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報告書&レポート

2010年8月20日 金属企画調査部  渡邉 美和、北京事務所  土居 正典
2010年41号

中国希土学会主催中国レアアースサミット(2010)の概要について

 2010年8月3~4日、第6回国際希土開発応用検討会に併設され、「第一回中国レアアースサミット」(中国希土学会主催)が、中華人民共和国の北京国際会議センターで、開催された。参加者は希土類の学会関係技術者・研究者を中心に研究機関やメディアなど約200人、中国以外からの参加者はその内数十人であった。
 今回の報告では、全体の発表を概観して、レアアースの現状等を報告する。なお、会議母体となっている「第6回国際希土開発応用検討会(希土類学会研究発表会)」に関連する発表等については割愛する。

写真1. 会場の北京国際会議センター
写真2. 会場内の様子

1. 第一回中国レアアースサミットについて

 中国商務部は、7月7日、2010年二回目の希土類輸出割り当て(輸出枠)を通知し、2010年の合計は30,258tとなり、2009年の50,145tを大幅に下回ることが明らかになった(ニュースフラッシュ10-27)。今回のレアアースサミットは、その直後に「レアアース産業政策と世界レアアース経済」というテーマで開催されたもので、中国政府や中国の大手希土類関連企業の報告などが注目された。しかし、プログラム中の環境保護部や、パラレルセッションの中のフォーラムの包鋼希土集団による発表も行われなかった。
 

2. レアアースサミットでの発表

 プログラムに掲載されていた以下の2題の発表は行われなかった。
  [1]環境保護部  高吉喜 氏 「レアアース生産に関わる環境法規」
  [2]中国稀土学会 林東魯 氏 「中国のレアアースの技術と産業プロセス」
 特に注目された発表とその要旨は次の通り。
 
2-1. レアアースに対する世界的な協力
           ― Mr.D.Kingsnorth(Australian Mining Company、豪)

 世界の需給予想(2015年)としてCeは需要65~70千tに対して供給85~90千t、Dyは需要2.2~2.6千tに対して供給1.8~2.0千tと推定した。Dyは需給のアンバランスが特に大きいと推定される。
 この状況に対して世界が中国と協力して推進すべき事項は、[1]基礎研究推進[2]需給予測情報の共有化[3]環境問題対応へのグルーバルな標準化[4]テクニカルパーソンの交流である。
 また、中国以外の国が中国に対して貢献できる事項として、[1]環境問題への対応(特に放射能鉱物の残渣)[2]トレーニングやソフトそしてコスト計算などの提供を掲げている。
 更に中国に対して、世界への貢献として以下を考慮すべきであろうと提案した。
[1]議論への十分な参加[2]割当てと税の安定化[3]開発努力と世界の研究機関へのassist[4]New rare earth projectに関するtraining courseの提供。
 
2-2. マグネットに関する中国のレアアース事情
                   ― 胡伯平 氏(中科三環公司、中国)

 中国のレアアース産業で大きな部分を占めるのがマグネットだが、マグネットメーカーは130社以上ありそのキャパシティは130千t/年である。しかし、企業規模としては小さいメーカーが多い。3千t/年以上のキャパシティを有しているメーカーは7社にすぎない。メーカーの分布状況としては[1]山西省[2](浙江省)寧波地区[3]北京天津地区の3か所に集中している。
 低炭素化社会実現のためにも中国は今後さらに多くのNd磁石が必要で、例えば風力発電用としても2008年にNd-Fe-Bで需要600tだったものが、2011~15年の5年間に60千t必要と見込まれている。
 
 *翌8/4に開催されたフォーラムでは、中科三環公司は世界2位のNd-Fe-B
 性体生産を行っており、以下の生産能力を有すると発表した。
  燒結磁性体 生産能力10,000tpy、粘結磁性体 同1,000tpy
 
2-3. 世界のレアアースの需給バランス
     ― Ms.Judith Chegwidden(Roskill Information Service Ltd.、英)

 中国からの輸出量が世界需要の95%を占めているが、この現状に際し、供給面でポジティブ・ネガティブな見方がある。
 ポジティブな側面は

  [1]リザーブがそれなりに大きい。
[2]中国内で投資が大きい。
[3]中国での生産コストが低い。

 ネガティブな側面としては

  [1]鉱山のライフは15~20年と推定される。

 今後の需要増加に対して鉱山がそれに対応できるか否かがポイントとなる。中国以外の鉱山に関しては次のようなオペレーションが既に進行している。しかし、中国と比較してどのような生産コストとなるかがポイントとなる。

  ・豪 (Lynas)
・米国(Molycorp)
・日本の例    
2010年に拡大、2012年に全面生産で21千tpy(REO)
2012年末19.05千tpy予定、推定資源量960千t(REO)
カザフ、ベトナムなどで海外プロジェクト推進

 
2-4. 我国(中国)のレアアース資源開発状況
                      ― 張安分 氏(中国希土学会)

  ・内蒙古自治区の活動状況 [1]白雲鉱山では従来の東鉱に加え西鉱開発
[2]鉱石回収率95%(をめざしている)
[3]尾鉱利用での回収率拡大推進中
  ・江西地区の活動状況 [1]淘汰推進で集中管理推進中
[2]植生回復
  ・四川地区の活動状況 [1]現状の「小・散・乱」の改善による集成化
[2]地区一体での近現代化
  ・2015年の世界のREO需要量は21万tと予想している。
  ・REOの価格はコストを反映したものになるべきである。
  ・環境破壊防止などを考慮した保護的開発採掘が今後のあるべき姿である。

写真3. ブース展示

3. フォーラムでの発表

 分科会セッションとして設けられたフォーラムには約80人が参加した。中国のレアアース企業の紹介を中心に13題の発表が行われた。プログラムに掲載されていた包鋼希土の関係者による発表はキャンセルされ、同地域に関しての発表は包頭国家希土高新区管理委員会による紹介にとどまっている。
 特に注目された発表の発表者とその要旨は次の通りである。
 

写真4. フォーラムでの発表

写真5. 中国の磁石メーカー分布

3-1. Mr.G.Billingsley (Great Western Minerals Group Ltd.、加)
・2014年で中国サプライは150千t、世界サプライは200千t、中国デマンドは125千tと予想している。
・GWMG社は南アSkeenkamレアアース鉱山の10年ライセンス保有。品位REO 17%、2012/13生産開始予定で初期は2,700tpyの生産を予定している。
・他に、Holidas Lake、Benjamin River(カナダ)、Deep Sand(米国)などで探査中である。
 
3-2. 廖春生 氏(五鉱稀土、中国)

中国は世界の90%以上を供給しているが、これが今後も続くポイントは生産コストである。
中国のレアアース産業の特徴は次の通り。
  [1]メリット ・豊富な資源、開発採掘技術、低い環境コスト
  [2]デメリット ・資源利用率の低さ、環境回復の難しさ、加工応用技術の遅れ
  [3]これらの原因 ・産業集中度の低さ、法律等の不完備
  [4]対処策 ・計画的な希土開発採掘、希土汚染排出基準の厳格な執行
・連合再編の奨励と生産経営の大規模集中化
・レアアース加工応用技術への投資促進
五鉱稀土の現状 ・南方イオン型レアアースの分離能力 12,000tpy
・製錬能力 2,000tpy(金属量) 蛍光材生産能力 2,800tpy
 Nd-Fe-B合金生産能力(計画) 5,000tpy

3-3. 龔斌 氏(広州虔東稀土集団)

・中国のレアアース産業の調整をめぐる制度政策を以下のように分類明示した。

図1. 中国のレアアース産業の調整をめぐる制度政策(龔斌氏発表資料により作成)

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