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報告書&レポート

2011年1月20日 リマ事務所  山内英生
2011年03号

ペルー鉱業を巡る最近の争議の動向

 ペルーの公的仲裁機関であるオンブズマン(Defensoria del Pueblo)※1は、ペルー国内の社会争議の動向を常時モニタリングし、毎月、調査報告書を公開している。
 2010年9月の争議レポートにより報告されたペルー国内の争議状況、特に鉱業関連の争議の実情や特徴を以下にまとめる。

No.1 ペルー国内の争議の概況
 オンブズマンレポート第79号(2010年9月号)によると、2010年9月末時点で確認された全国の争議件数は250件であり、顕在状態※2のものが171件(68%)、潜在状態※2(32%)のものが79件(32%)となっている。これら争議の内、新たにに発生したものが17件、潜在状態から再び顕在化したものが3件、顕在状態から潜在化したものが12件ある。また、対話・協議中の争議が92件、解決された争議が6件と報告されている。
 なお、争議とは別に、一時的に発生したデモ、ストライキ等の集団抗議行動が23件確認されている。
 最近1年間の争議件数は、ほぼ横ばいながら若干減少傾向にあることが分かる(図1)。

図1. 全争議件数の推移
図1. 全争議件数の推移

※1:オンブズマン(Defensoria del Pueblo)
 1993年に憲法に基づき設立された独立・自立的監査官並びに機関であり、憲法が国民や共同体に対して保障する権利の保護、行政の監査、市民への支援サービスの提供等を行う。オンブズマンの代表は国会の3分の2以上の賛成をもって選出され、任期は5年である。オンブズマンは、憲法によって定められた完全に中立的な立場から、係争案件に関して、民事的・刑事的責任を負うことなく意見や仲裁案を提案することができる。ただし、裁判官や判事、その他の機関の代理となるものではなく、判決や刑罰、罰金等を定める役割は負わない。
※2:オンブズマンでは、争議全体を顕在状態、潜在状態に分けて把握している。この内、顕在状態は、争議の当事者あるいは第三者による抗議行動が公の場で発生したケースを言う。一方、潜在状態は、一見隠れた状態又は静止状態にある争議であり、軋轢や対立が存在しているが、表立った抗議行動には至っていない場合や、抗議行動が収まった後、一定の年月が経過しているケースを言う。

 争議要因をタイプ別に見ると、全争議250件のうち、121件(48%)が社会・環境争議となっており、次に郡・区行政を取り巻く争議が31件(12%)、中央政府行政を取り巻く争議が21件(8%)、労働争議が20件(8%)の順となっている。

図2. 全争議のタイプ別比率(全250件)
図2. 全争議のタイプ別比率(全250件)

図3. 県別争議件数(括弧内は顕在化している争議)
図3. 県別争議件数(括弧内は顕在化している争議)

 県別では、争議件数の多い順に、Lima県(24件)、Ancash県(22件)、Puno県(22件)Cajamarca県(18件)、Cusco県(17件)となっている。
 顕在争議件数の推移を見ると、この1年間で60件(約25%)減少していることがわかる(図4)。また、タイプ別では社会環境争議が半数以上を占めている(図5)。

図4. 顕在争議件数の推移
図4. 顕在争議件数の推移

図5. 顕在争議のタイプ別比率(全171件)
図5. 顕在争議のタイプ別比率(全171件)

No.2 鉱業関連争議の動向
 顕在状態にある争議171件の内、約42%に相当する72件が鉱業関連争議であり、ペルー国内に顕在する争議の半数弱が鉱業を取り巻くものであることが分かる(図6)。
 更に、鉱業関連の争議をタイプ別に分類すると、社会・環境争議に属するものが64件(89%)、中央政府管轄争議が3件、労働争議が2件、県政府管轄争議が2件、境界線問題が1件となっており、社会・環境を巡る争議が支配的であることが分かる(図7)。

図6. 顕在争議に占める鉱業関連争議の割合と図7. 鉱業関連争議のタイプ別内訳

 一方、鉱業関連争議を原因別に分類したものを図8に示す。原因が重複しているものもあるため、総件数は84件となっている。
 これら84件の内訳を見ると、環境汚染や鉱害が争議の原因となっているケースが36件と最多である。これは、現実の汚染や鉱害を原因としているものと、汚染や鉱害発生への危惧を原因とする争議の双方を合わせた数字である。次に、地元支援や利益還元(インフラ整備要求やカノン税還元)及び鉱業による被害(水銀や鉛による健康被害、道路破壊)に対する補償要求を原因とするケースが21件存在している。また、土地問題(土地や鉱区の所有権争い、境界線問題)を原因とするケースが8件、近年特に深刻化している金違法採掘問題が争議発端となっているケースが7件、鉱山側の地元自治体やコミュニティ等に対する約束不履行を原因とするケースが5件確認された。更に、鉱山における水使用による水不足への懸念などの水資源問題が原因のケースが4件で、労使抗争が原因の争議が3件であった。

図8. 鉱業関連争議の原因

 表1は、鉱業関連争議の個別事例を県別、タイプ別に整理したものである。
大規模鉱山の場合、影響の及ぶ地域や当事者数が多くなるため、複数の争議を抱えているケースも見受けられる。

表1. 顕在状態の争議171件中で確認された鉱業関連争議の詳細

県名(争議件数) タイプ 当事者 内容
Amazonas(1) 社会・
環境(1)
Afrodita社、Cenepa先住民コミュニティ 河川汚染を理由に鉱業活動へ反対
Ancash(8) 県政府行政(1) 県政府、Cajacay農民コミュニティ、Antamina社 Cajacay農民コミュニティは、県政府及びAntamina社に対してダム建設を要求
社会・
環境(6)
Barrick、Cuncashca村 Barrickに対する旧道閉鎖に対する代償の要求/同社による約束履行の要求
Antamina社、Ayash川流域住民 廃さい流入による川の汚染に対する健康・環境を主張、鉱山による対応を要求
Antamina社、Racrachaca村 操業影響下地域にあるとして鉱山からの支援を受けるための合意書締結を要求
Antamina社、Carhuayoc、Ango Raju村 Condorcocha湖への排水汚染、土砂移動や発破によるCerro Condor山の観光ルート破壊を非難
Antamina社、Juprog村 Antamina社による約束不履行と環境汚染の可能性を主張
Virgen del Rosario村、違法鉱業者、Huanchuy村 Virgen del Rosario村が、Huanchuy村との境界地における違法鉱業に反対
労働(1) Toma la mano社、労働者 2007~2008年の利益配当と退職金の支払い要求
Apurimac(2) 社会・
環境(2)
Southern Peru社、Tiaparo村 Southern Peru社による環境汚染への危惧と同社への情報公開要請
Southern Peru社、Tapayrihua村 村の土地の利用に関する合意がないことや、極端な水利用を理由に同社の鉱業活動に反対
Arequipa(4) 社会・
環境(3)
Bateas社、Caylloma区 Caylloma区民団体が郡開発に関する協定書やBateas社による支援協定書を要求
Southern Peru社、Cocachacra区 生態系の破壊やTambo川水量の減少を危惧する住民グループや自治体がTia Mariaプロジェクト開発に反対
Arcasel社、Huaracaya村 湿地帯や自然保護区における同社の活動に反対
労働(1) Century Mininc社、労働者 労働者の株式所有に関する合意の不履行
Ayacucho(3) 社会・
環境(3)
Santiago03社、零細鉱山労働者連盟 Santiago03社鉱区内におけるインフォーマル鉱業従事者の活動に対する同社の反対
AMMECO社、Huancasanco村 AMMECO社の重機や車両による道路破壊
Catalina Huanca社、Canaria、Uyuccasa村 Catalina Huanca社による環境被害と、同社活動地の所有権を主張し、同社の鉱業活動に反対
Cajamarca(11) 社会・
環境(11)
Coimolache社-Tantahuatayプロジェクト、El Tingo農民コミュニティ El Tingo農民コミュニティ住民らは、Coimolache社に対する地元住民の雇用と土地売買の正当性の証明を要求。
Yanacocha鉱山、Choropampa、SanJuan、Magdalena村 2000年6月に発生した水銀漏洩被害に対する補償を要求
Lumina Copper社、La Encanada農村 Lumina Copper社の約束の不履行を理由に合意書締結を要求
Yanacocha鉱山、Celendin郡住民 Minas CongaプロジェクトのEIA内で同郡が影響下地域に指定されていないことを理由に、Celendinプロジェクトに反対
Yanacocha鉱山、Quishuar Corral村 保健、電力化、開発プロジェクト関連の2008年合意書履行を要求
Michiquillay農村組合、Activos Mineros 農村組合が休廃止鉱山鉱害対策と被害に対する補償を要求
Vista Alegre村、同村一帯の鉱山、鉱山省 Hualcgayoc郡内での鉱業活動への反対と、休廃止鉱山鉱害の即時補償
Colquirrumi社、同社旧労働者組合 休廃止鉱山鉱害が一部存在する土地所有権を巡る争議
Chuquibamba、Condebamba村、インフォーマル鉱業 環境被害を理由とするインフォーマル鉱業への反対
Gold Fields La Cima社Hualgayoc区 Mangasbamba川汚染の危惧、自発的拠出金使用途への不服、持続開発プロジェクトの要求
La Zanja社Pulan区民 環境汚染を理由にLa Zanjaプロジェクトに反対
Cusco(5) 社会・
環境(5)
Mosoc Llacta区、同農民コミュニティ、県政府、Rumi Maki社、Qochapata社、エネルギー鉱山省 自治体による、Rumi Maki社、Qochapata社の所有鉱区の取り消し要求
Pumallacta農民コミュニティ、ANABI社 環境汚染と約束不履行によりコミュニティがANABI鉱山会社の退去を要求
Llusco区他複数区、コミュニティ、社会団体、農民連合、ARES社、エネルギー鉱山省 Llusco、Colquemarca等の住民が、社会・環境被害を理由にAres社の退去を要求
Espinar農民連合、Xstrata Tintaya社、Espinar郡役所 Minera Tintaya社に対し、Espinar郡開発への貢献拡大と、Huanipampa廃さい堆積場の移転を要求。またAntapaccayプロジェクト、Tintaya拡張による環境被害への懸念を主張。
Lutto Kututo村、Nazareno Rey社、エネルギー鉱山省 Nazareno Rey社によるインフォーマル鉱業の中止をめぐる争議、農業・遺跡地域における鉱業活動の拒否
Huancavelica(4) 社会・
環境(4)
Buenaventura社、Lircay区、Angaraes郡 Lircay区民らは、Buenaventura社(Julcani、Recuperadaユニット)に対して旧廃止鉱山及びOpamayo川汚染の責任を追及。
Caudalosa社、Lircay区、Secclla、Julcani村住民、保健所、鉱業エネルギー投資監督庁 6月25日、Caudalosa社の廃さい堆積場が決壊、大量の廃さいが周辺河川に流入、汚染を引き起こした。Secclla、Julcani村住民らは同社に対し、特にOpamayo川における被害対策の実施を要求。
Angares郡の複数市民団体、Pampanali社 Angares郡の複数の市民団体が、鉱業活動によるSicra川及びAtuna川の汚染を主張
Buenaventura社、Ccochaccasa村、県政府、エネルギー鉱山省、労働省 Ccochaccasa村が、Buenaventura社の活動により村内の土地の複数地域で汚染が引き起こされていると主張。
Huanuco(1) 社会・
環境(1)
Lauricocha郡、Raura社 Lauricocha郡の農民コミュニティは、血中の鉛被害に対する補償とLauricocha川の迂回をRaura社に要求。
Junin(3) 中央政府
(1)
Doe Run Peru社、エネルギー鉱山省、鉱山労働者、Yauli郡、市民団体、La Oroya精錬労働者組合等 La Oroya精錬所近隣住民、市民団体、政府機関はDoe Run Peru社に対して環境適正化計画(PAMA)の実行を要求。一方労働者らは失業を恐れ精錬所の閉鎖に反対。
社会・
環境(2)
Aco村、Mantaro Peru社、市民団体 Aco村及び自治体は、自然環境・自然資源の汚染を恐れがあるとして鉱業活動に反対。
Morococha区、Chinalco Peru社 Toromochoプロジェクトの実施に必要なMorococha居住地移転に関する条件についての対話を、住民側が鉱山に対して要求。
La Libertad(3) 社会・
環境(3)
Sayapullo鉱業活動環境委員会、San Manuel社、Milpo社、エネルギー鉱山省 Sayapullo住民及び市民団体は、環境被害を理由に同地区における鉱区の無効と、Sayapuyo社の残した鉱害の対策を要求。
Huacascorral村その他複数の村、Santa Rosa社 Huacascorral等、複数の村がSanta Rosa社に対し、飲料水普及プロジェクトの実行を要求。
Pataz区農民連合、鉱業従事者連合、Poderosa社、県政府 Pataz区農民連合等は、Poderosa社が鉱業活動を行う土地の所有権の合法性が不明であるとし、同社による不法占拠の可能性を指摘
Lima(4) 社会・
環境(4)
Oyon農民コミュニティ、Buenaventura社 Oyon農民コミュニティがBuenaventura社の約束不履行を主張
Pachangara農民コミュニティ、Los Quenuales社 Pachangara農民コミュニティが、Iscaycruz鉱山の採掘条件に関する合意書の変更を要求。
Quichas農民コミュニティ、Raura社、鉱山省 Quichas農民コミュニティが、Raura社による土壌汚染、約束不履行、土地侵入を告発
San Mateo de Huanchor住民、San Mateo環境委員会、OSINERGMIN、エネルギー鉱山省、Coricancha鉱山 崩落の危険があるCoricancha鉱山廃さい堆積場への緊急対応を近隣住民らが要求。
Madre de Dios(1) 社会・
環境(1)
零細鉱業従事者、Tambopata国立保護区管理局、エネルギー鉱山省/内務省地方局 Tambopata国立保護区における違法鉱業への反対運動。
Moquegua(1) 社会・
環境(1)
農民コミュニティ28区、Minera Quellaveco(Anglo American)社、県政府 近隣農民らが、Quellavecoプロジェクトによる地下水とAsana川水資源利用に反対。
全国規模(1) 中央政府行政(1) 零細鉱業従事者連盟、Madre de Dios鉱業連盟、内閣 零細鉱業従事者連盟が、自らの活動に不利となる緊急政令(DU012-2010)の廃止を要求。
Pasco(4) 社会・
環境(4)
San Antonio de Paucar農民コミュニティ他、Raura社、鉱山省、D.A.Carrion郡 San Antonio de Paucar農民コミュニティは、Raura社の活動地域は同コミュニティの所有する土地であると主張。
Rancas農民コミュニティ、Volcan社、鉱山省、Simon Bolivar区 San Antonio de Rancas農民コミュニティは、Volcan鉱山の操業地域と、廃さい堆積場、ズリ堆積場の拡張を認める内容の合意書に反対。
Milpo社、San Juan de Milpo農民コミュニティ、Pasco郡 住民らは、廃さい堆積場による環境汚染と、約束不履行に対する補償を要求。
Chaupimarca、Yanacancha区民、Volcan社、Pasco郡 Chaupimarca区民らは、Volcan社によるピット拡張に反対。
Piura(2) 社会・
環境(2)
Piura県政府、Piura、Ayabaca郡政府、農民、鉱山省、零細鉱業連盟 Piura県政府以下自治体が、環境汚染を理由に違法鉱業に反対。
Huancabamba農民連合、Majaz社、地元ラジオ局、地元教会、鉱山省 違法性と環境汚染の懸念を理由に、農民連合らがRio Blancoプロジェクトに反対。
Puno(10) 県政府行政(1) La Rinconada村等、県政府、鉱山省、保健省等 違法鉱業(金採掘)に従事する複数の村が、県政府に対して公共インフラの整備を要求。
社会・
環境(8)
Condorque農民コミュニティ、Sillustani社 Condorque農民コミュニティが、Sillustani社の廃さい堆積場による水資源の汚染を告発。
Gilatamarca農民コミュニティ、Aruntani社 Gilatamarca農民コミュニティは、Surani湖の環境汚染を理由に、Aruntani社の活動停止を要求。
Ocuviri区民、自治体、Arasi社 Ocuviri区民らは、廃さい流入により河川の鱒が死亡しているとして、Arasi社に対し約束の履行を要求。
Rosario農民コミュニティ、Capaso区、Ayllu社等。 Ayllu社が複数河川を汚染しているとして、周辺の複数コミュニティが同社の活動に反対。
Tambillo農民コミュニティ、Pomota等複数区、Patagonia Minerals社 Tambillo農民コミュニティやPomota区等が、観光地及び自然保護区である同地域における、Patagonia Mierals社への鉱区申請に反対。
Cojata区、鉱山省、INGEMMET、外務省、Peluchuco区(ボリビア)、SERGEOTECMIN(ボリビア) Cojata区のアルパカ牧畜業者らが、汚染を理由にSuches川における違法鉱業に反対。
Crucero区民団体、Ananea鉱業区、Crucero環境監視委員会、地域住民 自治体及び住民らが、汚染を理由にRamis川流域の違法鉱業活動に反対。
Minera Santa Ana(Bear Creek社、周辺区、農民コミュニティら Chucuito区の複数の住民らが、環境汚染と同区の土地の減少を理由に、Santa Ana社の鉱業活動に反対。
境界問題
(1)
Ituata区、Ayapata区長及び区民 両区の境界に位置する鉱業地域を巡り、境界線問題が発生。
Tacna(4) 中央政府
(1)
Tacna県知事、市民団体、国会、内閣その他 Tacna県知事、自治体、住民らは、同県へのカノン税還元減少をもたらすカノン税法27506の第5条の改正に反対。
社会・
環境(3)
SRML Norteamericana XXI社、Ticaco区、Ticaco灌漑委員会 農民コミュニティは、農業との共存不可能であり健康や水質被害をもたらすことがある鉱業活動に反対。
Tacna環境保護戦線、MINSUR社 Tacna環境保護戦線その他市民団体は、河川の汚染を理由にMINSUR社の鉱業活動に反対。
Candarave郡、Southern Copper社、市民団体 地元自治体、市民団体らは、Toquepara鉱山やCuajone鉱山での水資源利用に反対。

3. オンブズマンの取り組み
 オンブズマンでは、社会争議の解決や沈静化に向けて、①防止・監査活動、②仲介、③法的擁護の3種類のアプローチを行っており、2010年9月の実績は表2のとおりである。なお、オンブズマンによる活動件数は217件で、このうち防止・監査活動が180件と全体の大部分を占めた。

表2. オンブズマンの取り組み実績

防止・監査活動 情報収集 80
立ち入り監査 11
当事者への意見聴取/会議・セミナー開催 89
法廷助言 0
仲介 仲裁/仲介 3
対話協議の設置 18
ハイレベル争議解決委員会の設置 2
法的擁護 逮捕者の拘束状況調査 6
警察、検査局、司法への監査 8

4. おわりに
 最近1年間の社会争議件数は、ほぼ横ばいながら減少傾向にある。ペルー政府は、社会争議が鉱業投資を阻害する最大の要因であるとの認識のもと、地元社会と鉱山企業の仲介役を行うべく努力を行っているとしている。しかし、顕在状態の争議における鉱業争議の割合は依然として高く、鉱業が社会争議の最大要因であるという状況に変化はない。
 一例として、Southern Copper社のTia Maria銅プロジェクト(Arequipa県)が挙げられる。本プロジェクトでは、水資源の不足を懸念した農民団体がプロジェクトに反対したことから、同社は淡水化した海水を操業に使用する決定を行った。しかし、未だに地元の反対運動が絶えず、エネルギー鉱山省や中央政府が介入し、プロジェクトを進行させるべくサポートしている。
 現在、ペルーでは、銅や金を中心とした数多くの探鉱・開発案件が進行中であり、特に数年内に複数の大型案件が操業開始を計画していること、また、金属市況の回復に伴い利益還元を求める動きが活発化していることは、鉱業を取り巻く社会争議の増加要因となりうるであろう。更に、2011年4月に大統領選挙が行われることから、政治的背景のある社会運動や争議等の増加が見込まれる。
 このような状況の中、鉱業の発展にとって足かせとなる社会争議を一つでも未然に防ぎ、その拡大を防ぐためにも、政府や企業、地方自治体が一体となったより一層の取り組みが必要とされている。

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