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報告書&レポート

2011年5月19日 ロンドン事務所 北野由佳
2011年20号

国際非鉄研究会参加報告(1)国際非鉄3研究会合同セミナー~マテリアル・スチュワードシップ

 2011年4月11~15日、ポルトガル・リスボンにて国際非鉄研究会の春季会合である国際ニッケル研究会(INSG)、国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)、国際銅研究会(ICSG)及び3研究会合同セミナーが開催された。JOGMECロンドン事務所は本研究会に出席する機会を得たので4回に分けてその内容を報告する。
 今回は、4月13日午後に『マテリアル・スチュワードシップ』と題して開催された3研究会合同セミナーについて報告する。
 合同セミナーでは、マテリアル・スチュワードシップを提唱する国際金属・鉱業評議会(ICMM:International Council on Mining and Metals)の代表者が基調講演を行い、その後、政府及び産業界の関係者が講演及びパネルディスカッションを行った。
 なお、関係資料は以下の国際非鉄研究会ホームページに掲載されており、参照していただきたい(注)。
(注)3研究会合同セミナー資料URL
http://www.ilzsg.org/generic/pages/list.aspx?table=document&ff_aa_document_type=P&from=1)
 また、マテリアル・スチュワードシップに関連して、JOGMECから『鉱業界のCSRとEHS規制』報告書(2007年6月発行)及び『金属業界の持続可能な開発:マテリアル・スチュワードシップ』(カレント・トピックス10-64号)を出版しており、併せて参照していただきたい。
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/report/restriction/restriction.html
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/current/10_64.html

1. 基調講演:『マテリアル・スチュワードシップ:価値の最大化のための体系的取り組み』

(ICMM、John Atherton氏)

 『マテリアル・スチュワードシップ(Material Stewardship)』とは、2003年5月にICMMが発表した持続可能な開発に関する10原則のうち特に、「責任ある商品設計、使用、再利用、リサイクルの推進(原則8)」、「安全衛生パフォーマンスにおける継続的な向上(原則5)」、「環境パフォーマンスの継続的な向上(原則6)」を支えるコンセプトとして、ICMMが推進しているものである。鉱山・製錬企業は、生産した素材の価値を最大化することが目的であるが、素材が製品化され、廃棄されるまでのライフサイクル全体での価値を考えることが重要である。マテリアル・スチュワードシップは、素材のライフサイクル全体を通して、すべての関係者が共同で素材を管理し、結果的に素材が作り出す価値を最大化にする、という考え方である。素材のライフサイクル全体を見ると、マテリアル・スチュワードシップは、『生産スチュワードシップ(Process Stewardship)』と『製品スチュワードシップ(Product Stewardship)』から成る(図1参照)。生産スチュワードシップは、上流の鉱山及び製錬会社が直接的に管理できる部分であるが、製品スチュワードシップは下流の顧客である製造企業等の手元に素材があるため、上流からは直接的な管理はできない。そのため、製品スチュワードシップでは、上流の鉱山・製錬企業から下流企業に対して情報提供等の積極的な関与を通じて下流の企業に影響を与えることが重要であるとされている。

図1. マテリアル・スチュワードシップ概念図(出典:ICMM)
図1. マテリアル・スチュワードシップ概念図(出典:ICMM)

 サプライチェーン管理(SCM:Supply Chain Management)に関係する近年の新たな課題としては、顧客が製品に求める条件の内容が変化しているということが挙げられる。近年、下流の顧客は、製品のカーボン・フットプリント(製品の製造から廃棄までの二酸化炭素排出量の総計)や毒性、紛争鉱物などの社会的問題への関与といった内容に関心を持つようになり、上流の企業に情報を求めるといった動きがみられるようになっている。マテリアル・スチュワードシップが意味する素材のライフサイクル全体での総合的管理体制が構築されれば、上流側の鉱山・製錬企業と下流側の製造企業等との間に緊密な連携が生まれるため、上流側の企業は下流側の企業や顧客の関心や懸念を察知することができ、将来的な問題の回避及びビジネスチャンスの発見につながるとされている。
 ICMMでは今後、マテリアル・スチュワードシップの成功事例のネット上での共有や、下流の顧客が素材の評価に用いる基準の調査等を行っていくとしている。

2. マテリアル・スチュワードシップに関する政府の見解

2-1. 講演:『マテリアル・スチュワードシップ‐豪州の取り組み』

(豪州資源・エネルギー・観光省Ben Jarvis氏)

 豪州鉱業協会(MCA:Minerals Council of Australia)はマテリアル・スチュワードシップの考え方に賛同しており、持続的発展を促進するための管理規定である「永続的価値:持続的発展のための豪州鉱業の枠組み(Enduring Value:Australian Minerals Industry Framework for Sustainable Development)」 の中でスチューワッドシップに関する規定を設けている。この規定では、ICMMの「持続可能な開発に関する原則」を地域レベルで実施すると共に、産業界の関与を促すために定められた。ICMMの10原則と同様に独自の10原則を策定しており、そのうち以下の2つの原則がマテリアル・スチュワードシップに直接関係している:
● 原則2:持続可能な開発への配慮を、企業における意思決定のプロセスに組み込むこと
● 原則8:責任のある商品設計、使用、再利用、リサイクル、廃棄の推進
 上記のような規定の策定だけではなく、実際に豪州の産業界が率先して行っている活動の中では、鉛酸蓄電池のライフサイクルを通しての全体的な管理を推進している「Green Leadプロジェクト」や、商品の海上輸送に用いられる船舶の査定を行い安全な海上輸送及び海洋保護に貢献する「RightShipプロジェクト」などが成果を上げている。
 一方、豪州政府は、2006年に豪州の鉱業界やその他の利害関係者と共同で「鉱業における持続可能な開発プログラムの先導的な活動(Leading Practice Sustainable Development Program for the Mining Industry)」と題したプログラムを発足した。同プログラムの目的は、ベストプラクティスを共有し、他社がそれを積極的に実施していくことにより、産業界における自主規制を促進することである。鉱山のライフサイクルを通しての管理に関する14種類のハンドブックを発行しており、そのうちの一つがスチュワードシップに特化したもので、様々なケーススタディを掲載している。同プログラムは、開始から4年で約10万部のハンドブックを配布したとされる。
 マテリアル・スチュワードシップの観点から考えると、製品を製造するために必要な資源・エネルギー等のインプットを減らすということも重要である。豪州政府では「エネルギー効率向上の機会発見プログラム(Energy Efficiency Opportunities program)」を2006年から実施しており、このプログラムでは、電力を一定量以上消費する企業に対しエネルギー消費に関する詳細な分析を行うことを義務付けている。分析を行うことによって、企業自らがエネルギー効率を向上できる箇所を特定できるよう支援することを目的としている。また、豪州政府は「国家廃棄物政策(National Waste Policy)」という新しい政策も策定し、廃棄物の削減と管理に関する今後10年間の指針を設定した。同政策では、製品がそのライフサイクル全体において責任を持って管理されるための枠組みの設定も重要な戦略の一つとして掲げられている。
 最後に、マテリアル・スチュワードシップの実施において、初期段階においては政府による法律の策定等の制度面が重要な役割を担っているが、素材の持つ価値の最大化のためには、産業界全体の協力とコミュニティの参加が不可欠であると強調した。

2-2. 講演:『素材のライフサイクルにおける生産スチュワードシップ』

(カナダ天然資源省、Doug Panagapko氏)

 カナダ天然資源省(Natural Resources Canada)の代表者からは、素材のライフサイクルにおける生産スチュワードシップ(素材の生産に関わる上流部分での管理)の利害関係者がよりよいスチュワード(管理を実行する者)になるためにはどのような方法があるか、ということについての説明があった。カナダ天然資源省では、探鉱、採掘、選鉱、製錬のそれぞれの段階において、以下のような改善方法を認識している。
探鉱
 新しい物理探査手法を用い、既に操業が行われている鉱山内で新しい鉱床を発見する。カナダのHudBay Minerals社のLalor鉱山プロジェクトでは、地域における地質学的知識と最新の物理探査技術を用いて、操業中の鉱山において、新しい鉱床を発見した。
 また、最新のコンピューター技術の利用も、既存の鉱山における新しい鉱床の発見につながる。カナダ地質調査局(GSC:Geological Survey of Canada)は、ケベック州のNoranda鉱山において、最新の3D地理情報システムモデル(3D-GIS modeling)を用い、膨大な地質学的情報を一つのシステムに集約し、必要な関連情報をそこから引き出せるようにした。その結果、Xstrata Copper社とAlexis Minerals社が2005年にWest Ansil鉱床を発見した。

● 採掘
 既存の坑内採掘ピットのさらに下位に存在している鉱石を見つけることも重要である。既存のインフラを使用することができるうえ、既に鉱山で雇われている地域労働者の雇用を継続できるという利点もある。カナダ政府では、過去15年間に7,500万C$を、既存の坑内採掘ピットの下位に賦存する鉱石を発見するための地質学的手法や採掘技術の開発等のプロジェクトに投資してきた。
 また、深部を採掘することにより周囲環境への影響が増してはならないので、同省の研究機関であるCANMET-MMSLでは、深部採掘のためのハイブリッド・ディーゼルエンジン、深部でのバックフィル(埋戻し)、換気設備の改善、高温下での労働者へのストレス管理,といったテーマの研究を行っている。

● 選鉱
 コスト削減及び鉱石からの金属回収率の向上。CANMET-MMSLでは、地下での予備選鉱(pre-concentration)の実施、浮遊選鉱技術の向上、ボールミルや運搬装置の電気モーターの高効率化といったテーマの研究を行っている。

● 製錬・精錬
 精鉱に含まれているインジウムやコバルトといった希少金属(minor metal)の多くは、製錬・精錬段階において回収されていないため、これらの希少金属を尾鉱として扱うのではなく、それを回収して有効利用するための金属回収技術の開発が必要である。
 また、バイオリーチングといった、より環境に優しい湿式製錬(hydrometallurgy)技術の開発も重要である。

● カナダ政府のその他の取り組み
 カナダ政府ではプロセス・スチュワードシップ実施のため、カナダ鉱業イノベーション評議会(CMIC:Canadian Mining Innovation Council)を通じて産学官連携を図り、国内における研究能力の強化に努めている。また、グリーンな鉱業イニシアティブ(GMI:Green Mining Initiative)プログラムを実施し、前述のとおり、CANMET-MMSLが生産スチュワードシップの向上につながる分野の研究を行っている。

2-3. 講演:『持続可能なEU産業政策』

(欧州委員会、Patrick O’Riordan氏)

 経済の発展には、環境的影響、社会的影響、市場競争力という3つの異なる要素のバランスを取り「正味の利益(net positive benefit)」を得ることが重要である。そのためには、政府機関が環境的及び社会的要素を考慮にいれた明確な産業政策を制定する必要がある。
 EUでは持続可能な競争力(sustainable competitiveness)を維持するための包括的な政策フレームワークである「EU2020」を策定している。「EU2020」では、1)スマートな成長(Smart Growth)、2)持続可能な成長(Sustainable Growth)、3)包括的な成長(Inclusive Growth)という3つの目標を掲げている。これらの目標を達成するための2020年までのアクションプランとして、さらに以下7つの旗艦プロジェクト(flagship initiatives)を設定している。

表1.EU2020の7つの旗艦プロジェクト(出典:欧州委員会)
スマートな成長 持続可能な成長 包括的な成長
イノベーション
「イノベーション連合」
気候、エネルギー、移動
「EUにおける資源の有効利用」
雇用とスキル
「新しいスキルと雇用の計画」
教育
「移動する若者」
競争力
「グローバル化時代における産業政策」
貧困問題
「貧困対策のプラットフォーム」
デジタル社会
「欧州のデジタル化計画」

 競争力に関するプロジェクト「グローバル化時代における産業政策(An Industrial Policy for the Globalisation Era)」では、原料から製品のリサイクルにわたるサプライチェーン全体を視野に入れ、各産業分野のニーズにあわせた実践的な行動計画を策定している。同プロジェクトの主な目標は、製造業におけるエネルギー効率及び資源の利用効率の向上、欧州におけるビジネスコストの削減、天然資源の消費削減につながる技術や生産方法の促進、より高効率なリサイクルによる資源の有効利用などである。
 また、持続可能な成長を達成するためのもう一つの旗艦プロジェクトである「EUにおける資源の有効利用(A resource-efficient Europe)」では、資源及びエネルギーの有効利用により、CO2排出といった環境への負荷を削減すると共に、市場競争力を高めることを目的としている。このプロジェクトでは、資源の利用効率を向上するための障害として、明確な政策の欠如、刺激策の欠如、情報と知識の欠如、の3つを既に特定しており、今後、これらの障害を取り除いていくための提案をしていくこととなっている。
 これらの「グローバル化時代における産業政策」と「EUにおける資源の有効利用」の2つのプロジェクトの要素を取り入れて作成されたのが「『持続可能な消費・生産』及び『持続可能な産業政策』に関するアクションプラン(Action Plan for sustainable consumption and production and sustainable industrial policy)」である。このアクションプランは欧州における持続可能な経済活動を維持することを目的とし、エコデザインの基準設定、エコラベル制度の拡大、グリーンな公共調達(green public procurement)とエコ商品に対する刺激策、小売業者との協調Retail Forumの設置)、環境産業の支援策、産業界における持続可能な活動の国際レベルでの促進、といった対策に関する各種提案から構成されている。
 以上のように欧州委員会では、明快で的確な政策を立案することで、マテリアル・スチュワードシップにおいてよりよいスチュワードとしての責任を果たせるよう取り組んでいる。

3. 産業界におけるマテリアル・スチュワードシップ

3-1. 講演:『産業界における非鉄金属スチュワードシップ』

(Stewardship Matters社、Mick Roche氏)

 Stewardship Matters社は、2010年7月にRoche氏により設立されたコンサルティング会社で、素材のライフサイクルに関与するすべての利害関係者に対して、スチュワードシップに関する助言や評価といったサービスを提供している。Roche氏は2010年6月まで、BHP Billitonでスチュワードシップを担当するGlobal Managerとして勤務しており、産業界が取り組んでいるスチュワードシップ・プログラムに精通している。Roche氏は、スチュワードシップを「人間と環境に悪影響を与えることなく、コモディティから社会が得られる利益を最大限とすること」と定義し、スチュワードシップは持続可能な開発(sustainable development)の代用ではなく、それの重要な一部であることを強調した。企業はスチュワードシップを実践することにより、投資家、規制団体、NGO団体、コミュニティ及び顧客からの評判を高め、「選ばれる会社(company of choice)」となることで持続的な成長につながると共に、バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関する条約)といった貿易障害の克服が可能になったり、会社に対する将来的な法的責任(liability)を最小限に抑えることができるとされている。つまり、スチュワードシップの実践には様々なビジネスモデルが見いだせる。
 Roche氏が関わっている産業主導のスチュワードシップ・プログラムの代表例は以下のとおり:

● The Green Lead Project
 鉛のライフサイクル全体を管理する積極的な商品スチュワードシップ・プログラムで、以下の活動により、持続可能な社会に貢献する:
 ―鉛及び鉛含有商品の環境、健康、社会への影響を特定する
 ―ライフサイクルおけるプラスの影響を強化するため、製品や生産に関する基準(Green Lead Protocols)を設定し維持する
 ―設定した基準に従っている製品及び団体を認可し監視する。

● Responsible Jewellery Council(RJC)
 2009年に活動を開始した、ダイアモンドと金のスチュワードシップを促進する国際非営利団体。現在290の企業が参加している。RJCのメンバー企業は、ダイアモンド及び金の宝飾品のサプライチェーン全体において、人権を尊重するような責任のある倫理的、社会的、環境的活動を行うことを約束している。メンバー企業に対しては、第三者の監視機関によって、RJCの行動基準に従った活動をしているかどうかの審査が行われ、基準を満たしていれば証明書が発行されるようになっている。

● Uranium Stewardship Programme
 核燃料サイクル全体の当事者が出席した第一回ウラン・スチュワードシップ作業部会が、世界原子力協会(WNA:World Nuclear Association)によって2006年9月にロンドンで開催され、ウラン・スチュワードシップを「ウラン及びその副産物が安全で、環境的、経済的、社会的に責任のある方法で管理されるための原則と慣例を、世界の産業界が厳守することを確実にするための活動プログラム」と定義した。知識やベストプラクティスの共有による継続的な改善を支援し、核燃料のライフサイクル全体における責任のある管理を促進している。
 以上のとおり、スチュワードシップの重要性はますます認識されてきており、産業界主導で様々なプログラムが発足している。人間と地球への「悪影響ゼロ(zero harm)」の概念に基づくマテリアル・スチュワードシップの考え方は、持続可能な発展を達成するための根本的要素であり、製品のライフサイクル全体の利害関係者間での共同責任であることを認識することが重要であると言える。

3-2. 講演:『製品スチュワードシップ―Rio Tintoにおける取り組み

(Rio Tinto社、Ilse Schoeters氏)

 Rio Tintoでは、製品スチュワードシップを「市場へのアクセスを維持及び強化することを目的とした、製品のライフサイクル全体を通して生じる法的、社会的、健康的、環境的リスクを理解・管理・伝達するためのプログラム」と定義した上で、製品スチュワードシップに取り組んでいる。
 まず、Rio Tintoではビジネスにおける意思決定プロセスに製品スチュワードシップを統合している。同社は「持続可能な開発分析ツール(Sustainable Development Analysis Tool)」を開発し、投資や生産プロセスにおける変更等を行う場合、環境、安全衛生、地域社会、経済にもたらす影響を分析し、会社の意思決定に反映させている。また、製品のリスク評価の際にも分析ツールを用いている。
 市場へのアクセスを維持・強化するために、同社ではREACH(化学品規制)、GHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)、IMDGコード(国際海上危険物規程)といった既存の法規制への準拠を確実に行うと共に、新しい法規制に関する情報も世界中で収集している。国際的及び地域的な法規制への適合により、市場へのアクセスを確保するよう努めている。
 また、製品が人体及び環境に与える影響に関する研究を、国際研究団体レベル及び会社レベルで支援しており、特に社内では製品特性や製品リスク評価といった研究をしている。そのほか、製品の環境負荷を分析するライフサイクル一覧表(LCI:Life Cycle Inventory)の研究や各種法規制に対する社内での実施方法の手順の作成といったことも行っている。
 サプライチェーン内の他の利害関係者との関係も、Rio Tintoにおける製品スチュワードシップ・プログラムの重要な構成要素である。同社は数々の戦略的パートナーシップを小売業者やスチュワードシップ関連団体と結んでおり、Wal-Martと提携しているLove Earth ジュエリープロジェクトがその一例である。顧客に対しては、製品のライフサイクルを通しての情報提供を行っている。
 今後、Rio Tintoでは、自社製品のリスク評価をさらに徹底して行っていくと共に、法規制への準拠に関する実施責任の所在を明らかにするための分析ツールを開発していくとしている。

4. パネルディスカッション

司   会:Bård Dagestad(ノルウェー鉱業庁)
パネリスト:John Schonenberger氏(Europe Copper Institute)
      Frank van Assche氏(国際亜鉛協会(IZA))
      David Wilson氏(国際鉛協会(ILA))
      Mark Mistry氏(ニッケル協会(NI))及び本セミナーの講演者5名

 まず、各パネリストから、所属団体の概要とマテリアル・スチュワードシップへの取り組みに関する簡単な説明があった。その後、司会者より、マテリアル・スチュワードシップの概念がどれほど社会に浸透しているか、効果的なマテリアル・スチュワードシップの実施プログラムは何であるか、産業界と政府の関係はどのように改善されるべきか、といった議題が提示され、各パネリストが意見を述べた。素材のライフサイクルに関与するすべての利害関係者が、素材の種類に関わらず情報を共有し、コミュニケーションを高めていく必要性が多くのパネリストから指摘された。
 セミナーの結論としては、マテリアル・スチュワードシップを促進するためには、政府、産業界、消費者といった素材のライフサイクルに関わる全ての利害関係者がそれぞれに責任を共有し、情報交換をしていかなければならない。これは法規制、社会、健康、環境、経済といった様々な要素が関わってくるため、大変複雑な課題である。異なる金属の関係者が合同セミナーといった場所に集い、マテリアル・スチュワードシップのそれぞれの解釈や取り組みに関する情報を交換しあうことは重要である。各国際研究会の環境経済委員会は今後も引き続き、マテリアル・スチュワードシップに関する調査を進めるとし、合同セミナーを終了した。

写真1. 国際非鉄3研究会合同セミナー:パネルディスカッション
写真1. 国際非鉄3研究会合同セミナー:パネルディスカッション

6. 2011年秋季3研究会合同セミナーについて

 次回の3研究会合同セミナーはポルトガルのリスボンにて、9月28日午後に開催される予定である。テーマは、「中国における鉛、亜鉛、銅、ニッケル市場の見通しの再評価」である。
< 2011年秋季の国際非鉄金属3研究会の日程 >

9月26日~28日午前 国際ニッケル研究会、国際銅研究会
9月28日午後 3研究会合同セミナー(テーマ:中国における鉛、亜鉛、銅、ニッケル市場の見通しの再評価)
9月29~30日 国際鉛亜鉛研究会

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