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報告書&レポート

2013年7月25日 ロンドン事務所 森田健太郎
2013年45号

アフリカ-ロンドン サミット報告(その2)-各国基調講演セッション(後半)、「アフリカ鉱業の現状」セッション-


2-3 ケニア基調講演 ~新政権始動、EITIの候補国に~
   Hon Najib Balala EGH ケニア鉱業大臣

【新憲法下で初の選挙】

 最近、ケニアでは新憲法下で初めて平和的に選挙が行われた。86%の有権者が民主的に投票した。ウルフ・ケニヤッタ大統領、ウィリアム・ルト副大統領他が当選し、その後主要な法制化が行われた。鉱業省は新たに作られた省庁であり、私は新大臣としてここに立っている。

 早速マニフェストを実行に移しているが、既に活気のある変化が起き始めている。ケニア政府は、子供、若者、老人、そして投資家を支援する。ケニアは外資を平等な条件で歓迎し、幅広い参加を期待する。

【東アフリカにおける要衝】

 ケニアには2030年に向けたロードマップがあり、国、郡、地方政府が連携することとなっている。世銀はケニアが2013年から2014年にかけて60%の経済成長を遂げると予測している。東アフリカは世界第2位の成長地域であり、ケニアはその要衝にある。新しい港、鉄道、南スーダン・エチオピアまでのパイプラインを建設していく。ケニア鉱業の発展がこの地域の高付加価値化を進めていく。

【ケニアの資源ポテンシャル】

 ケニアは本当に幸運である。本年2013年に鉱業を開始したばかりだからである。ご列席の方々が豊富な経験を共有してくれることを期待する。ケニアの鉱業分野が大きな成果を出すことを確信している。既に石油・天然ガスは世界の注目を集めている。金属も類似の成果を出せるはずであり、既にレアアース、金、鉄、ウランが発見されている。

【新政権が鉱業法制の改正、EITIの候補国へ】

 新政権は明確なロードマップを持っている。ケニアの鉱業法は1940年に英国によって導入された。これを今後3年間で現状に適するよう改正する予定だ。鉱業のガバナンス、利益の分配、透明性を改善する。私は鉱業大臣として、資産を民衆に引き渡す5%所有ルールに議論があるのは知っている。しかしこれは、国、郡、地域社会が利益を分配するためのものだ。また鉱業法制の改正により、近い将来、EITIの候補国になるだろう。さらに、採取産業が資金調達できるようにナイロビ・セキュリティーズ・エクスチェンジの改善に着手している。

【英国との協力強化】

 シティー・オブ・ロンドンとパートナーシップを構築したい。アフリカはもう支援(aid)は不要と思う。むしろビジネス・パートナーという意味だ。私はロンドンの皆様に平等なビジネス機会を提供したい。透明性は、中央政府のガナバンスだけでなく、郡、地域社会も含めた国内の平等な分配についても適用されるべきだ。そうすれば、企業が利益、地域が環境改善、政府が税金を得ることができ、win-winの関係が構築できるだろう。

2-4 ルワンダ基調講演 ~投資促進にむけ法整備~
   Hon Stanislas Kamanzi ルワンダ天然資源大臣

【ルワンダにおける鉱業の位置づけ】

 ルワンダは政治の安定、良い企業統治を達成した結果、過去10年で8%の経済成長を維持してきた。ルワンダでは鉱物資源が2番目に大きい輸出品目である。そのためルワンダ政府は、鉱業が経済成長の柱の一つと考えている。

【ルワンダの資源ポテンシャル】

 ルワンダは現在、錫、タンタル、タングステン、ニオブを輸出している。しかし、金、花崗岩の鉱床もある。政府が多額の費用をかけて基本的な地質図を作成した結果、さらにレアアース、銀、銅、コバルト、鉛、亜鉛、リチウム他が発見されている。

【ルワンダの鉱業政策】

 ルワンダの鉱業は小規模鉱山企業に占められている。2006年以降、ルワンダ政府は全ての鉱山活動を民営化し、2008年に法制を整備し、鉱業分野の開発を促進してきた。現在、政府はさらにビジネスが参入しやすいよう法的枠組みを改正中であり、政府と民間の間で協議が進んでいる。許認可プロセスについては、今年7月初めまでに改正する予定である。

 200以上の鉱山企業があるが、ほとんどが地域投資家の所有である。これからは、投資家との協力だけでなく、地域との協力も大事だ。労働、教育、知識、技術革新、ネットワークの共有は、結果的に双方にとって利益となる。

2-5 南スーダン基調講演 ~地質専門家の協力を期待~
   Dr Andu Ezbon Adde 南スーダン鉱業次官

【南スーダンの課題】

 南スーダン政府は石油・金属を石油鉱物省として統合し強化している。私は2か月半前に同省に着任した。南スーダン政府は鉱物資源から利益を得ようと努めている。課題は独力では開発できないことだ。石油の輸出は停止しているため、金属で利益を代替しようとしている。

【南スーダンの鉱業への取組み】

 南スーダンには、ベースメタル、レアメタル、金、銀、銅、鉛、亜鉛、ボーキサイトなど多くの鉱物資源がある。しかし大変悲しいことに、女性、子供が金を掘っている。台所ではなく鉱山で金を洗っている。今こそ透明性が求められている。これまでアフリカ鉱業にとっての課題は環境問題だった。企業は一定割合を中央政府と地域に収めたあとは環境に責任を持たなかった。

 これからは将来を保証してくれる企業に南スーダンに来てほしい。そして人々を教育してほしい。多くの英国企業が来てくれて、地質専門家が一緒になって地下資源を探してくれることを期待する。

2-6 ザンビア基調講演 ~透明化によりパラドックスを克服~
   Hon Richard Musukwa ザンビア鉱物エネルギー水開発省副大臣

【アフリカのパラドックス】

 アフリカには豊富な、石油、天然ガス、金属、土地、水がある。経済発展の大きなポテンシャルである。しかし資源価格の高騰にも拘わらず地域発展につながっていない。資源があるのに貧しいというのはアフリカのパラドックスである。アフリカ及びザンビアは、鉱業からの利益を最大化していない。

【透明性への提言】

 鉱業からの利益を最大化するため、透明性を強化すべき3分野を指摘したい。

1) アフリカ及びザンビアは資源収入に大きく依存している。この資源収入が多くの国・企業において生活を向上させるためにどのような形で使われているか明らかにすべきである。

2) 鉱業の運営には地域社会の多くの労働者が必要なのは疑いがない。持続可能な開発のためには、地域社会にインフラ、健康、教育という利益を提供することが期待される。企業はCSR以上の貢献により、地域の理解を得るべきだ。

3) 持続可能で透明な鉱業マネジメントのため、法制、投資、技能の移転などの制度整備が必要である。

【英国企業への期待】

 ザンビアは海外直接投資を歓迎する。なかでも英国は同盟国だ。もし英国企業がアフリカに来なければ、他国は「避けた」と感じるので、そう疑われないよう来てほしい。世界最大の銅の鉱床がザンビアにある。ザンビアに来ずして銅プロジェクトは語れないだろう。

3. 「アフリカ鉱業の現状」セッション

3-1 世界の鉱業の現状 ~価格下落と運転コスト上昇の狭間で~
   Chris Hinde IntierraRMG編集局長

 本年(2013年)第1四半期までのところ、世界の鉱業は、価格下落という“岩“と運転コスト上昇という”岩盤“の間に挟まっている。

【価格下落】

 ここ数年、ベースメタルの価格は下落しており、石炭、鉄、銅の価格は失速している。金だけが歴史的な高値を維持している。しかし鉱業全体が生む価値のうち金は1割を占めるに過ぎず、ほぼ9割の価値をベースメタルが生み出している。

 価格下落のため試掘が低調となり、一月当たり確認された有望鉱床の数も17か月間で減少し本年第1四半期と前年同期を比べるとほぼ半減した。その結果、新規に報告された埋蔵量は、例えば銅の場合約1/8に減少している。品位も低下している。例えば2012年に生産開始された銅鉱床の品位よりも、同年のフィージビリティ・スタディの平均品位の方が低くなっている。

 鉱業全体の価値が減少していると言える。2011年以降、昨年後半の6か月間を除けば、世界の鉱業の株式発行額(capitalization)は減少傾向にある。2011年初めの月額約3兆5千億US$から2013年3月の月約2兆US$まで下がっている。

【操業コスト上昇】

 操業コストについては、2012年の銅の操業コストは約3千US$/tであり、2008年に比べて12%上昇した。また金の操業コストは約7百US$/ozであり、2008年に比べて62%上昇している。

3-2 アフリカの鉱業の現状 ~探鉱活動が停滞~
   Glen Jones IntierraRMG米州所長

【探鉱フェーズ】

 アフリカ鉱業の探鉱フェーズの資金調達は、2年間合計で約8億US$であった。地域別に見ると、南部アフリカは2割弱であり、4割が西アフリカ、残り4割がその他アフリカであった。鉱種別に見ると、金が5割以上を占め、銅と石炭がそれぞれ約8%、鉄が約6%である。企業別にみると、上位10社のうち5社がトロント上場企業、5社が豪州上場企業である。

 アフリカでの試掘活動について、確認された有望鉱床の数がこの2年間で月120箇所から月50箇所へと激減している。試掘活動が活発なのは、順にブルキナファソ、ガーナ、タンザニア、マリ、DRコンゴと続くが、いずれも2011年に比べて減少している。試掘活動の停滞は鉱床発見の減少、さらには将来の生産量の減少につながる。追加的に確認された埋蔵量のうちアフリカの占める割合は、金、銅、石炭、磁鉄鉱については、2011年は概ね2割程度だったのに、2012年には約半分の1割近くに減少している。

【開発フェーズ】

 次にアフリカにおける開発フェーズの資金調達は、2年間合計で約50億US$であった。2012年第4四半期だけで約16億US$を調達しているが、これを除けば減少傾向である。調達先を見ると、豪州、トロント、ロンドンのうち、特にロンドンでの資金調達の減退が著しい。地域別にみると、南部アフリカ、西アフリカがそれぞれ約4割である。資金の用途を見ると、2011年には実際に開発費用として使われていたが、2012年には約3割が借入金の借り換え、約4割が資本支出(capital expenditure)として使われている。

【生産フェーズ】

 アフリカの資源収入は、2012年に約1,200億US$であった。このうち、金、石炭がそれぞれ約2割、銅、鉄鉱石がそれぞれ約1割を占め、以降、クロム鉄鉱、チタン鉄鉱、ダイヤモンド、白金等が続く。国別でみると、南アフリカの資源収入が5割以上を占め、以降、ザンビア、海域で収入を上げているモザンビーク、ガーナ、モロッコ、コンゴ、ボツワナ等が続く。取引所別で見ると、ヨハネスブルグ上場企業の合計収入が約370億US$と最も大きく、次いでロンドン上場企業が約280億US$である。トロント上場企業、豪州上場企業のアフリカでの合計収入は、いずれも80億US$である。

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