閉じる

報告書&レポート

2011年7月22日 メキシコ事務所 高木博康
2011年38号

メキシコのモリブデン生産及び輸出入の動向について

 メキシコの金属鉱物資源の生産量は近年増加傾向にあるが、なかでも2010年に生産量が世界一となった銀とともにモリブデンの生産量は大きく伸びている。モリブデンは日本にも輸出されており、メキシコからのモリブデン培焼鉱の国別輸出先で2004年から2007年まで日本が第1位となっていた。
 筆者は、2011年4月末と6月末にメキシコ・Sonora州を訪れ、モリブデンの生産や培焼に関係する企業の関係者、州政府、SGM(メキシコ鉱業センター)北西部事務所等を訪問し、モリブデンの生産や輸出入の現状及び今後の見通しについて聴取したので、ここに紹介する。

1.モリブデン生産の現状

 メキシコのモリブデン生産は古くから銅生産が盛んなSonora州において全てが行われている。かつては、Frisco社のCumobabi銅・モリブデン鉱山においてモリブデンを生産していたが、操業コストの増大、市況価格低迷等により2006年から生産を停止し、2008年に同鉱山は閉山されている。2006年以降は、メキシコのモリブデン生産のほとんどがGrupo MexicoのLa Caridad銅鉱山において、銅の副産物として生産されている。
La Caridad鉱山では西部でモリブデン品位が低いが、中央部から東部にかけて深部に至るに従いモリブデンの品位が高くなっている。2010年の鉱床中央部から東部にかけてのモリブデンの品位は0.045%となっている。La Caridad銅鉱山で生産した全鉱石中の平均品位は、2003年が銅0.42%、モリブデン0.024%であったのに対し、2010年は、銅 0.35%、モリブデン 0.031%と銅の品位が低下したのに対し、モリブデンの品位は上昇している。同鉱山の粗鉱処理量は、銅の品位が低下する中で2003年の27,327千tに対し、2010年は33,196千tと21%増加している等、増加傾向にあり、粗鉱処理量の増加にモリブデンの品位の上昇が加わりモリブデンの生産量が大幅に増加している。それに伴い、2007年以降、メキシコのモリブデン生産量も表1、図1のとおり増加している。

表1. メキシコのモリブデン生産量とLa Caridad銅鉱山におけるモリブデン生産量

モリブデン生産量 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
メキシコ計(t) 3,731 4,245 2,519 6,491 7,812 10,167 10,853
La Caridad銅鉱山(千t) N.D. N.D. 2.5 6.2 7.3 9.8 10.4

(出典)INEGI(メキシコ国家統計地理院)、Grupo Mexico社HP
(注)いずれも金属量ベース。

図1. メキシコ及びLa Caridad銅鉱山のモリブデン生産量の推移(2004年~2010年)
図1. メキシコ及びLa Caridad銅鉱山のモリブデン生産量の推移(2004年~2010年)

表2. La Caridad銅鉱山における銅及びモリブデンの生産量の推移(千t)

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
粗鉱処理量 16,872 30,920 31,179 33,099 33,196
69.3 125.0 118.9 125.7 117.7
モリブデン 2.5 6.2 7.3 9.8 10.4

(出典)Grupo Mexico社HP及び同社からのヒアリング(2010年)
(注)2006年はストライキの影響あり。

2. モリブデンの培焼の現状

 La Caridad銅鉱山の選鉱プラントにおいて分離された(銅の副産物の)モリブデン精鉱は、韓国企業に年間60~100 t売却する他は、そのほとんどをチリのMolymet社が99.999%の株式を保有するメキシコ法人Molymex社に売却されている。
 Molymet社は、メキシコ、ドイツ、ベルギー、英国に子会社を持ち、2010年には中国に50%株式保有のChinaMoly社を設立している。同グループの培焼モリブデンの世界シェアは35%とのことである。
 Molymex社は、La Calidad銅鉱山から約40 km南に培焼プラントを保有する。この培焼プラントは、1979年にFrisco社が前述のCumobabi銅・モリブデン鉱山から採掘されたモリブデン精鉱を処理するために建設したもので、1993年にMolymex社が購入した。
 Molymex社は、メキシコの培焼モリブデン生産シェアの100%を占めており、この培焼プラントでLa Caridad銅鉱山から購入したモリブデン精鉱の他、米国、カナダ等から輸入したモリブデン精鉱を培焼している。同社は、2009年に5か月間生産を止め、17千t弱の生産能力を22千t体制に拡張した。

3. モリブデン生産の今後の動向

 La Caridad銅鉱山においては今後モリブデンの品位が更に上昇し、モリブデン主体の鉱山と呼ばれるようにモリブデンの生産量が増加するものと見られている。また、Grupo Mexicoが発表した投資計画に基づき2013年からBuenavista(旧Cananea)銅鉱山で年間2,000 tのモリブデンが生産される予定となっている。更に、Creston Moly社保有の13年間の年平均モリブデン生産量が10.8千tのCrestonモリブデン・銅プロジェクトが2013年に操業開始予定であり、今後、ますますSonora州のモリブデン生産量が増加することは確実であると見られている。
 Sonora州政府は、2014年以降の生産量について表3のとおり推定している。Sonora州の予測によれば、モリブデン生産世界一のチリの現在の生産量に達する見通しである(表4.参照)。

表3. Sonora州のモリブデンの埋蔵量及び2014年以降の年間生産量予測

鉱山・プロジェクト名 2009年末
埋蔵量(千t)
2009年生産量
(t)
2014年以降年間推定生産量(t)
La Caridad鉱山
757
9,800
25,000
Buenavista鉱山
2,000
Crestonプロジェクト
152
10,800
Los Verdesプロジェクト
10
Cuatro Hermanosプロジェクト
43
合計
1,072
10,167
37,800

出典:Sonora州政府資料

表4. チリのモリブデン精鉱生産量の推移(参考)

  2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
(速報値)
モリブデン精鉱生産量(t) 43,076 44,775 33,639 34,786 37,035

出典:INE(チリ統計局)

 この他、Virgen Minerals社(加)の経済性評価段階のLos Verdes銅・モリブデンプロジェクト(概測・精測資源量8.4百万t、平均品位銅0.61%、モリブデン0.12%、銀5 g/t)、探鉱段階のCuatro Hermanos銅・モリブデンプロジェクト(概測・精測資源量206.3百万t、平均品位銅0.197%、モリブデン 0.021%)等も存在している。
 また、Sonora州以外でもGrupo MexicoがBaja California半島で開発するEl Arco多金属プロジェクトにモリブデンを含有しており、将来的にはモリブデンの生産を始める可能性がある。

4. モリブデン輸出入の現状

 モリブデン精鉱についてメキシコの輸出入の推移を表5に、チリを相手国とした輸出入の推移を図2に示す。

表5. メキシコのモリブデン精鉱の輸出入の推移について(2003~2010年)(単位:t)

2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
輸入量 10,292 14,118 12,682 19,107 12,624 9,940 6,866 11,722
  うち チリ 4,285 6,567 2,622 7,515 4,259 247 0 41
  うち 米国 3,484 5,156 9,122 10,832 7,390 7,782 5,539 9,380
  うち カナダ 2,524 2,088 937 760 974 1,207 1,327 2,302
輸出量 8 969 1,094 1,171 5,673 4,469 12,825 3,113
  うち チリ 5 134 836 943 5,186 4,361 11,360 1,630
  うち 豪州   655 258 220 223 55 100 111
輸出-輸入 -10,284 -13,149 -11,588 -17,936 -6,951 -5,471 4,494 -8,509
対チリ
輸出-輸入
-4.280 -6,453 -1,786 -6,572 927 4,114 11,360 1,589
(参考)生産量 3,524 3,731 4,245 2,519 6,491 7,812 10,167 10,853

出典:INEGI、メキシコ経済省

 モリブデン精鉱の輸入は、主として米国とカナダからで、2007年まではチリからも輸入していた。
 しかし、表5及び図2を見ると、メキシコの対チリ向けモリブデン精鉱の輸出入は、2007年から輸出超過に転じている。これは、メキシコのモリブデン精鉱の生産量が増加している一方、チリの生産量が減少傾向にあるためで、Molymex社は親会社であるチリMolymet社と契約により一定量のモリブデン精鉱をチリに輸出しているとのことである。なお、2009年には1万t以上のモリブデン精鉱を輸出しているが、前述のとおりMolymex社が生産能力拡張のために培焼プラントを5か月間停止したことに伴い、その分の精鉱をチリのMolimet社培焼プラントで処理することとしたためとのことである。
 Molimex社は、今後、メキシコのモリブデンの生産が更に増加した場合は、米国やカナダからの輸入を止め、更にチリへの輸出を増やすことで対応したいとのことである。それでも対応できない場合には、プラントの増設も考えるとのことであった。

図2. モリブデン精鉱のチリからの輸入量、チリへの輸出量、輸出量-輸入量(単位:t)
図2. モリブデン精鉱のチリからの輸入量、チリへの輸出量、輸出量-輸入量(単位:t)

表6. メキシコのモリブデンの輸出について(単位:t)

2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
モリブデン精鉱 8 969 1,094 1,171 5,673 4,469 12,825 3,113
モリブデン焙焼鉱 12,426  14,953 15,803 16,980 16,267 16,852 10,491 20,165
  うち 日本 2,086 5,120 5,780 6,472 5,405 3,392 987 2,235
  うち 米国 3,190 3,059 5,063 5,348 5,137 5,032 2,933 7,141
  うち オランダ 880 2,680 1,587 2,916 1,932 3,053 2,492 5,999
  うち スペイン 279 1,799 1,265 575 645 254 101  
  うちフィンランド 240 240 780 1,396 1,386 1,606 594  
  うち 英国 25 740 168   118 1,078 60 396
  うち チリ 5,725 335       776   265
  うち 中国           290 2,920 3,140
三酸化モリブデン 217 238 197 18 106 60 375  
(参考)三酸化モリブデンの輸入 200 3 19 275 44 99 84  
フェロモリブデン 50 1 3 0 22 0 43 3

出典:INEGI、メキシコ経済省

 メキシコにおいては、三酸化モリブデンやフェロモリブデンの輸出はほとんどなく、精鉱以外では大部分がモリブデン焙焼鉱の形で輸出されている。
 モリブデン焙焼鉱は日本にも輸出されており、2004年から2007年にかけては輸出先国別で第1位となっている。2007年までは三酸化モリブデンの中国への輸出はなかったが、2009年に米国に次ぐ僅差の第2位の輸出相手国となり、2010年はオランダに再び抜かれ第3位になったものの、輸出量は更に増えている。

図3. モリブデン焙焼鉱メキシコからの相手国別輸出量の推移(単位:t)
図3. モリブデン焙焼鉱メキシコからの相手国別輸出量の推移(単位:t)

図4. モリブデン精鉱とモリブデン焙焼鉱の輸出量の推移(単位:t)
図4. モリブデン精鉱とモリブデン焙焼鉱の輸出量の推移(単位:t)

 2009年は、モリブデン精鉱の輸出が大きく伸びる一方、モリブデン焙焼鉱の輸出が大きく減っているが、これは前述のとおり2009年にMolymex社が生産能力を拡大するため培焼プラントを5か月間停止させ、その分の精鉱を同社のチリのプラントに送ったためとのことである。

5.日本のモリブデン焙焼鉱の輸入

 日本のモリブデンの輸入相手国として、メキシコは2002年から2007年までチリに次ぐ第2位であったが、2008年に米国に、2009年にカナダに抜かれ第4位となっている。

表7. 日本のモリブデン焙焼鉱の輸入量とメキシコ、チリの内訳(単位:t)

  メキシコ チリ 世界計
輸入量 シェア
(%)
順位 輸入量 シェア
(%)
順位 輸入量
2001年 4,351 13.7 3 11,872 37.5 1 31,687
2002年 4,600 15.3 2 13,259 44.0 1 30,140
2003年 6,221 19.0 2 12,509 38.2 1 32,727
2004年 4,951 14.0 2 19,774 55.8 1 35,462
2005年 5,956 14.8 2 21,530 53.4 1 40,289
2006年 6,550 17.0 2 20,557 53.3 1 38,543
2007年 5,848 15.3 2 21,334 55.8 1 38,226
2008年 4,816 12.8 3 18,671 49.7 1 37,546
2009年 1,576 7.1 4 12,722 57.5 1 22,141
2010年 2,290 6.7 4 19,312 56.3 1 34,273

(出典:JETRO貿易統計データベース)

図5. 日本のモリブデン焙焼鉱の輸入量の推移(単位:t)
図5. 日本のモリブデン焙焼鉱の輸入量の推移(単位:t)

(参考)モリブデン生産者からのヒアリング結果

(1) La Caridad銅鉱山(2011年6月、Minera Mexico社Chavira Quintanaオペレーション部長)
 La Caridad銅鉱山は、大規模なポーフィリーカッパー鉱床であるが、モリブデンは銅に比べ鉱物生成温度が高いため、モリブデン鉱物が沈殿する時期及び場所が銅鉱物とは異なり結果として(鉱床の中において)モリブデンの品位が高い部分が存在する。同鉱山では西部ではモリブデンの品位が低いが、中央部から東部にかけて深部に至るに従い、モリブデンの品位が高くなる。2010年の中央部から東部にかけてのモリブデンの品位は0.045%となっている。La Caridad銅鉱山で生産した鉱石中の品位は、2003年が銅0.42%、モリブデン0.024%であったのに対し、2010年は、銅 0.35%、モリブデン 0.031%と銅の品位が低下したのに対し、モリブデンの品位は上昇している。
 鉱山のマインライフは約50年であるが、SX-EW用の鉱石の比率が高くなっており、選鉱プラント用の高品位硫化鉱が不足してきているため、同鉱山から約10 km離れたPilares銅プロジェクトの開発を急いでいる。
 鉱山は標高1,750 m~900 mの間に所在する。標高900 m以下についても鉱化作用は捕捉されているが、経済性評価は行われていない。
 浮遊選鉱によりモリブデンを取り出した後、そこに含まれる黄鉄鉱を除去し、乾燥させて、製品となる。モリブデン精鉱の平均品位は54%前後である。これを58%まで上げることはできるが、回収率が低下するため54%の精鉱生産を維持している。

(2) Buenavista銅鉱山(2011年4月、Isaac Arzola同鉱山所長代理)
 Buenavista(旧Cananea)鉱山では、2010年6月に警察による労組員の排除によりストライキが解決し(2010年11月18日付けカレント・トピックス10-56号参照)、2010年9月に警察に守られながらSX-EWによる生産が再開していた。
 同鉱山は、武装した連邦警察官が多数警備に当たった中、4月末に100%の操業を達成する予定であったが、2年半以上放置していたクラッシャー、ミル等の機械設備の故障が頻発するため、未だフル操業の達成に至って無かった。2011年5月現在、同鉱山は、産銅量180千t/年の90%能力を達成していた。12時間勤務2交代制を取っていたが、フル操業達成後は3交代制とする予定とのことであった。なお、労働者は100%請負会社の契約社員となっていた。
 モリブデン選鉱プラントについては、2011年中に詳細エンジニアリング研究を終了させ、2012年に現在の銅の選鉱プラントの隣に建設着工する。鉱山開発全体でのモリブデンの平均品位は、0.012%となっているが、鉱床の深部ほどモリブデン品位は高く、2011年現在の稼行モリブデン品位は0.015~0.016%となっている。

(3) Exploraciones Global社(Creston Moly(加)子会社)(2011年4月、Francisco Navarro社長他)
 Crestonモリブデン・銅プロジェクトは、Hermosillo市北東約145 km.に位置する。モリブデン、銅の露天掘鉱床で、Creston主要鉱床、Red Hill鉱床(主要鉱床南300 m.)及びAlejandro鉱床(主要鉱床北西1.5 km.)からなる。Molymex社製錬所から道路沿いに105 km、高圧送電線ラインまで42 km、Ferromex鉄道まで数10 km等、鉱山インフラの面で優位な場所に存在している。
 Creston主要鉱床及びRed Hill鉱床(深部除外)を対象に2010年12月に公表されたプレFS及び予備経済評価は、概要以下のとおり(金属価格:モリブデン 15 US$/lb及び銅 2.60 US$/lb)。
 ・概測・精測資源量215.4百万t、平均品位 モリブデン 0.071%及び銅 0.06% (含有量:モリブデン 152千t)

・粗鉱処理量50千t/日によるマインライフ13年間の年平均精鉱生産量 モリブデン 10.8千t及び銅 13.4千t(銅については7年間の生産のみ)

 ・8%割引税引き後現在正味価値(NPV):561.9百万US$
 ・税引き後内部収益率(IRR):22.3%
 ・初期開発コスト:655.9百万US$
 ・同回収期間:4年

 今後の開発計画として2011年半ばにFSを終了、2012年Q2に開発工事に着手し、2013年Q4に操業開始する予定となっている。
 同社は、FSにおいてモリブデン精鉱を処理するためのプラント建設についても検討するとのことである。現在のMolymex社の焙焼プラントでは、その能力を倍増しない限り、対応が困難であり、同社にその意思が無い場合には自らプラントを建設することが必要となるとのことである。
 なお、日本企業による投資については、親会社であるCreston Moly社(本社:加・Vancouver)に相談して欲しいとのことである。

(4) Molymex社(2011年6月、Adrian Gracia生産部長他)
 チリMolymet社はメキシコ、ドイツ、ベルギー、英国に子会社を持ち、2010年には中国に50%の株式保有のChinaMoly社を設立している。同グループの培焼モリブデンの世界シェアは35%とのことである。
 Molymex社は、La Calidad銅鉱山から約40 km南に培焼プラントを有する。この培焼プラントは、1979年にFrisco社が前述のCumobabi銅・モリブデン鉱山から採掘されたモリブデン精鉱を処理するために建設したもので、1993年にMolymex社が購入した。
 Molymex社は、メキシコの培焼モリブデン生産のシェア100%でを占め、この培焼プラントでLa Caridad銅鉱山から購入したモリブデン精鉱の他、米国、カナダ等から輸入したモリブデン精鉱を培焼している。なお、メキシコの製鉄会社も米国、カナダ等からモリブデン精鉱を購入しており、メキシコの全輸入をMolymexが行っているわけではない。
 プラントにおいては、炉においてMoS2に熱を加えながら酸素と反応させることでMoO3とし、更に粉を細かくしてドラム缶や袋に詰める。なお、その際にSO2が発生するので、化学処理し、液体(硫酸:H2SO4)としている。
 輸出については、最近中国向けが増加している。日本向けの輸出は製鉄会社向けのものであるが、最近減少傾向にある。

当方質問:2009年にメキシコは米国やカナダからモリブデン精鉱を輸入しているにもかかわらず、チリに1万t以上のモリブデン精鉱を輸出しているのは何故か。
回答:2009年に17千t弱の生産能力を22千t体制に拡大するため、5か月間プラントを停止した。このため、チリのMolymet社のプラントで処理することとなり、チリに1万t以上のモリブデン精鉱を輸出することとなった。

当方質問:今後メキシコのモリブデン生産は増加が予想されているが、それに対し如何に対応するのか。
回答:まずは米国やカナダからの輸入をやめるとともに、チリのMolymet社のプラントで処理する。それでも対応が困難な場合には更にプラントを増設する可能性もある。

当方質問:近年ジェットエンジン向けの需要が増加しているレニウム(Re)は含まれていないか。
回答:Molymet社はチリのモリブデン精鉱からはReを回収しているが、メキシコのモリブデン精鉱はReの品位が低く、回収していない。

おわりに

 メキシコのモリブデン生産量は、近年増加傾向にあるが、関係者は一同に今後更に増加するとの見通しを持っており、なかでもSonora州政府は、メキシコ(Sonora州)のモリブデン生産量が現在世界一のチリの生産量の水準に達すると予測している。これは、世界のモリブデン需給に影響するほどの増加であり、今後の生産状況やプロジェクトの進展が注目される。
 培焼モリブデンの日本への輸出は近年減少傾向にある一方、中国への輸出が急増している。2010年4月22日付けカレント・トピックス10-18号「2009年チリの銅・モリブデン生産及び輸出入動向について(その2)」によれば、世界一のモリブデン生産量のチリにおいても同様に中国への輸出が急増しているのに加え、Molymet社が中国での関係強化を図っている。
 メキシコでは近年鉱物資源の生産量が増加傾向にあり、銅やアンチモン等、今後生産の増加が予想される鉱物資源が複数存在する。メキシコ事務所では、今後も世界の需給関係に影響を与えるような動きを報告していきたい。また、中国との関係等についても注視していきたい。

ページトップへ