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報告書&レポート

2014年4月3日 ロンドン事務所 北野由佳
2014年13号

African Mining INDABA 2014(第20 回アフリカ鉱山投資会議)Part 2:鉱山会社による講演

 2014年2月3~6日、南アフリカ共和国のケープタウンにて今回で第20回目の節目となるMining INDABA 2014(アフリカ鉱業投資会議)が開催された。今回は「Part 1:政府代表者による講演」に引き続き、鉱山会社による講演等を紹介する。なお本稿は、Mining INDABA事務局による資料に基づき作成したものであり、また講演者の職名は会議開催当時のものである。

3.海外資源メジャーによる講演

3-1. Anglo American, Executive Director, Khanyisile Kweyama氏i
 鉱業が地球の表面積に与える影響は1%足らずであるが、鉱業は世界経済の40%以上に貢献しており、これは素晴らしい功績であると言える。鉱業は我々の日常生活のあらゆる側面において不可欠であるにもかかわらず、しばしば社会に対する脅威であるとみなされ、鉱山会社は鉱業に反対する人々に包囲されているかのように感じさえもする。それは、鉱業がもたらしている望ましい貢献と鉱業の不可欠性が社会に十分に認識されておらず、鉱業の評価が悪いためである。鉱業が生産する原材料の中には、自動車触媒や燃料電池に利用される白金族など地球環境の保護にとって必要な金属も含まれ、社会の進歩のために金属は必須である。また鉱業が世界経済において直接的に占める割合は11%、鉱業関連事業への支払いでさらに10.5%、そして、農業用の肥料、エネルギー及び運輸業用の燃料、鉄鋼及び製造業用の石炭や鉄鉱石、そして建設業用の製品の供給といった点も考慮に入れると、世界経済において鉱業は40%以上もの貢献をしていることになる。鉱業を単なる「採取産業(extractive industry)」と呼ぶことは間違いである。鉱山会社は鉱物資源の採掘だけではなく、雇用創出や様々な形で物理的及び社会的インフラを整備している。また経済合理性にかなう場合には、資源国内で鉱石の加工、つまり高付加価値化(beneficiation)を行っている。Anglo Americanは、他のメジャー企業と同様に会社独自の斬新的な方針によって補完された厳しい環境及び社会的規則に従って鉱山操業をしている。Anglo Americanでは、株主、労働者そして地域社会や政府といったその他の利害関係者が我々の成功から利益を享受する権利があることを理解している。それにもかかわらず未だに鉱業に対する悪評がある。「鉱業反対」のスローガンを掲げるNGO団体や鉱業がもたらす悪を暴露しようと監視する市民社会が存在しており、鉱業の評価を落とすための様々な情報源がある。鉱業が過去に地域社会の環境や労働者の健康に悪影響を与えたという事実や、また未だ不十分な配慮のまま操業をしている鉱山会社が存在すること、そして誠心誠意をもって操業する我々のような鉱山会社でも時として間違いを犯すこともあり得るという事実は認めなくてはならない。このような事実を認めるのは心苦しいが、正直に包み隠さず情報を共有し、信頼を得ることが鉱業の評価を形作っていく。信頼を得ることは、鉱業が担う役割、人類の発展における鉱業の重要性そして社会へのプラスの影響といったストーリーも信じてもらうために必要である。鉱山会社だけではなく、第三者機関が鉱業を肯定するような話を伝えることが重要である。悪い評価は、鉱業関連の規制や税制に影響を与え、鉱山の開発や優秀な人材の獲得を困難にし、鉱山会社が資本や投資を集める能力にも悪影響を与える。持続可能な未来を創造するために鉱業が必要であるということを社会に納得させることは鉱業プロジェクトよりも難しいことであるので、鉱業界は協力し鉱業が正当な評価を獲得していく必要がある。

3-2. Rio Tinto, Chief Executive, Diamonds & Minerals, Alan Davies氏ii
 アフリカは経済成長や投資先という観点から見て「ニュー・フロンティア(New Frontier)」と呼ばれることがあるが、Rio Tintoは50 年以上も前からアフリカでビジネスを行っており長い歴史がある。現在、南ア、ナミビア、モザンビーク、ギニア、マダガスカル、カメルーン、ジンバブエの7 か国に鉱業プロジェクトを有しており、対象鉱種はボーキサイト、アルミニウム、ウラン、ダイヤモンド、チタン、ジルコン、鉄鉱石と多種にわたる。

 Rio Tintoとアフリカは、長きにわたり広いつながりを持っている。Rio Tintoは140 年の操業の歴史から、我々が操業をしている資源国自体が成功を収められる場合に、我々も最大の成功を成し遂げられるということを学んだ。アフリカに関しては、成功までの道のりは他の資源国と異なる部分もあるが、パートナーシップの構築が重要であるということに変わりはない。成功をもたらすようなパートナーシップとは、利益共有を可能にするパートナーシップである。まず政府とのパートナーシップに関して言うと、Rio Tintoはアフリカでのビジネスから(2012 年に)2億8,000万US$の直接税とロイヤルティを政府に支払っている。またアフリカにおける雇用者数は6,500名以上で、うち95%がアフリカ出身の労働者である。我々のパートナーにはその他にも、国民一人一人、地域コミュニティ、NGO団体、小企業、多国籍大企業といった多様な複数のパートナーが含まれる。パートナーの数が増えれば増えるほど、利益が地域、地方そして国全体といったより広い範囲で共有されるようになる。このような多様なパートナーが集まって、革新的で協調的なパートナーシップを構築するためには、それぞれのパートナーが互いの強みを理解し、それを活用していく必要がある。政府には、安定した法制度と財政構造を提供して投資を誘致し、そして国全体が恩恵を享受できるようにビジネスから生じた利益を配分するという役割がある。鉱山会社は鉱物資源を市場に供給するために、技能、インフラ整備、安全な労働環境等を提供する役割がある。IFC(国際金融公社)のような団体は、民間企業による対開発途上国投資を促進するうえで重要であり、またNGO団体は厳しい環境及び社会的コンプライアンスの実施を可能にする。つまり、様々なパートナーがそれぞれの強みを活かし、全体の共通した目標を達成するために協力することが大切である。そのためには、それぞれのパートナーが持つ個々の目標を互いに尊敬しあい、お互いの活動に関して高い透明性を保つことが必要である。

3-3. Ivanhoe Mines Ltd, Executive Chairman and Founder, Robert Friedland氏iii
 Ivanhoe Minesはアフリカでのビジネスで20 年の歴史があり、以下の3 つの鉱山開発プロジェクトをアフリカに有している:

<Platreef白金族金属・ニッケル・銅プロジェクト>

 南アのブッシュフェルド地域にあるPlatreef白金族金属・ニッケル・銅プロジェクトは、Ivanhoe Minesが権益の90%を有しており、残りの10%は伊藤忠商事、JOGMEC、日揮株式会社からなるコンソーシアムが有している。2013 年6 月に採掘権を申請した。採掘権の取得後は、Ivanhoe Minesの権益は64%となり、残りの26%は黒人経済力強化政策(BBBEE)実施のためのパートナーとなるBBBEE SPVが取得する(Ivanhoe MinesはBBBEE SPVの49%を所有)。Platreef鉱床では、カットオフ品位2 g/t4PE(白金、パラジウム、金、ロジウム)、平均24 mの厚さの鉱化が広範囲に広がっており、加えて2013 年10 月の試掘調査では厚さ90 mの鉱化が確認された。またPlatreefでは大型重機を導入して安全な鉱山操業を実現できる予定である。

 Ivanhoe MinesはPlatreefプロジェクトの一環として、地域農業を支援する「Temong農業コミュニティプロジェクト」や地域産業を支援する「エンタープライズ開発プログラム」を実施しており、持続可能な地域コミュニティの発展を促進している。

 都市における大気汚染を改善するため、自動車触媒や電気自動車用の燃料電池に使用される白金族の需要がさらに高まっていくと考えられる。世界の白金埋蔵量の75%を有する南アフリカでは、今後、燃料電池の生産において重要な役割を担うことができると推測している。

<Kamoa銅プロジェクト>

 DRコンゴのKatanga州に位置するKamoaプロジェクトではIvanhoe Minesが権益の95%を有している。2013 年11 月のPEA(予備的経済性調査)の結果によると、高品位かつ大規模な銅鉱山になれるというだけではなく、銅1 lbあたり1.91 US$という低コストでの銅生産が可能であるということが分かった。プレFSは2014 年に実施が予定されている。

 Kamoaプロジェクトにおいては、トウモロコシの栽培に関する「Kamoaにおける持続可能な生計プロジェクト」や縫製技術の習得を可能にする「Walembaプロジェクト」といったプロジェクトのスポンサーを務めており、地域コミュニティにおける持続可能な生活の実現を促進している。

 中国や発展途上国においてインフラの整備が進むため、銅の世界需要は高い水準を維持することが予想される。特に医療現場でのバイオサイド(殺生物性)製品としての銅の利用に高いポテンシャルがあると期待している。

<Kipushi亜鉛プロジェクト>

 KipushiプロジェクトはDRコンゴのKatanga州に位置する亜鉛・銅鉱山の再開発プロジェクトで、Ivanhoe Minesが権益の68%を、残りの32%を国営のGécaminesが有している。旧採掘場の排水除去作業が行われており、2013 年12 月に中心となる作業場へのアクセスが可能となった。2014 年の早い段階で坑内での試掘プログラムを開始できる予定である。Gécaminesが1993 年に発見したBig Zinc鉱床の鉱床規模の把握が試掘プログラムの主な目的である。

 亜鉛は従来の利用方法に加えて、亜鉛含有肥料といった農業における利用に期待している。また世界最大級の亜鉛鉱山が閉山を予定していることから、高品位のKipushiプロジェクトが持つポテンシャルが高まると思われる。

 Ivanhoe Minesはアフリカにおける20 年の活動から得た経験を基盤として、今後も資源国の国民や地域コミュニティの願いを理解し尊敬することに全力を尽くしながら、アフリカにおいて探鉱や開発プロジェクトを進めていきたい。

3-4. Vale Mozambique, Project Director Africa, Asia & Australia, Ricardo Saad氏
 Valeのアフリカにおける活動は、ギニアのSimandou SouthにあるZogota鉄鉱石プロジェクト、モザンビークのMoatize石炭鉱山、ザンビアのLubambe銅鉱山(Vale権益40%)そしてマラウイのNacala回廊(輸送設備)開発プロジェクトなどがある。Moatize石炭鉱山はValeの石炭部門における重要プロジェクトで、2011 年に生産を開始している。現在拡張工事を行っており、将来的には生産量が2,200万t/年に拡大する予定である。またNacala回廊開発プロジェクトもValeのロジスティックス部門の重要なプロジェクトであり、Moatize石炭鉱山からNacala港を結ぶ鉄道が建設され、貨物及び旅客の移動が可能になり、地域経済の発展につながることが期待されている。

 Valeはこれから数年間でアフリカに70億US$を超える投資を行う予定である。メジャーな企業の一つとして、我々はCSR(企業の社会的責任)を果たすことが重要であると認識しており、地域の経済的及び社会的発展のための投資も行っている。モザンビークとマラウイにおいては、地域における持続可能なサプライヤーの育成を通じた地域経済の発展を促進するための「リンケージ・プログラム(The Linkages Program)」を実施している。このプログラムでは、Valeに対してだけではなく多様な市場へと商品を供給できるような中小企業の育成に焦点をあてている。同プログラムによって、Valeのモザンビークにおける現地調達比率は2008 年には34%であったが、2013 年には75%にまで上昇した。また「Vale基金(Vale Foundation)」は社会経済的発展の促進のために、政府、民間そして地域コミュニティのパートナーと協力して、教育及び医療、農業、スポーツ、文化や伝統といった分野での活動も行っている。

3-5. Lonmin Plc, Chief Executive Officer, Ben Magara氏iv
 Lonminは世界第3 位の白金生産会社で世界の4 大陸に鉱業プロジェクトを有しているが、主な活動拠点は南アであり、北東部のBushveld ComplexではLimpopo鉱山、Marikana鉱山、Pandora鉱山で白金を生産しているほか、AkananiやLoskopといった探鉱プロジェクトも有している。南アには世界の白金埋蔵量の約8 割が賦存していると言われるが、世界の白金市場における南アの供給比率は53%ほどである。南アにおける白金生産量の減少、社会及び経済的不安そして白金価格の低下といったことが原因で、南ア白金産業の世界市場における影響力が低下していると考えられる。また供給面での不確実性は、白金の代替利用やリサイクルを促進しており、特にリサイクルの増加はLonminを含む白金の一次生産者にとっては憂慮すべき状況である。需要面では、欧州経済の回復が遅れているため、欧州自動車産業の白金需要は縮小しているが、今後は新興経済における自動車販売数や中国における装飾品需要の増加が期待できることから、白金族需要の中・長期的見通しは明るい。

 2012 年8 月に発生したMarikana鉱山での労働争議をきっかけに、労使関係を改善するための変革があった。鉱山労働者・建設組合連合(AMCU:Association of Mineworkers and Construction Union)を同社の鉱山労働者の大多数を代表する労働組合として正式に認定する合意書に調印し、また少数派の労働組合とも継続的な協議をしている。また労働者の生活環境を改善することに焦点をあてており、識字力が原因で借金に苦しむ労働者が多いことから、金銭貸借上の読み書き能力を習得するためのトレーニングの提供や、また労働者に対する差し押さえ命令の縮小などを行っている。また労働者用の住宅の改善にも力を入れており、南ア政府に寄付した50 haのエリアではLonminの労働者3,000 名を含む6,000 名に住居が提供されることになっている。その他、地域コミュニティの持続可能な発展のため、中小企業の起業促進、現地調達率の向上、教育の質の改善等に関する活動も実施している。Lonminでは、全ての利害関係者の現実的な要望を満たし、信頼、成功、そして発展のための架け橋を築き、人々の生活を向上していきたい。

4.展示会場の様子

 世界最大規模の鉱業投資会議であるMining INDABAでは講演に加え、展示会場においてメジャー/中堅鉱山会社、ジュニア探鉱会社、政府機関、金属需給動向やファイナンスのアナリスト及びコンサルタント、証券取引所や金融機関、鉱山設備会社等様々な企業・団体がブースを設けている。今回のINDABAではJOGMECとJBICは合同ブースを設置し(写真1)、日本政府及び民間企業によるアフリカへの関与や投資に関心を持ちブースに訪れる人々に対して日本政府全体としての鉱業投資支援体制を説明したほか、個別のプロジェクトに関する情報交換を行った。

写真1.JOGMECとJBICの合同ブース

写真1.JOGMECとJBICの合同ブース

5.所感

 今回のAfrican Mining INDABAは、鉱山労働者建設組合連合(AMCU)がAnglo American Platinum、Lonmin及びImpala Platinumの白金鉱山で2014 年1 月23 日から賃上げを求めるストライキを継続している最中に開催された。2012 年のMarikana鉱山での暴動に続く、今回の白金生産大手3 社の鉱山でのストライキにより、業界関係者の間で南アの労働環境に対する懸念が高まっていた。そのため、南アShabangu大臣は基調講演で、同国における労働争議に対する政府の取り組みや法制度を例年以上に詳細に説明していたように感じられる。また南アを含めたアフリカの資源国政府の多くは、鉱業政策の見直しを予定しており、鉱業における資源国政府の関与がさらに強まっていく可能性もあるので、今後の動きを注視したい。

 一方で、民間の鉱山会社は、それぞれがアフリカに有するプロジェクトの概要を簡単に説明した後、資源国及び地域コミュニティに鉱業プロジェクトがもたらしている経済的及び社会的貢献の説明に講演の多くの時間を費やしていた。学校や病院等の施設の建設といった従来からのCSR活動だけではなく、持続可能な地域産業の育成にも注力している企業が増えているように思われた。Anglo AmericanのKweyama氏が「鉱業の評価」が鉱山開発において重要であると強調していたとおり、鉱山会社はMining INDABAといった機会を利用して、鉱業が社会にもたらす貢献を社会に公平に評価してもらうための努力をしているように感じられた。

<参考資料>


i http://www.angloamerican.co.za/~/media/Files/A/Anglo-American-South-Africa/Attachments/media/Anglo-American-Mining-Indaba-Speech-04-02-2014.pdf

ii http://www.riotinto.com/documents/140204_Presentation_Alan_Davies_MiningIndaba.pdf

iii http://www.ivanhoemines.com/i/pdf/IVN_Presentation_Feb2014.pdf

iv https://www.lonmin.com/downloads/media_centre/news/press/2014/Mining_Indaba_2014_-_FINAL_-_Website_version.pdf

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