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報告書&レポート

2011年3月31日 ロンドン事務所 次長 萩原崇弘、副所長 小嶋吉弘、フレンチ香織(金属リサーチャー) ボツワナ地質リモートセンシングセンター 所長 鈴木哲夫、沼田安功 資源探査部 部長 林歳彦、探査第2課課長代理 栗原政臣
2011年13号

Mining INDABA 2011(第16回アフリカ鉱山投資会議)(その2)

 2011年2月7~10日、南ア・ケープタウンにて、世界規模の鉱業カンファレンスであるMining INDABA 2011が開催された。今回は、前回に続き、我が国政府/政府関係機関の参加報告、インド、中国の動向などを紹介する。

4. インド及び中国によるアフリカ鉱業投資の動向

 Mining INDABA 2011の第2~3日目(2011年2月8~9日)には、非アフリカ政府フォーラムが初めて開催され、アフリカ以外の資源国または、アフリカ鉱業に投資を行う国々から40分間の講演がなされた。今回は、インド、カナダ、日本(以上、2月8日)、豪州、中国、アフガニスタン(以上、2月9日)の政府代表が、自国のアフリカへの鉱山開発に対する姿勢や、自国の鉱業情勢を紹介した。特に、2010年12月、南アがBRICS加盟国に参加するよう公式に要請を受けたため*17、今後のインド及び中国の、南アを中心としたアフリカとの連携政策の方向性が注目された。以下、各大臣の講演ポイントを紹介する。

4-1. インド鉱業省Sanjay Srivastava氏 ~ コークス用石炭を中心とした鉱物資源の開発 ~

 インドの経済成長に必須な分野は、鉄鋼部門、アルミ部門、銅部門である。他方、インド地質調査所(GSI)の調べによると、2010年4月時点で、インドには石炭資源量が2,768億t存在するが、そのうちの87%が非コークス用石炭である。コークス用石炭の確保が急務と考えられる。
 アフリカでは、過去2年間でナミビア、モザンビーク、マラウィと資源開発協力に関するMOUを締結した。「南アに関しては、スポーツのクリケットでは敵であるが、資源開発の分野では連携関係を強化したい」との場を和ませるコメントがあった。

4-2. 中国国土資源部Sun Baoliang氏 ~ 国内資源も注視 ~

 中国国内では、グリーンな資源産業の設立に向けて、統合的な開発及び保護を目標としたい。また、Geological Mineral Security Projectを実施して、国内の資源開発及び探鉱の効率化を図る。
 海外に関しては、2011年11月6~8日に青島で鉱業会議『China Mining Congress』を開催し、中国と海外とのWin-Win関係の鉱業開発案件を模索する機会を与えたい。対アフリカの資源開発に関しては、[1]協力の深化、[2]社会的責任、[3]Win-Winの開発を重視したい。
(※本講演後、中国地質調査所(CGS:China Geological Survey)のLiu Dawen博士より、CGSの説明をした。CGSは北京を拠点に、中国国内で27か所の関係機関を設置しており、中国6都市(北京、上海、天津、杭州、南京、広州)の3次元地下地質情報を提供している。また、地質図の作成だけでなく、洪水や地下水汲み上げによる陥没の問題や、地震対策などにも対応しており、国際機関との協力においては、過去10年間で、世界40か国の地質科学機関とMOUを締結し、地球温暖化から資源量評価などの多岐分野で協力関係を構築しているとの説明があった。)

5. フォーカス:中国によるアフリカ鉱業投資 ~ 中国の投資規模、及び傾向分析 ~

 非アフリカ政府フォーラム以外に、中国国内及び中国による海外でのビジネス展開を斡旋するThe Beijing Axis社の最高経営責任者であるKobus van der Wath氏から、中国のアフリカ鉱業投資に関する基調講演がなされた。概要は、以下のとおりである。

2008年11月、中国政府が4兆元(5,800億US$相当)の景気刺激策を打ち出して以来、中国の海外投資は世界でも突出している。2009~2010年の間、中国開発銀行(CDB)と中国輸出入銀行(CEIB)の2行で、新興国での経済及びビジネス開発に対して692億£の融資を公募し、世銀の2008年中期~2010年中期までの融資額630億£を上回った模様である*18。今後の予想として、短期的には、中国の金融引き締め観測が高まり、明確な予想は困難であるが、第12次五カ年計画(2011~2015年)では『持続的な経済成長』に取り組むため、長期的には中国の海外投資の継続が予想できる。
中国によるアフリカ投資が増加した要因は、[1]2000年に中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)を開設したことや、[2]2008年に中国銀行(ICBC)が南アStandard Bankの株式20%を取得したこと等が挙げられる。中国の対アフリカ直接投資額(OFDI Capital Stock)は、2003年末に4.9億US$であったのに対して、2009年末には93.3億US$にまで拡大している*19
特に、2007~2010年を見みると、中国の南部アフリカ投資は鉱業部門に集中している。例えば、2010年5月に金川集団有限公司(Jinchuan)が南アWesizwe社の株式51%を878百万US$で取得したり、2009年7月には、同社がザンビアのMunaliニッケル鉱山の権益52%を37百万US$で買収する動き等が見られた。他方、2010年のみを見ると、中国によるアフリカへの巨額鉱業投資は、西アフリカの2件([1]中国アルミ業公司(Chinalco)によるギニアRio Tinto Simandou鉄鉱石プロジェクトの開発投資(13.5億US$)、[2]Bosai Minerals社によるガーナ政府とのアルミ産業の開発投資(12億US$))である。地域別というよりも、鉱種別の戦略で参画していると分析できる。
中国による海外鉱業投資には、3点の傾向があると分析できる。先ず、中国はアフリカでの道路、鉄道、港等のインフラ設備において活発に投資活動を行っているが、コントラクター(建設請負業者)は中国企業が多い。例えば、アフリカ大陸における海外からのコントラクターの40%は中国が占めている。次に、インフラ設備開発の投資増加に伴って、中国の重機輸出が急増している。2009年、世界の重機輸出量の12.6%を中国が占め、世界第3位の重機輸出国となった。1999~2009年、中国による重機輸入の平均成長率(CAGR)は17.4%であるに対して、重機輸出は43.3%であり、中国は短期間で重機の純輸入国から純輸出国へ移行した。最後に、中国による海外の大規模な取引に関しては、欧米の資金アドバイザーを採用することが多い。2009~2010年の中国による海外投資額の約80%は、海外の資本アドバイザリー・サービスを通じて実施された。

6. 日本政府/政府関係機関の参加

写真4. 中山義活経済産業大臣政務官

写真4. 中山義活経済産業大臣政務官

 2011年は、例年参加のJOGMEC、JETROヨハネスブルグ・センターに加え、経済産業省、在南アフリカ日本大使館、国際協力銀行(JBIC)からの参加があり、日本のプレゼンスが高まる有意義な会議となった。
 日本の政治家として初めてMining Indabaに出席した中山義活経済産業大臣政務官からは、非アフリカ政府セッションにおいて、『アフリカと日本の新たなパートナーシップを求めて』と題する講演がなされ、資源開発、人材育成・産業振興、インフラ整備といった日本・アフリカ間の互恵的(Win-Win)経済協力関係の構築、そしてTICAD*20で表明されたアフリカ支援の方向性・数値目標などが紹介された。
 さらに、アフリカ大臣セッションにおいては、在南アフリカ日本大使館小澤俊朗特命全権大使より『日本とアフリカ鉱業:ビジネスと政府の役割』と題する講演がなされ、続いて、JOGMEC藤田文萌副理事長より、『日本のアフリカ鉱業投資を促進するためのJOGMECの役割及び活動』と題する講演があった。
 小澤大使の講演では、世界の鉱業界における日本のプレゼンス、JOGMEC/JICA/JBIC/NEXIを含む日本政府の鉱山活動支援の構造、そして日本企業の高度な付加価値化技術や、長期的なパートナーシップの優位性などが紹介された。
 藤田副理事長からは、JOGMECによるJV探査スキーム(現在6件*21)、JOGMECボツワナ地質リモートセンシングセンターの紹介及び活動報告がなされた。近年、JOGMECは南部アフリカ(SADC)8か国(南ア、ボツワナ、ザンビア、モザンビーク、アンゴラ、ナミビア、マラウィ、タンザニア)とMOUを締結しており、これらのMOUの下、リモートセンシング技術を活用したSADC諸国での鉱物資源探査事業、及びSADC諸国の技術者への資源探査技術研修を実施している等の発表があった。
 上記講演を受けて、アフリカ大臣フォーラムの司会を行ったInternational Business AdvisorsのAnthony Carroll氏からは、「JOGMECボツワナ地質リモセンセンターを始めとする日本の技術移転の取組みは、アフリカの持続可能な経済成長の実現に寄与するもので、高く評価すべきである」とのコメントがなされた。
 カンファレンス会場の展示エリアでは、JOGMECに加えJBICが初参加し、多くの鉱業関係企業が日本政府による鉱業活動及び財政支援スキームについて聞きに集まった。

写真5. 在南アフリカ日本大使館小澤俊朗特命全権大使 写真6. JOGMEC藤田文萌副理事長
写真5. 在南アフリカ日本大使館小澤俊朗特命全権大使 写真6. JOGMEC藤田文萌副理事長
写真7. JOGMEC/JBIC展示ブース 写真8. JOGMEC展示ブース手前のセネガル鉱業省が来訪
写真7. JOGMEC/JBIC展示ブース 写真8. JOGMEC展示ブース手前の
セネガル鉱業省が来訪

7. 本カンファレンスの感想 ~ アフリカ開発では、パートナーシップが重要 ~

 2010年に開催された、ギニア、DRCコンゴ、南ア等でのアフリカ鉱業大会では、投資家の言う『事実上の鉱業権の剥奪』の顕在化など、資源ナショナリズムの強化が懸念されたが、本カンファレンスでは史上最高の6千人が参加し、資源メジャーを始め多くの企業がアフリカの鉱業プロジェクトに積極的に参加しようとするポジティブな動きが確認できた。また、我が国としては、多くのアフリカ鉱業大臣が参加しているなか、日本のプレゼンスが高まり、日本の鉱業分野における優位性を紹介することに成功し、とても有意義な会議となった。
 今回、特に共感が得られたのは、Anglo Americanが強調していた『Partnership for Success』である。南アの鉱業分野に焦点を置くと、BEE(Black Economic Empowerment)政策や、鉱物ロイヤルティ等が立案される際、全ての利害関係者の話し合いにより、政府及び企業の歩み寄りが見られ、当初は高水準だった政府の要求も次第に変化していったとされる。
 同様の動きは、国際的な組織や機関で広がりつつある。世界の非鉄メジャー等企業のCEOにより設立されたICMM(国際金属・鉱業評議会)では、天賦資源イニシアチブ(Resource Endowment)を設け、貧困、紛争、暴政などの問題を招く『資源の呪い』の解決法を分析しており、現在、タンザニアでの政府及び企業関係者の協力で、どのように資源の投資環境を整えられるのかのケーススタディを行っている。また、採取産業透明性イニシアティブ(EITI)でも、政府、企業、市民社会によって構成されるマルチ・ステークホルダー・ワーキング・グループによって、資源国の財政の透明化を図っている。
 JOGMECとしては、このような資源国との対話の重要性に鑑み、Mining Indaba等での資源国との対話を重視すると共に、ボツワナ地質リモートセンシングセンターを通じて、鉱物資源が豊富とされるSADC諸国等とのパートナーシップを深めながら、今後とも本邦企業によるアフリカ資源開発を促進すべく、日本とアフリカ諸国が資源開発分野においてWin-Winのパートナーシップに築いていくための架け橋の一つとなるよう、継続して注力して参りたい。

参考資料(その2):

*17 http://www.bloomberg.com/news/2010-12-24/south-africa-asked-to-join-bric-to-boost-cooperation-with-emerging-markets.html
*18 http://www.bbc.co.uk/news/mobile/world-asia-pacific-12212936
*19 http://www.focac.org/eng/zxxx/t793906.htm
*20 http://www.ticad.net
*21 http://www.jogmec.go.jp/mric_web/koenkai/110303/briefing_110303_4.pdf (p.27)

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