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報告書&レポート

2014年3月27日 ワシントン事務所 佐藤陽介
2014年12号

米国:レアアース/重要鉱物確保対策の動向

 米国はレアアースを含んだ製品の主要な消費国である。これらの要素は、高度洗練された技術を要する商業製品及び軍事機器の双方において利用されている。1960 年代から1980 年代にかけて、米国は世界におけるレアアース生産の先進国であった1。しかしその後世界におけるレアアースの製錬及び製造や、金属・冶金・磁石といった付加価値を有する下流産業は、低い労働コストや低い環境基準等の要因によってほぼ全て中国が主導的役割を担うようになった。

 2010 年、中国商務省がレアアースの輸出の削減を発表し、次いで日本への輸出を一時的に停止した。この一連の出来事は世界におけるレアアース供給の途絶の潜在的な可能性を示すものとなり、米国の政策決定者や産業界は米国がほぼ全てのレアアースの供給を海外に依存することや国家安全保障上の観点から、この状況に懸念を有することとなった。

 2010 年に生じたレアアースの供給途絶の懸念は過ぎ去ったに見えるが、依然として米国のレアアース確保に対する関心は高い。本項では主に米国連邦政府の取り組みを中心とした最近の動向を紹介する。


1 U.S. Geological Survey Fact Sheet 087-02,”Rare Earth Elements-Critical Resources for High Technology”, http://pubs.usgs.gov/fs/2002/fs087-02/

1.米国連邦議会の動向

 今期第113 回連邦議会においては、レアアース又は重要鉱物の確保に関するいくつかの法案が提出されている。後述の2014 年国防授権法を除き、いずれも成立を見たものはなく、その成立の見通しも不透明である。しかしこれら法案の中には、2013 年重要鉱物政策法(Critical Minerals Policy Act of 2013(S.1600))のような、レアアース/重要鉱物の確保に向けた包括的な法案もあり非常に興味深い。また、米軍の活動を継続するために毎年連邦議会が必ず成立させなければならない法律として、国防授権法(NDAA: National Defense Authorization Act)が存在するが、ここ数年のNDAAにおいてはレアアースや重要鉱物の確保に関連する条項が必ずと言ってよい程の頻度で規定されている。2014年のNDAAは2013年末に成立しオバマ大統領が署名・発効している。

(1) 2013 年重要鉱物政策法(S1600)2

 2013 年重要鉱物政策法(Critical Minerals Policy Act of 2013, S1600)は、リサ・マコウスキー上院議員(共和党、アラスカ州)によって提出され、民主・共和両党の上院議員18 名がスポンサーとなっている。2014 年1 月28 日には、上院エネルギー・天然資源委員会において公聴会が開催されている3

 本法案は、米国内務省(DOI: Department of Interior)と米国エネルギー省(DOE: Department of Energy)に対して、既存の方針を変更し、“重要鉱物”の指定・評価、生産・製造・リサイクル、分析・予測、労働力・教育、研究開発、国際協力の分野における取り組みの再構築と行った包括的な鉱物政策を規定するものとなっている。

(S1600の内容・抜粋)

・ DOIの下でいずれの鉱物資源が米国にとって“重要”であるか特定する方法論を確立させ、米国にとっての“重要物資”の定義を行う

・ 米国の鉱物資源政策の一環として、鉱物/金属市場の動向に関する分析及び予測を行うために、DOIの下で「重要鉱物見通し年報(Annual Critical Minerals Outlook)」の作成を進める

・ DOIの下で米国における“重要鉱物”の包括的な資源評価を行う

・ 国立科学アカデミーに対して1999 年のレポート「連邦所有地における硬岩鉱山(Hardrock Mining on Federal Lands)」の更新を指示し、連邦鉱区における開発許可手続の促進を行う

・ DOEの下で“重要鉱物”の代替物、リサイクル、素材効率化の分野におけるR&D制度を確立させる

・ 同盟国との間で“重要鉱物”及びサプライチェーン問題に関する協力を進める

・ 米国労働省に対して“重要鉱物”及びサプライチェーンの専門家の育成を促進させる

 上院の公聴会では、DOI、DOE、モリコープ社、業界団体、学識経験者からの証言が行われたが、DOIやDOEの代表者が述べているとおり、上記のうちのいくつかは既に実施されているものもある(DOI許可手続の迅速化の取り組みやDOEのR&Dなど)。なお、証言者からは米国における鉱山開発後の、製錬や磁石などの製造に至るサプラチェーンの脆弱性が指摘されている。

(2) 2014 年国防授権法(P.L.113-66)4

 2014 年国防授権法(NDAA2014: National Defense Authorization Act of 2014, (HR3304,PL113-66))は2013 年10 月22 日に提出、12 月26 日施行されている。国防授権法はそもそも毎年の米軍のプログラムと予算規模の承認を行うものであるが、国防分野における特別な問題について特に指示を与えることがある。NDAA2014では、重要鉱物に関連して、戦略的・重要鉱物の保存に関する追加的な権限を大統領に付与し、国防省(DOD: Department of Defense)に対して、国防備蓄に関する特定の追加的な戦略的鉱物及び重要鉱物の取得を承認している。本規定によって、米国防備蓄は初めてレアアースの備蓄を行うことを承認されることとなった。

(NDAA2014の内容抜粋)

・ 国防備蓄に関する大統領に権限に、「回収の目的にために他の連邦政府機関において利用可能となった余分な材料から戦略的鉱物又は重要鉱物の回収を行う」権限を新たに追加する。

・ 備蓄物資の調達等のための基金に関して、その使途として「戦略的鉱物又は重要鉱物の保存の促進」に関する分野を新たに追加する。

・ 国防備蓄管理者に対して、米国における国防、産業、民生利用の分野において戦略的かつ重要であると特定された以下の鉱物資源に関して、国防備蓄取引基金を活用して取得することを承認する。承認された購入数量は価値相当で4,100万ドル分、基金使用期間は2014会計年度から2019年会計年度までとなっている。

1) フェロニオブ(Ferroniobium)

2) ジスプロシウム(金属)(Dysprosium Metal)

3) イットリウム酸化物(Yttrium Oxide)

4) カドミウム亜鉛テルル基板材料(Cadmium Zinc Tellurium Substrate Materials)

5) リチウム・イオン物質(Lithium Ion Precursors)

6) トリアミノ・トリニトロベンゼン無反応高性能爆薬用成形粉末(Triamino-Trinitrobenzene and Insensitive High Explosive Molding Powders)

 後述のDODによるレアアースの備蓄に関する調査によれば、備蓄物資の取得には、権限及び予算の獲得から約3 年間は必要とする包括的で長い手続を要するとされる。そして指定された備蓄量を完全に満たすためには、市場条件によるが、追加的に1 年から5 年の期間を要するという。なお、DODの調査では、この長い時間枠に触れて、物資を備蓄する必要性が適切な措置を実行する前に市場の条件によって不利にも有利にもなり得ると指摘している。しかし、DODがこれまで行ってきた調査を踏まえると、NDAA2014 によって新たな備蓄物資を取得する権限が与えられたことは大きな成果であり、また、重要な一歩であると言える。

(3) その他議会に提出中の法案

 上記の他にもいくつかの法案が現在提出されている。これらの法案は、米国での戦略的鉱物又は重要鉱物の開発の促進(HR761)、世界のレアアース資源や将来の供給の評価の実施(HR981、HR1063)等を目的としている。

・ HR761, 2013 年戦略的重要鉱物生産法(National Strategic and Critical Minerals Production Act of 2013)

・ HR891, 2013 年レアアース資源評価法(Resource Assessment of Rare Earth Act of 2013)

・ HR1063, 2013 年戦略的重要鉱物政策法(National Strategic and Critical Minerals Policy Act of 2013)


2 S1600, Critical Minerals Policy Act of 2013,
http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/BILLS-113s1600is/pdf/BILLS-113s1600is.pdf

3 Senate Energy and Natural Resources Committee,“Full Committee Hearing: Critical Materials Policy Act of 2013”,Jan 28,2014,
http://www.energy.senate.gov/public/index.cfm/hearings-and-business-meetings

4 HR3304/PL113-66, National Defense Authorization Act for 2014,
http://beta.congress.gov/113/bills/hr3304/BILLS-113hr3304enr.pdf

2.米国防省の取り組み

 米国検査院(GAO:Government Accountability Office)が行った調査によれば、米国国防産業におけるレアアースの利用の事例として、ミサイルの精密誘導装置、ディスク駆動モーター、地雷探知機等のレーザー装置、人工衛星のコミュニケーション装置・レーダー・ソナー装置等が挙げられている5。これら米国国防産業が消費しているレアアースは、米国全体の消費量の5%以下とも言われており6、DODは当初レアアースの重要性を過小評価していた。

 DODは戦略的重要鉱物の分野において既に国防備蓄を行っているが、現在のところレアアースの備蓄は行っていない7。DODや国防産業にとっては、レアアースが“戦略的重要鉱物”に該当するかどうかはここ数年で議論されてきたことであり、何が“戦略的重要鉱物”を構成するかは、いくつかの定義が存在するという状況となっている。しかしそれにも関わらず、DODのレアアースに対する関心は年々高まってきたと言える。

(1) 戦略物資保護委員会の所見

 現在までのところ、DODの戦略物資に対する姿勢は、戦略物資保護委員会(SMPB: Strategic Materials Protection Board)の所見によって規定されてきた。SMPBはNDAA2007によって設立され、その目的は、国家安全保障にとって重要であると分類された戦略物資の長期的な国内供給の必要性を判断し、物資毎に関連するリスクと国内供給が存在していない資源が国防に及ぼす影響を分析することであった。2008 年12 月の会合においてSMPBは、物資の“重要性”について以下のように定義している:

 「物資の重要性は、DODにおける利用の重要性と関連付けられ、その重要性の程度は、DODが市場の維持・形成に対して行動が求められるかどうか、供給途絶のインパクトとその生じる可能性による。」

 SMPBはこの定義を用いて、高純度ベリリウムだけは“重要物資”であると結論付ける。このSMPBの行った“重要物資”の定義に関しては、下院軍事委員会から“極度に範囲を狭めている”との批判が生じており、米連邦議会はNDAA2011 において、“何が物資の重要性を構成するか”という問いに対して引き続き取り組むこととなった。

(2) レアアースの国防分野における適用に関する議会への報告書

 NDAA2011 は、DODに対してレアアースのサプライチェーンの評価と米国が持つその脆弱性に対処するための計画の策定を指示している。また、DODはNDAA2011 によって、いずれの種類のレアアースが、以下の基準に適合するかの評価を行うことを求められることとなった。

 1) 米軍の軍事機器の生産・維持又はオペレーションにとって必須であるようなレアアース

 2) 米国連邦政府のコントロールが及ばない行為や出来事によって供給途絶の対象となるレアアース

 DODは、このNDAA2011 の求めに対応して2012 年3 月に7 ページからなる報告書を提出した8。この報告書においてDODは、17 種類のレアアースのうちの7 種類が、上記の基準に適合すると結論付けている。これらのレアアースは、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ネオジム、プラセオジム、イットリウムであり、国防分野においてその利用が最も普及しているレアアースとされている。DODは同報告書において、これらのレアアースの2013 年までの供給評価を行い、その結果、イットリウムを除いて2013 年までは米国国内での生産が必要とされる国防産業からの需要を満たすことができると判断した。

 対して脆弱性への対処計画として、既存の権限範囲内で以下のオプションが行使し得ると述べている。

1) 市場及び生産水準の継続的で厳格な監視

2) 防衛産業基盤における物資供給チェーンの見直しの繰り返し

3) コントラクターが所有するものであれ、米国連邦政府が補助金を提供するものであれ、緩衝用の備蓄を確立する準備(但し予め定められた市場指標を満たされた場合に限る)

4) ベンダーが管理する在庫を取得するための緊急措置の確立に向けた準備(但し予め定められた市場指標が満たされた場合に限る)

5) 産業界、大学、非営利団体に対する利用可能な金融措置の評価

6) 国防生産法から得られる利益の評価

7) 代替物質に関する研究・開発の評価

8) 外国貿易実務の評価

 報告書の結論として、DODは国防産業におけるレアアースの使用は全米使用量から見れば僅かであり、単独で見ても米国内での供給量の増加はこれらの需要を満たす水準に成長してきていると述べる。しかし、DODは引き続き、供給源の多様化、代替物質の追求、リサイクルという3 つの分野における長期的な取り組みにコミットし続けるとも述べている。

(3) 2012年の2 つの報告書

 レアアースの国防分野における適用に関する議会への報告書で述べられた、脆弱性への対処計画又は「3 つの分野における長期的な取り組み」に関し、DODは2 種類の個別の評価報告書を作成している。1 つはレアアースの国家備蓄を構築することの実現可能性と妥当性に関する評価報告書であり、NDAA2012 によってDODに対して作成が求められていた9。もう1 つはレアアースのリサイクル・回収・再処理の実現可能性と妥当性に関する評価報告書であり、NDAA2012 に下院が付した報告書によってDODにその作成が求められていた10

 レアアースの国家備蓄に関する評価報告書の所見は以下のとおりである。

・ レアアース供給不足に対応するための国防備蓄は、原料レベルにおいては、米国国防が必要とするものとしては特定されなかった。

・ しかし、特定の重希土類原料の供給の十分さと信頼性に関しては、採掘段階や高純度酸化物に関して不確定性が存在しており、1)高い水準の監視を行うことと、2)半加工レアアースを含む物質に関する緩和策の構築と評価を行うこと、3)軍事システムのスペアパーツの在庫を維持すること、が妥当であると考えられる。

・ 超高純度酸化イットリウムとジスプロシウム金属は、特に海外に生産が集中しているために、リスク緩和策の策定が求められる。

・ NDAA2011 に対応して提出された2012 年3 月の報告書で述べられている通り、DODは、これらの物質の長期的な利用可能性を確保するために、供給源の多角化、代替物質の追求、リサイクルという3 つの長期的な取り組みを継続する。

 リサイクルに関する評価報告書は入手できなかったためその内容については割愛する。

(4) 産業界の対応能力に関する議会への年次報告書

 ハイテク機器を多数有する大規模な米軍を維持するためには、それらの調達と米軍の要求事項に対応できる強固な産業的基盤が存在していることが不可欠である。米国法典タイトル10§2504 は、DODに対して毎年、各産業界の対応能力の評価と必要な対策指針をまとめることを指示している。これら産業界には物質産業も含まれている。2013 年10 月に発表された最新の年次産業能力報告書は、レアアースに関して、様々な理由から、2010 年から2011 年にかけて生じたレアアースのサプライチェーンに関する全般的な問題点は改善されたと述べている11。この時点においては確かに過去2,3 年間に生じた懸念は概ね解消されたとも言えるが、DODは同報告書において、重希土類の供給や国内サプライチェーンの脆弱さに関して注意を促している。

・ グローバル市場の需給圧力はレアアースのサプライチェーンを活性化しており、これらレアアースのほとんどに関して、国防産業が利用するために十分な供給がなされる見込みとなっている。

・ 米国を含むレアアースのサプライチェーンの強化と多様化が、将来において予測される。

・ しかしレアアースの市場は、レアアース元素毎に独特の市場構造を有しているために均一ではない。そのようなことから、個々のレアアースの利用可能性や処理能力に関して依然として懸念が生じており、DODはそのような供給懸念に対処するための行動を採ってきた。

・ これらの懸念が生じている要素には、重希土類や高純度酸化物・金属・冶金・永久磁石などが挙げられる。

・ 概してこれら全ての国内サプライチェーンは存在してはいるが、希薄なものとなっている。

(5) 2013 年戦略的重要物資の備蓄要求報告書

 国防備蓄を規定している戦略的重要鉱物備蓄法(PL76-117, 50 USC§98)は、DODに対して隔年で、議会が指示した緊急時に関するシナリオの下での戦略的重要物質に関して生じる問題の評価と、問題となった物資に関する対応策の提案を行うことを指示している。この最新の戦略的重要物質2013 年備蓄要求報告書は、2013 年1 月に議会に提出されている。12

 2013 年の報告書では、2015 – 2018 年のタイムフレーム(1 年間の軍事紛争とそれに続く3 年間の復旧期間)の下で、76 種類の物資に関して評価を行い、国防産業及び民生利用の双方の分野において供給不足が生じる可能性について検討が行われている。この調査の結果、DODは評価対象の約3 分の1 となる23 種の物資に関して需要に対する供給の不足が生じ、その不足数量は金銭価値にして130億ドル(2012 年)になるとの所見をまとめている。これら23 種類の物資のうち4 種類(3 種類のカーボンファイバーと1 種類のレアアース酸化物)については明らかにされていないが、残りの19 種類の物資のうちレアアースに関しては6 種類(イットリウム、ジスプロシウム、エルビウム、テルビウム、ツリウム、スカンジウム)が、特定のシナリオの下で供給不足を生じると判定されている。

 DODはこれら物資の供給不足に対して、1)追加調達、2)代替物資への転換、3)輸出規制、4)備蓄というアプローチを提案しており、概して、この順番によって適用していくことが効果的と述べている。(もっとも、物資の種類に応じてこれら対応策の効果は異なってくる。)

 本調査は、“備蓄要求報告書”と銘打っているとおり、国防備蓄物資として指定が必要な物資についても提案を行っている。DODは、既存国防備蓄の在庫の有無や備蓄による不足緩和策のコスト等を考慮しながら、これら76 種の物資の中から優先付けを行った。DODは、これらの優先物資として、1)ツリウム、2)エルビウム、3)ガリウム、4)ジスプロシウム、5)ビスマス、6)タンタル、7)イットリウム、8)炭化ケイ素、9)アンチモン、10)粗溶融アルミナ、を挙げている。

 DODは、2013 年の報告書では考察の対象とならなかった物資についても評価の必要性を認識している。また、提案として挙げた緩和策に関しては、下流分野における継続的で、より深い評価が必要であるとも述べている。それは物資自体の供給不足が存在しないことは、必ずしも下流分野における脆弱性が存在しないことを意味しないという認識であるからである。そのためDODは今後特に、下流分野のサプライチェーンにおける評価能力を追求することを重視している。それとともに、今回の調査と2012 年に実施したレアアースの国家備蓄に関する評価報告書(前述)とを関連付けることもまた、取り組むべき優先度が高い事項と述べている。


5 Government Accountability Office, “Rare Earth Materials in the Defense Supply Chain”, Apr 14, 2010, http://www.gao.gov/new.items/d10617r.pdf

6 Ratnam, Gopal. “Rare Earth Shortage Would Spur Pentagon to Action”. Bloomberg News, April 9,2012,
http://www.bloomberg.com/news/2012-04-09/rare-earths-shortage-would-spur-pentagon-to-action.html

7 国防兵站局(Defense Logistic Agency)は、戦略的重要鉱物備蓄法(Strategic and Critical Materials Stock Piling Act, PL76-117, 50 USC§98)に基づき、現在クロムやコバルト、イリジウムといった計19鉱種を備蓄し、毎年策定している年間物資計画に基づき物資の売却等を行っている。その活動状況は毎年米連邦議会に報告書として提出されている。

8 DOD, “Report to Congress Rare Earth Materials in Defense Application”, Mar, 2012,https://www.hsdl.org/?view&did=704803

9 DOD, “Report to Congress on Assessment of Feasibility and Advisability of Establishment of Rare Earth Material Inventory”, Sep 2012,
http://www.cecd.umd.edu/publications/Argonne%20Lab/Report%20on%20Rare%20Earth%20Inventory%20Sept-12.pdf

10 H.Rept.112-329, National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2012, Conference Report, P781,Dec 12, 2011,
http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/CRPT-112hrpt329/pdf/CRPT-112hrpt329-pt1.pdf

11 DOD, “Annual Industrial Capabilities Report to Congress”, Oct 2013,
http://www.acq.osd.mil/mibp/docs/annual_ind_cap_rpt_to_congress-2013.pdf

12 DOD, “Strategic and Critical Materials 2013 Report on Stockpile Requirement”, Jan.2013,
http://www.strategicmaterials.dla.mil/Report%20Library/2013%20NDS%20Requirements%20Report.pdf

4.エネルギー省の取り組み13

 2009 年のオバマ大統領就任以来、米国のエネルギー政策の目的は海外からの輸入原油を低減させることであり、そのために国内石油・天然ガス生産の促進、エネルギー利用の効率化促進、クリーンエネルギーの普及・拡大促進を柱とする政策が進められてきた。特に再生可能エネルギーの普及・拡大は、オバマ政権が重要課題と見なす気候変動対策とも連動しており、連邦政府予算の投入や税制優遇措置などを用いて強力に進められてきた。米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)は、クリーンエネルギーの分野におけるR&Dへのファンディングや、2008 年に生じた不況に対する経済刺激政策の下で創設された債務保証制度などを通じてクリーンエネルギーの普及・促進を支援している。

 クリーンエネルギー技術には、レアアースや戦略的重要物資を利用する高度な技術が必要とされる。国防省が主に国防分野における必要性の観点からレアアースや戦略的重要物資に関する分析を進めていたのに対し、DOEはクリーンエネルギー技術にとって“戦略的かつ重要”となる物資に関して、独自の戦略を構築している。

(1) 2010 年重要物質戦略

 2010 年重要物質戦略は、DOEのクリーンエネルギー普及の取り組みの一環として2010 年12 月に発表された計画であり、再生可能エネルギー技術においてレアアースその他の物質が果たす役割を吟味し、特に重要な要素を特定するとともに、それら要素の安定的な確保のための方策をまとめている。14

 この報告書の中でDOEは特に、1)風力タービン、2)電気自動車、3)太陽電池、4)電灯という4 つのクリーンエネルギー技術の分野で用いられる物質について焦点を当てている。それはこれらの技術の普及が将来に渡って拡大することが予測され、それと同時に、これらの技術は比較的多くのレアアースやその他重要な物質を利用するため、世界的にもこれらの物質の需要の拡大が予想されるからである。DOEは本調査の結果として、以下の所見をまとめている。

・ 風力タービン、電気自動車、太陽電池、蛍光灯を含む幾つかのクリーンエネルギー技術は、短期的な供給途絶のリスクに晒されている物質を使用している。

・ クリーンエネルギー技術は現在(2010 年時)、世界における重要物質の全消費量の20%を構成している。今後10 年間でクリーンエネルギー技術がより広範に普及していくにつれて、重要物質の世界の消費量におけるこれらの割合も増加する可能性がある。

・ 分析対象となった物質のうち、5 種類のレアアース(ジスプロシウム、ネオジム、テルビウム、ユウロピウム、イットリウム)とインジウムが、短期的に最も重要な要素であると評価された。ここで言う“重要性”とは、クリーンエネルギー経済にとっての重要性と供給途絶のリスクを組み合わせた尺度である。

・ レアアースは、実際のところ“レア”ではない。それらは米国やカナダ、オーストラリアを含む国々で発見されている。しかし、現在のところ、95%以上のレアアースの生産が中国でなされている。新しい鉱山を稼働させることは、長い時間と多くの資本支出を必要とする。

・ 重要物質に係るコストは多くの場合、クリーンエネルギー技術が必要とするコストのほんの一部にとどまっており、従って、これらの物質の価格の上昇は、最終製品やそれらに必要となる技術の需要に対しては、大きなインパクトを及ぼさないかもしれない。しかし、価格の問題への対応を欠くことは、供給不足の可能性を提起し得る。

・ 健全な政策と戦略的な投資は、特に中期的・長期的な時間枠における供給途絶のリスクを軽減し得る。

・ この報告書で検討された多くの論点に関するデータは希薄である。

 DOEはこれらの所見に基づき、取るべき戦略と次のステップについてもまとめている。DOEが提示する計画は、1)重要物質に関する最初の統合的な研究計画の策定、2)この分野における情報収集能力の強化、3)供給途絶に対する脆弱性を低減させ重要物質の必要性に対処するために日本やEUなどの国際的なパートナーとの協力を進めていくこと、であり、特に、A)世界的なサプライチェーンの多様化、B)代替物質の開発、C)リサイクルと効率的利用の研究に焦点を当てることとしている。そして具体的な施策としてのプログラムや政策の方向性として、この報告書は、a)研究開発、b)情報収集、c)国内生産許可、d)国内生産・精製のための金融支援、e)備蓄、f)リサイクル、g)教育、h)外交の8 分野の検討を行っている。

 DOEはこの報告書を重要物質に関する最初の取り組みと位置付けており、変化する環境や利害関係者等からのフィードバックを得て、更なるアップデートを行う意向を示していた。そして現に、更なる情報収集と情勢の変化を受け2011 年に2011 年版重要物質戦略を発表することとなった。

(2) 2011 年重要物質戦略

 2011 年12 月にDOEは、前年の取り組みのアップデートとして、2011 年版重要物質戦略を発表した15。前年のアップデートに加えて2011 年の報告書は、”重要性”評価や重要物質に係る課題を特定するための市場分析や技術分析に特に力を入れている。全体的な2011 年の所見は2010 年の報告書と大きく変わるところはないが、興味深い点の1 つとして、物質の“重要性”判定に関して、若干の相違が見られることが挙げられる。

・ 風力タービン、電気自動車、太陽電池、蛍光灯で用いられる16 の物資のうち、5 種類のレアアース(ジスプロシウム、テルビウム、ネオジム、ユウロピウム、イットリウム)が短期的(2011 – 2015 年まで)に“重要”である。

・ セリウム、インジウム、ランタン、テルルは、これらの分野にとって、次に“重要”であると判定された。

・ 短期から中期(2015 – 2025 )の期間において、いくつかの物質に関するクリーンエネルギー技術や供給リスクに対する“重要性”は変化する。その下では、上記5種類のレアアースが依然として“重要な”要素であると認定される一方、リチウムとテルルが“次に重要な”要素となる。

 市場分析に関しては、レアアースその他重要物質の市場ダイナミクスを吟味しており、以下の所見をまとめている。

・ 近年、検討対象とされたほとんど全ての物質の需要は、鉄鋼のような金属と比べて急速に成長している。これらの需要増加は、クリーンエネルギーや、携帯電話、パソコン、テレビ用ディスプレイといった製品に由来している。

・ 概してグローバルな物質への供給対応は、資本の不足や長いリードタイム、貿易政策その他要因によって、過去10 年において緩慢であった。

・ 多くの大学や研究機関が、学際的な知識をもたらす講座や研究、インターンを通じて将来の科学、エンジニア分野における人材供給の準備を行ってきた。

・ サプライチェーンにおける様々な段階において、企業は市場のダイナミクスに対応してきた。これら対応の仕方は、価格高騰や物質の不足に対する自己防衛であったり、追加的な供給源や代替物質を提供するなどによる積極的な対応であったりした。

・ 多くの政府が経済面での競争性にとっての原料の重要性を認識し始めており、供給リスクを緩和するために積極的な役割を担い始めた。

 技術分析に関しては、以下の3 つの分野に焦点を当てて所見をまとめている。

・ 石油精製の分野においてレアアースは重要な役割を担っているが、石油精製産業のレアアース供給不足に対する脆弱性はそれほど大きくはない。ランタンは流動接触分解プロセスの触媒として用いられているが、他のレアアースに比べてその供給はそれほど“重要”ではなく、製油所はこれらの使用量をいくらか調整する能力を有している。

・ 風力発電や電気自動車技術の製造業は、レアアースの不足の可能性に対する戦略を追求している。ネオジムやジスプロシウムを含む永久磁石は、風力タービン発電機や電気自動車のモーターに用いられている。これらの技術を有している製造業者は、将来のシステム設計や、ネオジムやジスプロシウムがもたらすパフォーマンス上の利益と供給不足の可能性との間の対応策を作成している。

・ 照明効率基準が各国で適用されるようになるにつれて、蛍光灯への重希土類の使用は、その供給不足をもたらす可能性がある。

 重要物質に関する課題に対する方策は、2011 年報告書も2010 年報告書と違う点はない。DOEはこれらの報告書でなされた評価と提案に基づき、具体的な方策を実現するために前進する。2013 年に設立された重要物質研究所は、その象徴的な取り組みである。

(3) 重要物質研究所

 重要物質研究所(CMI: Critical Material Institute)は、DOEの重要物質戦略で提示された計画を実行すべく2013 年9 月に正式に稼働を開始した16。CMIは、エイムズ国立研究所を中心機関とし、その他の国立研究所、大学などのアカデミズム、産業界とパートナーを組む、いわば“ハブ研究所”であり、2011 年重要物質戦略で特定された5 種のレアアースと2 種のレアメタルに特に焦点を当て、重要物質の供給不足の解決策を構築することを目的としている。

 CMIの取り組みは、重要物質戦略で示された3 つの柱、すなわち、1)サプライチェーンの多様化、B)代替物質の開発、C)リサイクルと効率的利用の研究に焦点を当てている。その最初の年の活動として、上記に関連する35 のプロジェクトが開始されており、5 年間で1億2,000万ドルが投じられる予定である。


13 エネルギー省のレアアースや重要物質に関する取り組みについては前述の上院公聴会でのDOEの証言者の発言に全体がよくまとめられている。 Dr. David Danielson, Written Statement, Jan 28, 2014,http://www.energy.senate.gov/public/index.cfm/files/serve?File_id=09cbb279-8e78-46b9-b715-e39848e90dd7

14 DOE, “Critical Materials Strategy”, Dec 15,2010, http://energy.gov/node/206101

15 DOE, “Critical Materials Strategy”, Dec 22, 2011, http://energy.gov/node/349057

16 Ames Lab, “U.S. Dept of Energy, Ames Laboratory mark new era in critical materials research with New Energy Innovation Hub”, Sept 10, 2013,
https://www.ameslab.gov/news/news-releases/us-dept-energy-ames-laboratory-mark-new-era-critical-materials-research-new-energ

5.内務省米国地質調査所

 内務省傘下の米国地質調査所(USGS: United States Geological Survey)は、国立鉱物資源情報センターを通じて、“Mineral Commodities Summaries Report”と“Minerals Yearbook”という2 種類のレアアース関連活動に関する年間サマリーを発表している。また、USGSは鉱物資源評価を行っており、最近ではレアアースのリサイクルに関する報告書を発表している17。米国におけるレアアース資源のポテンシャル評価に関しては、2010 年11 月に“The Principal Rare Earth Elements Deposits of the United States”が発表されている18


17 USGS, “Rare Earth Elements-End Use and Recyclability, Scientific Investigations Report 2011-2094”,
http://pubs.usgs.gov/sir/2011/5094/pdf/sir2011-5094.pdf

18 USGS, “The Principal Rare Earth Elements Deposits of the United States-A Summary of Deposits and a Global Perspective”, Nov 2010, http://pubs.usgs.gov/sir/2010/5220/

6.米・日・EUによる中国のレアアース政策に対するWTO提訴の概況

 以下では、米国連邦政府の取り組みの一環として、WTOとの関係について若干触れる。

 2012 年3 月13 日、オバマ大統領は中国のレアアース、タングステン、モリブデンに関する輸出制限に対してWTOに提訴を行うことを発表した19。米国通商代表部(USTR: United States Trade Representative)によれば、米国はこれに加えて、中国が行っているとされる輸出関税、輸出割当、最低輸出価格要求、輸出ライセンス要求、その他輸出数量規制に関連する追加的な要求事項や手続を課すなどの措置について言及している20。これに対して中国は、輸出規模の削減は、レアアース採掘跡の環境災害対策であると主張している。

 その後、2012 年3 月22 日に日本、EUが、3 月26 日カナダが、この協議への参加を求め、中国はWTO紛争解決機関(DSB:Dispute Settlement Body)に対して、これら3カ国の参加を受け入れることを通知した。2012 年9 月12 日、米・日・EUはWTOに審議委員会の設置を求めており、同委員会は9 月24 日に設立され、2 回の審査委員会の会合が開かれていた。

 2014 年3 月26 日、WTOは中国のレアアース輸出制限がWTOのルールに違反するとの見解をまとめた最終報告書を発表し、米日欧の主張を支持した21。同最終報告書はWTOの2013 年3 月26 日付の文書によれば2013 年11 月21 日までに発表される予定であったが作業が遅れていた。なお、USTRのプレスリリースによれば、今回発表された最終報告書はWTOのルールの下で今後60 日間の回覧に供され、採択されるか、あるいは、控訴されることになるかが明らかになるという22


19 Whitehouse, “President Obama speaks on Enforcing Trade Rights with China”, Mar 13, 2012, http://www.whitehouse.gov/photos-and-video/video/2012/03/13/president-obama-speaks-enforcing-trade-rights-china/#transcript

20 USTR, “Measures related to the exportation of Rare Earth, Tungsten and Molybdenum”, http://www.ustr.gov/trade-topics/enforcement/dispute-settlement-proceedings/wto-dispute-settlement/pending-wto-disputes-1

21 WTO 2014 News Items, “WTO Issues panel report on China’s rare earths exports”, Mar 26,2014, http://www.wto.org/english/news_e/news14_e/431_432_433r_e.htm

22 USTR Press Release, “United States Wins Victory in Rare Earths Dispute with China: WTO Report Finds China’s Export Restraints Breach WTO Rules”, Mar 26,2014, http://www.ustr.gov/about-us/press-office/press-releases/2014/March/US-wins-victory-in-rare-earths-dispute-with-China

7.米国における最近のレアアース開発23

 米国で現在生産中の鉱山はモリコープ社が操業するマウンテン・パスのみである。しかしながら、いくつかの企業が探鉱又は開発段階へと着手し始めている。

(1) モリコープ社

モリコープ社(Molycorp Inc)が操業する米国カリフォルニア州のマウンテン・パス(Mountain Pass)鉱山は、米国で唯一の稼働中のレアアース鉱山である。この鉱山は1952 年から2002 年まで操業されていたが、採掘許可が失効したのと、環境規制対応への高いコストが重なったために許可の更新ができなかった。2012 年、モリコープ・ミネラル社は、マウンテン・パス鉱山における採掘・鉱石処理活動を再開し、バストネサイトやその他レアアース中間物、精製品が新たに採掘された鉱石から生産されることとなった。

(2) レア・エレメント・リソーシス社

レア・エレメント・リソーシス社(Rare Elements Resources, Ltd.)は、米国ワイオミング州において、ベア・ロッジ・クリティカル・レアアース・プロジェクト(Bear Lodge Critical Rare Earth Project)の開発を行っている。同社は、コロラド州レイクウッドをベースとする鉱物資源企業であり、本プロジェクトを遂行するために設立された。ベア・ロッジは、高品位の軽希土類と重希土類の双方を埋蔵していると言われている。レア・エレメント・リソーシス社は、ブル・ヒル鉱床で高品位のコアを捕捉しており、資源量は1,470万t、平均品位は3.22%レアアース酸化物である24

(3) USレアアース社

米国テキサス州プラノをベースとするUSレアアース社(USRE: US Rare Earths, Inc)は、鉱物資源の探鉱・採掘企業である。USRE社の前身はコロラド・レアアース社という企業であり、現在のUSRE社は、コロラド州、アイダホ州、モンタナ州において、1万6千エーカー以上のレアアース鉱業権を有しているという。中でも最も探鉱活動が進んでおり、高品位の重希土類を胚胎が見積もられているのは、アイダホ州のダイヤモンド・クリーク(Diamond Creek)鉱床と、モンタナ州とアイダホ州にまたがって存在するレムヒ・パス(Lemhi Pass)鉱床であると同社は述べている。

(4) ユーコア・レア・メタル社

ユーコア・レア・メタル社(Ucore Rare Metals Inc)は、カナダ・ノバスコシア州に本社を置く、レアメタルの短期的な生産ポテンシャルに焦点を当てている鉱山開発企業である。主な開発地域は米国アラスカ州のボーカン・マウンテン(Bokan Mountain)であり、同社によれば、同地域には重希土類、特にジスプロシウム、テルビウム、イットリウムが豊富に埋蔵する。なお、ユーコア社は、2012 年10 月1 日付のプレスリリースにおいて、米国防省との間で、ボーカン・マウンテンプロジェクトにおける鉱物学・冶金学的研究の実施に係る契約を締結したことを発表している25

(5) テキサス・レアアース・リソーシス社

テキサス・レアアース社(Texas Rare Earth Resources)は、米国テキサス州エル・パソをベースに活動を行っている企業であり、ラウンド・トップ・プロジェクト(Round Top Project)の開発を行っている。2013 年12 月に発表された予備的経済評価書によれば、現在の採掘計画の対象となっている資源量の合計は525,400tのレアアース酸化物となっており、全レアアース酸化物の平均品位は634g/tとなっている26


23 本項は各社ホームページ情報から作成した。

24 Rare Element Resources, “NI43-101 Technical Report”, May 2nd, 2013,
http://www.rareelementresources.com/bear-lodge-project/project-related-studies-reports/ni-43-101-technical-report#.UxedSa0o7Vg

25 Ucore Rare Metals, “US Department of Defense Contracts With Ucore for Metallurgical & SPE Studies”, Oct 1st, 2012,
http://ucore.com/us-department-of-defense-contracts-with-ucore-for-metallurgical-spe-studies

26 Texas Rare Earth Resources, “Texas Rare Earth Resources Report Robust Economics for New Round Top Preliminary Economic Assessment ”, Dec 4th, 2013,
http://trer.com/news/press_releases/index.php?&content_id=80

8.むすびに

 レアアースはその“レア”という文言にも関わらず、この地球上には量の観点からは比較的豊富に存在している。しかし、鉱石中への濃集が低いことや、経済的に採掘及び製錬することは困難でコスト高になるという問題点を有している。米国には比較的多くのレアアース資源が存在していると言われるが、レアアースの精製等を行う下流部門及びサプライチェーンを欠いていることが大きな課題となっている。

 本項では特に米国の政権のレアアースや戦略的重要物資に関する取り組みについて紹介してきたが、その議論はここ数年間において活発になされてきた。特に国防省がどのような要素を“重要”と認め、対策を講じるかに関しては、様々な報告書やスタディが実施されているようにまさに苦闘してきたと言える。このような取り組みは議会の承認を不要とする行政府の活動としてなされてきた。他方で、米議会における本問題に対する関心も高まってきており、鉱物資源政策の見直しも視野に入れたいくつかの法案も提出されている。しかし、議会内の党派対立もあり法案の審議は進んでいない。

 概して、米政権も米議会も本問題に関する理解を深める長いリードタイムに入っていると言える。その理解が今後深まっていけば、取り得る施策も変わってくるかもしれない。

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