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報告書&レポート

2014年8月21日 ロンドン事務所 森田健太郎
2014年36号

中国国営企業による鉱業への投資戦略~Access Africa Mauritius 2014参加報告(4)~

 2014 年6 月24 日~25 日、モーリシャス・バラクラバにてMines and Money主催の「Access Africa Mauritius 2014」が開催された。本稿では、中国国営企業によるアフリカ等での鉱業への投資戦略に関する講演について、概要を紹介する。

講演「中国によるアフリカ鉱業への投資戦略」

(中国Chengtongホールディングス、Gloria Rong氏)

【中国Chengtongホールディングスの活動】

 中国Chengtongホールディングスは、国有資産監督管理委員会(SASAC)の直接の監督下にある国営企業の一つである。海外資産の管理と安定化のためのプラットフォームとして香港に上場されている。非鉄分野の鉱業プロジェクトについてM&Aの機会を積極的に探っている。

【投資の判断基準】

 投資する際の判断基準は、以下のとおりである。
  (1) 51%以上の支配的シェアを持てること
  (2) 投資規模は1億USドル~3億USドルであること

(3) 対象は銅、アルミニウム、鉛、亜鉛、ニッケル、白金、錫などの非鉄金属資源であること(金は条件が良くない限り検討しない)、

  (4) 埋蔵量は中規模から大規模であること
  (5) プロジェクトステージは生産段階又は一年程度の短期で生産に至るもの
  (6) カントリーリスクは当社及びSASACが要求しているように政治リスクが低いこと

【豊富な外貨準備高を戦略的に活用】

 中国の通貨当局は、豊富な外貨準備高を有効活用するため、低利な米ドル建て国債ばかりに充てるのではなく、より多様化しようと考えている。そのため国営企業に対して、海外のエネルギー・鉱業・電力資産を獲得することを慫慂している。これは同時に、国内産業の需要増大に対応するための資源エネルギー確保にも役立つ。

図1 1987年と2013年の上海Pudong地区
図1 1987年と2013年の上海Pudong地区
(出典:Reuters/Stringer、Carlos BarriaよりETM analyticsが作成)
図1 1987年と2013年の上海Pudong地区

【規模の経済で好循環を創出】

 また中国のそれぞれの国営企業は、全体で規模の経済が働くよう、拡大の仕方をお互いに考慮している。規模の経済が働けば収益性の底上げにつながり、更なる海外シェアを獲得することにつながり、好循環が生まれるからだ。海外M&Aプロジェクトの追跡調査が現在進行中だが、長期的・全体的に見れば成功であるのは明らかだろう。

【海外投資プロジェクトに記録制を導入】

 国家発展改革委員会は、2014 年1 月に導入された「海外投資プロジェクトの承認とファイリング・アプローチ」を進めている。これは海外での投資プロジェクトを管理するためファイリング・システムを構築するものであり、10億US$以下の投資については承認制から記録制(record)に変わるだろう。

【資源案件の海外投資は年5 割増】

 中国による海外投資は、中国国内のGDP成長率の約3 倍にあたる年率18%で拡大している。国営企業が牽引しており、M&A案件の79%、買収案件の60%を占めている。投資先は変化しており、欧州投資は半減し北米投資が3 倍増となっている。

図2 中国による海外投資額の地域別・分野別の変化(百万US$)

(出典:Acapital より講演者作成)

図2 中国による海外投資額の地域別・分野別の変化(百万US$)

 また中国による海外投資は、コモディティ・ブームも手伝って資源案件が年率49%増で牽引している。ただし資源案件の件数自体は減少しており、大規模案件(Mega Deals)が増えている。鉱種毎の取引額で見ると、金の案件が最も大きく、石油・ガス、アルミニウム、銅と続く。

【アフリカでの鉱業分野への投資】

 中国によるアフリカでの鉱業分野での投資は、全部で33か国、209件が記録されている。投資先の上位10か国は、上位よりDRコンゴ、ザンビア、ナイジェリア、アルジェリア、南アフリカ、スーダン、タンザニア、エチオピア、ガーナ、チャドである。生産プロジェクトが55%を占め、探鉱プロジェクトが31%を占める。

図3 中国によるアフリカでの鉱業分野の投資先・投資内容
図3 中国によるアフリカでの鉱業分野の投資先・投資内容

(出典:MOFCOM中国海外投資データベースより講演者作成)

図3 中国によるアフリカでの鉱業分野の投資先・投資内容

【次はリン、カリウム】

 次の成長分野は、ウラン、レアアース、カリウム、リン等であろう。国家発展改革委員会によれば、中国国内のリン酸の可採埋蔵年数は20 年しかないと予測しており、カリウムは既に供給不足に陥っている。

おわりに

 今次「Access Africa Mauritius 2014」会合では、中国からの出席者が目立った。上述の中国Chengtongホールディングス以外にも、中国鉄鋼業界、鉱山企業、投資会社、ファンド等が講演者、パネリストを務めた。彼らの多くは英米のビジネススクールを卒業したのち、ときには転職を挟みながら数年の実務を経たところという経歴であった。現時点では必ずしも経験豊富とは言えないが、その語学力と行動力で試行錯誤を繰り返していけば、近い将来、更に大きなプレゼンスを認めざるを得ないでなろう。

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