閉じる

報告書&レポート

2013年6月27日 シドニー事務所 伊藤浩
2013年38号

豪州連邦政府・資源エネルギー経済局(BREE)発表の「Resources and Energy Major Projects, April 2013」の概要

 2013年5月22日、豪州連邦政府・資源エネルギー経済局(BREE)は「Resources and Energy Major Projects, April 2013」を発表した。BREEは同発表資料において、資源・エネルギー分野のプロジェクト件数及び投資額、探鉱投資額等を報告するとともに、将来のプロジェクト投資額を予測している。

 本稿では、当該発表資料「Resources and Energy Major Projects, April 2013」の概要を報告する。

 なお、当該発表資料についてはBREEのWebサイトhttp://www.bree.gov.au/publications/remp.htmlを参照願いたい。

1.はじめに

 5月22日発表のBREE資料によれば、2013年4月末時点で民間企業による最終投資判断(FID:Final Investment Decision)が行われている資源・エネルギー分野のプロジェクト(建設中のプロジェクトを含む)は73件、総投資額は2,676億A$であった。件数は2012年10月末時点の87件を下回ったものの、総投資額は2012年10月末時点の総投資額とほぼ同等(0.3%減)であった。BREEは総投資額2,676億A$のうち285億A$(約11%)がFID後のコスト増加によるものであると推計している。

 探鉱投資額に関しては、2012年(1月~12月)のGreenfieldの探鉱投資総額は12億A$、Brownfieldの探鉱投資総額は25億A$であり、両者とも2011年と同額であった。

 また、BREEは今般の発表において初めて、資源・エネルギー分野のプロジェクトの将来投資額予測を行っており、「実現見込みの高いシナリオ(Likely Scenario)」では、2012年が投資額のピークとなると予測している。

2.資源・エネルギー分野の主要プロジェクト件数及び投資額

2-1.プロジェクトの分類
 BREEは資源・エネルギープロジェクトを次の4つ:(1)Publicly Announced Stage、(2)Feasibility Stage、(3)Committed Stage、(4)Completed Stageに分類している。このうち、(1)Publicly Announced Stageプロジェクトとは初期段階のプロジェクトであり、プロジェクト名が公表されており初期のFeasibility Studyが行われている段階のプロジェクトである。(2)Feasibility Stageプロジェクトとは初期のFeasibility Studyが完了しているプロジェクトである。(1)及び (2)のプロジェクトともFIDが行われる前の段階のプロジェクトである。(3)Committed Stageプロジェクトとは、2013年4月末時点で、民間企業によるFIDが行われているプロジェクトであり建設中のプロジェクトも含まれる。 (4)Completed Stageプロジェクトとは対象期間(2012年11月~2013年4月)に建設工事が完了したプロジェクトである。

 【BREEによるプロジェクトの4分類】
   (1) Publicly Announced Stage (プロジェクト公表済み。初期FS未完了)
   (2) Feasibility Stage       (初期FS完了済み)
   (3) Committed Stage       (FID実施済み。建設中を含む)
   (4) Completed Stage       (建設工事完了)

 例えば、(3)のCommitted Stageプロジェクトが対象期間中に工事を完了すれば、当該プロジェクトは、 (4)Completed Stageプロジェクトに移行したと判断され、当該プロジェクトの投資額はCompleted Stageプロジェクトの総投資額に反映される。(1)Publicly Announced Stageプロジェクトから(2)Feasibility Stageプロジェクトへの移行、(2)Feasibility Stageプロジェクトから(3)Committed Stageプロジェクトへの移行も同様である。
 
2-2.プロジェクト件数及び投資額
 2013年4月末時点でPublicly Announced Stage プロジェクトは113件、総投資額1,214億A$~1,709億A$、Feasibility Stage プロジェクトは174件、総投資額2,325億A$、Committed Stageプロジェクトは73件、総投資額2,676億A$、対象期間(2012年11月~2013年4月)中に建設工事が完了したCompleted Stageプロジェクトは21件、総投資額は153億A$である(表1参照)。

表1.2013年4月末時点での各ステージのプロジェクト件数及び総投資額

(億A$)

  Publicly Announced Feasibility Stage Committed Completed

投資額
投資額
投資額
投資額
LNG, Gas, Petroleum 12 253.0-280.5 11 722.0 18 2,049.1 1 17.0
Coal 19 243.4-280.9 57 567.0 16 141.9 1 1.7
Infrastructure 13 187.5-312.5 20 316.7 15 210.7 4 34.6
Aluminium, Bauxite 4 25.0-45.0            
Alumina     3 37.8        
Copper 6 75.0-92.5 9 30.9 2 3.4 1 3.0
Gold 12 17.8-22.8 12 16.2 6 14.2 6 23.0
Iron ore 19 354.0-556.5 21 465.4 8 220.2 5 48.7
Lead, Zinc, Silver 4 1.4-6.4 2 4.2 4 19.3 1 3.1
Nickel 5 25.0-50.0 7 54.9        
Uranium 15 21.7-41.7 5 21.0 1 1.0    
Other Commodities 4 10.0-20.0 27 88.8 3 16.0 2 22.4
113 1,213.7-1,708.7 174 2,324.9 73 2,675.8 21 153.4

(BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」中の表をもとに作成)

 Committed Stageプロジェクト総投資額は、前期の総投資額(2012年5月から2012年10月までの間のCommitted Stageプロジェクト総投資額)2,684億A$(注1)から0.3%減少した。また、昨年同期の総投資額(2011年11月から2012年4月までの間のプロジェクト総投資額)2,600億A$(注2)から3%増加した。

 他方、BREEは資源・エネルギー分野において過去1年間に事業計画の変更、延期あるいは中止となったプロジェクトは18件であり、これらプロジェクトの総投資額は1,488億A$と推計している(表2参照)。

表2.過去1年に計画変更、遅延及び中止がなされたプロジェクト

(億A$)

プロジェクト名 企業名 投資額
Browse LNG Woodside 360
Outer Harbour BHP Billiton 300
Olympic Dam Expansion BHP Billiton 200
Sunrise LNG Woodside 120
Abbot Point T4-9 NQBP and partners 110
West Pilbara Iron Ore Aquila Resources 74
Wandoan Coal mine Xstrata 60
Kooragang Island Coal Terminal 4 PWCS 50
Anketell Point Port Fortescue / Aquila 40
Cape Lambert Magnetite project MCC Mining 37
Southdown Magnetite Project Grange Resources 29
Yarwun Coal Terminal Metro Coal 22
Mount Pleasant Coal mine Rio Tinto 20
Weld Range Iron ore project Sinosteel Midwest 20
Balaclava Island coal terminal Xstrata 15
Fishreman’s Landing LNG LNG Limited 11
Surat Basin Rail Aurizon / Xstrata 10
Wilkie Creek coal mine Peabody Energy 10
計(18件)   1,488

(BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」中の表をもとに作成)

 注1:BREEが2012年11月に発表した「Resources and Energy Major Projects, October 2012」において、2012年5月から2012年10月までの間のCommitted Stageプロジェクトの総投資額は過去最高の2,684億A$であったと報告されている。同発表資料において当該投資額は米国がアポロ計画に投じた金額の現在価値よりも高額であったと説明されている。

 注2:BREEが2012年5月に発表した「Mining Industry Major Projects, April 2012」においては、資源・エネルギープロジェクトを現在の4分類ではなく、Advancedプロジェクト(企業が最終投資判断を行ったプロジェクトまたは現在建設中のプロジェクト)とLess advancedプロジェクト(プレFSあるいはFS実施中のプロジェクト及び企業による最終投資判断前のプロジェクト等)の2分類としている。同発表資料では、2011年11月から2012年4月までの間のAdvancedプロジェクトの総投資額は2,600億A$と報告されている。当該総投資額は現在のBERRの分類(3) Committed Stageのプロジェクト総投資額と同様の意味を有する。

3.主要な資源・エネルギープロジェクト

3-1.Publicly Announced Stageプロジェクト
 2013年4月末時点でPublicly Announced Stage プロジェクトは113件、総投資額は1,214億A$~1,709億A$である(表1参照)。

3-2.Feasibility Stageプロジェクト
 2013年4月末時点でFeasibility Stage プロジェクトは174件、総投資額は2,325億A$である(表1参照)。Feasibility Stageプロジェクトの件数等の推移を図1に示す。

図1.Feasibility Stageプロジェクトの件数等の推移

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図1.Feasibility Stageプロジェクトの件数等の推移

3-3.Committed Stageプロジェクト
 2013年4月末時点でCommitted Stageプロジェクトは73件、総投資額は2,676億A$であり、2012年10月時点でのCommitted Stage プロジェクトの総投資額2,684億A$を若干下回った。鉱種別では、金属鉱山プロジェクト24件、投資額274億A$(うち鉄鉱石プロジェクト8件、220億A$、非鉄金属プロジェクト16件、54億A$)、石炭鉱山プロジェクト16件、同142億A$、LNG・石油プロジェクト18件、同2,049億A$、インフラ関連プロジェクト15件、同211億A$である(表1参照)。

 Committed Stage プロジェクトの件数及び総投資額の推移を図2に、主要鉱種別投資額を図3に示す。

図2.Committed Stage プロジェクトの件数及び総投資額の推移

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図2.Committed Stage プロジェクトの件数及び総投資額の推移

図3.Committed Stage プロジェクトの投資額(主要鉱種別)

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図3.Committed Stage プロジェクトの投資額(主要鉱種別)

 また、2012年11月から2013年4月までの間にFeasibility StageからCommitted Stageに移行したプロジェクトは9件、投資額で32.8億A$である(表3参照)。

表3.Feasibility StageからCommitted Stageに移行したプロジェクト(2012年11月~2013年4月)

(億A$)

プロジェクト名 企業名 投資額
Charters Towers Citigold QLD 2.46
Dargues Reef (Majors Creek) Unity Mining NSW 0.80
Dugald River MMG QLD 14.56
Hera YTC Resources NSW 0.74
Lady Loretta Expansion Xstrata QLD 0.59
Longford Gas Conditioning Plant BHP Billiton / ExxonMobil VIC 10.00
Port of Townsville Upgrade- Berth 8 Port of Townsville Limited/ Xstrata QLD 0.70
Roper Bar Western Desert Resources NT 1.80
Tomingley (Wyoming) gold project Alkane Exploration NSW 1.16
    32.81

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

 金属鉱山プロジェクトのうち、鉄鉱石鉱山におけるCommitted Stageプロジェクトの投資額は2012年10月末時点から42億A$減少した。これは2012年11月以降Feasibility StageからCommitted Stageに移行したプロジェクトが1件であり、Committed Stage からCompleted Stageに移行したプロジェクトが5件であったことによる。

 石炭鉱山におけるCommitted Stageプロジェクトの投資額は2012年10月末時点から1.7億A$減少した。これは、2012年11月以降Feasibility StageからCommitted Stageに移行したプロジェクトが無く、Committed Stage からCompleted Stageに移行したプロジェクトが1件であったことによる。

 一方、BREEはCommitted Stageプロジェクトのコスト増加に関する分析を行っている。2013年4月末時点のCommitted Stageプロジェクト件数は前述のとおり73件であり、2012年10月時点の同プロジェクト件数87件より14件少ない。しかしながら、総投資額には大きな差はなく、その理由はFID実施後のプロジェクトコストの上昇が原因であると分析している。BREEはプロジェクトコストの増加額は投資額で約290億A$、増加率は約11%と推計している。鉱種別のコスト増加額は表4のとおりである。

表4.Committed Stageプロジェクトのコスト増加額

(億A$)

LNG,OIL and Petroleum 200.19
Coal 11.56
Infrastructure 17.56
Iron Ore 54.88
Other 0.95
285.14

(BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」中の表をもとに作成)

 他方、過去10年間(2003年~2012年)で、Feasibility StageからCommitted Stageに移行した資源・エネルギー分野のプロジェクトは390件、累積投資額は3,940億A$である。うち2,680億A$分のプロジェクトは建設中である。2003年から2012年までのCommitted Stageプロジェクトの累積投資額の推移を図4に示す。図中、青色のMegaプロジェクトとは、投資額50億A$を超えるプロジェクトであり、13件のプロジェクトが存在し、累積投資額の59%(2,320億A$)を占めている。オレンジ色のLargeプロジェクトとは投資額10億A$以上50億A$以下のプロジェクトであり、48件のプロジェクトが存在し、累積投資額の24%(930億A$)を占めている。10億A$未満のプロジェクト(赤色)は332件であり過去10年間の累積投資額の17%を占めている。

図4.2003年から2012年までのCommitted Stageプロジェクトの累積投資額推移

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図4.2003年から2012年までのCommitted Stageプロジェクトの累積投資額推移

 Committed Stage プロジェクトの位置を図5に示す。

図5.Committed Stage プロジェクトの位置

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図5.Committed Stage プロジェクトの位置

3-4.Completed Stageプロジェクト
 2012年11月~2013年4月の間に建設工事が完了したCompleted Stageプロジェクトは21件、総投資額は153億A$である(表5参照)。総投資額はBREEが半年前に発表した2012年5月から10月までの期間に建設を完了したプロジェクトの総投資額119億A$を上回った。Completed Stageプロジェクトの総投資額の推移を図6に示す。

表5.Completed Stageプロジェクト
(2012年11月から2013年4月までの間に建設工事が完了したプロジェクト)

(億A$)

プロジェクト名 企業名 投資額
Ammonium nitrate emulsion plant Incitec Pivot WA 0.4
Argyle underground Rio Tinto WA 22.0
Blackwater System Power upgrade Aurizon QLD 1.95
Cadia East Newcrest NSW 19.0
Carosue Dam (Red October) Saracen Minerals WA 0.4
Chichester Hub Fortescue Metals G WA 9.6
Cloncurry Copper project Xstrata QLD 3.0
Ensham Ensham Resources QLD 1.66
George Fisher Xstrata QLD 3.1
Hamersley Iron Brockman 4 project (ST2) Rio Tinto WA 10.7
Hope Downs 4 Rio Tinto WA 20.4
Kal North (Lindsay’s) Kal North WA 0.7
Kipper Gas Project (ST1) Esso / BHP Billiton / Santos VIC 17.0
Kooragang Island project 145 Port Waratah Coal Services NSW 2.27
Meekatharra Gold Project Reed Resources WA 0.36
Mt Carlton (Silver Hill) Evolution Mining QLD 1.8
Murchison Silver Lake WA 0.7
NCIG export terminal (ST2) NCLG NSW 9.0
Orebody 24 BHP Billiton WA 8.0
WAIO Inner Harbour BHP Billiton WA 21.4
Western Turner Syncline Ⅱ Rio Tinto WA N/A
    153.4

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図6.Completed Stageプロジェクトの総投資額の推移

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図6.Completed Stageプロジェクトの総投資額の推移

4.探鉱投資額

4.1. Greenfield及びBrownfieldの探鉱投資額
 Q2(2012年10月~12月)のGreenfieldの探鉱投資額は2.64億A$であり、Q1(2012年7月~9月)の16%減、前年度Q4(2012年4月~6月)の27%減となった。2012年(1月~12月)のGreenfieldの探鉱投資総額は12億A$であり2011年と同額であった。一方、Q2のBrownfieldの探鉱投資額は5.61億A$であり、Q1の8%減となった。2012年(1月~12月)のBrownfieldの探鉱投資総額は25億A$であり2011年と同額であった。Greenfieldの探鉱投資額及びBrownfieldの探鉱投資額の推移を図7に示す。

図7.探鉱投資額の推移 5.将来予測

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図7.探鉱投資額の推移 5.将来予測

5.将来予測

5-1.Likely Scenario(実現見込みの高いシナリオ)
 Committed Stage プロジェクトの総投資額は2012年に2,684億A$でピークとなる。その後、2013年末時点で2,560億A$に減少し、2014年は2,480億A$(前年から80億A$減少)となり、2015年は1,850億A$(前年から更に630億A$減少)となる。2017年には2007年レベルの投資額となる700億A$に減少し、2018年には250億A$となる(図8参照)。

図8.Likely シナリオにおける将来の投資総額の推移

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図8.Likely シナリオにおける将来の投資総額の推移

5-2.Possible Scenario(起こりえるシナリオ)
 2013年のCommitted Stage プロジェクトの総投資額は2012年とほぼ同額であり、総投資額は2014年に3,100億A$でピークとなる。その後、投資額は減少に転じ2017年は1,950億となり、2018年には1,380億A$となる(図9参照)。

図9.Possibleシナリオにおける将来の投資総額の推移

(出典: BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」)

図9.Possibleシナリオにおける将来の投資総額の推移

6.おわりに

 今般の発表内容は半年前の2012年11月に発表された内容に比べCommitted Stage プロジェクトの総投資額に大きな増減は認められなかったものの、Completed Stageプロジェクトの総投資額は半年前の投資額を上回っており、Committed Stage からCompleted Stageへの移行が着実に行われていることが伺える。一方、Committed Stage プロジェクトにおいては総投資額に占めるコスト増加分が11%と推測されている点が注目される。

 Committed Stage プロジェクト総投資額の将来予測(実現見込みの高いシナリオ)では2012年10月末時点の総投資額2,684億A$を提示し2012年が投資のピークであるとしている。今般2013年4月末時点の総投資額が2,676億A$と示されていることから、当該シナリオにおいては豪州における資源・エネルギー分野のプロジェクト投資は既にピークを過ぎていることとなる。今後のCommitted Stage プロジェクト投資動向及びCompleted Stageプロジェクトの動向に注目したい。

参考資料
 ・ BREE「Resources and Energy Major Projects, April 2013」
 ・ BREE「Resources and Energy Major Projects, October 2012」
 ・ BREE「Mining Industry Major Projects, April 2012」

ページトップへ