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報告書&レポート

2013年5月2日 ボツワナ・地質リモートセンシングセンター
2013年24号

セミナー報告 JOGMECコンゴ民リモートセンシングセミナー

 JOGMECは、2013年3月12日、経済産業省、在コンゴ民主共和国日本大使館、コンゴ民主共和国(以下、DRコンゴ)鉱山省の協力のもと、リモートセンシング技術と製錬技術に関するセミナーをコンゴ民の首都キンシャサ市内で開催した。

 本稿では、そのセミナーの概要を報告する。

はじめに

 リモートセンシング/製錬技術に関するセミナー(以下、セミナー)は、3月12日、キンシャサ市内Sultani Hotel大会議場において、冨永純正在コンゴ民日本大使、安永裕幸経済産業省資源エネルギー庁鉱物資源課長、Martin KABWELULU DRコンゴ鉱山大臣ほか鉱山省幹部、ボツワナ・地質リモートセンシングセンター(以下、リモセンセンター)所長ら約80名が参加して開催された。

1.経緯

 JOGMECは、2012年2月3日付けにて、コンゴ民鉱山省と資源分野における協力を内容とする覚書(Memorandum of Understanding;MOU)に署名しており、今回のセミナーは、このMOUで合意された内容を具体化するものとなった。また、JOGMECとDRコンゴ鉱山省は、このMOUの中で同国の地質技術者に対するリモートセンシング及びGISの技術移転についても合意している。

写真1.講演会場

写真1.講演会場
写真2.セミナー聴衆

写真2.セミナー聴衆


2.セミナー内容 -挨拶-

(1) 久保田博志 JOGMECボツワナ・リモセンセンター所長

 JOGMECとDRコンゴ鉱山省とは、2012年に覚書(MOU)署名ほか書類手続きが完了している。今回のセミナーはこのMOUの最初の具体的な協力事業であり、これを機会に両国の関係がより強いものになることを期待している。この記念すべき両国協力の第一歩に多くの参加者が立ち会って頂き大変感謝している。

(2) Martin KABUWELULU コンゴ民鉱山大臣

 DRコンゴは、カビラ大統領の下、2030年を目途に、国の発展のため努力しているところであり、自国の資源はそのために大変重要である。資源を開発するためには地質を把握することが極めて重要であると考えている。

 今年(2013年)1月30日、31日にルブンバシで行われた、鉱物資源の良好な管理と透明性をテーマとした国際会議において、カビラ大統領は国立地質調査所設置の重要性に言及した。鉱山省は大統領の指示を具体化するために日本との協力に大いに期待している。

 日本とDRコンゴの鉱業分野における協力は、昨年、DRコンゴが地質分野で培ってきた知識と日本のリモートセンシング技術とを併せて共同で鉱物資源調査を行うための基本合意書(MOU)がJOGMECと鉱山省との間で署名されているが、古くは1969年のSODIMICO(コンゴ工業・鉱山開発公社)の設立にさかのぼる。SODIMICOは、GECAMINESと並んで長年にわたって銅生産の重要な役割を担っていた。

 リモートセンシング等の技術は、データ解析、有望地域の抽出に役立つと期待している。この機会を活用し、DRコンゴの技術者が自分たちの技術をさらに高めるものと確信している。

 基本合意書(MOU)では、「①リモートセンシング、GIS技術と現地調査による地質データの蓄積・活用、②日本が持つ技術のDRコンゴへの移転、③地質・鉱業資源開発・採掘分野におけるDRコンゴ技術者の能力向上」を目的としており、これらの目的に鑑みて、本セミナーは、DRコンゴ政府、特に鉱山省にとって、鉱物資源に付加価値を生み出すための能力向上に、また、近い将来予定されている国立地質調査所の設立にとっても有意義な機会となると思う。

(3) 富永純正 在DRコンゴ日本大使

 本セミナーは、DRコンゴ鉱山省とJOGMECとの間で、昨年署名された鉱物資源分野における協力に関する基本合意書(MOU)に基づいて実施されるものである。

 鉱物資源は、一国の経済成長にとって富であり、原動力でもある。DRコンゴの鉱物資源は、探鉱や開発が十分ではなく、いまだに膨大な鉱物資源が埋蔵している可能性があり、国の発展に大きな価値を持つものと思われる。

 リモートセンシングや製錬に関するJOGMECの技術的支援により、DRコンゴが日本の最先端技術や経験の恩恵を受け、そのことが鉱物資源開発能力の向上、将来的な成長に寄与するものであり、今回のセミナーが、アフリカの鉱物資源開発に関する日本の技術と政策について、より理解を深める機会となることを期待している。

久保田リモセンセンター所長
久保田リモセンセンター所長
Kabwelulu鉱山大臣
Kabwelulu鉱山大臣
冨永在DRコンゴ大使
冨永在DRコンゴ大使
Kapata鉱山省調整官
Kapata鉱山省調整官
Mulwaka経済産業省調査員
Mulwaka経済産業省調査員
 
写真3.開会の挨拶

3.セミナー内容 -講演-

 セミナーは、午前はリモートセンシングとGIS等の探査技術を、午後は製錬技術をテーマとして日本、DRコンゴ双方が講演を行った。講演の主な内容は以下のとおり。

(1) JOGMECボツワナ・地質リモートセンシングセンター事業紹介

久保田博志 リモセンセンター所長

 本事業が、経済発展に投資と技術的支援を必要とする南部アフリカ諸国と、先端産業が必要とするレアメタル等の鉱物資源の確保/供給国の多角化を進める日本との互恵関係構築を基本としていることを説明し、リモセンセンターの活動、衛星画像解析と現地調査の様子が紹介された。

(2) DRコンゴの鉱物資源探査の状況

Mr.Jean Felix MUPANDE, Ministry of Mines of Democratic Republic of Congo

 地質年代毎/地質毎の鉱床分布状況の説明に続いて、探査権数の推移が示された。特に、2006年ころから探査権数が飛躍的に増加していること、探査活動が活発化していることが示された。また、政府として鉱業投資促進のためには、地質情報整備が重要であること、そのための地質図の整備事業の予算について紹介された。

(3) リモートセンシング/GIS技術と鉱物資源分野への応用

久保田博志 リモセンセンター所長

 衛星画像解析の基礎、特にASTERを中心に光学センサーによる変質鉱物/変質帯の特定方法について説明し、鉱物資源分野への応用事例として、斑岩銅鉱床の衛星画像解析例(比演算等による変質帯の特定)、構造規制型鉱床の例(リニアメント解析)、正マグマ性鉱床の例(DEM斜度解析)等を示された。また、GIS(地理情報システム)については、応用例として、鉱物資源ポテンシャルマップの作成方法が紹介された。

(4) 日本のアフリカ資源開発促進政策

安永裕幸 経済産業省資源エネルギー庁鉱物資源課長

 世界の鉱物資源需要と日本の鉱物資源供給状況、日本企業が参画している海外鉱山プロジェクトの状況についての説明に続いて、日本政府のJOGMECを通じたアフリカ資源開発促進政策、リモセンセンター事業が紹介された。

(5) DRコンゴにおける製錬技術の現状

Mr. Kasanda NGOY, Secretary General, Ministry of Mines of Democratic Republic of Congo

 DRコンゴ国内の製錬プロセスが紹介された。特に、銅、錫の製錬プロセスが処理フロー図と共に説明された。また、コバルト資源について、埋蔵量、生産量、消費量等を世界各国との比較に基づいて説明された。

(6) 日本の製錬技術

阿部幸紀 JOGMEC金属資源技術部特命調査役

 乾式製錬技術を中心に、製錬の各プロセスについてその処理方法とその物理化学的な原理が詳細に説明された。また、銅、鉛、亜鉛等の各製錬における不純物とのその除去方法、目的とする金属と副産物の量比など定量的な話題も交え、実際の製錬現場での課題等も紹介された。

JOGMECリモセンセンター久保田所長
JOGMECリモセンセンター
久保田所長
DRコンゴ鉱山省Mr. Jean Felix MUPANDE
DRコンゴ鉱山省
Mr. Jean Felix MUPANDE
経済産業省安永鉱物資源課長
経済産業省
安永鉱物資源課長
DRコンゴ鉱山省Mr. Kasanda NGOY
DRコンゴ鉱山省
Mr. Kasanda NGOY
JOGMEC阿部特命調査役
JOGMEC
阿部特命調査役
質疑応答
質疑応答
写真4.DRコンゴセミナー講演者

4.質疑応答

 リモートセンシングに関しては、リモートセンシングと航空写真の違い、衛星画像の解析コスト、ハイパースペクトルの利用分野などの技術的な質問のほか、DRコンゴ国内の大学との連携の可能性などの質問があった。

 製錬技術に関しては、銅硫化鉱石への湿式製錬適用の可能性、日本企業からDRコンゴへの鉱業投資が進まないのはなぜかなどの質問があった。

おわりに

 今回のセミナーは、予定時間を大きく上回り、午前10時から途中、昼食をはさんで、午後5時30分までの長時間にわたるものとなったが、参加者は最後まで熱心に講演を聞いていただけでなく、質疑応答では、多数の質問が出されるなど、同国のリモートセンシングや製錬技術への関心の高さがうかがえた。

 このように熱心なDRコンゴとは、今後、鉱物資源分野における関係強化が加速されることが期待される。

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