t(-1.95%)

  表2(1) 省別の亜鉛鉱石生産量
図2(1) 省別の亜鉛鉱石生産量(2008年、2009年)
図2(1) 省別の亜鉛鉱石生産量(2008年、2009年)  

                   
2-2.亜鉛地金生産実績
〔中国計〕2008年:3,913,000t⇒2009年:4,357,000t(+11.35%)

  表2(2) 省別の亜鉛地金生産量
図2(2) 省別の亜鉛地金生産量(2008年、2009年)
図2(2) 省別の亜鉛地金生産量(2008年、2009年)  

2-3.亜鉛鉱石・地金生産量及び消費量
 図2(3)に中国の亜鉛鉱石と地金生産量及び、消費量の推移を示す。
 同時期のLME価格と同在庫の推移を図2(4)に示す。
 亜鉛価格は2008年9月下旬~10月中旬の間に1,800 US$/tから1,100 US$/t水準に急落し、その底値状態は2009年2月末まで継続した。中国の鉱石生産量は2008年12月の270千tから2009年1月に110千tに急減した。2月以降は好調な自動車生産等により、価格回復に先んじて上昇傾向となり、12月には400千t弱まで上昇した。地金生産量も鉱石と同様の動きを示し、(湖南省)株冶集団が80千t/年の生産設備投資を行う(2010年3月正式に生産開始)など、旧式設備淘汰と併せて需要に対応する増強の動きが見られている。

図2(3) 中国:亜鉛鉱石・地金生産量と消費量の推移(2008年1月~2009年12月)
図2(3) 中国:亜鉛鉱石・地金生産量と消費量の推移(2008年1月~2009年12月)

図2(4) 亜鉛のLME価格と在庫の推移(2008年1月1日~2009年12月31日)
図2(4) 亜鉛のLME価格と在庫の推移(2008年1月1日~2009年12月31日)

3. 鉛
 2009年8月、鉛製錬所の鉱害問題が発生し問題の製錬所は操業停止と報道され、同年の生産量は注目される。予想に反し、2009年鉛鉱石生産量(金属量)1,360千tは2008年比+18.77%の増産、2009年鉛地金生産量3,708千tは2008年比+15.66%と増産となった。

3-1.鉛鉱石生産実績
〔中国計〕2008年:1,145,400t⇒2009年:1,360,391t(+18.77%)

  表3(1) 省別の鉛鉱石生産量
図3(1) 省別の鉛鉱石生産量(2008年、2009年)
図3(1) 省別の鉛鉱石生産量(2008年、2009年)  

3-2.鉛地金生産実績
〔中国計〕2008年:3,206,000t⇒2009年:3,708,000t(+15.66%)

  表3(2) 省別の鉛地金生産量
図3(2) 省別の鉛地金生産量(2008年、2009年)
図3(2) 省別の鉛地金生産量(2008年、2009年)  

3-3.鉛鉱石・地金生産量及び消費量
 図3(3)に中国の鉛鉱石と地金生産量及び、消費量の推移を示す。
 2009年8月以降頻発した鉱害問題(多くは血中鉛濃度異常)が引き起こした生産停止は、年産能力で670千t/年に及んだ。しかし、実際の生産量への影響は2009年で200千t程度の減少と見られる。一方、スクラップ・アンド・ビルドが加速され、雲南省(雲南錫業)などで260千t/年の生産能力増加が行われ、更に2010年には(江西省)江西銅業九江鉛亜鉛製錬所(100千t/年)を始めとした環境対応型の新設備稼働も予定されている。
 需要面では、「汽車下郷」に伴うバッテリー需要が増加。しかし、電動自転車用途は制度の改変(CT09-69を参照)から先行きが不透明に転じた。なお、RoHS規制を映した鉛フリー化進展による需要面へのマイナス効果は50千t/年前後と見られるが、バッテリー用途の増加に埋没している。
 同時期のLME価格と同在庫の推移を図3(4)に示す。

図3(3) 中国:鉛鉱石・地金生産量と消費量の推移(2008年1月~2009年12月)
図3(3) 中国:鉛鉱石・地金生産量と消費量の推移(2008年1月~2009年12月)

図3(4) 鉛のLME価格と在庫の推移(2008年1月1日~2009年12月31日)
図3(4) 鉛のLME価格と在庫の推移(2008年1月1日~2009年12月31日)

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