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報告書&レポート

2010年6月3日 ロンドン事務所  フレンチ 香織
2010年25号

採取産業透明性イニシアティブ(EITI)の仕組みと動向(その2)

 前回掲載した『採取産業透明性イニシアティブ(EITI)の仕組みと動向(その1)』の続きとして、2010年4月20日時点における各国のEITI実施状況を、EITI公式ウェブサイト(http://eiti.org)を基に作成したので、本稿にて紹介する。投資対象国が、EITIを実施しているか、実施している場合はその進捗状況の確認資料としてご利用されたい。

1. 各国のEITI実施状況(2010年4月20日時点)

(表中の♯は、EITIプロセスに鉱業部門を含む国を示す。)
国名 EITIでの認識 MSG
(※注)
EITI報告書の
最新発行(※[]
内、発行月)
EITI遵守国となる認証工程 特記事項
アゼルバイジャン 遵守国
(2009年2月~)
[2009年12月]
第11回目EITI報告書(2009年上期分)を発行。
完了 異例にも、年2回報告書を発行。
リベリア ♯ 遵守国
(2009年10月~)
[2009年2月]
第2回目EITI報告書(2008年7月~翌年6月分)を発行。
完了 2009年7月10日、ナイジェリアに次いで、国内法となるEITI法を大統領が調印。
ガボン 候補国
(2007年9月~)
[2008年3月]
第3回EITI報告書を発行。
認証報告書(草案)はEITI国際事務局へ提出され、現在は最終段階ではあるが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。 鉱業部門をEITI報告書に含めていないが、鉱業部門の企業からも財務報告が集まっている。
ガーナ ♯ 候補国
(2007年9月~)
[2008年3月]
第3回EITI報告書(2005年度分)を発行。
認証報告書(草案)はEITI国際事務局へ提出され、現在は最終段階ではあるが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しない為、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。 第4回EITI報告書を作成中で、今後は、石油・ガス部門も含める予定である。
ギニア ♯

  (※ 一時休止中)

候補国
(2007年9月~)
[2007年3月]
第1回EITI報告書(2005年度分)を発行。
政治情勢の悪化により、2009年12月19日から自主的にEITIの活動を一時休止している。
カメルーン ♯ 候補国
(2007年9月~)
過去に2回EITI報告書を発行。 認証報告書(草案)はEITI国際事務局へ提出され、現在は最終段階ではあるが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。 現在、鉱業部門を含む第3回EITI報告書を準備中。
カザフスタン ♯ 候補国
(2007年9月~)
[2009年4月]
第2回EITI報告書を発行。
認証報告書(草案)はEITI国際事務局へ提出され、現在は最終段階ではあるが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。  
キルギス ♯ 候補国
(2007年9月~)
[2004年10月]
第1回EITI報告書を発行。
認証報告書(草案)はEITI国際事務局へ提出され、現在は最終段階ではあるが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。 2008年に国家法令によって、EITI運営委員会を再建。
マリ ♯ 候補国
(2007年9月~)
[2009年12月]
第1回EITI報告書が承認された。
2010年3月、外部の認証者が選定される予定で、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。  
モーリタニア ♯ 候補国
(2007年9月~)

 
[2007年7月]
第2回EITI報告書を発行。
2010年1月、遵守認証プロセスを開始したが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。 ・2009年11月に新EITI国家委員会を再建。 ・2008年前半からの一年間は政情悪化でEITI活動が一時停滞したが、2010年3月には第3回報告書の作成を再開する予定。
モンゴル ♯ 候補国
(2007年9月~)
[2008年2月]
第1回EITI報告書(2006年度分)を発行。
期限内に、認証報告書(最終版)はEITI国際事務局へ提出された。2010年4月16日には、数点の要件が述べられ、6か月以内に本要件が達成できれば、遵守国に移行する予定。 EITI国家カウンシルの議長は同国首相が担当している。
イエメン 候補国
(2007年9月~)
2010年4月16日に期限延長の申請が認められ、2011年3月9日まで延長。  
ナイジェリア 候補国
(2007年9月~)
[2009年8月]
第2回EITI報告書(2005年度分)を発行。
2010年4月16日に期限延長の申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。 2007年5月28日、ナイジェリアEITI法が国会で通過。世界で初めてEITI法を設立した国家となった。
ペルー ♯ 候補国
(2007年9月~)
[2009年11月]
第1回EITI報告書を発行。
2010年3月、認証者が選定される予定であるが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しない為、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。  
ニジェール ♯ 候補国
(2007年9月~)
[2009年10月]
第1回EITI報告書をMSGが承認。
2010年3月、認証者が選定される予定であるが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。  
DRCコンゴ ♯ 候補国
(2008年2月~)
[2010年1月]
第1回EITI報告書をMSGが承認。
2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないとして、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。  
赤道ギニア

(※候補国から除外)

候補国
(2008年2月~)   ⇒2010年4月16日、候補国から除外される
[2010年3月]
第1回EITI報告書(2007-2008分)を発行。
2010年3月末迄に認証報告書(草案)を完成する予定であるが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請。しかし、2010年4月16日に却下された。 2010年4月16日、候補国から除外される。同国からの再申請があれば、EITIは、受け入れる姿勢を示している。
コンゴ共和国 候補国
(2008年2月~)
[2009年8月]
第1回EITI報告書をMSGが承認。
2010年4月16日に期限延長の申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。  
サントメ・
プリンシペ  

(※候補国から除外)

候補国
(2008年2月~)   ⇒2010年4月16日、候補国から除外される

(期限:2010年3月)
EITIの活動において自主的な一時的休止を要請。2010年4月16日の会議で本要請は認められず、候補国のステータスから除外された。同国からの再申請があれば、EITIは、受け入れる姿勢を示している。
シエラレオネ ♯ 候補国
(2008年2月~)
2010年4月16日に期限延長の申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。  
マダガスカル ♯ 候補国
(2008年2月~)
[2010年2月]
EITI報告書(試験版)を発行。 ⇒2011年に完成される予定。
2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないとして、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2011年3月9日まで期限が延長。 2009年上期以降、政情不安により、EITIの活動を一時休止したが、同年末にMSGを再開。
東ティモール 候補国
(2008年2月~)
[2009年12月]
第1回EITI報告書を発行。
認証報告書(草案)はEITI国際事務局へ提出され、現在は最終段階ではあるが、2010年3月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請。2010年4月16日に申請が認められ、2010年9月9日まで期限が延長。  
コートジボワール♯ 候補国
(2008年5月~)
2010年3月に第1回EITI報告書を完成予定。 2010年3月、認証者が選定される予定であったが、2010年5月の期限迄には認証報告書の最終版が完成しないため、延期を申請中。 第2回EITI報告書には、鉱業部門を含める計画である。
中央アフリカ ♯ 候補国
(2008年11月~)
[2009年3月]
第1回EITI報告書をMSGが承認。
2010年1月、MSGが認証プロセスの開始を発表。 (期限:2010年11月) 現在、第2回報告書を作成中。
ノルウェー 候補国
(2009年2月~)
[2010年1月]
第1回EITI報告書を発行。
2010年2月迄に認証者が選定される予定。 (期限:2011年2月) 2009年6/7月、EITI規制法を制定。
タンザニア 候補国
(2009年2月~)

(期限:2011年2月)
 
アルバニア ♯ 候補国
(2009年5月~)

(期限:2011年5月)
MSGへ産業・市民社会の参加が増えるように注力している。
ブルキナファソ ♯ 候補国
(2009年5月~)

(期限:2011年5月)
MSGへ市民社会の参加が増えるよう注力しており、また、EITI施行のための資金調達として、世銀MDTFからの支援を申請中。
モザンビーク ♯ 候補国
(2009年5月~)

(臨時)

(期限:2011年5月)
現在は、臨時MSGを結成。今後、役員を選出し、正式MSGを設ける予定。
ザンビア ♯ 候補国
(2009年5月~)

(期限:2011年5月)
2009年2月、MSG役員の就任式を開催。
イラク 候補国
(2010年2月~)

(期限:2012年2月)
2010年1月にイラクEITI会議を開催し、MSGを開設。MSG役員代表者14名を推薦し、近日に代表者の名前が公表される予定。
アフガニスタン 候補国
(2010年2月~)

(期限:2012年2月)
2010年5月にMSGを設置予定。
チャド 候補国
(2010年4月~)
特記なし。
※注:MSWG(=Multi-Stakeholder Working Group)については、『採取産業透明性イニシアティブ(EITI)の仕組みと動向(その1)』を参照。

2. EITI実施状況のまとめ
 2010年4月20日時点では、31か国がEITI に沿って活動を行っている(※同年4月16日のEITI重役会議で、赤道ギニア、サントメ・プリンシペが候補国のステータスから除外されたが、チャドが新規で候補国となったために、合計31か国)。そのうち、21か国が第一回EITI報告書をすでに作成している。
 今後もEITI実施国は増加すると予想されており、例えば、エチオピア、インドネシア、ウクライナ、ガイアナもEITI施行する意思を宣言している。また、中国も投資の透明性を高め、更なる投資を誘致するために、EITIへ関心を示しているとの情報もある。

 参考資料:
 EITI公式ウェブサイト:http://www.eiti.org

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