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報告書&レポート

2010年7月15日 北京事務所  土居 正典、渡邉 美和
2010年35号

2010年中国非鉄金属産業発展フォーラム参加報告

 2010年4月16~21日、有色金属工業協会と中国投資協会が主催して「第六回(2010年)中国非鉄金属産業発展フォーラム」が北京市西城区の中国職工之家飯店を会場に開催された。主に中国内の商品取引、投資企業向けフォーラムで、銅・鉛・亜鉛・アルミに関して、順次、セッションが開催された。会場には、中国内の商品取引及び投資企業を中心に連日約170名が参加した。
 本報告では、この内の銅フォーラムについて、会場で関心が集まった需給を中心に発表の概要を報告する。

1. 銅産業の「第12次五か年計画について」

― 有色金属工業協会 段紹甫銅グル-プ長

 投資という観点から銅産業を分析する場合[1]企業の業績やプロジェクトの評価[2]業界としての構造的な問題と対応の評価[3]影響が及ぼされる周辺業界に係る評価、などがあげられる。これらを踏まえ、2011年から始まる「第12次五か年計画」における銅産業の計画について、以下のような報告がなされた。

表1. 銅産業の「第12次五か年計画」
  現状 2015年 備考
銅精鉱供給能力[1](金属量)
国内銅スクラップ再生量[2]
国内銅原料供給量([1]+[2])
粗銅生産能力
精製銅生産能力
銅加工材生産能力
110万t
70万t
180万t


120~130万t
120万t
240万t
550万t
650~700万t
1,200万t
中国国内産
旧式設備の淘汰・技術改造
銅製精煉設備の先進技術率
銅製精煉上位10位迄の企業への集中
海外自主権益資源調達量

95%
75%
終了
100%
90%
60万t/年
生産能力率
生産能力率
銅資源リサイクル 更に向上  
注;「―」は数値などで示されていない。

 又、今後の主要な問題点について次のように述べた。
(1)調達確実な鉱物資源量の不足
(2)輸入原料の不安定さに基づく製錬の利潤低下
(3)旧式設備の淘汰推進

2. 中国銅資源の現在と未来    ― 国土資源部情報センター 張苺研究員
2-1. 主要内容
(1)最近の中国の銅資源探査への投資と実施及びその成果に基づけば、2010~15年の計画では、中国の銅資源量は大幅に増加する見込みである。西部地区の西蔵や新疆などは中国の新たな資源生産地域となることが有望視される。

(2)長期的に中国内の銅資源は経済発展に伴う需要を満たせない。絶えず国内探査を推進すると共に、探査開発など国際協力を推進する必要がある。

(3)西部地区の銅資源開発や利用には近代的な大規模方式を採用すべきである。又、西蔵地区は、生活環境やエネルギー供給が乏しい点などにより、採鉱と選鉱業を主とし、製錬業の発展は避けるべきである。

(4)銅スクラップの回収利用で環境保護型経済を進展させる必要がある。但し、大規模化と標準化も必要である。並行して製品の品質を保証する必要がある。

2-2. 鉱山開発状況
 発表されたプロジェクト概要を表2・3及び図1に示す。

表2. 開発中の中国内銅鉱山(発表資料を基にJOGMEC作成)
鉱山名 同左音訳 省区 所在地 生産量 備考
江達玉龍 Jiangda Yulong 西蔵 昌都地区江達県 銅量3万t/年  
瑪沁徳尓尼 Maqin De’erni 青海 果洛蔵族自治州瑪沁県 銅量2万t/年  
多宝山 Duobaoshan 黒竜江 黒河市嫩江県 銅量4万t/年 「多宝山」鉱区
会理拉拉 Huili Lala 四川 凉山彝族自治州会理県 銅量2万t/年 露天堀の外周
迪慶羊菱 Diqing Yangling 雲南 迪慶西藏族自治州 銅量2万t/年  
普朗 Pulang 雲南 迪慶西藏族自治州 銅量4万t/年  
甲瑪 Jiaqin 西藏 拉薩市墨竹工卡県 鉱石量60万t/年 多金属鉱山

表3. 開発計画が既に決まっている銅鉱山(発表資料を基にJOGMEC作成)
鉱山名 同左音訳 省区 所在地 生産量 備考
謝通門雄村 Xietongmen Xiongcon 西藏 日喀則地区謝通門県 銅量3-5万t/年 銅金鉱床
徳興 Dexing 江西 上饒市   「銀山」鉛亜鉛鉱区
烏努挌土山 Wunu Geshishan 内蒙古 呼倫会尓市阿栄旗哈徳烏努    
紫金山 Zijinshan 福建 上杭県   銅金鉱床
駆龍 Qulong 西藏 不明   銅Mo鉱床

図1. 開発中・開発計画が既に決まっている銅鉱山の位置図
図1. 開発中・開発計画が既に決まっている銅鉱山の位置図
表4. 中国海外投資銅鉱山の生産能力(発表資料を基にJOGMEC加筆)
プロジェクト 企業名(権益) 現状 生産
開始年
計画能力
t/年
Chambishi ザンビア 中国有色鉱業集団(100%) 生産   47,000
Saindak パキスタン 中国冶金建設集団 生産   20,000
Khanong ラオス 中国五鉱(90%) 生産   64,000
Gaby チリ 中国五鉱(25%)Codelco(75%) 生産   150,000
Luanshya ザンビア 中国有色鉱業集団 生産 2009 60,000
Aynak アフガニスタン 中国冶金科工集団・江西銅業(100%) 建設中 2011 180,000
Muliashi North ザンビア 中国有色鉱業集団 開発開始 2012 60,000
Rio Blanco ペルー 紫金鉱業(79.9%) 検討中 2011 191,000
Toromocho ペルー 中国アルミ業(Chinalco)(91%) 検討中 2012 250,000
Galeno ペルー 五鉱有色金属・江西銅業連合 検討中 144,000
Bahuerachi メキシコ 金川ニッケル業集団 検討中 60,000
Red Chris カナダ 江西銅業(75%)
総計         1,226,000

3. 中国銅産業の動向  ― 銅陵有色金属集団控股有限公司 甘国慶商務部主任
3-1. 銅陵有色金属集団控股有限公司(以下「銅陵有色」)の現状
 2009年の銅陵有色の自山鉱量は前年比11%増加、電気銅生産量は72万tで前年比11%増加、電気鉛生産量は7万t、金・銀生産量はそれぞれ8t・210t、銅加工材生産量は5.6万t、硫酸生産量は230万t、設備製造200台、ファインケミカル産品は4万tで前年比100%増加した。

3-2. 銅陵有色の継続プロジェクト
(1)安徽省内の非鉄金属資源探査と開発に努力して省内の非鉄金属資源を積極的に統合し、銅原料の自給率を高める。また、現有鉱山のポテンシャル開発により、鉱山生産能力を向上させる。このための深部資源開発に4.34億元を投資し、自山銅精鉱量を増加させるとともに埋蔵資源量の増大を図る。

(2)国内資源開発に関して2010年は18億元の投資を計画している。その内10億元を重点プロジェクトに振向ける。これには鉱山の拡張や新規開発として、冬瓜山銅鉱山の坑内掘り開発プロジェクトや深部資源開発などが含まれている。

(3)海外資源の拡張について、2009年12月末には、中国鉄建と連合してカナダの上場鉱業企業(Corriente Resources Inc.)を買収した。同社はエクアドルの4主要銅鉱山に資源量1,154万tを有している。また、カナダの亜鉛企業の13%株式取得にも成功した。

(4)チリ・ペルー・オーストラリアなどでも資源探査を実施。

3-3. 製錬技術の改良と同業内での地位構築
 銅陵有色は、金隆製錬所・金昌製錬所・張家港連合製錬所そして赤峰金剣銅業の4つの銅製錬所を有し、80万t/年以上の銅製精錬能力がある。最先進である閃速熔煉を採用しているが、この技術はこれまでの熔煉技術を代替するものであり、精銅生産能力を40万t増加させると同時に、コストを大幅に削減できる。この技術改良プロジェクトは最近建設に着工していて、2012年には完成する。これにより銅の精製錬の生産能力は120万tになると共に、低コストで管理でき、業界内でリーダー的地位を継続して保持できる。

3-4. 銅製錬生産能力の主な増加状況
 中国内銅製錬生産能力の主な増加状況は表5の通り。

表5. 銅製錬生産能力の主な増加(発表資料を基にJOGMECで加筆作成) (単位:万t)
企業名 所在省区 生産開始予定年 増加後能力 使用原料 備考
2010年 2011年 2012年 年不詳
江西銅業 江西 30       100 銅精鉱、スクラップ  
紫金鉱業 福建 20       20 銅精鉱  
祥光銅業 山東 20       40 銅精鉱 [1]
東営方円 山東 20       48 銅精鉱、スクラップ  
山東恒邦冶煉 山東     5   5 銅精鉱  
天津大通銅業 天津       20 23 スクラップ  
臨沂金升 山東       8 18 スクラップ  
雲南銅業 雲南       10 60 銅精鉱、スクラップ  
雲南錫業 雲南 10       10 銅精鉱 [2]
新疆有色五鑫 新疆 10       10 銅精鉱 [3]
寧波金田銅業 浙江       10 22 スクラップ  
富春江冶煉 江西       10 20 スクラップ [4]
白銀有色 甘粛 20       40 銅精鉱 [5]
金川有色 広西     14   35 銅精鉱 [6]

 上記企業の現地報道による関連ニュースを以下に示す。一部には今回の発表との差異も見られる。
[1]民営企業の陽谷祥光銅業は、山東省陽谷県石仏鎮で、2009年6月に年産20万tの銅電解精製所の二期工事(年産25万t)を着工(2011年上半期までに稼動)。更に現行の20万tの生産能力設備は25万tに引き上げられる予定で、合わせて50万tの生産能力となる。更に同社はスクラップの回収利用による銅生産プラントとして10万tのブラントを建設中であり、合計して計画の60万tとなる予定。なお、2010年4月1日、新たな銅加工プラント(32万t)を着工。

[2]雲南錫業股分は、年産10万tの銅精錬プラントを建設する契約を中国瑞林工程技術有限公司と締結したことを発表。排気廃水処理設備を含む湿式製錬プラントで、2010年4月に既に着工し、工期は14か月の予定。

[3]新疆有色五k箔コ業有限責任公司(以下「五k箔コ業」)は新疆ウィグル自治区昌吉回族自治州阜康市で10万tの銅精錬所プロジェクトに正式着工した。五k箔コ業は新疆有色集団公司傘下の新疆新k剥z業股分有限公司と福健紫金鉱業の傘下企業である新疆阿舎勒銅業股分有限公司が共同出資して成立。10万tプロジェクトの生産開始予定は2012年6月。

[4]江西省上饒市横峰県の和豊銅業有限公司で、年産10万t電解銅・14.5万tアノードの3期工事が2010年2月着工。和豊銅業有限公司は浙江省杭州富春江冶煉有限公司等が共同投資して、銅スクラップの再生製錬企業として設立。

[5]甘粛白銀有色金属有限公司は、2010年4月9日、生産能力を12万t拡大すると発表。

[6]2010年6月23日、広西壮族自治区防城港市で、広西金川有色金属有限公司による60万t/年の銅製錬及び関連産品製造プロジェクト着工。

図2. 2015年末までの主な銅製錬生産能力増加状況の位置
図2. 2015年末までの主な銅製錬生産能力増加状況の位置

4. 電線ケーブル産業の現状         ― 中国電器工業協会 王琨氏
4-1. 電線ケーブル産業の銅需要量予測
(1)第12次五か年計画期間中、毎年10%の成長率を予測していて、中国の電線ケーブル産業での銅使用量は累計で3,000万tを突破する。第12次五か年計画期間の最終年では銅消費量は700万t/年を突破する見込みである。

 最大の銅需要分野である電線ケーブル業界での銅荒引き線生産能力増強の動向としては以下のような情報もある。
―2010年6月18日、中国内で最大の銅荒引き線生産能力を有する常州金源銅業有限公司で、年産30万tの8mm銅荒引き線生産ラインが竣工し、正式に生産が開始された。同社の2009年の銅ワイヤロッド販売量は19.37万tであったが、能力の拡大と製品品質の向上を目指して米国から連続鋳造圧延ラインを導入し、1年余の建設期間を経て完成したもの。

(2)銅需要の構成では電力分野向けが最大であり50%を超える。

 電力送配電に係る電線ケーブル業界での生産能力増強の動向としては以下のような情報もある。
―四川省楽山市にある明星電纜公司で、500 kv超高圧ケーブルプロジェクトが今年3月23日に建設開始。中国西部では、重慶泰山電纜公司などに次ぐ3番目のVCVタワーとなる。高さは132mで、全体完成後は1タワーで6ラインによる製造ができる予定。その1期工程では2ラインの設備が2011年8月に竣工し生産開始予定であり、年産1,000 kmの500 kv架橋ポリエチレン超高圧ケーブルの製造が可能となる。

(3)ケーブル産業での線材代替技術開発は加速している。銅クラッドアルミ、超電導材の技術開発や「光進銅退」(注;光ケーブルによる銅線通信ケーブル代替の意)は業界内でも熱い関心を集めていて、これらの進展はケーブル用の銅使用にも影響を及ぼすことは必至である。

 光ファイバー網に関する動向として以下のような情報もある。
―2010年4月8日、工業情報化部、発展改革委員会などは連合して、「光ファイバーブロードバンド網建設に関する意見」を取りまとめ発表。この「意見」では、2011年までに平均アクセス速度を高めるとともに中国内の光ファイバーブロードバンド網利用戸数を8,000万戸以上とする。3年間で1,500億元が投資される予定。

5. 再生非鉄金属利用について -中国有色金属工業協会・再生分会長 王恭敏顧問
5-1. 国内再生非鉄金属生産現状
 2008年の国内非鉄再生金属生産量は530万t(1997年国内非鉄金属総生産量に相当)で、国内非鉄金属生産総量の21%を占めている。

5-2. 主要目標
 主要非鉄再生金属生産量は、2011年690万t、2015年1,110万t(内訳;再生銅380万t、再生アルミ580万t、再生鉛150万t)となる見通しである。再生金属が2015年の精錬金属生産総量に占める割合は、銅40%、アルミ30%、鉛30%以上となる。産業集積度を上昇させ、技術設備を更に改善させる。

5-3. 主要任務
(1)非鉄金属廃棄物回収システムを規範化し産業集積度を高めることで、2015年までに重点地域での再生金属の生産比率を、国内全体での再生量に対して、銅・アルミ・鉛でそれぞれ85%、80%及び85%とすることを目指す。

(2)省エネ・環境に優しい技術を取り入れ、高レベルの技術設備を求める。

(3)非鉄再生金属モデルプロジェクトを建設し、エネルギー消費率の高い施設や、環境汚染物質排出の大きな施設を抑制し、立ち遅れた生産能力の淘汰を強化する。

  参考資料 謝軍、『2010年中国有色金属産業鏈発展論壇会議紀要』
         www.gf.com.cn/cms/showDocumentFile.jsp?id=362455

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