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報告書&レポート

2013年10月10日 ロンドン事務所 北野由佳
2013年58号

南ア・2013年鉱物・石油資源開発法改正法案の概要

 南アの鉱業法である鉱物・石油資源開発法(The Mineral and Petroleum Resources Development Act、以下「MPRDA」)の改正法案が2012年12月にZuma内閣に承認された。本稿執筆(2013年9月末)時点では2013年MPRDA改正法案(以下「改正法案」)として国会で審議中である。本稿では、改正法案が提案しているMPRDAの主な改正内容を報告する。

 <注>改正法案は、2008年の改正に続いてMPRDAを改正するものである。詳しくは、以下3つの原文を参照されたい。

 ・ the Mineral and Petroleum Resources Development Act No.28 of 2002
 ・ the Mineral and Petroleum Resources Development Amendment Act No.49 of 2008
 ・ the Mineral and Petroleum Resources Development Amendment Bill dated 31 May 2013

1. 2013年MPRDA改正法案の概要

1.1 改正案のポイント及び改正の主な内容は以下のとおりである。
◇ 環境の重視
  MPRDAと環境法との間での整合性を向上させる。今後、鉱業権の申請者は以下の申請も行わなくてはならない。
  - 1998年国家環境管理法(The National Environmental Management Act、以下「NEMA」)第5章に基づいた環境許可
  - 1998年国家水利法(The National Water Act、以下「NWA」)に基づいた水の利用許可

◇ 鉱業権申請の募集

 これまでは、鉱業権の申請に関しては「先願制(first-come, first-served)」の原則が適用されてきた。また同日に1件以上の申請を受け付けた場合には、“歴史的に不利益を被った個人”(HDIs:historically disadvantaged individuals)が優先されていた。

 現在、南ア政府としては、この制度の必要性は減少していると認識している。これからは、大臣が鉱業権の募集を行い、申請期間や許可条件を規定することができる。

◇ 地域鉱業開発・環境委員会(RMDEC)

 既に活動を行っている同委員会は改正法によって正式に発足する。同委員会の主な役割の一つは、鉱業権の申請に関する紛争に対処することである。同委員会は異議の申し立てを聞き入れ、鉱物資源大臣(以下「大臣」)に勧告を行う。

◇ 鉱業権の移譲

 上場企業の支配的持分(controlling interest)の譲渡に関しては、今後、大臣の承認が必要となる。本規定は、試掘権及び採掘権の分割が可能であるとされる場合、これらの鉱業権の譲渡にも一部適用される。

◇ 鉱物及び石油資源に関する権利登記所

 鉱業権はこれまで鉱業権登記所(Mining Titles Office.)での登録が義務付けられていたが、これからは、鉱物及び石油資源に関する権利登記所(Mineral and Petroleum Titles Registration Office)に置き換わる。

◇ 社会経済的な目標

 歴史的に不利益を被った個人(HDIs)の機会拡大、及び南ア鉱業における広範な社会・経済的権利拡大に関する改正憲章(Amended Broad Based Socio-Economic Empowerment Charter for the South African Mining and Minerals Industry)の実施を新たな視点で重要視する。鉱業権の申請者は、これに応じる意思があることを示さなくてはならない。大臣は、鉱業権の所有者に対し、特定の地域またはコミュニティにおける社会経済的な課題に対処するように指示することができる。

◇ 鉱業権の拒否
  大臣はこれまで以下の様な場合に鉱業権の交付を拒否することができた。
   ・ 排他的な行為となる場合
   ・ 不当な競争を防止する目的である場合
   ・ 特定の申請者の支配下に鉱物資源が集中してしまう場合
  これからは、特定の申請者の支配下に鉱業権が集中してしまう場合にも鉱業権の交付を拒否できる。

◇ 地球科学委員会

 地球科学委員会(Council for Geoscience、旧地質調査所)の役割を新たな視点で重要視する。今後、鉱業権の所有者は、鉱物資源及び石油に関するデータを定期的に地質調査所に提出しなければならない。

◇ 高付加価値化

 大臣は高付加価値化を促進する責務を負う。大臣は、高付加価値化の程度、鉱種毎または石油の(高付加価値化の)パーセンテージ、開発に関する価格条件を規定することができる。生産者は、生産物の何パーセントかを地元の加工業者に提供することを義務付けられる可能性がある。指定された鉱物資源または石油の輸出には大臣の同意が必要となる。

◇ 鉱山残渣と閉山証明書

 環境が重要性を増すのに呼応して、鉱山残渣の対処を新たな視点で重要視する。鉱業権の所有者は、閉山証明書が発行されてから最大20年間、鉱山が環境にもたらす影響に対して金銭的な責任を負う。

◇ 採掘活動を禁止及び制限する権限

 大臣には、特定の鉱物資源に関してその戦略的特性から、採掘活動を禁止または制限する権限が与えられる。

◇ 大臣諮問評議会

 鉱物資源開発委員会(Minerals and Mining Development Board)に代わり大臣諮問評議会(Ministerial Advisory Council)が発足する。同評議会の役割は、鉱物資源の開発、鉱物資源産業の成長及び変革を支援することである。

◇ 石油開発

 大臣は、石油の探鉱及び生産を促進するための公的機関を任命する。政府は、石油に関する全ての新規探鉱権・採掘権に関して、対価なしで権益を取得できる(Free Carried Interest)うえ、国または国営企業の指定部局を通じて特定の条件に従ってさらに権益を取得するという選択権を有する。この選択権を行使した場合、国は、生産活動を管理する運営委員会の役員最大2名を任命する権利と追加の権益に見合った配当金またはその他の分配を受け取る権利を付与される。

◇ 罰則

 MPRDAの特定の条項に違反した場合には罰則が科され、企業の年間売上高及び輸出高の最大10%の罰金及び最大10年の実刑判決が科せられる。

◇ 副産物

 採掘権の所有者は、主産物として申請した鉱物資源と随伴的かつ必然的に採掘される他の鉱物資源を採掘及び処分しても構わないが、採掘権の所有者はそのような副産物の申告をしなければならない。採掘権の所有者は、申告後60日以内に、副産物を採掘権に追加するための申請を行う義務がある。それを怠った場合、第三者が副産物の採掘権を申請する可能性がある。

1.2 改正の目的

 改正法案の主な提案理由は以下のとおりである。
  ・ MPRDAにおける曖昧さを排除する。
  ・ 副産物、鉱業権の分割、高付加価値化に関する規制を定める。
  ・ 国家のエネルギー安全保障を強化する。
  ・ 地球科学法(Geoscience Act )と連携させる。
  ・ 規制制度を向上する。
  ・ 罰則を強化する。

1.3 定義

 改正法案では用語の定義を加除修正している。新たな定義の一部は以下のとおり。

 ・ 評価作業(Appraisal operations)
  さらなる開発を行う価値があるかどうかを決定するために石油の埋蔵量を測定する活動。

 ・ 副産物(Associated mineral)
  主産物である鉱物資源を採掘する際に、随伴的かつ必然的に採掘される他の鉱物資源。

 ・ 高付加価値化(Beneficiation)

鉱物及び石油資源をより価値の高い製品にするために変換、価値の付加または下流産業の育成を行うことで、その基準は大臣によって定められる。高付加価値化された製品は国内消費または輸出することが可能である。

 ・ 鉱業権の集中(Concentration of rights)

鉱業権の申請者が既に試掘権または採掘権を所有しており、さらなる鉱業権の付与が歴史的に不利益を被った個人(HDIs)の機会を拡大するという目的を阻害する場合を意味する。

 ・ 支配的持分(Controlling interest)
  特定の株主が、例えば投票権の過半数を有することによって、企業における支配力を行使することが可能になる持分。

 ・ 指定鉱物(Designated minerals)
  必要に応じて大臣が高付加価値化の対象として指定する鉱物。

 ・ 開発に関する価格条件(Developmental pricing conditions)
  大臣により決定される国内での高付加価値化のために確保されている鉱物資源、石油、又は鉱物製品の価格決定方法。

 ・ フリー・キャリード・インタレスト(Free carried interest)
  石油の探鉱権・生産権から得られる純利益のうち、国が資本出資することなしに獲得できる持分。

 ・ 鉱山残渣の堆積物(Residue stockpile)
  改正法の施行前に存在した旧鉱山や廃さい堆積場(dump)も対象となる。

 ・ 戦略的鉱物(Strategic minerals)
  必要に応じて大臣が戦略的であると宣言した鉱物。

2. 改正内容の詳説

2.1 違法行為の禁止(第5項)
 以下の条件を満たすことなしに、鉱物資源・石油の探査、探鉱、生産を行ってはならない。
  ・ 環境許可の取得
  ・ 適切な許可証の取得
  ・ 地主もしくは合法的な居住者に対する21日以上前の書面による通知

2.2 先願権規定の削除(第9項)

 現行MPRDAでは、鉱業権に関連する権利の申請を同時に1件以上受け付けた場合、担当地方局長(Regional Manager)が以下のことを行うよう定められていた。

  ・ 同日に複数の申請を受け付けた場合は、HDIsを優先する
  ・ 異なる日に申請を受け付けた場合は、受け付けた順番に従って申請を処理する

 改正によって、この制度を削除する。これからは、大臣が鉱業権の申請を募集し、また申請期間や許可条件を規定することができる。

2.3 協議(第10項)

 現行MPRDAでは、担当地方局長は鉱業権申請の受領を公表し、パブリック・コメントの機会を提供し、異議申し立てがあった場合には大臣への報告の可能性も踏まえて地域鉱業開発・環境委員会に付託する義務があった。改正によって、担当地方局長は、異議申し立てを申請者に移送することが可能となり、異議を申し立てる側と申請者が協議を行うことが可能となる。申請者は、達した合意内容を担当地方局長に報告する義務があり、担当地方局長はその内容を地域鉱業開発・環境委員会に提出する。改正により同委員会が正式に発足し、その機能が特定される。

2.4 鉱業権の移譲(第11項)

 現行MPRDAでは、試掘権、採掘権または企業の支配的持分は、上場企業の支配的持分の場合を除いて、大臣の書面による承認がなくては譲渡ができなかった。改正によって、この例外事項が削除され、上場企業の支配的持分の譲渡に関しても、大臣の承認が必要となる。また、この規則は、試掘権及び採掘権の分割が可能であるとする場合、これらの権利の譲渡に関しても一部適用される。

 現行MPRDAでは、鉱業権の譲渡または名義変更があった場合、30日以内に鉱業権登記所に登録することが義務付けられていた。今後は、「定められた期間(prescribed period)」内に鉱業及び石油に関する権利登記所に登録することとなる。改正においては、特定の期間が「定められた期間」といった表現に変更されている部分が複数個所あり、将来制定される規則によって具体的な期間が規定さられる可能性がある。

2.5 試掘権 (Prospecting Right)
 ① 申請 (第16項)
   試掘権の申請方法が変更となった。今までは申請者には以下のことが求められた。
    ・ 環境管理計画の提出
    ・ 地主または居住者との協議

これからは、試掘権及びそのほかの鉱業権の申請と関連する環境法との間での連携が図られる。試掘権の申請者は以下のことを求められる。

    ・ NEMA第5章に基づいて、環境許可の申請及び報告書の提出を行う。
    ・ 環境報告書の中に地主または居住者との協議の結果を含める。
    ・ NWAに基づいた水の利用許可を申請する。

 ② 権利の交付と期間(第17項)

 以前は、申請者が必要な財政的及び技術的資産を有しており、環境への配慮ができている場合には大臣は鉱業権を交付しなければならなかった。今後は、鉱業権の申請者はHDIsの機会を拡大し、南ア鉱業における広範な社会・経済的権利拡大に関する改正憲章に準拠する意思があることを示さなければならない。

 大臣はこれまで以下の場合に鉱業権の交付を拒否することができた。
  ・ 排他的な行為となる場合
  ・ 不当な競争を防止する目的である場合
  ・ 特定の申請者の支配下に鉱物資源が集中してしまう場合

 これからは、上記に加え、特定の申請者の支配下に鉱業権が集中してしまう場合にも鉱業権の交付を拒否できる。

 ③ 更新(第18項)
   申請者は今後以下のものを提示しなくてはならない。
    ・ 環境許可の準拠を証明する報告書
    ・ 全ての試掘データが提出されたことを示す地球科学委員会発行の証明書

 ④ 権利と義務
   試掘権の所有者には今後以下のことが求められる。
    ・ 鉱物資源及び石油に関する権利登記所に試掘権を登録する。
    ・ プロジェクトの進捗に関する報告書を、年に一回担当地方局長及び地球科学委員会に提出する。

 ⑤ 鉱物資源の移動及び処分に関する許可(第20項)
   今後は、試掘作業中に見つかった鉱物資源及びダイヤモンドの移動及び処分に関して環境許可が必要となる。

2.6 採掘権 (Mining Right)
 ① 申請(第22項)
   改正内容は以下のとおり。
    ・ 申請者は第9項の条件に従う。

・ 担当地方局長は、採掘権の申請があった場合、その採掘権を誰も所有していない若しくは誰も申請していない場合、申請を受理しなくてはならない

申請者は以下を行わなければならない。
 ・ 環境許可及び水の利用許可の申請をする。
 ・ 社会・労働計画に関して、コミュニティ及び関連する組織と協議を行う。

 ② 権利の交付と期間(第23項)
   改正法により、採掘権の交付のために申請者が満たすべき条件に、以下の3項目が追加される。
    ・ 社会及び労働計画の遵守(同計画は5年毎に見直し)
    ・ 南ア鉱業における広範な社会・経済的権利拡大に関する改正憲章の遵守
    ・ NWAを遵守する能力を具備

また改正により大臣は以下を行う義務または権限を有する。
 ・ 大臣は地域またはコミュニティが抱える社会経済的課題を検討しなければならない。
 ・ 大臣は採掘権の所有者に対しこれらの課題に対処するよう命じなければならない。
 ・ コミュニティの権利及び利益を拡大するために必要な条件を課すことができる。
 ・ 特定の申請者の支配下に鉱業権が集中してしまう場合に鉱業権の交付を拒否しなければならない。

 ③ 更新(第24項)
   採掘権の更新のための申請には以下を要する。
    ・ 環境許可の準拠を証明する報告書
    ・ 改正された環境許可

 採掘権はその有効期限にかかわらず、更新に関する公正証書が発効されるか、または更新のための申請が却下されるまでの期間は効力を有する。更新期間は、更新された鉱業権の公正証書の発効日から開始する。

 ④ 権利と義務(第25項)
   採掘権の所有者には今後以下のことが求められる。
    ・ 鉱物資源及び石油に関する権利登記所に採掘権を登録する。
    ・ 5年毎に見直される社会及び労働計画を実施する。
    ・ 南ア鉱業における広範な社会・経済的権利拡大に関する改正憲章に準拠する。

・ MPRDA第2項の(d)及び(f)、南ア鉱業における広域な社会・経済的権利拡大に関する改正憲章、承認された社会・労働計画への準拠の詳細を記載した報告書を年に一回提出する。

2.7 鉱物資源の高付加価値化(第26項)
 改正により大臣の義務・権限として以下のことを規定。
  ・ 鉱物及び石油資源の高付加価値化を開始または促進しなければならない。
  ・ 必要とされる高付加価値化の程度を規定できる。

・ 地域の高付加価値化に必要とされる鉱物資源または石油のパーセンテージ及び開発に関する価格条件を規定することができる。

 その他にも以下のことが提案されている。

・ 全ての生産者は、大臣が規定するとおりに、原材料または鉱物製品の何パーセントかを地元の加工業者に提供しなければならない。

・ 指定された鉱物資源または石油の輸出には、大臣が決定する条件に沿い大臣の書面での同意が必要となる。

2.8 採掘許可(Mining Permit)
 ① 申請(第27項)
   改正法案では採掘許可は3年以内に鉱物資源の採掘が行われる場合に発行可能であるとしている。

担当地方局長は以下のことを行う義務がある。

・ 同じ土地の同じ鉱種に対して未だ採掘許可の申請が受理されていない場合には、申請を受理しなければならず、その後、許可の交付または却下が決定される。

・ 申請者が要件を満たしていない場合には、規定の期間内に申請者に知らせる。

・ 申請者に対し、環境許可の申請、関連の環境報告書の提出、水利用許可の申請を行うように通達する。

 採掘活動が許容できないレベルの汚染、生態系の悪化、環境への悪影響を引き起こすことがなく、申請者がNWAを順守する能力がある場合には、大臣は採掘許可を交付しなければならない。また採掘許可の所有者は、鉱物及び石油資源に関する権利登記所に、規定された期間内に記録のために許可書を提出しなくてはならない。

 ② 情報とデータ(第28項)

 これまで採掘権・採掘許可の所有者は、(鉱物資源省の)局長(The Director-General、以下「局長」)に様々な財務報告書やコンプライアンス報告書を提出しなければならなかった。これからは以下の報告書も追加される。

・ 南ア鉱業における広範な社会・経済的権利拡大に関する改正憲章及び承認された社会・労働計画への準拠の詳細を記載した報告書

・ 国内の鉱物埋蔵量及び資源量のデータを含む規定の年次報告書

2.9 保留許可(Retention permits)
 ① 交付要件(第32項)
   現行MPRDAによると、大臣は、試掘権保有者が、以下の条件を満たしている場合に保留許可を交付することができた。
    ・ 試掘活動及びFSを完了
    ・ 採掘が可能とみなされるような鉱床の存在を確認
    ・ 市況によりその鉱物資源の採掘が非経済的であると結論付けた場合

 改正法案により大臣は、探鉱権の所有者が商業的価値のあるガスの発見を証明し市場開発計画を有している場合には、保留許可を交付することが可能となる。試掘権(鉱物資源)の保留許可の有効期限は3年間で、探鉱権(石油資源)の保留許可の有効期限は最大5年である。

 ② 石油・ガスの追加(第35項)

 現行MPRDAによると、保留許可の所有者には採掘権の取得に関する独占権が与えられていた。改正法案は、生産権及び石油・ガス市場の開発への言及を追加している。

2.10 環境管理の原則(第37項)
 改正法案には、環境に関する要件の全てがNEMA の条件に従って実施されるとの記述がある。

2.11 鉱山残渣や休廃止鉱山の管理(第42項)
 改正法案によると、
  ・ 同法の公布から2年間、鉱山残渣の堆積物や休廃止鉱山の所有権は有効に存続する。
  ・ 権利の所有者は、この期間中に、再利用許可(reclamation permit)を申請する独占的権利を有する。

・ 大臣は、権利の所有者が鉱山操業を行う意思を表示する等の要件を満たしている場合に、再利用許可を交付する義務がある。

  ・ 権利の所有者は、規定された期間内に鉱物資源及び石油に関する権利登記所に再利用許可を登録しなければならない。
  ・ 今後は、鉱山残渣の堆積や休廃止鉱山は、同法の条件に従って規制されているとみなす。
  ・ 再利用許可の有効期限は4年間で、最大2年間の更新が一回可能である。

・ 再利用許可の譲渡は禁止されているが、大臣の同意があれば鉱業プロジェクトの資金調達のために抵当に入れても構わない。

2.12 閉山証明書(第43項)

 現行MPRDAでは、鉱業権の所有者は大臣が閉山証明書を発行するまで、環境、汚染、生態系の悪化に対して責任を持つことが定められていた。改正法案によると、

・ 鉱山主任監査官(Chief Inspector of Mines)及び水・環境省が、安全衛生、水資源の汚染管理、異質な水の排水と除去及び環境許可の条件の準拠に関する規定に対応していると書面にて確認しない限りは、閉山証明書を発行してはならない。

・ 閉山証明書が発行された後も鉱業権の所有者の責任が問われる。

・ 大臣が閉山証明書を発行してから20年の間は、大臣は将来明らかになる可能性がある鉱山の安全衛生や環境面での影響に対して、引当金を保持することができる。

2.13 試掘・採掘活動を禁止または制限する権限(第49項)

 現行MPRDAでは、国益や鉱物資源の持続可能な開発の促進を理由とする場合に、大臣に鉱業権の付与を禁止または制限する権限を与えていた。改正法案では、鉱業権を付与しない理由として、「特定の鉱物資源の戦略的特性」を追加している。

2.14 大臣諮問評議会(第56項)

 改正により、鉱物資源開発委員会(Minerals and Mining Development Board)に代わり大臣諮問評議会(Ministerial Advisory Council)が設立される。同評議会の役割は、鉱物資源の持続可能な開発、鉱業の成長及び変革を支援することである。

2.15 石油産業の促進(第71項、以下第88項まで石油資源にかかる改正)
 改正により大臣は、以下を担当する公的機関を任命する。
  ・ 石油の探鉱及び生産を促進する。
  ・ 石油に関連する地質及び地球物理情報を扱う。
  ・ 石油に関係する予察調査活動を実施する必要性に関して大臣に助言する。

2.16 予察調査許可
 ① 申請(第 74項)
   改正法案によると、

・ 申請は担当地方局長に行い、担当地方局長は同じ土地で石油に関する権利を所有している個人がいない場合には、定められた期間内に申請を受理しなくてはならない。

・ 担当地方局長は、申請者に対し、地主、合法的な居住者そして影響を受ける可能性のある当事者と協議するように通達しなければならない。

・ 協議の結果をNEMAの要件に従った環境報告書の中に記載しなければならない。

・ 担当地方局長は、申請を却下する場合には、定められた期間内に却下の理由を知らせなくてはならない。

 ② 有効期限の変更等(第75項)
   改正法案によると、
    ・ 現行MPRDAでは予察調査許可の有効期限は1年のみで独占的権利ではなかったが、7年間有効で独占的権利となる。
    ・ 権利の保有者は、予察調査許可が発行されて最初の1年以内に、石油の予察活動を行わなければならない。

2.17 技術協力調査許可(第76項及び第78項)
 改正法案によると、

・ 担当地方局長は、技術協力調査許可の申請が要件を満たしていて、その同じ土地、地域、石油鉱床に対する鉱業権を誰も所有していない場合、申請を受理しなくてはならない。

・ 技術協力調査許可の所有者は、鉱物及び石油資源への公平なアクセスを促進する条項2(c)の条件に従って、探鉱権を申請する独占的権利を有する。

・ 技術協力調査許可の所有者は、鉱物及び石油資源に関する権利登記所に規定された期間内に記録のために許可書を提出しなくてはならない。

2.18 探鉱権(Exploration Right)
 ① 申請(第79項)
   改正法案によると、

・ 担当地方局長は、探鉱権の申請が要件を満たしていて、その同じ石油資源に対する権利を誰も所有又は申請していない場合、規定の期間内に申請を受理しなくてはならない。

・ 担当地方局長は申請を受理した申請者に対し、関係者との協議、環境許可の申請、関連の環境報告書の提出、水利用許可の申請を行うように通知しなければならない。

 ② 権利の交付と期間(第80項)
   改正法案によると大臣は以下を行う義務及び権利を有する、
    ・ 申請者がNWAを順守する能力がある場合には探鉱権を交付しなければならない。
    ・ 申請者に南ア鉱業における広範な社会・経済的権利拡大に関する改正憲章を遵守するように要請することができる。
    ・ 特定の申請者の支配下に鉱業権が集中してしまう場合に鉱業権の交付を拒否しなければならない。

また改正法案によると、
 ・ 探鉱権の有効期限は5年間

・ 国は、全ての新規探鉱権に関して、対価なしで権益を主張する権利があり、国または国営企業の指定部局を通じて特定の条件に従ってさらに権益を取得するという選択権を有する。

 ③ 更新(第81項)
   探鉱権の所有者が以下の条件を満たしている場合、大臣は探鉱権を更新しなければならない。
    ・ 探鉱権の条件を満たしている。
    ・ 探鉱活動を行う財源がある。
    ・ 探鉱活動を行う技術的能力がある。
    ・ 修正された環境許可を有している。

 ④ 権利と義務(第82項)
   探鉱権の所有者は以下を行わなければならない。

・ 定められた期間内に鉱物及び石油資源に関する権利登記所で探鉱権を登録する。

・ 探鉱権の所有者が鉱区全体の探鉱を行う立場にあると証明できる場合または鉱区全体に関連する鉱床を発見した場合を除いて、規定に従い、鉱区の隣接部分(contiguous portion)を放棄する(いわゆる減区)。

・ 探鉱活動期間中に処分された石油に対するロイヤルティを支払う。

・ 探鉱区において鉱床が発見された場合は、大臣への通知、評価データの提出、環境許可の申請、関連する報告書の提出を行う。

2.19 生産権(Production Right)
 ① 申請(第83項)

 担当地方局長は、生産権の申請が受理された申請者に対し、関係者との協議、環境許可及び水の利用許可の申請を行うように通知しなければならない。

 ② 権利の交付と期間(第83項)
   改正により新たに以下が追加される。

・ 国は全ての新規生産権に関して、対価なしで権益を主張する権利があり、国または国営企業の指定部局を通じて特定の条件に従ってさらに権益を取得するという選択権を有する。

・ この選択権を行使した場合、国は、生産活動を管理する運営委員会の役員最大2名を任命する権利と追加の権益に見合った配当金またはその他の分配を受け取る権利を付与されなくてはならない。

 ③ 更新(第85項)
   改正法案によると、

・ 生産権の更新のための申請には、環境許可への準拠及び閉山後の再生計画とその費用見積もりを示す詳細な報告書を併せて提出しなければならない。

・ 更新申請を提出した生産権は、更新が許可されて更新に関する公正証書が発効される、または更新のための申請が却下されるまでの期間は効力を有する。

・ 生産権の所有者は更新の申請中に生産活動を継続することができる。

 ④ 権利と義務(第86項)
   権利の所有者は、定められた期間内に鉱物及び石油資源に関する権利登記所で生産権を登録しなければならない。

2.20 1つのユニットとしての石油鉱床の開発(第87項)

 探鉱権または生産権が、他の探鉱権または生産権が存在している地質学的に同一の石油鉱床に対して交付される場合、それらの権利の所有者は、その石油鉱床を1つのユニットとして開発するための計画を準備し、それを担当地方局長に提出して大臣の承認を得なくてはならない。

2.21 情報とデータ(第88項)

 改正により、石油に関する許可または権利の所有者は、進捗状況に関する報告書及びデータを担当地方局長及び地球科学委員会に提出しなくてはならない。担当地方局長は、全ての情報・データ・報告書を、情報の作成日または受領日から最長4年または許可・権利の失効日、もしくは関連する地域が放棄または減区されるまで、機密を保持しなければならない。

2.22 財務能力の保証(第89項)
 権利の所有者は、探鉱または生産活動を開始する前に、十分な財源があることを保証しなければならない。

2.23 命令、停止、指示(第93項)

 鉱業権、許可、認可または環境許可の条件に対する違反、違反の可能性、不履行を発見した権限保持者は以下を行わなければならない。
 ・ 権利所有者に対して、直ちに是正処置を取るように命じる。
 ・ 操業全体またはその一部を停止するように命じ、またその他に必要な指示を出す。

 局長は上記の命令に関し、それが破棄されたか確定したかを権利所有者に通達する義務があり、それを怠った場合は命令が無効となる。

2.24 内部上訴手続き及び裁判所への提訴(第96項)
 改正法案によると、
  ・ 行政上の決定に権利を侵害された個人は、その内容に応じて大臣または水・環境大臣を相手に提訴することができる。
  ・ 大臣による中断決定の場合を除き、提訴によって行政上の決定が中断されることはない。
  ・ 大臣は、提訴の結果に影響を与えると考えられる場合には、行政上の決定を中断することができる。

・ 個人は、2000年公正行政促進法第7項(2)(c)に記載されている改善策を実施した場合にのみ、裁判所に行政上の決定を審査するよう申請できる。

2.25 罰則(第99項)
 改正法は、MPRDAの特定の項に関する罰則を強化した。以下の二つが特に重い罰則となりうる。

・ 第2、5A、11、15、19、20、25、26、27、35、43及び102項に関する違反は、企業の年間売上高及び輸出高の最大10%の罰金及び/または最大4年の実刑判決が科せられることになる。現行MPRDAでは罰金は最大10万ランド、実刑判決は最大2年間である。

・ 第38項(1)(c)に関する違反は、企業の年間売り上げ及び輸出高の最大5%の罰金及び/または最大10年の実刑判決が科せられることになる。

  ・ この他にも様々な罰則の強化が改正法案に記載されている。

2.26 鉱業の変革(第100項)

 改正により、大臣は試掘権または採掘権を交付する際に、鉱業における住宅及び生活の基準、鉱業の行動基準、南ア鉱業における広範な社会・経済的権利拡大に関する改正憲章で定められた規定の順守を課する責務を負う。また大臣は上記の規定を必要に応じて修正または取り消すものとする。

2.27 権利、許可、プログラム、計画の修正(第102項)
 改正法案には以下のことが記載されている。

1・ 大臣の書面による同意なしに、権利、許可、プログラム、計画を修正または変更してはならない。

2・ 以下の様な修正または変更はなされない。
a)権利が交付された面積よりも大きな面積を追加し、鉱区を拡大する。
b)事務的なミスの場合以外で、鉱化体の一部を追加する(add a share of the mineralized body)。
c)下記3及び4に従った副産物以外の鉱物を追加する。

3・ 鉱物資源を採掘する権利所有者は、主産物として申請した鉱物資源と随伴的かつ必然的に採掘される他の鉱物資源を採掘及び処分しても構わないが、権利所有者はそのような副産物及び採掘過程で発見されたその他の鉱物資源を申告しなければならない。

4・ 採掘権の所有者は、申告をした60日以内に、副産物を採掘権に追加するための申請を行う義務がある。それを怠った場合、第三者が副産物の採掘権を申請することができる。

2.28 規則(第107項)
 改正により大臣に以下の権限が与えられる。
  ・ 試掘及び採掘活動によって影響を受けた表土の再生に関する規制を策定する。
  ・ 鉱物及び石油資源の高付加価値化における国益を決定するためのガイドラインを発行する。


rs.summary.2013.MPRDA 2013.July19
http://www.dmr.gov.za/publications/summary/4-bills/966-mprd-amendment-bill-15-of-2013.html

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